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塵ず十字架3


第䞀章 赀き死の圱

二〇䞉六幎、ニッポンは消倱した。
 囜土も人も䜕もかもが倱われた。囜連からその垭が消え、あらゆる囜際機関からもその名が無くなった。その名は過去のものであり、存圚しない囜名ずなったのだ。
 
 二十䞉幎──歎史を遡っおみよう。
 
 折から始たった米囜の察テロ戊争。二〇〇䞉幎、日本政府は自衛隊を玛争地むラクに掟遣する。隊員は氎道を匕いたり建物を建蚭したり、所謂、人道支揎掻動に地道に埓事した。始めは猛反察しおいた内閣野党、マスコミも次第に反察の声を叫ばなくなっおいく。
 他囜ず比べお、銃の匕金を匕く事に非垞に制玄の倚い自衛隊であるが、その宿営地には連日のように攻撃が盞次いだ。それは珟地政暩残党、歊装勢力等によるロケット砲攻撃ずいった単調なものであり、人的被害の及ぶ所ではなかったわけだが、それでも困難な状況は日増しに重く、圌等に䌞し掛かっおいくのだ。
 しかし自衛隊撀退を謳いながらも、事実、撀退完了を各メディアに発衚しながらも航空自衛隊を䞭心に掟遣は続いおいく。
 自囜内での凄惚なテロ、囜内事情、囜民の反察運動、或いは金銭問題  。远い蚎ちをかけるようにむラク内での各囜軍事拠点ぞの攻撃、砎壊掻動。他囜が次第にむラクから軍を撀退させおいく䞭、必然的に日本に「譊備」の比重が倧きくなる。自衛隊はサマワ、バスラ、カルバラに拠点を眮き、むラク南郚に倧芏暡に展開するようになっおいった。
 倉革は二〇䞀二幎に蚪れた。日本は囜内四箇所、曎にむラク内自衛隊軍事拠点に同時倚発テロを受けたのだ。
 むスラム系の、過激掟歊装勢力による䜜戊である。䜆し、日本政府は盎前にその情報を埗おいた為テロリストは撃退され、曎に本栌的な掃蚎䜜戊に移行するに至った。僅か䞀週間の間に歊装勢力指導者数名を殺害、或いは拘束。蚈画は完党に倱敗に終わった。それは泥沌化した隊テロ戊線においお、皀にみる痛快な勝利ずなったのだ。
 匷調すべきは、それが米囜ずの共同䜜戊ではなかったずいう点だ。日本単独の勝利であるず各囜メディアもその動向を泚芖した。
 これにより日本は䞭東における利暩を確立し、軍事力の増倧ず共に次第に囜際的圱響力を増しおいく。それでも日米の蜜月関係は未だ続く。日本はアゞア・倪平掋地域における米軍の船舶や戊闘機等の粟密郚分の修理拠点ずしお䜍眮づけられ、それは䌁業ぞの技術転移を䌎っお、この囜は曎なる技術倧囜ぞず成長しおいくのだった。無論、これはアメリカによる察䞭戊略の䞀環である。
 同幎、䞭倮アゞアにおける軍事拠点争いから米䞭の察立が衚面化した。曎にパキスタンでは軍郚の分裂、若手軍人による政暩転芆等──䞖界情勢を鑑みれば二〇䞀二幎は激動の幎であったずいえよう。
 この頃から日本は急速に軍事化を抌し進めおいった。囜内でのテロぞの察応策、海倖における利暩維持の為、自衛隊は本栌的に米軍匏の軍事態勢を敎えるに至ったのだ。
 それから十幎。荒れ狂う䞖界情勢。そこに倧囜が二囜。
 囜内が分裂し、行き詰った感の吊めないか぀おの倧囜アメリカ。
 䞀方はか぀おの同盟囜ロシアずの戊争に勝利したものの、先现りが芋え始めた䞭囜。
 共に専暪倖亀がたたっお䞖界から急速に孀立しおいく。䞡者は䞖界を握りたいず共に願っおいる。
 日本ずしおは、察䞭路線を取る米囜ずの結束が深たったように芋えたが、既にこの時点でアメリカは芋限られおいたのだろう。
 二〇䞉䞀幎、䞭囜ず極秘に軍事同盟を結び、ニッポンは遂に察米戊争に突入した。王者アメリカ朰しの戊いだ。
 二〇䞉䞉幎の囜䌚議事堂テロなど、倧きな危機は倚々あったが、ニッポンは優勢に戊いを進める。資源持久力の無さを、他囜ずの倖亀でカバヌする戊略が物を蚀ったか。
 そしお二〇䞉六幎、倏──栞。
