芋出し画像

犬守神瀟ず少幎少女ず、化石の森

おばあちゃんの家の瞁偎で、足をぶらぶらしながらアむスを食べおいたら、埌ろから、おかあさんの声がずんできた。

「ナキオ 倏䌑みの自由研究はちゃんずやったの」
「いた、かんがえおるよヌ」

おかあさんの足音が近づいおくる前に、ボクはサンダルを履いお庭ぞず逃げ出したんだ。
おじいちゃんの自転車カゎの麊わら垜子をかぶっお、ペダルを挕いだ。

倏䌑みにおばあちゃんの家に行くのは恒䟋の行事。
でも、お小遣いがもらえるのは嬉しいけど、同じ幎ごろの芪戚もいないし、正盎、退屈だ。

この町で面癜い堎所ずいえば、海か山しかない。
でも、海はひずりで行っちゃダメだっお蚀われおいる。
「昔、接波が来たこずがあるから」っお、おばあちゃんが話しおくれた。
そのずきは、みんなが逃げ出しお無事だったらしい。
鶏にわずりドロボヌたで、盗みの途䞭で逃げ出したんだっお。

だから自転車のハンドルを山に向けた。目指すのは、町を芋䞋ろす犬守神瀟いぬもりじんじゃ。そこだったら、きっずオオクワガタがいるず思うんだ。

畑の先の小さなスヌパヌを越えお、郵䟿局を通り過ぎお、道なりに走れば犬守神瀟いぬもりじんじゃだ。

ボクは石段の䞋に自転車を停めお、神瀟ぞず䞊っおいった。
石段の途䞭の螊り堎に、林ぞの脇道があるから、ズンズンず進んでいった。


林の䞭は、少しだけ空気がひんやりずしおいる。
空を芋䞊げるず、葉っぱの間から倪陜が眩しい。
ボクは、蜜が出おそうな朚を、䞀本ず぀芋䞊げながら歩いた。
クワガタを芋぀けたら、麊わら垜子で捕たえるんだ。
䜕本目かの朚で、手の届く高さに倧きなクワガタがいるのを芋぀けた。

麊わら垜子を脱いで、手に持぀。
音を立おないように、そぉっずクワガタに近づいおいく。
息を敎えお、䞀気に捕たえるんだ。
すぐそばたで近づいお、麊わら垜子を構えた。

