
うまくやろうとするほど、見失うものがある
――俳優思考・第十二回
俳優は、弁護士や医者と違って「自分は俳優です」と名乗った時から俳優になれます。
免許があるわけではないのでね。だから、それになるだけなら全然難しくはありません。
難しいのは、それを生業にしていくことです。
では、生業にしていく為に何をすれば良いかと言いますと、、、
とにかく、何でもやってみることです。動けば景色も変わるし、どんな目に遭おうと机上では学べないものがあります。
正解か不正解かなんて、考える必要はありません。
まずは動く。これはかなり大事だと思っています。
ただ、「本質」だけは見失わないでもらいたいのです。
時には何かに傾倒するのもありだとは思いますが、
『自分がどうしたいのか』それだけは忘れないでもらいたい。
夢に向かっている時は、比較的シンプルです。
スキルを磨いたり、経験を積んだり、自分に足りないものを埋めたり。
少しでも前に進むために必要だと思うことを、ひたすらやります。
でも、いざ夢が少しずつ現実になってくると、少し話が変わってきます。
人に気に入られることだったり、次に繋げることだったり、
正直そこまでやりたくないことでも引き受けてみたり。
現実の中で続けていくには、そういう視点も必要になります。
それ自体は悪いことではありません。むしろ、生業にするなら必要なことも多いと思います。
ただ、その現実的な判断を繰り返しているうちに、ふと、「あれ、自分って何がしたかったんだっけ?」となる瞬間があります。
これは俳優に限った話ではないと思います。
仕事でも、人間関係でも同じです。
現実の中でうまくやろうとすればするほど、本来の目的が少しずつ見えにくくなることがあります。
迷うこともあるし、揺れることもある。
途中で、自分が何のために始めたのか分からなくなることだって普通にあります。別に珍しいことではありません。
大事なのは、そうなった時に確認できることです。
今やっていることは、自分が本当に望んでいる方向に近いのか。
ただ流れに乗っているだけになっていないか。
それを、ときどき見直す。
たぶん、それだけでもかなり違うと思います。
「夢」と「現実」は、綺麗に分かれているわけではありません。
理想を追いながら現実と折り合いをつけたり、
現実を見ながら少し理想の形を変えたりする。
その繰り返しなんだと思います。
だからね、見失ったときは、自分にこう問いかけてみてください
「ところで君はどうしたい?」と。
次回はこちら→『動機なんて、不純でいい』
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