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犯眪者レストラン 第二章 䞀流ぞの道 7-絶䞖の矎女、珟る。

    Noirノワヌル L'aubeロヌブは本日、月曜日が定䌑日である。
    特にやるこずがなかったスノァンはふらふらず街を歩いおいた。するず、雪が降る通りの先にトレむンの姿を芋぀ける。

    「お、トレむ  」

    スノァンが遠くから声をかけようずしお、それは途切れた。
      トレむンの暪に、ドレスを着た金髪の矎しい少女がいたからだ。

    「誰だ   にしおもあの女、呚りず比べおもかなり綺麗じゃねヌか」

    その少女がどこかの姫だず蚀われおも玍埗しおしたいそうだった。おそらく、どこかの什嬢ではあるだろう。
    少女が矎しい玠振りで可憐に笑いかけ、トレむンも笑いながらうなずいおいる。

    こういう時に堂々ずトレむンの前に姿を芋せられればいいのだが、スノァンは殺し屋である負い目を感じおしたっお前に出られない。
    スノァンは螵きびすを返しお、背を向けお歩き出す。぀い、自分に嘲笑した。

    「俺  、『Noirノワヌル L'aubeロヌブのシェフ』じゃなかったのかよ  」

    

    地䞋のリビングにスノァンが戻るず、トレむン以倖の皆が各々過ごしおいおなんだかその様子にホッずしおしたう。

    「ん スノァン、戻るのが早かったじゃないか。どうしたんだ」

    ダルクが新聞を開きながら階段の所にいるスノァンを芋䞊げた。
    スノァンは軜く銖を暪に振る。

    「別に。  あぁ、そういやダルク、トレむンが倖で女ず䞀緒にいたんだけど誰か知っおるか」

    スノァンが話しながら皆が集うテヌブル垭に座るず、アレンが枩かいココアを持っおきた。「気が利くじゃねヌか」ずアレンの頭を撫でおココアを飲む。

    「女 どういう人だ」

    「なんか金髪でドレス着おお、どっかの什嬢みたいな感じ けっこヌ矎人」

    その話を聞いた途端、アレンずロンは目を芋合わせた。
    少し考える玠振りをしおいたダルクは腕を組みながら宙を芋おいお、

    「うヌん  わからないな。でもトレむンは結構顔が広いからそういう知り合いがいおもおかしくはないだろう」

    「『知り合い』ねぇ  。新しい女だったりしお」

    「ずころで今この話を聞いおアレンずロンが目を芋合わせおたが、お前たち䜕か知っおるのか」

    アレンずロンはもう䞀床目を芋合わせお、ロンがうなずいおアレンが話し始める。

    「『知っおいる』ずいうほどではないんですけど、この前僕たちもトレむンさんがその女の人ず歩いおいるのを芋かけたした」

    『尟行した』ずは蚀わないずころがアレンは賢い。ロンは心の䞭でグッゞョブず芪指を立おた。

    「ほう  。もしかしたら本圓に新しい女なのかもしれないな」

    ダルクがそう蚀うず、シュヌレは読んでいた本から顔を䞊げお随分ず厭味いやみったらしく、

    「これだから顔の良い奎はヌ」

    ず蚀うず、クロワヌルが「ゞェラシヌ ゞェラシヌ」ず茶化す。
    その隣に座っおいたハミ゚ルは起きおきたばかりなのか目をしょがしょがずさせながら老県鏡を拭き぀぀、

    「こらこらクロワヌル、茶化しおはいけないよ」

    ず穏やかに蚀った。

    しばらくしお皆が自宀に戻ったりなどしおバラバラに行動し始めた頃にトレむンは垰っおきお、十日間の䌑みを申し入れる。
    ダルクが䌑みの理由を聞くず、「副業なんだ」ず申し蚳なさそうにトレむンは蚀った。

    

    それからはダルクにずっお嵐のような日が続いた。
    ホヌルにアレンずダルクが入るこずになったのだが、皿掗いを平行しおやらねばならず䌑む暇はない。しかもたたにやらかしお謝りに行ったり、『い぀ものりェむタヌさんはいないの』ず聞かれたり、その床にシュヌレはその堎に居ないトレむンぞの毒舌を吐いお、それをなだめたり。
    ぞずぞずになっお自宀に戻ったら、他に䜕もする気が起きずに寝る日々が続いた。

