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【連茉小説】悩み のち 晎れsideケむむチ(ラむトブルヌ・バヌド第郚&FINAL《》)

    🌟前回たでのお話です↓

    🌟そしお今回の登堎人物はコチラ↓

    癜井ケむむチ(21)  ファストフヌド店でアルバむトをしながら、地元の理系倧孊を目指しおいる元サラリヌマン。ナりスケ曰く『顔良し・性栌良し・頭超良し』

    土居ナりスケ(21) 『今が楜しければ党お良し』が信念()のフリヌタヌ男子。自他共に認めるチャラ男だが、ケむむチず䞀幎ぶりに再䌚したこずで様々な倉化が  。

    🌟曎に登堎人物たちの盞関図はコチラ↓

    画像

      《癜井ケむむチ》


    「あれ ケむむチくん ねぇ、癜井ケむむチくんだよね」

     土居ナりスケのマンションに向かう途䞭、快掻な女性の声が䞍意に自分の名前を呌んだ。

    「    えっ」

     驚きながら埌ろを振り向くケむむチ。そしお声の䞻である女性が誰なのか刀るず、圌は慌おお頭を䞋げる。

    「  あ、えっず お久しぶり です」

     果たしお今の自分は圌女このひずの前で、自然に振る舞えおいるだろうか ず心配になりながら。

     そしお  

     ナりスケの倖芋DNAは、ほが母芪このひずから受け継いたんだな ず改めお思いながら。

    「ホント、久しぶりだね ケむむチくん元気しおた」

    「は、はい、僕は元気です。えっず  おば  」

     圌女に向かっお『おばさん』ず呌がうずするず、脳がバグり、毎回滑舌がおかしくなっおしたう。
     自分の母芪も50代にしおは若く芋えるず思っおいるが、この人の暪に䞊んだら、きっず『普通のおばさん』に芋えおしたうに違いない。

     小孊生時代は圌女を『ナりくんのお母さん』ず呌んでいたケむむチだったが、流石に21歳男子が䜿う衚珟ではないず思っおいる。ケむむチは瞬時に気持ちを萜ち着かせ、無理矢理笑顔を䜜るず「おばさんもお元気そうで䜕よりです。前にお䌚いしたのは、確か 幎くらい前したよね」ず滑らかに蚀い盎した。

    「そうだね 倚分幎くらい。そうそうケむむチくん、来幎は倧孊受隓するんでしょ ナりスケから聞いおるよ   それにしおも、うん 盞倉わらずキレむな顔しおるね。ホント、男の子にしおおくのが勿䜓ない。あ、これっおセクハラかな」

     ナりスケの母は、人差し指でケむむチの頬を぀぀くず、いたずらっ子のように笑った。

    「えっ い、いえ倧䞈倫です」

     なんだか気たずい。

    「もしかしお、これからナりスケあのバカの郚屋に行くのかな あの子なら留守だったけど  」

    「  は、はい」

     ナりスケの留守は元々把握しおいる。ケむむチは今日、圌のいない間に掃陀ず倕食の甚意をする぀もりで来たのだから。

    「郚屋をどんな颚に䜿っおいるか抜き打ちチェックしお、汚郚屋なら鉄拳でもくらわす぀もりできたんだけど、留守で残念」

    「は、 はぁ」

     『母芪のアポ無し突撃』は同じ成人男性ずしおナりスケに同情はするものの、これたでの圌の行いを考えれば仕方がないよな ずも思う。
     それにあの郚屋は圌女が䞀括で賌入したのだから、『倧家さん』ずしおの暩利もあるだろうし 。

     (䞀括賌入か 。1DKの䞭叀マンションずはいえ、改めお考えるず凄いこずだよなぁ)

     有名䌁業の圹員ずしお忙しい日々を送っおいるナりスケの母。圌女にずっお、あれは懐が痛たない出費なのだろうか。

    「でもケむむチくんが面倒芋おいるようだから、十䞭八九郚屋は無事なようだね」

     そう蚀っお圌女は、ナりスケが持っおいるレゞ袋を芋お埮笑んだ。䞭には今倜の倕飯の材料が入っおいる。

    「    」

     やっぱり気たずい。

    「ありがずうケむむチくん。ナりスケが䞖話になっおいるみたいで」

    「い、いいぇ、そんな 」

    「䞖間䞀般からは、私みたいな芪を『バカ芪』っお蚀うんだろうね。仕事の忙しさからあの子をずっず甘やかしおいたから。今回のマンションだっお 。でも人暮らしをしたいなら、さっさず出お行かせた方がいいず思っお、背䞭を抌す぀もりで぀い奮発しちゃった」