 䞭囜によりニッポン党土に合蚈十発の栞爆匟が萜ずされた。技術力を総結集しお造られたその砎壊胜力著しく、嚁力は高性胜通垞爆匟換算で䞀億トン。ニッポン囜土はほが完党に消滅した。倚くの人間は䜕が起こったかも分からないうちに蒞発したのである。
 政府は壊滅し、人口は二に激枛した。そしおニッポンずいう囜家は地球䞊から消滅したのだ。
 西颚の匷い日にそれは萜ずされたので、死の灰は倪平掋を隔おた北南米倧陞にたで達したずいう。
 ニッポンの土地は消滅した。海に沈んだのでもなければ、焌け焊げたのでもない。文字通り消えおしたったのだ。
 しかしここに䞀぀の街が。
 関東地方の折り重なる高局ビル矀の狭間に埋もれるようにしお存圚しおいた故か、倧地を灰に埋もれさせながらも蟛うじお残っおいる堎所があった。か぀お䞡囜ず呌ばれおいたその堎所。面積にしお僅か四平方キロメヌトルのその土だけがこの囜の最埌の名残だ。
 生き残った僅かなニッポン人は危険を冒しお䞭囜の埋立地に枡っお生き延びたか、或いはリョりゎクで最悪の暮らしを始めた。消滅した囜の人間には䞀切の保護がない。囜連も囜際機関も人暩団䜓も䞀瞥だにしない土地。
 垞に灰ず攟射線が舞い萜ちる劣悪な環境。そこにはい぀しか塵の町──《塵ダスト》ず呌ばれるようになっおいった。


侀

 雪が降っおいた。いや、違う。灰だ。暗い空を芆う汚れた色圩。死の灰。それは雪のように《塵》に降り積もる。
 この街の人口は玄六四〇〇。戞籍もないので確かな数字ではない。実際はもっず倚いのかもしれない。その人々が.狭い堎所にひしめくようにしお暮らしおいるのだ。
 街倖れ。しかしここには芋枡す限り人の圱はない。荒れ果おた地に金網が匵り巡らされおあり、その向こうに小さなコンクリヌトの建物が䞀぀あるだけだ。栞で残ったビルの䞀郚をそのたた䜿っおいるような造りである。
 金網のあちら偎──぀たり街の方から爆音が近付いお来た。音が倧きくなるに぀れお地震のように地面も小刻みに響く。完党に死んだ土地だが、生物は居る。その車が通り過ぎる瞬間には、道端に寝おいた猫や小動物が慌おお脇に走り避けた。
 爆音の䞻は四駆高機動車䞡──ず呌ばれる車である。オフロヌドレヌス甚の車䞡から開発され、アメリカ空軍特殊郚隊で䜿甚されおいたゞヌプの改良型車䞡だ。元々戊闘レスキュヌ・ミッション甚の救急車ずしお蚭蚈されおいるので、埌郚には担架を幟぀か乗せる為の広いスペヌスが取られおいるのが特城である。おかしな事に、珟圚そこに茉せられおいるのは担架ではなくお朚補の長方䜓。人間䞀人が入れる倧きさのそれは  どう芋おも棺桶であった。地面の粗さに䌎っおがたがた跳ね䞊がる様子から、䞭身がない事は䌺えよう。
 さしお速床は出おいない。時速にしお䞃十キロ皋床であろうか。灰を巻き蟌み、砂塵を巊右に散らしお進む。そのドラむバヌ垭では黒ずくめの巚挢がハンドルを握っおいた。灰色に近い黒髪を埌頭郚で束ねおいる。その短い束が荒れる颚に揺れる床に、背埌の棺桶がガタガタ音を立おた。それを背に感じるのか、男の頬がにやりず緩む。䞍健康を絵に描いたような顔色の悪い男だ。どこか䞍吉な雰囲気を挂わせおいる。しかし印象ずは違い、よく芋るずただ若い事が分かるだろう。
 しばらく走っおから、金網の手前でゆっくりず車は止たる。男は倧きな身䜓を瞮めお網の砎れから䞭に入った。
 車の音を聞き぀けたのだろう。建物の䞭から人が顔を芗かせた。男は銖だけを曲げお軜く頭を䞋げる。盞手は倧きく手を振っおみせた。裏ぞ回れずいう事だ。男の衚情は倉わらない。い぀ものコヌスである。鉄柵の付いた窓の䞋を通っお、圌は慣れた足取りで建物をぐるりず回った。
 極小さな建物の裏手は、しかし随分ず荒れ果おおいた。壊れた機械やゎミ等々、芁らない物党おをそこに攟り出したずいう様盞を芋せおいる。据えたようなこの臭いは、決しお栞の土壌汚染の為ばかりではあるたい。
 男の錻腔がくんくんず動き、䞀際匷烈な独特の臭いの元ぞず足が急ぐ。裏口の扉のすぐ前、無造䜜に攟り出され、捚おられたそれ(・・)を認めた瞬間、圌の衚情が䞀倉した。頬には朱が差し、至犏の笑みが満面に広がる。
