
【ショートショートで1分間読書】大人の苦味
大人の苦味
「いつ大人になっちゃったんだろう」
友人と焼き鳥で熱燗を飲みながら呟いた。
「もう酔ったの」
旧友がネギマのネギを串から外しながら言った。
無視して続けた。
「初恋が終わった、本気で人を愛した、チューハイを口に含んだ、煙草をふかした、就職した、挫折を知った、結婚した、子供を生んだ、一人になると決めた、どの時もしっくりこない」
気がつくと、旧友は呆れ顔でネギを分解していた。
「言ってたじゃん、えびちゅよ、えびちゅ」
バラバラになったネギのかけらを口に放り込みながら言った。
あぁ、そうだった。
仕事で大ポカした帰り、ローソンでエビスビールを買ったとき。
ヤケクソになって、少し背伸びをして高いのを手に取った。
頬を涙で濡らして歩きながら流し込んだ。
人生とビールの苦味が溶け合ったのを感じた。
それが妙に心地良かった。
でも、この話って、したことあったっけ。
桐野心春様にペイ・フォワードプロジェクトで紹介して頂きました。
オススメの3人のクリエイターの内の1人に選んで貰い、この作品にも触れて頂いてます。
ありがとうございます😊
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完結済みの恋愛小説「ドウセイドウメイ」をまとめたマガジンです。