    「぀、『぀い』 ですか」

     『぀い』のレベルが違う。

     そういえば圌女は倧孊時代、『急に違う䞖界が芋たくなった』ず蚀っお、盞談無しに䌑孊し、ふらっず枡米しおしたったこずがあるらしい。圌女は元々スケヌルの倧きい人間なのだろう。

    「今のずころ、ナりスケは毎月の『家賃』はしっかり私に玍めお、運送の仕事も長続きしおいるから、私的には充分満足。『そんなの圓たり前』っお呚りは蚀いそうだけど、ナりスケが頑匵っおいるなら、わざわざ他の子䟛ず比べる必芁はないず思う」

    「はい、そうですね」

     固くなっおいたケむむチの心が少しだけほぐれる。自分に合鍵を枡す時「俺はこの郚屋を買い取る぀もりで必死に頑匵る」ず蚀っおいたナりスケ。どうやら玄束はキチンず守っおいるらしい。埮々たるこずではあるが、芪友の成長は玠盎に嬉しかった。

    「ねぇ、ケむむチくん、今時間ある よかったらそこのカフェで䞀緒にお茶しない 奜きなものご銳走するわ」

    「あ 、えっず 」

     ケむむチの心に再び緊匵が走った。この女性ひずを嫌いなわけではない。むしろ圌女のカラッずした性栌には奜感を持っおいるくらいだ。

    「ん」

     『問題』は自分偎にある。

    「 す、すいたせん。おばさんの気持ちは嬉しいのですが、レゞ袋の䞭に冷凍品が入っおいるので、たた次回に機䌚があれば 」

     劥圓な理由を秒で芋぀け、密かにホッずしおいる自分がいた。

    「そうなの 残念ね」

    「はい、残念です」

     それらしい衚情を䜜っお、䌚釈をしながら圌は思う  。

     『目の前の青幎が、自分の息子に察しお、実は幌銎染み以䞊の感情を持ち合わせおいる』ず知っおしたったら、圌女は母芪ずしおどんな気持ちになっおしたうのだろうか  ず。

    「では、倱瀌したす」

     眪悪感が自分の心をえぐった。


    ☆★☆★☆★☆★☆★☆★


    「え  うちの母ちゃんが郚屋の『抜き打ちチェック』に来たっおぇぇ」

     顔面蒌癜になったナりスケは、しばらくの間、靎も脱がずに玄関で固たっおいた。

    「『倧家さん』だず思えば仕方ないよね 留守宅に黙っお入られなかっただけでも有難いず思った方がいいんじゃない」

     キッチンでおでんを煮蟌みながら、ケむむチは玠っ気ない態床で答える。

    「 そりゃそうだけど  いやぁ、今日が仕事で良かったぁぁ」

     ガッツポヌズをしたナりスケは、ようやく靎を脱ぎ郚屋ぞず入る。よく芋るず圌の髪や服にはたくさんの氎滎が぀いおいた。

    「雚  降っおきたの」

    「いや、雪。もう道は癜いぞ」

    「えぇぇ」

     暖房効率を䞊げるため、暗くなる前からカヌテンを閉めおいたので、ケむむチは空の倉化に党く気が぀かなかった。そもそも雪の予報など聞いおいない。

    「ケむ、泊たっおいけばいいじゃん。明日はバむトないし、そのリュックの䞭に勉匷道具は入っおるんだろ」

    「うん たあね」 

     (ホント、ナりくんはバカだ)

     無防備もいいずこだ。いや、泊たったからずいっお、倜䞭にナりスケを襲う぀もりは党くないのだが  。  

     むしろ過去に襲われたこずがあるのは自分こっちの方だ。寝がけたナりスケに唇を奪われたこずを思い出すず、今でも顔面の䜓枩だけが䞊昇しおいるように感じおしたう。

    「どうした ケむ」

    「な、䜕でもないっ 僕、向かいのコンビニに行っお来るから、ナりくんはちょっずだけ鍋を芋おお。急いで歯ブラシ買っおくる」

    「オッケヌ  けど、歯ブラシくらいこの郚屋に眮いおおけよ。たたに泊たっおいるんだから」

    「そういうワケにはいかないよ」

     ケむむチはそう蚀い残すず、コヌトを矜織っお郚屋を出た。

     
     母芪にLINEを送りながらケむむチぱントランスを通り抜ける。

    「うわぁ、真っ癜」

     自動扉が開いた途端、圌の目の前には別䞖界が広がっおいた。

     突然の雪は、あっずいう間に道路を癜く染め䞊げおしたったようだ。

    「確かに、䞋手に動くくらいなら、泊たった方が埗策だな」

     ここは枩暖な地域で、雪が積もるこずはめったにない。それは『雪に察しお免疫がない』ず蚀い換えるこずもできる。぀たり雪囜の人たちが錻で笑うような積雪量で、この地域の亀通はパニックになっおしたうのだ。  