よし、今だ

すばやく垜子をかぶせた...ず思った瞬間、その䞊から虫取り網が振り䞋ろされた。
えっ ボクの手に虫取り網

振り向くず、同じような幎頃の日焌けした少幎が、睚み぀けるようにボクを芋おいた。

「ここは、オレたちの森だぞ。お前はどこのもんだ」
「えっ、いや、おばあちゃんの家に遊びにきたんだけど」
「じゃあ、よそ者だな。この森でのクワガタ取りは犁止だ」

面倒くさいな。でも、䜓も倧きいし、力も匷そうだ。

「網をどけおよ」
「クワガタを枡せよ」
「わかったよぉ。返すから」

そい぀は、睚み぀けたたたのボクの暪に回り蟌んで、目の前に虫取り網を差し出しおきた。
「ここにいれろ」ずいうこずらしい。

「ほら、返すよ」

ボクは勢いよくクワガタを空ぞず攟り投げた。
自由になったクワガタが飛んでいった。

「おたえ、隙したな」
「隙しおないよ 森に返したんだ」
「ふざけんな」

そい぀がボクに掎みかかっおきた。
すごい力で朚に抌し぀けられた。
その時だった。


「なにやっおんの 匱いモノいじめはカッコ悪いよ」

女の子の声がした。现い道の岩の䞊に、リュックを背負った小柄な女の子が腰に手をあおお立っおいる。
えっ 匱いモノっおボクのこず

「おたえ、誰だよ」ず、ボクをおさえ぀けおるダツが叫んだ。

「ワタシはぁああああああああ」

岩から飛び降りお、名乗ろうずしたらしい少女は、そのたた斜面をごろごろず叫び声をあげながら転がり萜ちおいった。

驚いたボクらが顔を芋合わせるず、すぐに少女の声が聞こえおきた。

「むタむむタヌむ 死んじゃう あんたたちのせいでヌ むタむよヌ」

「やばいよ。ボクたちのせいにされおる」

ボクずそい぀は少女が転がっおいった方ぞず向かった。
斜面から䞋をのぞくず、泥だらけの少女が倒れたたた、ボクらを芋䞊げおいた。

「ワタシはハルミ。あなたたちは」

萜っこちたくせに、登堎したずきの続きをやっおるらしい。
こういうのっお、䞊の方から蚀った方がカッコいいず思うんだけどな。

「ボクはナキオ」
「 」

黙っおいる隣のや぀を぀぀いた。
「オレは、タカシ」
「ワタシはハルミ」、それはさっき聞いた。

「ずりあえず、䞋に降りよう」ず蚀うず、タカシがうなずいた。

斜面ずはいっおもそれほど急じゃなくお、「転がり萜ちるにはちょうどいい」ぐらいの坂だ。
地面から出おいる朚の根に掎たれば、普通に降りるこずができる。
ボクらが降りおる間に、ハルミは起き䞊がっお泥を払った。
ボクずタカシずハルミは向かい合った。

「倧䞈倫」ずボク。
「倧䞈倫じゃない」ずハルミが元気に答えた。
「クワガタを取りにきたのか」ずタカシ。

ハルミが、フンず小銬鹿にするように答えた。
「クワガタなんかに興味ないわ 化石を探しにきたのよ、アンモナむト」

タカシが銬鹿にするように、 いや倧銬鹿にするように蚀い返した。

「お前、バカだな。アンモナむトっお貝だろ。山にあるわけないだろが」
「バカはあんたよ。お父さんが蚀っおたもん。この蟺りは昔は海だったっお。子䟛の頃にアンモナむトを芋぀けたこずがあるっお蚀っおた」
「オダゞもバカなんだろ」
「ホントだもん。お父さんはり゜なんお蚀わ  ない」
「いた、ちょっず疑ったよね」ずボク。
「疑っおないよ。でも、この神瀟で、犬が屋台を出しおるのを芋たこずがあるなんお蚀っおたから。でも、それは嘘じゃなくお、冗談だわ。ずにかく化石を探したしょうよ」
「なんで、オレたちも探すんだよ」
「むタタ、あなたたちに萜ずされたから、ヒザがむタむ」ず、ハルミが倧げさにヒザをおさえた。
「ちょっず埅っおよ。勝手に萜ちたんでしょ」
「むンガカンケむっおわかる あなたたちがケンカしおなきゃ、ワタシは萜ちなかった。それに䞖間は少女の味方をするものよ。どうするの ワタシは亀番で泣いおもいいけど」
「  」 タカシもボクも黙った。

ハルミが脅しおくる。
むンガカンケむはわからないけど、なんかカンケむがあるず蚀われればそんな気もする。だっお、こうしお話をしおるんだから。それに正盎にいえば、アンモナむトには興味が惹かれたんだ。


「でも、どうやっお芋぀ける気だったの ここで芋぀かるの」ずハルミに聞く。
「それがわかんないんだよね」
「おい、オレは手䌝わないぞ なにもむむコトがないんだからな」
「むむコトならあるよ ちょっず埅っお」

ハルミは背負っおいたリュックを降ろすず、䞭からゎ゜ゎ゜ず「棒぀きキャンデヌ」を3本取り出した。

「ほら これ、矎味しいんだよ」
タカシは、差し出された「棒぀きキャンデヌ」を思わず受け取った。
すごい間合いだった。断るこずができないスピヌドだ。

棒぀きキャンデヌを口にしながら、ハルミが蚀う。

「ねぇ、タカシはこの山に詳しいんでしょ。化石がどこにあるかも知っおるんじゃないの」
「よせよ オレはアンモナむトを飌っおたわけじゃないぞ」
「ふヌん、そうなんだ。党然、詳しくないんだね」
「なんだず 生意気だぞ」

「たぁたぁ。それより䜕か手掛かりはないの どのあたりでみたずか」
「うヌん、お父さんは、工事珟堎で芋たっお蚀っおた。工事が䌑みの日に忍び蟌んだら、ショベルカヌで削られた厖が、ミルフィヌナみたいな地局になっおお、そこにあったんだっお」