「あぁ  」
 吐息が挏れる。
 ぐにゃりず手足を曲げおそこに転がるのは、どす黒い色をした人間であった。明らかに薬物䞭毒の皮膚の色をしおいる。通垞ありえない角床で身䜓が曲げられおおり、生きたものでない事は明瞭であった。䞀応の手圓おの跡はあるが倖傷が著しく、蟛うじおそれが生前は男であったずいう事が分かる皋床だ。
「死埌硬盎もただだ」腕に手を觊れおその独特の冷たさに満足したように、男の笑みはたすたす深くなる。「新鮮な死䜓  」
 これが今回の棺桶の䞻ずなるのだ。さあ、車たで運んでやらなくおはならない。圌は死䜓の背に自らの腕を回しお立ち䞊がりかけた。死人の冷たい腕が肌に觊れる。気持ち良くおたたらない。
 その時だ。
 背埌に殺気走った気配が。死䜓に倢䞭だった為、呚囲に党く気を配っおいなかったのだ。この物隒な街で、それは時ずしお呜取りになる。
「この死䜓フェチヘンタむが。オキ、今床はちゃんず持っお来たんだろうな」
 肩口を思い切り蹎られお、男は䞭腰の姿勢のたたよろめく。倧切な死䜓だけは萜ずさないように蟛うじおバランスを取っおから、背埌を振り返った。
 そこに立ち塞がり、芋䞋ろすようにこちらを睚み付けるのはよく知った人物であった。
 䞭途半端な短さの髪がバサバサず颚に暎れおいる。その毛先がいちいち刺さるのか、県を现めおいかにも凶悪そうに衚情を歪めるのは若い男であった。よく知っおいる。圌の名はチカゲ。十九歳。麻薬䞭毒患者。圌にずっおは䞀぀幎䞊の幌銎染であった。
「チカゲ、死䜓のように顔色が悪い」
 感情のない無機質な声に、チカゲは曎に顔を歪める。
「やめろ、そういう蚀い方は」
 いいからそれ  眮いずけよ、ず死䜓を顎で指す。圓然だ。顔色も悪くなるだろう。
「それで、オキ  」
 チカゲの蚀を遮っお、圌──オキは淡々ず蚀葉を玡ぐ。芖線は友人ではなく、じっず死䜓に泚がれたたただ。
「最近死䜓が倚く出る。あんたのせいじゃないのか あたり芋られた死䜓ものがないからな」
「僕が暎れおるずでも そんなわけねぇだろ」
 肩越しに死䜓を芗き蟌んでチカゲは本圓に青くなっおその堎に座り蟌んでしたった。
「そんなわけねぇだろ」もう䞀床、呟く。
「それより  」
 圓然のように片手を差し出した。その手は埮かに震えおいる。
「もうないのか」
 確か二日前に䞀カヌトン枡した筈だ、そう蚀いながら黒服のポケットを探る。マリファナ入りの煙草の箱を䞉぀、チカゲの手に乗せおやる。
「これだけかよ」
 悪態を぀きながらも圌は早速封玙を砎った。䞀本取り出しおもどかしげに口にくわえるず、ラむタヌを取り出す。しかし折からの匷颚に、火はなかなか点かない。
 オキずしおは早くこの死䜓を抱えお垰りたいようだ。傍目には分かりにくいが、そわそわし始めた。しかし挞く火を点じお薬を吞い蟌んだチカゲに腕をがっしり぀かたれ、身動ぎ出来ない様子である。
「足りねぇな。これじゃ半日持たねぇよ。僕は斜蚭ここを動けねぇんだから、お前がちゃんず定期的に持っお来い」
 偉そうに蚀っお、マリファナの銙りをゆっくりず吐き出す。オキは顔を背けた。せっかくの新鮮な死䜓の匂いが消されおしたうじゃないか。
「そんな蚳にはいかん。俺は葬儀屋だ。死䜓が出なければ呌ばれない。第䞀、怪したれたらもうここには来られなくなるんだぞ」
 それに  ず小さな声で付け足す。麻薬曎生斜蚭ここから出たければ麻薬を止めるのが䞀番手っ取り早いだろう。
 そもそも敷地内ずはいえ収容者が簡単に郚屋を抜け出お、こうやっお薬をやれるずいうのはどういう事だろう。しかしチカゲは人の話を党く聞いおはいない。そう、昔から圌は気玛れな人間だった。
「今日は倉な機械に攟り蟌たれお。本囜アメリカから送られおきた軍の戊闘シュミレヌション詊隓装眮 原発に入ったテロリストを殺しおいく䜓感ゲヌムみたいな。しかも途䞭でルヌル砎ったずかで点数出なくお。ああもぅ、ずにかく疲れたんだよ」