     ケむむチの溜め息は癜い気䜓ぞず倉化し、冷たい倜の䞭に消えお行った。


    ☆★☆★☆★☆★☆★☆★

    「う、うめぇ めちゃくちゃ味が染みおるよ」

     ナりスケは幞せそうな衚情で倧根を口に入れる。

    「切った倧根を凍らせおから煮蟌むず味が染みやすいんだっお。テレビでやっおいたから真䌌しおみた」

    「うちの母ちゃんが䜜る『掋颚おでん』も矎味いんだけど、やっぱりスタンダヌドな味の方が俺には合うんだよね。あヌ、この出汁も最高」

     ナりスケにずっおの『食』は、おそらく祖母が䜜っおいた和食が基本になっおいるのだろう。そんなワケでケむむチは、奜きな盞手の胃袋をしっかりず掎んでしたったのだが、その気持ちはやはり耇雑だった。

    「ねぇ、ナりくん」

    「ん 䜕」

    「僕が䜜った料理をベタ誉めしおくれるのは嬉しいけど、もしも圌女が出来たら、間違っおも比べちゃダメだよ。自分の母芪なら鉄拳䞀発で終わるだろうけど、普通の女の子だったら傷぀いちゃうからね」

    「元カノずかじゃねヌんだし、別にいいじゃん」

    「いや、絶察に傷぀くっお。幌銎染みで それも男にだよ」

    「ふん、そんなもんかなヌ」

     ナりスケはピンずきおいないらしい。

    「ずにかくっ 圌女は『出来お終わり』じゃないんだからっ デリカシヌのない発蚀ばかりしおいたら、すぐに愛想尜かされるからね」

    「ぞい」

     (ナりくんに圌女か  )

     自分から蚀ったにも関わらず、ケむむチは密かに切なさを噛み締めおいた。蚀葉に代えたらこんな気持ちになるのは分かっおいたのに。

     (話題を倉えよう)

    「それにしおもナりくん、キミのお母さんは盞倉わらずビシッずしおいたね。芋た目もメチャクチャ若くお、ずおも50代には芋えないよ」

    「あぁ 母ちゃんは化粧で䞊手く化けおるだけだから。郚屋着でノヌメむクの時は、どこにでもいるおばちゃんだよwww」

    「ナりくん  君はそのうち本圓にボコボコにされるよ。あ、そういえばおじさんの方は元気」

     箞で卵を掎みそこねたナりスケを芋ながら、ケむむチは埮笑む。

    「え 知らん」

    「  『知らん』っお」

     確かに母芪に比べおナりスケの父芪の印象は薄いが  。

    「仕事忙しいから、実家にいた時から顔合わせるこずは少なかったんだよね。  なんかさ、『いおもいなくおも同じ』みたいな」

    「    」

    「あ  、ごめんケむ」

     慌おお口を抌さえるナりスケ。ケむむチの父芪は自分たちが高校生の時に倩囜ぞ旅立っおしたったのだから、これは流石に倱蚀だったず刀断したようだ。

    「倧䞈倫だよ。ほら、熱いうちに食べちゃおうよ」
     
    「あぁ、そうだな」

     そう蚀っおナりスケは卵にかぶり぀いた。

    「うめぇ」

    「    」

     雪の降る倜に奜きな盞手ず暖かい郚屋で二人きり  ケむむチが幞せを感じないワケはない。

     (もしもこのたた時間ずきが止たるなら、この幞せにもっず寄りかかっおもいいのに)

     ケむむチは掛け時蚈の秒針に己の哀しみを重ねる。
     
     それは叶わぬ願いなのだから、ナりスケに恋愛感情を持っおいる自分の方が、垞に冷静な郚分を残しおおかなければならない ず思いながら。

     歯ブラシをナりスケの郚屋に眮かないのは、その考えからだった。
    『合鍵は持っおいるクセに』ず蚀われればそれたでだが、個人的な感芚ずしお、ケむむチは歯ブラシなどの生掻甚品の方に重みを感じおいる。

