
なんでだろね
電気ケトルの音がうるさくていらいらした。故障したかなって見てみたけれど、よく考えれば、ケトルの音を遮る音がないだけだった。毎朝ねむいねむい言う人のためにお茶を入れてたから、毎朝ねむいねむい言われながらお湯を沸かしていて、ただその声がなかった、それだけ。
おれからしたら痩せる必要なんてなかった。でもこれ飲んだら痩せんねんて! って、ずっとプーアル茶飲んでた。そんな、わざわざこれ以上細くなんなくても、お茶飲みながらふわふわ首元ではねてるくせっ毛とか、すっごく愛しくて、かわいかったのにね。灯ちゃんがぴょこぴょこ動くと一緒にぴょこぴょこ動く髪の毛、すぐおれの真似っ子する灯ちゃんそっくりで、そんなとこまで気づける距離におれがそもそもいるってことにもくらくらしてぶっ倒れそうになっちゃって、よく首元ぐしゃぐしゃ撫でた。その度に灯ちゃんはいちいちきゃんきゃん怒って、それも大好きだった。だって灯ちゃん、そこまで髪の毛命でもなかったじゃんね。
灯ちゃんが置いてった観葉植物、おれこれいつ水あげたらいいかわかんないよ。あんたが水やったら腐らすからって言って一回も水やりさせてくれなかったのは灯ちゃんだったんだから、せめてそれくらい教えにきてよ。