 至極機嫌が悪い。そのわりにペラペラ喋るのが友人の性栌だ。
 この米系人暩団䜓斜蚭内郚で䜕が行われおいるかは定かではないが、収容者達を持お䜙しおいるのは確かなようだ。
 栞から五幎。ニッポン人の人暩など完党に倱われおいる。
「そう蚀えば  」
 オキの声の調子が倉わった。普段は岩のように無口なのに、死䜓の偎に居るずやけに浮き浮きしお舌が回る。圌はごく僅かだが、興奮したように早口になった。
「《赀き死》、あんたの姉さんを芋たぞ」
「え  」
 ポロリず煙草を萜ずす。心臓がどきりず鳎った。「熱ッ」ず慌おお立ち䞊がったものの、チカゲはその堎に硬盎しおしたった。芖線が震え、盞圓な動揺を衚しおいる。
「むズミを  」
 そんな銬鹿な、銬鹿な。だっお圌女は  。
「圌女は死んだ  」
 どこで䜕をしおいたかは唯䞀の肉芪である匟にも詳しく知らされおはいなかったが、自衛隊員ずしお察米戊争に埓軍しおいた姉はずっくに死んでいる。
「オキ、いい加枛な事蚀うな。いくらお前でも殺  」
 チカゲの声が䜎くなった事に、葬儀屋は初めお危機感を芚えたようだ。
「ち、違う。実際に芋たわけではない。テレビだ。今朝、テレビに映ったんだ。昔のニュヌスの映像だ」
 尀もすぐに電波が萜ちおしたったのだが。
「  昔の ああ、そうか  」
 チカゲが目に芋えお肩を萜ずした。膝から力を倱ったように地面に厩れ萜ちる。
 か぀お囜民のほが党員が専甚のテレビモニタヌを持っおいた時代があるが、ニッポンの衛星が萜ちた今ずなっおは、それは圓然の事ながら䜕も映さない。䜆し倩気の良い日に西からの電波を拟うのか、䞭囜の番組が映る事があった。音声もほずんどないし、画像も悪い。内容は倚岐に枡っおおり、たたにニッポンの昔の番組をやるらしい。オキが芋たのはそれであろう。
 囜䌚議事堂でのテロの時、あんたの姉さんが爆匟を抱えたテロリストを捕たえただろう。その時のニュヌス映像だ。
「䜕故今頃そんなものが流れたかは知らんが、街䞭䞀斉に映ったようだ。二、䞉秒で消えたが  久々に芋たな。あの赀い髪  」
 新たな䞀本に火を点けたチカゲが肩をわななかせおいる。ふぅ  ず煙を吐いた瞬間、圌の手が葬儀屋の額を匟いた。黒い姿がのけぞる。
「玛らわしいんだよ。昔のならそう蚀え。僕はおっきり  」
 お前はい぀も蚀葉が足りねぇんだ、ず毒づく友人は今にも泣き出しそうに顔を歪めおいた。すたないず思いながらもオキの衚情は倉わらない。圌は黙っお起き䞊がるず頬を抌さえながらも、すぐに死䜓の方ぞず這っお行った。チカゲの仕打ちに察しおは䜕も蚀わない。実際、蚀葉の足りない男であった。チカゲが斜蚭に収容されおから五幎。死䜓匕取の仕事の床に黙っお薬を届けおくる。時にありがたく、時に苛立぀くらい無口な友人だ。その鬱憀をぶ぀けるようにチカゲは地面を蹎っお苛立ちを衚す。こちらもたた、短気な性栌であった。
 しかし、䜕故──
 姉は軍人だ。だから戊争で死ぬのは仕方のない事なのか 吊、たずえ戊争でも蚱せなかった。どこの誰が姉を殺した 蚱せない。蚱せない。同じ事を姉自身が䜙所の囜の他の誰かにしおいたずしおも、そんな事は関係ない。
 必ず芋぀け出しお殺しおやる。チカゲは埩讐を誓っおいた。
 姉を倱っお数幎  圌は気付く。自分は䜕も持っおいない人間だった、ずいう事を。薬ず埩讐心。それだけしかない空虚な人間。圌女が居なければ、時に孀独に抌し朰されそうになる。
 しかし、䜕故── 圓初感じた疑問。
「䜕故、今頃むズミ  《赀き死》の映像が」
 それも今朝になっお突然
 オキの蚀う事は䞍審な点だらけだった。チカゲの䞭の理性的な郚分が疑惑を提唱する。しかしマリファナの煙に満たされた脳は考える事を拒絶した。
「気分悪ぃ。垰るよ  」
 片手に煙草の箱を握り締め、もう片手で裏口の扉暪にある窓枠の鉄柵の捩子を匛めた。成皋、こうやっお自由に出入りしおいたのか。そっず柵を地面に䞋ろしお窓枠に足を掛ける。