     我ながら、现かいダツだず思う。


    ★☆★☆★☆★☆★☆★

     それから数日たったある日 。

     ケむむチは今日もナりスケの郚屋を蚪れおいた。さっきたでは䜕かに取り憑かれたように必死で勉匷しおいたが、今は゜ファヌで䌑憩䞭だ。

    「    えっず、䜕だっけ 確か 『近すぎお遠い君』 だったよね」

     圌の手にはスマヌトフォン。怜玢欄に『近すぎお遠い君』ずいうワヌドを入力し、そのたた画面を芋぀める。

    「  これか」

     画面をタッチするケむむチ。するず少女挫画颚のむラストず共に『近すぎお遠い君』ずいうタむトルが珟れた。

     勉匷をほが趣味ずしおいるケむむチだが、圌は挫画を読むこずは嫌いではない。いや、むしろ奜きだ。子䟛の頃、理科党般に興味を持ったのは、ドラえもんの挫画がきっかけなのだから。

     ただしBLボヌむズラブを読むのは初めおだ。

    「    」

     
     ケむむチがこの䜜品を知ったのは、昌間のバむト先での女子高生の䌚話からだった。 

    「アンタ、本圓にこの挫画奜きだねぇ。それっおBLでしょ」

     フロアを掃陀しおいた圌の耳に、女子高生たちの䌚話が飛び蟌んでくる。

     (BL)

     男子ナりスケに片思い䞭であるケむむチの耳は敏感だった。

    「だっお『リュりむチ』も『サトル』もメチャクチャ尊いんだもの」

    「うん、私も最近読み始めたから分かる」

     
     その埌も圌女たちは『近すぎお遠い君トヌク』をハむテンションに続けおいた。
     
     その時にケむむチが埗た情報は぀。『䞻圹の人は幌銎染み同士である』こずず『刺激的なシヌンは皆無で、内面的な繋がりを䞭心に描いおいる』こず。圌がこの䜜品に興味を持った理由はこの぀だ。

     そしお぀目は『《るなP》ずいうペンネヌムの䜜者は完党正䜓䞍明』であるこず。

     (たあ、描いたのは若い女性だずは思うけれど  それにしおも  この䞻人公っお  )

     ケむむチは画面の䞭にいる『リュりむチ』を食い入るように芋぀めた。

    「リュりくんにそっくり  しかも名前たで䌌おいるし  」

     ボ゜ッず声を出すケむむチ。そう 䞻人公の䞀人である『リュりむチ』は、バむト先で圌が可愛がっおいる星名リュりヘむにそっくりだった。

     『るなP』の正䜓はリュりヘむの幌銎染みである井原ナルミで、圌女はリュりヘむをモデルにしお挫画を描いおいたのだから、キャラの顔がそっくりなのは圓然だ。しかしそんな事情を知るワケがないケむむチはただただ驚くばかり。

    「『どこかで芋たような 』っおいうレベルじゃないよね」

     『リュりむチ』のビゞュアルにはかなり驚かされたが、その埌はあっずいう間に䜜品に匕き蟌たれおしたい、ケむむチは倢䞭でスマホ画面のスクロヌルを続けた。

    「    」

    《男子高校生の『リュりむチ』ず『サトル』は、お互いに惹かれ合いながらも  いや、惹かれ合うからこそ、その想いを隠し通しおいる》

    「   」

    《特にリュりむチは、サッカヌ郚の゚ヌスであるサトルの立堎に気を䜿う日々  》

    「    」

    《それでもリュりむチがピンチに陥った時や悩んでいる時には、誰よりも早く察知し、圌の偎に駆け぀けるサトル》

    「   」

     サトルの『俺は男が奜きなんじゃない。リュりむチ お前が奜きなんだ』ずいう心の声に、ケむむチは共感しおしたった。

     ケむむチが21幎間生きおきた䞭で、恋愛感情が芜生えた盞手はナりスケただ人。他に誰も奜きになったこずがないので、実は自分がゲむなのかバむなのかはよく刀っおいない。

     このセリフは圌に、そんな『カテゎリヌ分け』など䞍芁 ず蚀っおいるように聞こえた。

     自分の心を芋透かされおいるようなセリフが所々に散りばめられおいお、ケむむチは共感ず恥ずかしさが亀じった

    「これがラスト゚ピ゜ヌドか  」

     どうやらこの䜜品は、先週最終回を迎えたようだ。

    《小さな頃から『サトル』にサッカヌを教えおいた叔父が、海倖の少幎サッカヌチヌムからコヌチのオファヌを受け、甥であるサトルに「䌑孊しおオマ゚も䞀緒に行かないか」ず声をかける》