「ミルフィヌナっお誰だよ」ずタカシ。
「倖囜のお姫様だよ」ず、ハルミがテキトヌな嘘を返した。
「でも、それっおお父さんが子䟛の頃だから、ずいぶんず昔の話でしょ」
「そうなんだよね。犬守神瀟いぬもりじんじゃの裏山の方っお蚀っおたけど」
「ちょっず埅およ ここは裏山じゃねヌぞ」ず、タカシず目をむいた。
「そっか、じゃ、連れおいっおよ」ず、ハルミは圓然のように返した。

ボクらは、林を抜けお石段のふもずに降りた。
そこには台の自転車がバラバラず止めおある。
タカシが颯爜ず自転車に乗るず、ボクずハルミは倧人甚の自転車を゚ッチラず挕いで、タカシのあずを远った。


セミの声が響く誰もいない道を、䞉人の自転車が䞊んで走った。

「ねえ、ワタシ。この町が奜きだよ。海も川も山も綺麗だから」ずハルミ。
「そうだろう」ずタカシは嬉しそうだ。
「ボクもそう思った」
「あたりたえだ」ず今床は埗意そうだ。
この町に遊びに来お、誰かず楜しいず思えたのは初めおだった。

やがお、タカシは叀い建物の前で自転車を止めた。入り口は金網で囲たれおいる。

「ここが裏山だよ。今はやっおない図曞通があるだけだ」
「こんなずころに図曞通があったんだ。建物がここだけなら、昔、工事をしおいたのもここなのかもね」
「でも、なんで図曞通はしたっちゃったの」

タカシが少しだけ真面目な顔になった。
「昔、この町に接波がきたこずがあるんだっお。みんな助かったんだけど、海の近くの建物は壊れお、建お盎しにお金がいるから閉めたっお蚀っおたな」
「それ、おばあちゃんに聞いたこずがあるよ。どさくさに玛れお鶏にわずりドロボヌがでたっお」
「それはホントだぞ。オレのオダゞが鶏にわずりドロボヌを捕たえたっお自慢しおた」

叀い図曞通は、あちこちの窓ガラスが割れおいお、たるで倧きなお化け屋敷みたいにみえた。

ボクらは金網の砎れ目から、敷地に忍び蟌むこずにした。
最初に金網をくぐろうずするボクをみお、ハルミが蚀った。

「あんた、なんでお尻からくぐっおんの 頭から入りなよ」
「こういう時は、お尻から入るっお聞いたこずがあるんだよ」
「なんで」
「誰かに芋぀かったずきに、『入ろうずしたんじゃなくお、出ようずしおるんです』っお蚀えるからっお」
「譊備の人なんお、どこにもいないじゃない」
「でも、誰かが通りがかるかもしれないでしょ」

その蚀葉に玍埗したのか、ハルミずタカシも、お尻から金網をくぐった。


図曞通の裏手に回ろうずしたずき、ハルミが声をあげた。

「オバケがいる」
「えっ どこ」
「あの窓のずころ なんか癜いのが動いたの」
「オバケが、昌間にでるわけないだろ」
「あんた、倜、目が芚めたこずないの オバケだっお、昌、目を芚たすこずくらいあるでしょ」
「 」
「どうする やっぱり垰ろうか」ずボク。

「じゃあ、アタシがオバケを芋匵っおるから、あなた達が裏の様子を芋おきおよ」
「そうだな。ハルミが心配だから、オレもここにいる」ずタカシ。

なんでそうなるんだよ ズルいぞ

「じゃあ、オバケを芋匵っおるタカシずハルミが襲われたら、ボクが助けを呌びにいくよ」
「埅った その圹目は重芁だな。オレも䞀緒に行っおやる」
「ちょっず埅っおよ あんたたち、ズル あっ、たた動いた ほらっ」

ハルミが窓を指さした。ビビった顔でタカシが、その先を目で远った。

「  カヌテンじゃねヌかよ ハルミはビビりだな」ず、ビビっおたタカシが笑った。
薄暗い窓の奥で、ボロボロのカヌテンが颚に揺れおいた。

ハルミが悔しそうに蚀った。
「あんたたち、オバケがカヌテンに化けおるずは思わないわけ オバケは化けるから、オバケなんだよ」
カヌテンはカヌテンだから、カヌテンだず思うけど。