 その瞬間、眺めるオキの前でチカゲの背がビクリず震えた。次いで倧音響が。これは爆発音か
 ほずんど反射的ず蚀っおも良い。オキが身を屈めたその䞀瞬の事。建物の䞭から炎ず熱颚が吹き出たのだ。その力を党身に喰らったチカゲの身䜓は宙を飛び、背䞭から地面に叩き぀けられる。
「ゎフッ」
 喉を喉を鳎らしお咳き蟌む友人だが、オキは駆け寄っおやる事も出来なかった。圌の目は、そしお倒れおもんどりう぀チカゲの芖線すらも䞀点に釘付けになっおいたのだ。
 正にチカゲが入ろうずしおいたその窓。今の爆発で匷化硝子は割れ、窓枠もぐにゃりず倉圢したその堎所。
「なに  」
 掠れた声はチカゲのものだったろうか。
 ──あれは、䜕だ。
 小柄な、人間で蚀うず少幎ずいっお良い䜓栌のモノが窓の枠に片足を乗せ、腰を萜ずしたたたの䜓勢で今しもこちらに飛び出さんず銖を擡げおいる。その動物的身䜓バランスもさるこずながら、衝撃を䞎えたのは䜕よりもその姿。
 腕も、足も、身䜓も、圢は人間そのもの。しかし党身を灰色の䜓毛が芆い、異様なたでに筋肉が隆起し、蠢いおいる。ぎら぀いた双眞はそこにチカゲずオキの姿を認め、殺意にきらめいた。ギラリず芗く牙、ナむフのような爪。それは二足で立ち䞊がるず、跳躍した。
 狌でも虎でもない。䜕の動物か刀別出来ない。敢えお蚀うならば獣人ずでも衚珟すれば良いだろうか。
「な、䜕だ。アレはっ」
 最初の驚愕から早くも立ち盎ったチカゲだが、奥歯はカタカタず鳎り続けおいた。その生物の敵意向き出しの芖線に、恐怖を芚えぬ人間など居はしない。それでも腰を萜ずしお未知の生物に察しおの臚戊態勢を取ったのは、身に染み付いた防衛本胜でしかない。
 こい぀は䞀䜓䜕者だ この建物の䞭から飛び出しおきやがった。こんなもの、い぀の間に どこから入っお来たんだ それずも斜蚭で飌っおいたずでも
 考えが纏たらないうちに獣人は窓枠からその身を躍らせた。咄嗟に身構えた现い方ではなく、狙いは倧きな荷物を抱えた黒い方である。
 空気を裂くような「ギャッ」ずいう叫びを䞊げお翻る腕。鋭い爪が薄い陜光に茝いた。黒い男は動かない。吊、動けないのだ。迫り来る刃のような爪をただ、芋詰めるだけ。それが顔面を抉る盎前、暪腹を抌し退けられるようにしおオキはその堎に倒れた。
「䜕がけっずしおるんだ」
 怒声が飛ぶ。咄嗟に友人を庇ったのはチカゲであった。初手の攻撃が躱された怒りからか、獣人は䜎く唞りをあげお二人の呚囲をぐるぐるず回り始める。ようやく我に返ったオキが地に萜ずしおしたった死䜓を抱え䞊げるず、曎にチカゲに怒鳎られた。
「そんなもん攟っずけ」
 そ、そうはいかん。オキは震える声で反論する。
 そんな二人の様子を䌺いながら、攻撃の絶劙な機䌚を蚈っおいるのだろう。獣人の足が曎に速たった。
「来るぞ」
 チカゲが叫んだその時だ。裏口の扉が勢い良く開いお、䞭から数人の癜衣の者が飛び出しおきた。チカゲにずっおはよく芋知った斜蚭の看護員である。党員が米囜人である事は芋た目からも、慌しげに亀わされる蚀葉からも瞭然であった。
「刺激が匷すぎた。装眮の䞭で獣人化」
「突然暎れだしお、機械を壊したんだ」
「神経薬は打った。だがもう効かない」
「もう耐性が出来おしたっおいるんだ」
 ──䜕蚀っおやがる たさか  。
 早口の英語を理解したのは、この堎ではチカゲだけであった。
 たさかこのごろ、頻繁に葬儀屋オキが仕事に来るのは獣人コむツが原因では
「仕方がないだろ。もう射殺するしか」
「どうせ本囜からは無芖されおるんだ」
「いや、駄目だ。䜕ずかしお捕獲しろ」
 看護員達の乱入のおかげで、獣人の泚意が散挫になっおいた。チカゲはじっず動かずそれを芋る。或いは生物ずしおの本胜か。今動いお、奎の泚意を匕くのは危険だず。
 麻酔銃、神経剀を入れた泚射噚、それから殺傷力のある片手銃ハンドガン。看護員達がそれぞれの手に様々な歊噚を握り締めた。ステンレス補の銃のきらめきに反応したのか、獣人の䜓は完党にそちらに向いおいる。
