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星の子と、光のお城の鍵

    ふたつめの 
    星の子のおはなしです。

    旅の中で感じたことを、
    物語にしてみました。

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    いつかのミライという場所に、
    小さな星の子がいました。

    星の子の胸には、
    真珠色の羽のペンダントがありました。

    それは、
    ひらめきの羽。

    「こっちかも」
    「これだ」
    「こんなふうにしてみたい」
    そんな小さな光を、
    ふっと見せてくれる羽です。


    星の子には、
    月の子という友だちがいました。

    月の子は、
    湖のほとりにある
    光のお城の鍵を持っていました。

    光のお城の鍵を持っているのは、
    星の子が知っている限り、
    月の子だけでした。

    ある日、月の子が言いました。

    「星の子ちゃん。
       光のお城へ行ってみる?」

    星の子は、
    胸がどきどきしました。

    光のお城。
    それは、
    静かな湖を見わたす場所にありました。

    大きな窓には空が映り、
    水面には銀色の光が揺れています。

    豪華なごちそうもあると聞きます。
    素敵な音楽も鳴っていると聞きます。
    訪れた人を、
    とてもとても大切にしてくれると聞きます。

    星の子は、
    ずっと前から思っていました。

    一度でいいから、
    あの場所に行ってみたいな。

    湖を眺めながら、
    ゆっくり過ごしてみたいな。

    そう思っていたのです。

    だから、
    月の子が鍵を見せてくれたとき、

    星の子の胸の羽は、
    ほわっとあたたかく光りました。

    けれど、
    光のお城へ向かう途中、
    星の子は森の中で立ち止まりました。

    そして、
    足もとに落ちていた
    小さな木の実を拾いはじめました。

    ひとつ。
    また、ひとつ。

    星の子は、
    ポケットいっぱいに木の実を詰めました。

    胸の羽は、
    小さく揺れました。

    さらに進むと、
    星の子は花を摘みはじめました。

    みずいろの花。
    桃色の花。
    レモン色の花。

    手の中には、
    かわいいブーケができました。

    また、
    胸の羽は、
    小さく揺れました。

    月の子は、
    星の子のそんな様子を見て、
    そっと言いました。

    月の子には、
    星の子が楽しそうには見えなかったのです。

    「星の子ちゃん。
       どうして、木の実を集めたり、
       お花を摘んだりするの?」

    星の子は言いました。

    「光のお城に入るには、
        何か持って行かなきゃいけないよね。
        たくさん、
        持って行かなきゃいけないよね。
        僕、
        何も持っていないから」

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    月の子は、
    やさしく星の子を見つめました。

    そのとき、
    前に出会った小さな鳥が、
    どこからともなく飛んできました。

    「また迷っているね」

    星の子は、
    木の実でふくらんだポケットと、
    手の中のブーケを見つめました。

    「ねえ、鳥さん。
       僕、ずっと行きたかった光のお城に行けるんだ。
       でも、
       何も持たないで、
       行っちゃいけないよね?」

    鳥は、
    星の子をやさしく見つめて、
    言いました。

    「星の子。
       光のお城は、
       何かを持っているから入れるんじゃないんだよ」

    「じゃあ、
       どうして僕は入れるの?」

    「君が月の子と出会ったからだよ」

    「出会ったから?」

    鳥はうなずきました。

    「そう。
       月の子が鍵を持ってきてくれた。
       光のお城の扉は、
       もう君の前にある。
       ただ、
       入るだけなんだ」

    星の子は、
    静かに考えました。

    木の実は、
    森からの贈りものでした。

    花も、
    とてもきれいでした。

    でも星の子は、
    それをちょっと
    焦って集めていたことに気づきました。

    何も持っていない自分では、
    光のお城に入れない気がしていたのです。

    何かを持っていけば、
    胸を張って入れる気がする。

    何かを差し出せば、
    受け取ってもいい気がする。

    そんなふうに、
    思っていたのかもしれない。

    星の子は、
    そのことに、そっと気づきました。

    月の子が、
    静かに言いました。

    「木の実も、お花も、
       とてもすてきよ。
       星の子ちゃん、
       行こう」

    鳥も言いました。

    「安心して行っておいで。
       豊かさはね、
       ただ受け取っていいんだよ」

    星の子は、
    胸の羽に手を当てました。

    羽は、
    ほわっ……と、
    やわらかく光っていました。

    鳥は言いました。

    「君は、
       君のままで、
       受け取っていいんだよ」

    星の子は、
    光のお城の方を見ました。

    「ありがとう」

    星の子は、
    鳥にも、
    月の子にも、
    木の実にも、
    花にも、
    小さくそう言いました。

    そして、
    もう一度、
    光のお城の方を見ました。

    「僕、
       憧れを受け取りに行ってくる」

    そう言うと、
    胸の羽が、
    また、ほわっと明るく光りました。

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    きっと今日も、
    この世界は思ったより優しい。

     
     
    目に見えない世界と、日常のあいだに橋を架けています。 直感とAI。潜在意識と教育。 感じたこと、受け取ったことを、日常で使える言葉へ。 エッセイや物語を通して、自分と世界の見え方が少し変わるきっかけを。 感受性で未来を創る。

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