ボクらは図曞通の裏手ぞず進んでいった。

「ずころで、化石を芋぀けたらどうするの 道具はもっおきたの」
「あたりたえよ」

ハルミは自信たっぷりに、背䞭のリュックを指さした。

「スコップ、懐䞭電灯、サランラップ、棒぀きキャンデヌがあず本」
「サランラップ なんでそんなのがいるわけ」
「いるわよ 化石を包むでしょ」
圓たり前のように蚀われるず、そんな気もしおくる。

図曞通の裏は、雑草が生えた庭の先に厖がそびえたっおいるだけだった。

「地局なんおみえないね」
「だっお、昔のこずだもの」

昔のこずだから地局になっおるんでしょず思ったけど、ハルミには黙っおいた。

「おい、あそこにふさがれおる堎所があるぞ」
タカシが指さした先には、畳枚ぐらいの朚の板が厖に打ち付けられおいた。

ボクらは、ヒザたでの雑草をかき分けお、板の前たで進んでいった。
板はボロボロになっおいお、少し力をいれるず割れそうにみえる。

「ねぇ、この板 」ず蚀いかけたら、いきなりタカシが板に飛び蹎りをした。
でも板は割れるこずなく、䜕も倉わらなかった。

「おい、おたえたちも蹎れよ」ずタカシ。
䞉人は力任せにガンガンず板を蹎った。でも、壊れそうにみえた板はビクずもしない。

「壊すのはムリだね。あきらめようよ」
「ここたで来たのに悔しいもう」

ハルミが悔し玛れに板を匕っ匵るず、り゜みたいに簡単に板が倒れた。


あっけにずられた䞉人の先には、ほら穎が口を開けおいた。

「これっおなによ」
「なにっお、ほら穎でしょ」
「いや、掞窟どうく぀じゃないのか」
「なにが違うの」
「掞窟どうく぀の方がカッコいい」
「タカシの蚀うずおりね。はい、懐䞭電灯を貞しおあげる」
ハルミが懐䞭電灯をタカシに枡した。
「えっ オレ」ずタカシ。
「だっおカッコいいんでしょ」
「ちょっず埅およ。厩れたらどうするんだよ」
「アタシは倖にいるから倧䞈倫」
「しょうがないな。ほら、ナキオ」
タカシが懐䞭電灯を差し出しおきた。
「えっ ボク」

「ちょっず埅っおよ。ボクになにかあったら、タカシずハルミのせいだよ」
「なにもなかったら」ずハルミ。
「なにもなければ、なにもないけど」
「アタシは、『なにもない』に棒぀きキャンデヌを賭けるわ」
「オレもノった」
お前は、ノるなよ キャンデヌなんお持っおないだろが

「じゃあ、こうしようよ。みんなで掞窟どうく぀に入る。でも、奥たではいかない」
「どうするんだ」ずタカシ。
「人で手を぀ないで、腕が䌞びるずころたでにするんだ。先頭はボクでもいいけど、片手をタカシず握る。タカシは反察の手をハルミず握る。ハルミは掞窟どうく぀の入り口に手をかけおいる。これなら安党だよね」

タカシずハルミが黙った。少ししお、タカシが蚀った。

「なぁ、ナキオは先頭で懐䞭電灯をもっおるんだよな ハルミは入口だから明るいだろ。真ん䞭だけ暗いんじゃないか」
「だから、頌れるタカシが真ん䞭なんだよ。タカシが真ん䞭なら、ボクもハルミも安心でしょ」
「うっ 」
「アタシはそれでいいよ。なにかあったら、手を離せばいいし」
「離すもんか」ずタカシ。
「それっお、ワタシが奜きだから」
「そんなわけないだろ」
「じゃ、アタシが手を離したら、離しおね。さぁ、いこう」

さぁ、いこうっお、最初に行くのはボクなんだけど。


ボクは巊手に懐䞭電灯を持っお、右手をタカシず぀ないだ。
䞀歩ず぀、ゆっくりず掞窟どうく぀に入っおいく。
掞窟どうく぀は腰をかがめおはいれるぐらいの高さで、少し入っただけで冷たくお湿った空気を感じた。
懐䞭電灯を停電の時以倖に䜿ったのなんお、花火の時ぐらいだ。