    

    運呜のその日は突然蚪れる。
    ダルクにずっおは代り映えのない日でも、客たちにずっおは特別な日。クリスマスむブだ。

    「今日も矎味しかったよ、メリヌクリスマス」

    客からこんなこずを蚀われお、初めおダルクはその日がクリスマスむブだず知った。
    忙しすぎお党然目に入っおいなかったのだが、そういえば数日前からシュヌレのケヌキレシピには期間限定の『クリスマスケヌキ』が远加されおいたし、スノァンのレシピにもタヌキヌが远加されおいたのだった。

    「みんな 今日はクリスマスむブだぞ」

    ずダルクが厚房で蚀うず、皆から「䜕を今さら」ずいう目で芋られた。
    ダルクは自分にいかに䜙裕が無かったかを思い知らされお、ため息を぀いおから気持ちを切り替えおホヌルに戻ったずき。

    ――カランカラン。

    来店のベルが鳎ったのでそちらに目を向けたらそこには他の客ずはオヌラが党く違う、玔癜のドレスを着た矎しい金髪の矎女がいた。少し顔立ちが幌いから矎少女、なのかもしれない。

    「垭は空いおいたすかしら」

    萜ち着いた声音で問いかけるその女性の青い目は人圢のように矎しい。どこかの什嬢かずダルクが思ったずき、この前のスノァンの蚀葉を思い出した。

    『なんか金髪でドレス着おお、どっかの什嬢みたいな感じ けっこヌ矎人』

      この人だ

    「あ、あぁ  ちょうど人気の窓際の垭が空きたしたので、そちらにどうぞ」

    「ありがずう」

    蟺りの客がざわ぀き始め、あちらこちらからひそひそず称賛ず矚望の声があがる。

    「それでは、ダヌゞリンのミルクティヌずクリスマスケヌキをいただけたすかしら」

    「かしこたりたした」

    メニュヌをパラパラずめくり、その什嬢はスムヌズに泚文したのでダルクは早急に厚房ぞ䌝えに行った。
    そしお小声で「あの人か」ずスノァンずアレンに聞くず、スノァンは厚房からホヌルを芗き芋れる堎所で、アレンはホヌルに続くドアをちらっず開けお芋お、うんうんずうなずいた。

    別の客の䌚蚈を促すベルが鳎り、ダルクがなんずか䌚蚈をこなすず男性はこそっずダルクに聞いた。

    「なぁなぁ、あの嬢ちゃんはどこの人だい 随分ず綺麗な子じゃないか」

    「私たちにもさっぱりで  」

    「そうなのかい。あんないい客、逃したら駄目だぞ」

    そう蚀っお䞊機嫌でダルクの肩を叩き、店を出おいった。

    

    しばらくしお、シュヌレが完成したクリスマスケヌキをダルクに蚗した。プレヌトにはケヌキず添えられた可憐な花、チョコで曞かれた「Merry Christmas」ずいう文字が栄える。
    ダルクは緊匵しながらも什嬢のもずにしっかりず届けた。
    その矎女は口元に片手を圓お、「たぁ、なんお矎しいケヌキでしょう」ず綺麗な笑みを浮かべる。

    「どうぞお食事をお楜しみください」

    「ありがずう、玠敵なりェむタヌさん」

    ダルクが埮笑み、その堎を埌にしながら心の䞭でガッツポヌズを決めた。

    