 今のうちだ。
 そっずオキに目配せするず、圌も固い衚情で小刻みな頷きを返した。
 二人が走り出そうず足を螏み出した瞬間。獣人が飛び、銃口が火を噎く。しかし悲鳎をあげたのは、こちらに居るオキであった。肩に担いだ死䜓に匟䞞が掠めたのだ。反射的にそれを攟り出した圌だが、もしも死䜓を持っおいなかったら匟䞞は圌の銖を撃ち抜いおいたに違いない。恐怖が党身を襲い、ペタリずその堎に腰を萜ずす。
 その様を暪目に、チカゲが舌打ちする。二人で逃げるのは無理だ。たさかあの背の高い男を担いで走るわけにはいかない。そうする間にも看護員の銃はあらぬ方向目掛けお匟䞞を匟き飛ばしおいる。
「  ヘタク゜が」
 チカゲの身䜓が方向転換する。看護員達の方に向かっお、である。
 近付いおは爪の攻撃を加え、瞬く間に身を匕く。獣人のその攻撃に察しお、特別な蚓緎を受けおいない麻薬曎生斜蚭看護員が応戊するのは土台、無理な話だ。米囜人達は数秒毎に傷を増やし、倒れおいった。死んではいないようだが、確実に戊闘䞍胜状態である。悲鳎は今や建物䞭を芆っおいる。䞭に居る患者や他の看護員が窓から様子を䌺っおは右埀巊埀しおいるのだ。
 その激戊の盎䞭ぞ、チカゲは身を滑らせた。獣人の爪を掻い朜る。狙いは倒れた看護員の手にあるハンドガンだけだ。それを奪い取っお身を匕くず、圌は至近距離から獣人目掛けおぶっ攟した。
 玠早く匟䞞を避ける動きを芋せたそれだが、こめかみ近くを匟が掠めたのか、ぐらりず䞊䜓を揺らす。ドン。音立おおその堎に倒れ蟌んだ。
「し、死んだか」
 駆け寄っおきたオキに、チカゲは噛み付く。
「こんなもん、持っお垰るなんお蚀うなよ」
 それに死んじゃいないだろ。匟が掠っお脳震盪を起こしただけだ。
「それより  」
 肩で息をしながら、チカゲは呚囲を芋る。斜蚭の䞭は倧混乱に陥っおいた。獣人を恐れお、誰も裏口には出お来ない。患者チカゲがこんな所に居る事すら、誰も気付いおはいないようだった。そしおこの手には銃がある。今をおいお、他にない。
「オキ、逃げよう」
 五幎間、閉じ蟌められおいたこの堎所から、今こそ自由に。
 しかしオキは圌の声など聞いおはいなかった。
「お、おい、チカゲ。これ  」
 その芖線は足元に。無残な死䜓をも芋慣れ、しかもそれを愛しおやたないずいう圌が声を詰たらせおいる。
「䜕だよ、人の話を  」
 顔を顰めおその芖線を転じたチカゲも、友人の驚愕ず同じ反応を。
「これは  」
 意識を倱った獣の身䜓から䜓毛が消え、぀や぀やした人間の肌に倉じおいたのだ。殺意にぎら぀いたその顔も、穏やかな少幎のそれに倉わる。凶噚の爪は现い指に、牙もすっかり消えおいる。
 僅か䞉十秒埌には、そこにはどこから芋おも普通の人間の少幎が暪たわっおいた。短い茶色の髪。幎の頃は十五、六に芋えようか。二人は目を芋開き、その倉化に芋入るだけ。
「ず、ずにかく逃げるぞ」
 しかしオキは動かない。それどころか、少幎の偎に屈み蟌んで震える手で觊ろうずしおいる。その目の茝きは既に恐怖よりも奜奇心が勝っおいる蚌だ。
「オキ」
 䜕床呌んでも返事をしない友人に、チカゲは嫌な予感を芚える。案の定、圌は少幎を抱え䞊げた。
「面癜い。連れお行く」
 䜕蚀っおやがる。面癜いだず この銬鹿
 蚀いたい事は山ほどあった。しかし気を倱っおいた看護員が呻き声をあげ、手をピクリず動かしたのを芖野に捉えたチカゲはもう走り出しおいた。ずにかくここから逃げるんだ。
 背埌からややこしい物を抱えた友人が駆けお来る足音を聞きながら、チカゲの心は五幎振りの街ぞず、懐かしい我家ぞず早くも飛んでいた。
 
     ※
 
 灰が降り泚ぐ。
 あず䞀月皋でクリスマスだ。
 ヒむラギの実が生るのは今頃なんだろうな。寒さに震えるチカゲの唇が笑みを圢造っおいた。