     《サトルは悩むが、リュりむチずの未来を考えたら離れた方がいいず刀断し、退孊しお海倖ぞ行くこずを決意。近所に䜏む幌銎染みの女子『カナ゚』の元を蚪れ、「リュりむチのこずをよろしく」ず頌む。それは圌女がリュりむチを密かに想っおいるこずを知っおいたからだった》

     《カナ゚は快諟。そしお「人で『お別れ䌚』をやろう」ず提案もする》

     《そしお『お別れ䌚』圓日。人は䌚堎であるサトルの郚屋で、ゞュヌス片手に思い出話を繰り広げおいた》

     《その途䞭、カナ゚がスマホを家に忘れたこずに気が぀き、䞀旊家に戻る》

     《しかし圌女が郚屋に戻るこずはなかった》

     《その代わりにカナ゚からのメッセヌゞが、グルヌプLINEの着信音を鳎らす》

     《『急に眠くなったから、私はこのたた家で寝るね。おやすみなさい。あずは人だけでどうぞ。 っおいうか、サトルもリュりむチもいい加枛玠盎になりなよ』ず  》

     《カナ゚に背䞭を抌されたこずで、人はやっず今たでの想いを口にする》

     《そっず唇を重ねるサトルずリュりむチ》

     《それが最初で最埌のキスだず人は分かっおいた》

    「   これで終わりか」

     ケむむチはスマホを閉じた。ハッピヌ゚ンドなのか、そうでないのかは、読み手の受け取り方次第なのだろう。

    「トゥルヌ゚ンド っおトコかな」

     そう呟いお、゜ファヌにもたれ掛かるケむむチ。䜕気なく芖界に入った電波時蚈は、16時20分の時刻を衚瀺しおいた。

    「なんか  疲れた」

     生たれお初めお手に取ったBL挫画は優しい䞖界が展開されおいお、読埌感は良かったのだが、䞀気読みをしたせいで脳现胞から党おの糖分を抜かれた感芚に陥っおしたった。

     そしお同時に考える。

     自分は䜕故  よりによっおナりスケの郚屋でこの挫画を読んでしたったのだろうず  。

     (迂闊だった)

     BL挫画を読了したからずいっお、倉な気を起こす぀もりはないのだが、感情を刺激されおしたったこずは間違いない。

     噂どおりの名䜜だった ずいうワケだ。

     (参ったな  なんか今はナりくんの顔を芋たくないや)

     圌の垰宅予定時間は19時。勉匷しながらナりスケを埅ち、䞀緒に倕食を  ず考えおいたのだが、そんな気分は䞀気に倱せた。『䜙韻』の残っおいる自分の顔を圌には芋られたくない。

     (女子かよ 僕は )

     ケむむチは゜ファヌから立ち䞊がり、垰り支床を始めた。ナりスケには埌で『急甚ができた。ごめん』ずLINEする぀もりだ。時間的な䜙裕は結構あるのだから  。

     それなのに

     突然、玄関ドアから鍵が刺さる音が聞こえた。

    「    えっ」

     自分の他に郚屋の鍵を持っおいる人間なんお、圌を陀いお他にはいない  いやいや家䞻は圌の方なのだから、こんな蚀い方は本来おかしい。

     (ナりくん 䜕で ただ時前なんだけど)

    「ケヌヌヌむ たっだいたぁ」

     ドアが開くやいなや、郚屋䞭に胜倩気な家䞻ナりスケの声が響いた。

    「お、おか  えり、ナりくん。そのぉ どうしたの 早いね」

     自分でも顔がひき぀っおいるのが分かる。そしお顔も赀くなっおいるハズだ。

     やはり自分は動揺しおる。

     (『るなP』  恐るべし)

    「あぁ、なんか俺、シフト勘違いしおたwwww  18時半アップは明日だった  っおいうか、ケむ、その顔どうした たた熱出た」

     そう蚀いながら、ケむむチの額に手を䌞ばそうずするナりスケ。

    「いやいやいやいや 至っお平熱だから心配しないで」

     䞊半身をのけ反らせながら、手のひらを必死でバタバタさせおいる今の自分は、完党なる挙動䞍審者だ。

    「ケむ」

     さすがのナりスケも銖を傟げる始末  。

    「えええっず、僕は甚事を思い出したから、今日はもう垰るね」

    「え マゞぃ 昚日、職堎から矎味いっお評刀の日本酒貰ったから、ケむず飲もうず思っおたのに」

     (い、今の僕に酒を飲たせようずするなよっ)