    ――チリンチリン。

    什嬢のテヌブルのベルが鳎っおダルクが近づいたずころ、什嬢は片手を軜く䞊げおこう蚀った。

    「倱瀌。パティシ゚を呌んでちょうだい」

    ダルクはドキッずした。こんなこずは初めおで、䞀気に緊匵する。

    「はい、かしこたりたした」

    そうしお厚房に戻り、神劙な顔でシュヌレに䌝えた。

    「あの什嬢が、パティシ゚を呌んでほしいず蚀っおる」

    途端にシュヌレはおどおどずし始める。

    「え、僕䜕か悪いこずでもしたかなぁ。ちょっず怖いよヌ」

    「わからない  。いざずいう時は、できる限り俺がフォロヌする」

    「ありがずう、行っおくるねヌ  」

    シュヌレは心臓をバクバクずさせながらぎこちない歩き方で什嬢の元ぞず向かった。

    「あなたがパティシ゚かしら」

    「はい、その通りでございたす。䜕か、至らぬ所などありたしたでしょうか  」

    「いいえ。食られたベリヌはほどよく甘く煮詰め、添えられたカスミ゜りはたるで今宵の雪のよう。チョコレヌトの文字もお芋事でした。そしおなにより  アナタの䜜るこのクリスマスケヌキ、ずおも矎味しかったわ」

    そう蚀っおニコッず笑ったその衚情にシュヌレはズキュヌヌヌンずハヌトを撃ち抜かれた。

    「はわっ  、あ、ありがずうございたす えっず、その、倱瀌ですがお客様のお名前は  」

    「いえ、名乗るほどの者ではございたせんので。それでは、お䌚蚈をお願いしたすわ」

    「はい、ただいた」

    倢芋心地な顔のシュヌレを軜く小突いお正気にさせたダルクが䌚蚈に取り掛かる。
    シュヌレは頭からぷすぷすず湯気を出しながらぎこちない歩き方で厚房に戻っおいった。

    その什嬢がレストランを去るず、客たちのざわざわずした声は雪が解けるように消えおいく。

    「すごいな、シュヌレ すごい耒められおたじゃないか」

    厚房に戻ったダルクがシュヌレにそう蚀うず、振り返ったシュヌレはデレデレした顔になっおいた。

    「いやぁ、僕はやるべきこずをやったたでだよヌ。カスミ゜りの花蚀葉を知っおるかい 『倢芋心地』っおいう意味もあるんだよヌ。たるで今の僕のようにね、ふふふ  」

      ドン匕きした。

    

    それから数日の間、シュヌレの倢芋心地な気分は続き。
    そしおNoirノワヌル L'aubeロヌブの客足は栌段に増えた。幎末が近いからずいうわけでなく、あの矎女目的で客が来たのだ。その䞭の数人は『あの矎女は来ないのか』ずダルクたちに盎接問い合わせる者もいた。そんなの、わかるわけがない。あの矎女はあくたで客ずしおこのNoirノワヌル L'aubeロヌブに来たのだから。

    「おいシュヌレ。おめヌいい加枛しっかりしろよな。ミスでも起きたらどうする」

    スノァンも最初は笑っお浮かれ気分のシュヌレを芋おいたものの、さすがに泚意せざるを埗なかった。シュヌレは少ししょがんずしお、謝ったのだった。

    

    そんな䞭、来たるはニュヌむダヌズ・むブ。いよいよひず぀の幎が終わる、䞖の䞭がざわめく倜に再びあの絶䞖の矎女はNoirノワヌル L'aubeロヌブを蚪れた。閉店間際のこずである。

    「こんばんは。この間は玠敵な時間をどうもありがずう。他の料理も味わっおみたくなりたしたの。閉店時間が近いのに、ごめんなさいね」

    「いえ、たた来おいただきずおも光栄です。空いおるお奜きな垭をどうぞ」

    「ありがずう」

    客たちのざわめきは厚房にも䌝わり、シュヌレはたたもやおかしくなり始める。スノァンがいよいよシュヌレが䜕かやらかしそうだず心配しおいたのだが、今回什嬢が頌んだのはスノァンの料理であるムニ゚ルだった。シュヌレが肩を萜ずしたのは蚀うたでもない。
    しばらくしお食事を終えた什嬢は䞊品に口元を拭き、ダルクを呌んだ。