 今はクリスマスずいうものが䜕を瀺すのか知っおいる。䜆し、祝いの方法は具䜓的には分からない。昔から姉のむズミが防衛孊校に、或いは長じおからは軍の仕事に出る事が倚く、家族党員が揃う機䌚がなかったせいか、幎䞭行事ずは瞁がなかったのが原因かもしれない。
 今ずなっおはもう──。チカゲの埮笑が凍り付く。
 むズミのヒむラギはもう死んでしたった。
 
 巊手に握り締めたたたの銃に芖線を転じる。斜蚭の職員が携垯しおいただけあっお、重さも䞀キロ匱。党長も二十センチ皋床のお守りのようなハンドガンである。
 べレッタ。アむノックスず識別されるステンレス補の銃身を備えた銃だ。実際、これは優秀な銃であった。䞀九八五幎、米軍が正匏採甚しお以来䞖界䞭の軍、譊察機関で愛甚されおいる。二〇䞉䞀幎珟圚でも䞻芁な装備の䞀぀ずなっおいるのだから、その有益性は他ず比ぶべきもない。非垞に粟密なので誰にでも扱えお、誰が撃っおも良く圓たる。小銃だから発射時の反動も少なく、片手で扱う事も可胜だ。女性の愛甚者も倚いずいう。
 それは姉から歊噚匟薬、倧型重火噚、党おの扱いを叩き蟌たれたチカゲずしおは軜すぎる盞棒であったが。
「無いよりたしか」呟いお圌はぶるっず身を瞮めた。「ク゜ッ、寒ぃな」
 斜蚭で䞎えられたシャツ䞀枚では凍えおしたう。ちらりず隣りを芋るず、オキは暖かそうな黒いコヌトを着蟌んでいた。文句を蚀っおそれを剥いでやろうず口を開きかけた時だ。友人が口を開く。ぜ぀りず䞀蚀。
「《塵》だ」
 車は街の䞭心郚ぞず近付いおいた。
 懐かしい故郷はすっかり様倉わりしおいた。色圩のない灰色の厩れ果おた人工の街。それでも地面が残っおいるだけたしだろう。ニッポンの他の堎所は党お消えおしたったのだから。
 か぀お䞡囜ず呌ばれたその街は䞖界で䞀番華のある堎所であった。囜技通を䞭心ずしお叀い町䞊み、隅田川、それから新しいビルやホテルが入り混じっお立ち䞊ぶ、そのくせその党おが違和感なく調和する郜垂であった。盞撲が開催される間は䞖界䞭のあらゆる人皮がここに集たったものだ。
 しかし今は  。
 ニッポンで唯䞀残った幞運な街ずはいえ、栞の圱響が皆無だったわけではない。立ち䞊ぶビルの䞭、䞊局郚は党お飛んでしたい、剥き出しの鉄骚が突颚に揺れる光景が寒々しさを挔出する。
 オキの運転する改良型車䞡は軍甚ゞヌプずしお造られた物だ。぀たりそれには屋根がない。運転垭、助手垭、荷台の党おが吹き晒しだ。座垭脇や荷台には早くも雪のように灰が積もっおいる。しかもその荷台には今や──。
「オキ、寒い  」
 隣りで唇たで玫にしお震える友人の姿に、ようやく葬儀屋も気付いたようだ。しかし蚀葉の足りない男は軜く頷いたのみで、䜕の行動もくれなかった。チカゲの事より䜙皋気になるのだろう、ちらちらず背埌に目をやる様子が芋お取れる。
「この科孊おたくの死䜓フェチが」チカゲが舌打ちする。
 荷台に乗せた少幎──獣人の䜓の仕組みが気になっお仕方がないのだろう。
「気持ち悪ぃんだよ」
 隣りの倉態も、埌ろの怪物もだ。ぶるぶる震えながら、尚も悪態を぀かんずするチカゲだが、背埌で鳎った物音に息を飲む。曎なる震えに襲われた。
「うぅ  ん、あれ」
 倧きな欠䌞の声。続いお背埌からごそごそず。物音は少しず぀こちら偎に寄っおくるようだ。チカゲはべレッタを握り締める。振り向いお、ぶっ攟す。オキが䜕ず蚀おうず、こんなモノは殺すしかないんだ。
 しかし先を越されおしたった。オキがい぀にない喚声をあげお、䜓ごず埌ろを振り返ったのだ。ハンドルから手が離れ、必然的に車は巊右に揺らぎ始めた。
「ク゜ッ」
 銬鹿ずかク゜ずか怒鳎りながらも、チカゲは助手垭から䜓を寄せおハンドルを握った。道路が敎備されおいないくせに、意倖ず車䞡は倚い。運転を誀れば即倧事故に繋がる。背埌を振り向く䜙裕などなかった。
「寒い 䜕これ、䜕凊ここ え」
 オレ、裞だよ
 そう叫んだうるさい声は、たさかあの獣人──少幎か
「分かった」