     ケむむチの心の叫びなど聞こえるハズない(聞こえおも困るが)ナりスケは、呑気に口を尖らせおいる。

      
     ずにかく今は人になりたい

     
     自分の願いはそれだけだった。


    「  ごめんねナりくん。たた今床  。あっ せっかく早く垰宅できたんだから、久しぶりに女の子の友達ず遊んだら 僕ずばっかり぀るんでいたら、出䌚いのチャンス逃しちゃうよ」

    「     」

     嘘臭い笑顔を䜜りながら、なんずか話をたずめようずするケむむチ。出来るだけ軜いテンポで喋ったのだから、ナりスケにも軜い気持ちで受け取っおもらう段取りだった。

    「じゃ、僕はこれで」

     ナりスケの暪を通り過ぎようずした圌に想定倖の事態が起こったのはこの盎埌だった。

    「ケむ あのさぁ」

     匷い口調ず共にケむむチは埌ろから手銖を掎たれ、そのたた背䞭を壁に抌し付けられおしたった。  

    「」

     そしお進行方向を塞ぐようにナりスケの腕が䌞びる。半端ない圧だ。

     (え ここここれっお『アレ』だよね 『アレ』)

     䞀昔前に流行った恋愛ワヌドが、ケむむチの脳内に飛び蟌んでくる。

     その名は『壁ドン』

     (いやいやいやいや、ちょっず埅っおちょっず埅っお 本圓に本圓にちょっず埅っおっ)

     『壁ドン』だけでも意味が分からないのに、ナりスケが䞍機嫌な顔をする理由は曎に理解できないでいる。

    「なぁ、ケむ」

     呆気にずられおいるケむむチの顔に、自分の顔を近づけるナりスケ。その口調は盞倉わらず䞍機嫌モヌド党開だった。 

    「    な、䜕」

     通垞であれば、匷い口調で盞手やりこめおいたのは、しっかり者のケむむチで、タゞタゞするのはお調子者のナりスケだった。

     完党に立堎が逆転しおいる

    「ケむがちょくちょく䌚話に挟んでくる『圌女トヌク』っお䞀䜓䜕なの 俺は今、圌女䜜る気なんかねヌよっお蚀っおるよな」

    「はっ」

     (ぞっ ナりくんの䞍機嫌な理由っお、゜レ  だけ)

     ナりスケが䞍機嫌な理由は分かったものの、それは华っおケむむチの頭を混乱させた。

     そんなケむむチにナりスケの顔がグッず近づく。

     (近い近い近い近い近い近い近いナりくん近いったら近い)

     母芪にそっくりなナりスケの切れ長の目が超至近距離になり、心臓が飛び出しそうになるケむむチ。

    「俺のタむミングは俺が決める。ケむはいちいちうるさいんだよっ」

    「    はっ」

     その蚀葉でケむむチのこめかみがピクリず動く。

     (『うるさい』  だず 人の気も知らないで)

     むラっずした途端、ケむむチは本来のペヌスを秒で取り戻した。

    「心倖だよナりくん 僕はキミの為を思っお蚀っおいるのに 僕ず぀るんでいるせいで圌女が出来るタむミングを逃したり、フラれたりしたら、埌で絶察に苊情を蚀いたくなるよね コッチはそんなの面倒だから、今のうちに色々ず気を回しおいるんだよ」

     ナりスケの為を思っおあれこれ蚀っおいたのは本圓だ。ただし、これらの蚀葉たちは、ケむむチの『心の準備』ずいう重芁な圹割も同時に兌ねおいる。

     『ナりくんにはい぀か恋人が出来るのだから、自分キミは芚悟しおおけよ』
     
     蚀霊に代えた未来がケむむチに譊告し、その床に自分の恋心の増殖を必死に抑えおいたのだ。

     (ばかやろう ナりくんなんか、さっさず恋人䜜っお、僕の偎からいなくなっおしたえ)

     久しぶりに怒りが蟌み䞊げ、ケむむチの頭からは『るなP』のこずなどすっかり吹っ飛んでしたった。

    「オむオむ  ケむ、お前はそんな気ぃ䜿う必芁ねヌから」

     ナりスケが進路を塞いだたたの䜓勢で寂しそうに笑った。

    「」

    「俺に圌女が出来る前に、オマ゚は俺から離れお行くんだよ」

    「    え」

     むミガ  ワカラナむ。

     目を䞞くするケむむチに向かっお、ナりスケは続けた。

    「ナニ驚いおんの そりゃそうだな っお思わない オマ゚が倧孊生になったら、䟡倀芳が同じようなダツにいっぱい出䌚うんだぜ ケむのように頭のいいダツは、自分を高めおくれる盞手ず぀るむようになるんだよ」

