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レンジ事件

    海外ホストファミリーの話。

    ある日、帰りが遅くなり、娘は一人で食卓についた。
    チキンカレーだった。

    食べようとした瞬間、マザーが何かを言った。

    強い口調だった。
    「microwave」
    という単語だけが分かった。

    その場で、涙が出た。

    そばで、次男が驚いた顔をしていた。

    翻訳機を使った。

    日本では、温めなければならないということはないこと。
    英語が早くて聞き取れないこと。

    マザーは、それを見て頷いた。

    次男が、カレーを温めた。
    あとは、そっとしておいてくれた。

    部屋に戻ると、シスターがやってきた。
    ハグをして、しばらく一緒にいた。
    三男もやってきた。


    翌朝、いつも通りの食卓が始まった。


    何も言わないまま、もとに戻っていた。


    *

    この作品は「日常の薄皮をなでる」シリーズの一篇です。
    他の作品もよろしければ。

    *

    それでも、残るものがある。
    「I like it!」

     
     
    日常の薄皮をなでるように。 どう生きれば、自分の人生を生きたと言えるのか。 そんなことを考えています。

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