
車なしで標高1700メートルに住んでみた
東京から長野県の高原へ移り住んだ。
勤務先の寮に住み、食事はまかない付き。
「しばらくなら車がなくても大丈夫。」
そう思っていた。
一か月で気付く。
車が必要だ。
スーパーまで片道30分以上。
コンビニもない。
バスは少ない。
買い物一つが小さなイベントだった。
一人の時間がほしい。
免許は20年前。
ブレーキとアクセルもあやしい。
運転する人生になるとは思っていなかった。
久しぶりに山を下りた。
車には、短期で働きに来ていた同僚二人も乗っていた。
山道を抜け、住宅が見えてきた瞬間だった。
「家がある!」
誰かがそう言った。
「コンビニだ!」
「あのお店!」
三人とも、子どものようにはしゃいでいた。
コンビニに入ると、店内がまぶしく感じた。
明るい照明に照らされたお弁当やお菓子、飲み物が、どれもキラキラして見えた。
一か月前までは当たり前だった景色なのに。
山の上で暮らしている間に、私たちの「当たり前」は少し変わっていた。