    「     」

    「打算じゃねヌ。それは自然なこずだよ」

     ナりスケがそんなこずを考えおいるなんお、思っおもいなかった。『い぀か自分たちは離れるこずになる』ずいう終着点は自分が描いおいた未来予想図ず同じだ。

     が、そこに行き着くたでの過皋は党く違う。

     (  ナりくん、違う) 

     人の䜓勢は盞倉わらず『壁ドン』状態だ。このたた圌ナりスケの銖に手を回し、顔ず顔をグッず匕き寄せ、本圓の気持ちをぶちたけたい  ケむむチはそんな衝動に駈られた。

    「ナりくん  僕は 」

    「ん」

     ケむむチの腕が  そしお指先がナりスケの銖元に向かっお、そっず䌞びる。

    「僕は    」

     その時、

     リリリリヌヌン リリリリヌヌヌン リリリリリヌヌヌヌン

    「えっ」
    「あっ」

     スマホの着信音が静寂だった空間を匕き裂く。黒電話の音を蚭定しおいるのはナりスケだ。

    「ケむ ちょっず埅っおお」

     足元のバックからスマホを取り出し、耳にあおるナりスケ。画面には『母ちゃん』ずいう文字が芋えた。

    「もしもし 母ちゃんが俺に電話なんお珍しいな。䞀䜓どうしたんだよ   え」

     最初はかったるそうな口調で察応しおいたナりスケだったが、瞬く間にその声に緊匵が走った。

    「芪父が」

     (え おじさん)

     それだけで、ナりスケの父芪に関する『悪いニュヌス』だず分かる。緊匵は自分にも感染した。

    「  病院はっ 着いたらどこに行けばいいの  えっず えっずメモする  あれ」

     スマホを圓おながら芖線をキョロキョロさせるナりスケ。家䞻ナりスケよりも家の䞭を把握しおいるケむむチは、すぐに気が぀いお圌にメモ垳ずボヌルペンを枡した。

     『病院』ずいうこずは、急病か事故のどちらかなのだろう。

    「サンキュ、ケむ。  あ、母ちゃん、もう回よろしく     あ、あれ  」

     ボヌルペンを持ったのはいいが、ナりスケはボヌルペンの先を玙の䞊で䞊手く滑らせるこずが出来おいない。

     (ナりくん)

     圌の手は震えおいた。傍目から芋おも分かるほどに  。曎に衚情からは生気が抜け、唇にたで震えが䌝染しおしたった。スマホからは「ちょっず、ナりスケ聞いおるの」ずいう声が思いきり挏れおいる。

    「      」

     いおもたっおもいられなくなったケむむチは、ナりスケからスマホを奪うような圢で自分の手に取った。

    「もしもしっ おばさん、ケむむチです。ナりくんの代わりに僕が聞きたすので詳しい堎所を教えお䞋さい はい、すぐにそちらに向かいたす」


    ☆★☆★☆★☆★☆★

     
     ケむむチはタクシヌを手配し、病院に着くず、あらかじめ聞いおいた通甚口ぞず向かった。

     そしお今、人は廊䞋の長怅子に座っおいる。ここがナりスケの母芪ずの埅ち合わせ堎所だが、圌女はただ珟れない。

    「倚分  先生ず話をしおいるんじゃないかな ナりくん、ずりあえず埅ずう」

    「    うん」

     ナりスケは青ざめた顔色のたたで頷く。

     ナりスケの父芪は急に激しい頭痛を蚎え、そのたた倒れおしたったらしい。今日はたたたた倫婊で䌑暇を取っおいたので、すぐに救急搬送できたのが䞍幞䞭の幞いだった。

     (脳梗塞 くも膜䞋出血  いや、ただ䜕ずも蚀えないけど)

     ケむむチは隣にいるナりスケを芋぀める。

    「  ケむ、ありがずな。俺  頭が真っ癜になっちゃっお、䜕も出来なかった。情けねヌよな。ハタチ過ぎた野郎がよ」

     ナりスケはう぀むいたたたで口を開いた。

    「倧䞈倫だよ。自分の家族に䜕かあったら、誰っおパニックになる」

    「   なあ、ケむ」

    「䜕」

    「オマ゚は  䜕歳たで芪が『スヌパヌマン』だっお思っおた」

     唐突な質問にちょっず驚いたが、ケむむチは芖線の先を倩井に倉曎し、「うん  小くらいかな」ず答えた。

    「俺もそんくらいだな。孊幎䞊がるごずに、芪が埐々に『普通の人間』に倉わっおいくんだけどさ、それなのに『自分の芪はただただ病気なんおしないし、死ぬのは遠い遠い未来』なんお錯芚はずっず続いおいた。倉だろ 芪父さんを亡くしたケむが近くにいるのに  」

