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「文春」に潰された首相候補:「立憲的改憲」の挫折:山尾しおりと共に消えた夢

    残念でしたね。

    「会見」翌日の11日にも、週刊文春はスキャンダル報道で山尾を追撃していた。

    山尾の「会見」失敗よりも、文春がまだタマを持っているらしい、それへの玉木ら執行部の恐怖心が、「公認」取り消しの理由ではないか。


    山尾しおりは、間違いなく将来の首相候補の一人だった。少なくとも文春報道の前までは。

    同時に、立憲的改憲(右翼的でない改憲)を進めるのは彼女しかいないと思われた。

    その我々の期待も潰されてしまった。


    好き嫌いは別にして、彼女の能力と熱意を買う大人は、みんな「不倫を認めて謝罪すればいいのに」と思ったはずだ。

    その最後の挽回のチャンスを、彼女自らが潰したのも間違いない。

    それには、我々の知らない、相当な理由があるのだろう、と思うしかない。


    「2017年政変」の主役


    山尾の文春スキャンダルは、平成末から令和にかけての政治史に非常に大きな影響を与えた。その「裏面」や影響の全貌は、まだ十分に解明されていない。


    2017年9月1日、民進党の代表選が枝野と前原で争われた時、山尾は勝者となる前原に投票し、42歳で野党第一党幹事長のポジションを事実上、手に入れていた。

    しかし、それと同時に文春の「イケメン弁護士と不倫」報道が炸裂し、山尾の幹事長人事が取り消しになる。

    このタイミングが、今から振り返ると意味深だし、絶妙だった。


    山尾は混乱の責任をとって9月7日に民進党を離党。

    このことが、笠浩史らの離党ドミノを引き起こし、民進党が弱体化したのを見て、安倍首相は9月28日、衆院解散に踏み切った。


    ここで民進党代表の前原は、小池百合子の「希望の党」との合流を発表。

    「排除」された枝野らが立憲民主党を設立する。


    10月22日実施の衆院選挙の結果、前原の民進党(希望の党)は惨敗。安倍自民党の大勝を許し、立憲民主にすら敗れたのはご承知のとおり。(これが安倍首相による最後の選挙でもあった)

    前原は責任をとって党代表を辞任。民進党と希望の党の合流政党は、新たに玉木らの国民民主党として再スタートする。


    この流れを見れば、山尾の文春スキャンダルが、旧「民主党」の離散と、枝野、玉木、前原らを分裂させたきっかけになったのがわかるだろう。


    山尾は2017年の選挙で無所属で当選、立憲民主党に入ったが、過去の経緯から立憲に居場所がなく、国民民主党に移る。

    国民民主では、自民とのパイプ役になるなどしたが、2021年に「不倫相手の妻自殺」という新たな文春砲が炸裂。同年の総選挙への出馬を見送って「浪人」していた。


    この「2017年政変」がなければーーつまりは文春スキャンダルがなければーー前原、枝野、玉木らのメンバーを中心にした保守系(反共産、改憲派)野党が、一気に自民党のライバルとなる可能性があった。

    山尾は、その核となるはずだった。

    そうなれば、立憲的改憲も実現に近づいただろう。(この時点では、彼女の改憲案はリベラルメディアにも好意的に受け止められていた)


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    山尾志桜里『立憲的改憲』(2018)



    玉木としては、「2017年政変」でいったん消えたシナリオを、山尾とまた追求したい、という思いがあったはずだ。

    2017年には、私もまだ現役だったので、「保守系の野党第一党」ができて、現実的な政権交代の構図が実現するかもしれない、という期待があった。

    山尾しおりは、私にとって(おそらく玉木にとっても)その時に芽生えた希望のシンボルだった。


    しかし、2017年、そして2021年と同じく、今回も文春スキャンダルの威力で、その政治シナリオが消えた。

    その意味を、改めて深く掘り下げるべきだと思う。


    「内輪ノリ」の罪


    私自身は、山尾の「会見」の前から、山尾を応援する意欲を半ば失っていた。

    それは、スキャンダルの相手である倉持麟太郎が登場する下の動画を見たからでもある。

    国民民主党と玉木雄一郎さんを正気に戻す会 駒崎弘樹 × 倉持麟太郎 × 宇野常寛(PLANETS YouTubeチャンネル 2025/6/6)


    ここでの倉持麟太郎の他人事のような態度と、無責任かつ傲慢なもの言いに腹が立っていた(それに、「イケメン弁護士」と言うが、イケメンでもないだろう)。

    そして、倉持がこういう感じなら、山尾の「会見」も期待できないかも、と感じていた。


    倉持と宇野は、小林よしのりの「道場」の常連でもあり、小林よしのりは山尾しおり応援団長のような存在だった。

    その内輪では、政治とスキャンダルは関係ないという理屈が通っていたのかもしれない。


    この小林よしのりを中心とした「内輪ノリ」の環境が、山尾をダメにしたのではないか、とも思った。

    小林の「道場」イベントに参加した私なんかも含めて、山尾を甘やかしたのかもしれない。


    いずれにせよ、山尾は、政治家以外の道で、たくましく生きていってほしい。

    年齢的にも、立憲的改憲を推進できる後継者を育てるなど、政治の裏側での活躍をなお期待している。


    <追記 12日午後>


    山尾は12日、公認取り消しについて国民民主党に不満を述べ、同党離党と、政治活動を続けていく意思を表明した。


    今回問題とされた事柄は、全て公認時に周知されていたことです。その事柄について何らか懸念があるのであれば、公認前に選対面談を設けご指摘を頂戴することができたなら、よりよい状況を作れたようにも思います。


    ーーと、山尾のコメントにあるが、「まだ周知されていない文春の隠し玉があるのではないか」(たとえば不倫の決定的写真など)と11日になって思えたことが、上述のとおり、公認見送りの決定因になったと私は思う。

    「もっと悪い材料が出てくるかもしれない」と感じられる限りは、先々が不安であり、シンパも協力しにくい。

    その意味で、文春より先に、不利な情報を山尾側から出し切らない限り、状況は好転しないと思う。


    <参考>



     
     
     
    会社を定年退職し、神奈川県は柿生の里に隠棲する。新聞社、出版社に勤め、記者や編集者をやっていた。独身、孤独を愛する。老人であることを自覚し、記憶力もあやしくなりつつあるので、ここに書き残したいことを書き残しておく。世間から引退したので、社交は望みません。

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