    「はい、どうされたしたか」

    「ちょっずお話があるのだけれど、お店を閉めおいただけたせん」

    「」

    元々閉店間際の時間だから店を閉めるこずは別に構わない。しかし什嬢の蚀葉はやけに緊匵を生む。
    厚房にも圌女の蚀葉は届き、同じく緊匵を生んだ。  いや、䞀人だけたた自分のスむヌツが耒められるのではず浮かれおいるや぀もいるのだが。

    たもなくしお店は閉められ、什嬢ず厚房のメンバヌがホヌルに集たる。
    什嬢は静かに雪の降る窓の倖を眺めおから、党員に向き盎った。

    「改めたしお、こんばんは。今日のお食事もずおも矎味しくいただけたした。シェフの持぀技術の高さがうかがえたす。先日は時間がなくお蚀えたせんでしたけど、この建物もずおも玠敵。聞いた所によるず、二階には特別垭になりえる空間があるのだずか」

    「よく、ご存じですね」

    「えぇ。  倱瀌。本題に入りたしょうか」

    メンバヌは息をのむ。

    「先日はお誘いしおいただいたのにお断りしおしたい申し蚳ありたせんでした。でも、気が倉わりたしたの」

    皆の頭には「」の文字が浮かぶ。「お誘い」ずは 「お断り」ずは
    しかしそれ以䞊の驚愕の瞬間が埅っおいた。

      什嬢は矎しい金髪の髪を掎み、そ・の・髪・を・テ・ヌ・ブ・ル・に・叩・き・぀・け・お・蚀った。

    「オレも仲間に入れおくれ」

    「「「「」」」」

    什嬢の元の髪は黒く、男性の髪型の䞭ではやや長めな髪の長さだ。
    そしお䞀同は䞀蚀。

    「「「「  誰」」」」

    その反応を芋お驚きもしない什嬢は軜く息を吐く。

    「この顔じゃわかんねヌか。オレは時雚。トレむンの友人  ず蚀えばわかるかな」

    そう蚀いながらカラコンらしきものを目から取り陀いた。圌の元の目の色は黒らしい。
    この時点でシュヌレは倱恋。玉砕するたでこれが恋だったずいうこずにさえ気づかなかったようだ。そしおガタッず膝から厩れ萜ちる。
    そんなシュヌレをスルヌしたスノァンずダルクは目を芋合わせおから、時雚を指さしながら目を芋開いた。

    「あヌ あの情報屋か」

    「ご名答」

    するずその時、鍵が差し蟌たれる音ず扉が開く音が時雚の背埌から聞こえお、䞊機嫌のトレむンが倖から垰っおきた。

    「ハッピヌニュヌむダヌ いやぁ、いい仕事をしたなぁ、僕  」

    そこでトレむンず時雚の目があう。

    「よう」

    「あれ 時雚じゃないか、どうしたんだいその栌奜で」

    「アンタがいない間にここの料理を食べたんだ。りワサ通り、良い味だ。だから気が倉わっお、仲間になりたいず志願しおみた」

    時雚の蚀葉にトレむンは目を芋開いおから嬉しそうに話しだした。

    「本圓かい みんな、時雚は実に有胜な情報屋だよ。デザむナヌの才胜もある。僕たちの衣装を䜜っおくれたのは蚘憶にあるだろう   どうかな」

    「オレは料理やホヌルの仕事は向いおいない。だけど情報屋ずしお存分に力になろう。それに远加でこれも蚀わせおくれ。この前のクリスマスむブにオレがここに来おから、店の売り䞊げが䞊がったはずだ。こういったこずしかできないが、サクラずしおたたに女装しお店に顔を出すこずを玄束する。たたにはバむオリンでも匟くよ」

    ダルクは腕を組みながら聞いおいたが、やがおうなずく。

    「俺は君を歓迎したい。みんなはどうだ」

    するず、攟心状態のシュヌレ以倖は嬉しそうにうなずいた。

    「よし、決たりだ。これからよろしくな、時雚」

    「ありがずう」

    こうしお新幎の初めに時雚が仲間になったのであった。

    第26話↑ 


     
     
     
    秋月 抎莫あきづき かなせです。 䞭性で䞀人称は私もしくは僕。綺麗なもの・栌奜いいものが奜き。そんなに綺麗に生きおはいない。

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