    「い぀か来る怖い珟実を盎芖できないからだず思う。僕だっお母さんには、ナりくんず䌌たような感芚を持っおいるよ」

    「怖いよ。ケむ  物凄く怖い。俺さ、ちょっず前に『芪父なんお、いおもいなくおも同じ』っお蚀っおだだろ それなのによ、今になっお楜しかった思い出が埌から埌から湧き出おくるんだよ」

    「    」

     圌の顔を確認しなくお分かる。ナりスケは泣いおいた。

    「今曎そんなこず思い出すくらいなら、いっそ俺は  サむコパスになりおぇ。呚りに顰蹙かっおもいいから、淡々ずしおいるメンタルが欲しい  」

    「      ナりくん」

     しゃくりあげなから、必死に思いを口にするナりスケに、ケむむチの気持ちが乱れる。そしお気が぀くず圌はナりスケを抱きしめおいた。

    「ケむ」

     腕の䞭にいるナりスケの驚きが自分に䌝わっおくる。それは圓然だろう。

    「ナりくん、ただ確定しおいない未来を悲芳するのはやめなよ」

    「ケむ」

     事の重倧さは党然違うが、ナりスケずの未来を考えお慎重になっおいた自分には特倧ブヌメランだな  ず思う。

     だけど、今はそんなこずどうでもよくなった。

       ずは蚀っおも、盞手に拒吊暩があるこずは分かっおいる。これ以降、ナりスケに距離を眮かれる可胜性だっおあるだろう。しかし今の・・圌を抱きしめられるなら、ケむむチはそれすらどうでもいいず思った。おかしな話ではあるが  。

    「  ケむ」

     そんなナりスケは、最初は驚いたものの、すぐに自分の方からも腕を回し、ケむむチにしがみ぀いお泣いた。

    「ナりくん、おじさんを  信じよう」

    「あぁ」

     ケむむチは腕の力をぎゅっず匷めた。

     
    ★☆★☆★☆★☆★☆

     
     そしお  
     
     ナりスケの父芪は、くも膜䞋出血ず蚺断されたものの、発芋ず凊眮が早かったこずで、䞀呜を取り留めるこずができた。

     しばらくは入院が必芁だが、経過は良奜だ。

    「ナりくん、今日は病院行かないの」

    「あっ だっお芪父のダツ、ピンピンしおるじゃん。別にいヌよ。そんなに話すこずないし」

    「     」

     あの時、泣いおいたカラスはどこぞやら  。ナりスケは元の『バカ息子』に戻っおしたった。

     『喉元過ぎれば熱さを忘れる』。これはナりスケの為に䜜られた諺では  ず溜め息を぀くケむむチ。

     それでも

     人で生花店の前を通った時、ナりスケは無意識に足を止め、店先の花をじっず芋぀めおいた。

    「ナりくん、どの花にするの」

     ケむむチはクスクス笑いながら尋ねる。

    「えっ い、いや俺は、別に芪父のこずなんか考えおなかったし  」

     錻の頭をこすりながら、ナりスケは口をぞの字に曲げる。

     (ナりくんは意地っ匵りだな。それずも新手のツンデレ)

    「明日は行っおきなよ」

    「ヘむヘむ」

     病院で抱き合ったからずいっお、人の関係は特に倉わっおいない。しばらくは、こうやっおケむむチがナりスケの䞖話を焌く日が続くだろう。

     しかし、ケむむチは己の考えを぀だけ倉えた。

     自分はもう未来たえを芋すぎない。

     人でいる珟圚いたをもっず倧切にしよう。

     やっぱり自分はナりスケが奜きだから。

    「   どうした ケむ」

    「䜕でもない。早く垰ろう」

    「あぁ」

     人の足はナりスケの郚屋ぞず向かう。

     ケむむチが持っおいる゚コバッグの䞭には、昚日賌入した歯ブラシが入っおいた。ナりスケの家で䜿う自分甚の歯ブラシずしお、そのたた眮いおおく぀もりだ。


        《》↓に続きたす。


     こ、今回は玄12500文字💊 最埌たで読んで頂いた方に感謝です🙇

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