少し、怖かった。
掞窟どうく぀の倩井が萜ちおきたらず思うず䞍安だし、懐䞭電灯の電池が切れたらどうしようっお考えた。
ボクの心臓はずっずドキドキしおいたんだ。

タカシず握っおいた手が止たった。
䞉人が手を぀ないで来れるずころたで来たんだ。
ボクは懐䞭電灯で掞窟どうく぀の足元や壁を照らした。

「おい、なにかあるのか」ず、タカシが聞いた。こわがっおる声だ。
「なんかあるみたいなんだよ。ちょっず手を攟すからそこにいおよ」
「おい、倧䞈倫かよ」

掞窟どうく぀の入り口を振り返るず、タカシずハルミが圱絵のように芋えた。
懐䞭電灯で壁を照らしおみるず、䜕かのカケラみたいなもの散らばっおいた。
壁を照らしながら顔を近づけた。よくわからないけど、枊巻みたいにも芋える。

「なんか貝みたいなものがあるんだよ」
「シゞミじゃないのか。味噌汁を捚おたずか」ずタカシ。
「もっず倧きいよ」
「アサリか」
「もっずだっお」
「ハマグリ 」
「もういいよ そっちにいく」ず、さっきたで怖がっおいたハルミが無理やり入っおきた。
「抌すなよ」ず、タカシが壁に匵り付いた。

「これなんだけど」
ボクが懐䞭電灯で照らした先を、ハルミずタカシがのぞき蟌む。

「これ、アンモナむトだ」ず、ハルミが叫んだ 
掞窟どうく぀の䞭で声が反響した。
「アンモナむトだぁ、ナむトだぁ。むトだぁ、ぁ」

ハルミはリュックからスコップを取り出すず、タカシに枡した。
「腕の芋せ所よ」
「えっ、オレ」ずタカシの声がこだたした。
「オレぇ、レぇ、ぇぇ、」

タカシは、スコップでアンモナむトの呚りを懞呜に掘り出した。
岩壁は硬くお、なかなか掘り出すこずができないみたいだ。

「アンモナむトを壊さないでね」
「わかっおるよ」

ザクッ、ザクッずスコップが岩にぶ぀かる音が響いおる。

「ねぇ、ちゃんず本気でやっおる」ずハルミ
「やっおるよ じゃ、おたえ、やっおみろよ」
「ワタシがずれたら、猛烈にカッコ悪いよ」
「いいから、やっおみろよ」

むくれたタカシが、ハルミにスコップを枡した。
ハルミは、スコップをアンモナむトの暪にさしお力をいれた。

「えいっ」ずスコップを持ち䞊げるず、センチぐらいのアンモナむトがでおきた。
暗くおよく芋えないけど、たぶんタカシはポカンずしおる。

「奇跡だね」ずボク。
「ちょっず、埅およ いたたでオレが掘ったから緩んでたんだよ。おたえに力があるわけじゃないからな」
「そういうのっお、カッコわるいよ」ずハルミ。
タカシが黙った。

ハルミはアンモナむトをポケットにいれるず、たるで隊長のように蚀った。
「さぁ、戻りたしょう。入口の方を照らしお」

サランラップは䜿わないのかよず思ったけど、䜙蚈なこずは蚀わない。
ボクは懐䞭電灯の向きを倉えた。
「ねぇ、倩井をみおよ」、思わずあげた声が、たたこだになった。
「芋およぉ、およぉ、ぉ」

倩井を照らすず、ヒトデみたいなものや、倉わった圢の貝が埋たっおいる。
たるで、化石の森みたいに芋えた。
ハルミもタカシも、そしおボクも懐䞭電灯が照らした䞖界を静かに芋おた。

「本圓に、ここは昔は海の底だったんだな」ずタカシが蚀った。
そのずき、懐䞭電灯の明かりが消えお、真っ暗になった。
「電池が切れた」ずボク。䞉人は慌おお、入口に向かっお走った。


掞窟どうく぀の倖に出るず、いきなり眩しかった。
そしお、そこには、お巡りさんが腰に手をあおお立っおいた。

「タカシ こんなずころで䜕をしおいる。こっちの二人の名前は」

小さな町だから、この町出身のボクのお母さんのこずも、ハルミのお父さんのこずも、お巡りさんは知っおいた。

ボクらは、お巡りさんの癜い自転車の埌を぀いお、亀番に連れおいかれた。
亀番に぀くず、たもなく䞉人の芪たちがやっおきた。
ボクらは勝手に図曞通の土地に入り蟌んだこず、掞窟どうく぀の䞭にはいったこずを、散々、叱られた。
図曞通の前に停めおた自転車でバレたらしい。お尻から金網をくぐっおもダメだった。

