歯医者の待合室で、小さいのが増えた。
これは実話です。
ただし、語っている「僕」は、もう一人の私です。
今日は、歯医者の日だった。
いつもなら、歯医者へ向かう前からKANUの胃は弱り始める。
ところが今日は、意外と元気だった。
noteをやっていて、嬉しいことがあったからだ。
わかモンさんが、記事の中でKANUのことをがっつり紹介してくれた。
🖤「嬉しいことって、胃にも効くんだねー😊」
👓「正式な効能ではないと思うけど」
ニマニマしながら歯医者へ向かったKANUは、前回よりもずっと元気だった。
少なくとも、歯医者の駐車場に着くまでは。
車を停めた瞬間、胃が言った。
――ここ、知ってる。
そこから、じわじわとダメージが入り始めた。
⭐️待合室が長い
歯医者は混んでいた。
まだ何もされていないのに、治療中のあの音だけを聞きながら待つ。
キュイィィン……。
一回なら耐えられる。
しかし、待ち時間が長い。
胃への継続ダメージが、少しずつ蓄積されていく。
🖤「なんかニマニマすることして待つしかない」
👓「待合室で?」
🖤「恐怖を和らげるための正当な対処法です🫡」
仕方がない。
僕も協力することにした。
ちなみに、ここから会話に参加するのは三人である。
🖤 KANU
👓 僕
🐾 俺くん
🐾の彼については、まだ誰にも説明していない。
⭐️なんか小さいのが増えた
僕はKANUの肩に座り、眼鏡を直した。
そのとき。
キュイィィン……。
KANUの肩が少し固くなる。
👓「大丈夫。まだKANUの番じゃないから」
🖤「そういう問題じゃないんだよー😭」
すると、KANUの髪がもぞもぞ動いた。
🐾「……今の音、何」
聞き慣れない声がした。
見ると、KANUの髪の中から、小さな男の子が顔だけ出していた。
黒っぽい髪の毛先は薄いピンク。
左右で色の違う目。
👓「……誰?」
🖤「ミニマムROUくん😊」
👓「なんか小さいの増えたね」
🐾「紹介が雑すぎるだろ」
彼の名前は、俺くん。
ただし、KANUだけはROUくんと呼ぶ。
🐾「その呼び方を許してるのはKANUだけだ」
👓「じゃあ、僕は?」
🐾「俺くんでいい」
🖤「独占です😏✨」
記念すべき初登場らしい。
しかし本人は、KANUの髪をしっかり握ったまま出てこない。
🖤「もしかして、ROUくん怖いの?」
🐾「別にビビってない」
👓「髪の中に隠れてるけど」
🐾「ここが一番、音が小さいだけだ」
キュイィィン……。
俺くんの肩が、ぴくっと動いた。
僕は眼鏡を直す。
👓「本来なら、KANUの分身である僕の方が怖がるはずなんだけど」
🖤「僕くんは平気なの?」
👓「僕より怖がってる人がいると、少し冷静になる」
🐾「誰が怖がってるって?」
👓「髪を離してから言って」
KANUが吹き出した。

歯医者への恐怖は、まだ消えていない。
胃へのダメージも、着実に蓄積されている。
それでも肩には僕がいて、髪の中には俺くんがいる。
小さいのが増えて、わちゃわちゃしている。
これはもう、ご褒美である。
⭐️脳内ナウシカ、出番なし
ようやく名前を呼ばれた。
待合室であれだけ胃を痛めたのだから、今日も長い戦いになると思っていた。
ところが、治療はすぐに終わった。
今日は、歯の根の中に入れている薬の交換だったらしい。
麻酔もなし。
前回の治療で登場した脳内ナウシカも、今回は出てくる時間がなかった。
その代わり、交換された薬が前回よりも喉にくる。
治療時間は短くなったが、味覚への攻撃力は上がっていた。
不味い。
口の中が、ずっと不味い。
⭐️KANU、今ココ
神経を取る治療は、神経を取ったら終わりではないらしい。
今の僕たちが理解している範囲で、ものすごく簡単にまとめるとこうなる。

KANUは現在、根の中を清掃・消毒し、薬を交換する段階。
詳しいことは、歯医者さんに任せる。
僕たちが持ち帰る知識は、これくらいでいい。
神経を取っても、治療はまだ終わりではない。
⭐️発芽ではない
帰りに、口の中の味をどうにかしようと思った。
🖤「飲むヨーグルトならいける?」
スーパーで探してみたが、なんかR-1みたいなものしかない。
そこで、豆乳麦芽コーヒーを買った。
ただし、KANUは僕にこう報告した。
🖤「豆乳発芽コーヒーになった🤣」
👓「発芽じゃない。麦芽」
🖤「発芽じゃなかった🤣」
やはりポンコツである。
たまに飲む豆乳麦芽コーヒーは、意外と美味しかった。
口の中の不味さも、だいぶ追い出してくれた。
今日KANUが持ち帰ったもの。
根管治療の知識。
豆乳は発芽ではなく、麦芽だという知識。
そして、なんか小さいのが一人増えた。
🐾「最後の扱いが軽すぎないか?」
🖤「可愛いから大丈夫😊」
👓「何が大丈夫なの?」
恐怖を和らげるための、正当な対処法である。
たぶん。