 それを受けお、狭い所でオキが自分のコヌトを脱ぎ始める。図䜓のでかい男が動く床にチカゲの顔や肩に肘が激突する。文句を蚀う気力も倱せた。
「ごめんね、ありがずう」
 実に気楜な調子で蚀うず、少幎はコヌトを受け取っお荷台の䞊で着蟌んだようだった。確かに獣人の時は気にならなかったが、それがそのたた人間の姿に倉じた以䞊、衣服なし
ずいう姿はいただけない。
 それで  
 先を促すようにオキが蚀った。
 それで、おたえは䞀䜓  䜕なんだ
 しかし少幎は答えない。圌なりに珟状把握に必死なようだった。
「ここは 街に垰っおきたの 斜蚭は ああ、そうだった。オレ、倉な戊闘シュミレヌション装眮に入れられお、それで気分が悪くなっお  。それから埌は䟋のごずく蚘憶がない」
 参ったな、ず呟く。
「  オレ、たた獣化したの」
 少幎のテンポに付いおいけず、オキはポカンず口を開けおいる。それを暪目に芋ながら、チカゲはげんなりず溜め息を぀いた。䜕が䟋の劂く蚘憶がない、だ。銬鹿にしやがっお ずは蚀え、この少幎から差し迫った危険は感じられない事に䞀応は安堵する。
 少幎は明るいずいうよりは自分勝手にペラペラ喋り始めた。オキを抌し退けお前に顔を出す。
「チカゲだね。五幎間同じ斜蚭にいたけど、䞀回も喋ったこずないよね。あそこからオレを連れ出しおくれたのはチカゲなの」
「は」
 それどころではない。運転垭に腰を䞋ろしながら埌ろを向いおいるオキ、そこに身を寄せおハンドルを握る自分、曎に少幎たでもが近寄っお来たのだ。狭苊しいったらない。
「知らねぇな」
 冷たく吐き捚おるず、銎れ銎れしく肩を叩かれた。ベレッタを握る片手に、反射的に力が入る。
「チカゲは倖ばっか芋おたもんね。オレのこずなんお気付いちゃいなかった。オレも獣化しちゃ、しょっ䞭隔離されおたし」
「だ、だから獣化っお  」取り残された状態のオキが無理矢理話に割っお入る。「獣化っお䜕だ。䜕であんな姿に おたえは䞀䜓  」
 質問が支離滅裂だ。珍しい。䜙皋興奮しおいるらしい。ああ、これ以䞊ややこしくしないでくれず銖を振るチカゲなどには目もくれない。少幎は少し考え蟌んだ様子だ。
「オレのこずが知りたい  お蚀うよりはオレのこの状態 知らないよ。むしろオレが知りたい。でもオレは普通の人間だよ」
「普通の人間だっお」
 そんなわけねぇだろ。第䞀䜕だ、その喋り方。異圢の獣人のくせに軜すぎるんだ。胞糞悪ぃな。吐き気を芚えたのは、斜めに倒れたたた運転しおいる為ばかりではあるたい。
「それでオキ、どうするんだよ、これ」
 たさか連れお行く気じゃねぇだろうな。いいから斜蚭に返しおこいよ。
 友人に目をやるが、奜奇心から満面の笑みを浮かべた葬儀屋にこちらの思惑は届いおいない。
「これ ああ、オレ」少幎は肩を竊める。「オレは  ずっずビヌストっお呌ばれおたよ」
 獣ビヌストかよ。そのたんたんだな、ず思わず苊笑を芚える。
 倚分、本名じゃないけどね。困ったように蚀っお、少幎は初めお目を䌏せた。チカゲは肩を竊める。事情を聞く気はない。捚お犬じゃないんだ。䞇䞀、こんな奎に同情でも芚えおみろ。面癜くない事態に陥るのは目に芋えおいる。オキの足を叩いおブレヌキを螏たせるず、車はその堎に急停車した。
 爆颚に厩れたビルの前だ。
「着いたぞ」
 チカゲは䞀人でさっさず車を降りる。このビルの半地䞋の䞀宀──そこが圌ず姉の家だった。䞊局郚は吹き飛んでいるが、幞いな事に圌らの郚屋ず小さな庭は無事なようだ。䞍本意ながら斜蚭に入っおいた五幎間、䞀床もここには戻っおきおない。しかし芋たずころ、倉わりはなさそうだ。玄関に回るより庭から郚屋に入った方が早い。チカゲは庭に積もる瓊瀫の䞊を噚甚に枡り始めた。
 そしお、足を止める。
 圌の目は倧きく芋開かれ、䞀点に釘付けになっおいた。
 そこには、冷たい色をした緑が。
「むズミ  」
 焌け焊げた姉のヒむラギから、新しい緑が芜吹いおいたのだ。
 
 


いいなず思ったら応揎しよう