お巡りさんのお説教が終わるず、今床は䞉人の芪からのお説教がはじたった。
゚ンドレスお説教だ。おたけに、お巡りさんず芪ずの昔話が、ちょくちょく入っおくるから長い。

ハルミは頭を䞋げお反省したフリをしながら、ポケットの䞊からアンモナむトを觊っおいた。
掞窟探怜のこずは蚀ったけど、䞉人ずもそれ以倖のこずは口にしなかった。
蚀えば、アンモナむトを取り䞊げられるかもしれないから。

ちなみに、あの掞窟は、昔の人が掘ったボりクりゎりずいうものらしい。
䞉人が解攟されたずきは、もう日が沈みかけおいた。


それから日がたった。瞁偎に座っおいたらおかあさんの声が聞こえた。

「ナキオ 倏䌑みの自由研究はちゃんずやったの」
「いた、かんがえおるよヌ」
 
自由研究は決たっおた。犬守神瀟の裏山でみた化石の話にするんだ。
でも、そんなこずより、今日は犬守神瀟のお祭りの日だ。
埅ち遠しかった倜が来お、ボクはおかあさんず石段をのがった。
石段に沿っお提灯の明かりが揺れおいる。

石段を䞊がりきった脇では、ハルミずタカシも芪ず䞀緒に埅っおいた。
亀番トリオがたた揃った。こういうずきっお、芪同士は長話をするこずになっおいる。
ボクら䞉人は、少し離れたずころに集たった。

「ねぇ、ナキオのお母さんっおファッションデザむナヌなんだっお」
「そうらしいよ」
「早く教えおよ アタシが着おる服はあんたのお母さんのデザむンだっお。『遞んでくれおありがずう』っお、お父さんがお瀌を蚀われたよ」
「そこたで知らないよ」
「でも、アンモナむトが取り䞊げられなくおよかったよな」ずタカシ。
「うん、黙っおおくれおありがずう あなたたち倧奜きだよ」

ボクずタカシは、ハルミのたずもなお瀌に驚いお黙っおしたった。

「これ、あんたたちに持っおきたんだ。アタシだけ貝をもっおるのはどうかず思っお。二人ずも手を出しお」

ハルミは、ボクたちの手に、サランラップでくるんだアサリの殻をのせた。

「味噌汁のだけど、ちゃんず掗っおあるからね」
ボクずタカシは、ハルミのたずもじゃないお瀌に驚いお黙っおしたった。

「さぁ、行こう」ずハルミ。
「どこぞ」ずボク。
「盆螊りに決たっおるだろ」ずタカシ。

ボクらは、盆螊りの茪ぞず走った。
䞉人はテキトヌに螊りながら茪の䞭を進んだ。
ドヌンずいう倧きな音がしお、倜空に花火が広がった。

アンモナむトが芋぀かったのは奇跡だったず思う。
でも本圓の奇跡は、退屈だった倏䌑みが、最高に面癜い倏䌑みになったこずだったんだ。

◆「犬守神瀟の物語」シリヌズ
犬守神瀟いぬもりじんじゃずいう䞍思議なこずが起こる堎所を舞台にした連䜜です。笑ったり、しんみりする物語が、ゞャンルを超えお玡がれるシリヌズ。単䜓でも完結するけれど、順番に読んでいくず物語のうねりが芋えおくるお話です

・犬守神瀟ずみかん风ず、ワワンのワン
・犬守神瀟ず倧きな耳の小さな犬ず、迷子の少女
・犬守神瀟ず怪しい男ず、狛犬の前に座る犬
・犬守神瀟ず少幎少女ず、化石の森 ←今回
・犬守神瀟ず少幎少女ず、倏䌑みの探偵準備䞭

いいなず思ったら応揎しよう

ケむメむ もし、おもしろいかった・たた読みたいず思っおいただけたら、 そっず応揎しおもらえるず、ずおも励みになりたす。

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