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「任せたのに、うまくいかない」。それは部下の能力不足ではなく、私の"手抜き"が原因だった話。


「任せたのに、うまくいかなかった」

今日、トラブル対応の会議がありました。 進行役を部下に任せました。彼はそれなりにベテランで、次期リーダー候補。 だから、「彼ならできるだろう」と思って任せました。

でも、結果は散々でした。

会議は2時間ダラダラと続き、細かい枝葉の話ばかり。 部下は迷いながらファシリテーションして、参加者の顔色はどんどん曇っていく。 本質的な議論が、全くできていない。

「あー、もう私が仕切った方が早いな」 「なんでそこ突っ込まないんだよ」

後ろで腕を組みながら、そうイライラしていました。 でも、口を出すと彼の成長にならないと思い、グッと我慢して、地獄のような2時間が終わるのを待ちました。

会議後、2人で改めて話し合った時、ハッとしました。 悪いのは彼じゃない。

「あ、私、事前に壁打ちの時間を取らなかったな」

完全に、私の怠慢でした。

「任せる」と「放置」は、似て非なるもの

任せたから大丈夫。 そう思って、事前のコミュニケーションをサボっていました。

部下がどう考えてるか、どういうシナリオで会議を進めようとしてるか。 それを確認せずに、「よろしく」の一言でリングに上げてしまった。

準備運動もなしに試合に出されて、ボコボコに打たれる部下。 それを後ろから見て「なんで上手く戦えないんだ」とイライラする上司。

これ、「任せる」じゃなくて「放置」だったんです。 もっと言えば、「丸投げ」です。

自分の忙しさを言い訳に、一番大事な「事前のすり合わせ」から逃げていただけでした。

会議後、30分だけ「泥臭く」話した

反省した私は、会議後に30分ほど時間をとりました。 技術的な細かい話ではありません。もっと上流の、「思考の整理」を手伝う時間です。

「さっきの会議、悔しかったよね。何が一番のネックだった?」 「もっと相手に喋らせていいよ。議論を散らかしてから、整えよう」 「まずは全体像を絵にしてみようか」

これ、別に私が天才的なコンサルティングをしてるわけじゃありません。 ホワイトボードの前で、一緒に腕組みをして、頭の中を整理しただけ。

でも、話しているうちに、部下の表情がみるみる変わっていきました。 曇っていた目が、パッと明るくなる。

「あ、そうか。ここを整理すればよかったんですね」 「次はこう進めれば、結論が出そうですね」

その瞬間、気づきました。

「これだ。これが本来やるべき『任せる』ってことなんだ」

壁打ちの時間は、"会議の前"に取る

一人で考えていると、誰でも堂々巡りになります。 特にトラブル対応のようなプレッシャーがかかる場面では、視野が狭くなる。

だからこそ、上司の出番なんです。

私も、部下と話しているうちに、「あ、ここが問題の核だな」と気づく。 部下も、私と話しているうちに、「あ、こうすれば道が開ける」と気づく。

お互い、言葉のキャッチボールをして、脳みそを同期させる。 そうすることで、シナリオが見えてくる。

この「壁打ちの時間」は、絶対に"事後"ではなく"事前"に取らないとダメなんです。

会議が始まってからでは、もう遅い。 多くの関係者がいる前で、軌道修正するのは至難の業です。

だから、事前に取る。 たった30分でいい。2人でじっくり話し合う時間を、意地でも確保する。

それが、部下を守り、プロジェクトを守るための、上司の責任なのだと痛感しました。

「型」を教えるのは、OJTの特権

この壁打ちの時間の中で、私が意識しているのは「型」を渡すことです。

「問題を因数分解しよう」 「まずは事実と推測を分けよう」 「時系列で並べてみよう」

こういう問題解決のフレームワークは、教科書で読んでも身につきません。 実際のトラブルという「生きた教材」を前にして、上司と一緒に使うことで初めて、「あ、こうやって使うんだ!」と腹落ちする。

上司が思考の補助線(型)を引いてあげる。 そうすると、部下は整理しやすくなる。

この「型」は、1回2回と繰り返すうちに、部下の中に染み込んでいきます。 次にトラブルが来た時、部下は自分で「型」を取り出して、戦えるようになる。

遠回りに見えて、これが最短の道

プロジェクトは生き物です。 後半に行けば行くほど、想定外のトラブルが起きる。

その時、リーダーシップを発揮できる人が一人でも多ければ、組織は強くなります。

そういう人を、一人ずつ増やしていく。 特効薬はありません。 地味で、泥臭くて、時間のかかる作業です。

「忙しいから」と任せた気になって、放置して、失敗して、リカバリーに何時間も費やす。 そんな非効率なことは、もうやめようと思います。

30分でいい。事前に壁打ちの時間を取る。 その手間を惜しまない。

そうやって、一緒に汗をかいた分だけ、部下は確実に成長していく。 そしてそれが、結果的に私自身を助けてくれる。

明日もまた、部下のカレンダーに「壁打ち(30分)」をねじ込もうと思います。 一緒に頭を整理して、一緒に考える。

そうやって、一人ずつ、背中を預けられる仲間を増やしていく。 私が楽をするためにも、それが一番確実な方法だと思うのです。

▼参考記事
部下に向き合い、活躍させるための上司のプロデュース術


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