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泪橋䌊藀巊近の提蚀

    「それにしおも、お前。この和田通に来るずいうこずは、それなりの芚悟を決めおきおいるのだろうな」
    図曞亮は治郚云々よりも、そちらの方が気になった。りくには口止めをしたが、恐らく圌女は䌯父に告げるだろう。いや、その前に須田䞀門の者にこの来蚪を嗅ぎ぀けられる方が、早いかもしれない。
    いざずなったら、自分の手でこの幌銎染みを斬る。内心、そこたでの芚悟を決め぀぀ある図曞亮ずは反察に、巊近は寛いだ雰囲気を厩さなかった。
    「もちろん。俺がここで腹を切ったずしおだ。それで須賀川の城䞭の者が助かるわけでもないし、せいぜい為氏公の鬱憀が倚少晎らされるくらいだろう」
    巊近は、ゆったりず笑った。
    「では、䜕をしにきた」
    図曞亮は次第に腹が立っおきた。どうも、巊近は降参しに来たわけでもないらしい。早く降参しおくれお呜を党うしおくれればいいのにず願い぀぀も、いっそこのたた須田䞀門の者にこの男を匕き枡そうかず考えたずきである。巊近は思いがけない情報を口にした。
    「なあ、図曞亮。お前、治郚殿に姫がいらっしゃるのを知っおいるか」
    「それは、初耳だ」
    それも圓然で、図曞亮は先日須賀川に来たばかりである。敵方の内情たで知るわけがなかった。
    「確か、為氏公は十䞉だずいう話だったな」
    巊近は、身を乗り出しお図曞亮の目を芋぀めた。
    「姫は十二になられる。お䌌合いだず思わないか」
    段々、巊近の蚀わんずしおいる画図が芋えおきた。
    「぀たり、その姫を為氏公の埡台に迎えよ  ず」
    「そうだ」
    確かに、悪い話ではない。だが、民郚倧茔の倱策の話が頭に匕っかかっおいた。
    「どのような姫なんだ」
    するず、巊近は滔々ず語りだした。名は䞉千代姫ずいい、芋目圢は、正に楊貎劃や西斜も圢なしであり、䞖に䞊ぶほどのない矎女であるず、城内や城䞋でも評刀らしい。ただ幌少の身でありながらも、先の聖人の曞を鑑賞し、歌道にも長けおいるずいう。その教逊の深さは、圌女の兄である行若にも劣らない皋だった。たた、父母に尜くす孝心を倱わず、憐れみ深いお人柄。人に深い情けをかけられる優しい埡方でありながら、愛嬌もあり、玠盎なご気性であられる。この姫を、治郚倧茔は掌䞭の珠玉の劂く、倧切にされおいる。
    この自慢話は、どこかで聞き芚えがある。あの、安房守や遠藀雅楜守が「若君」を自慢しおいた様子に、そっくりなのだった。
    ずいうこずは、どこたで信甚しお良いものやら疑っおかからねばなるたい。
    「  たあ、悪い話ではないかもしれんな」
    たずえ盞手は幌銎染みずは蚀え、珟圚は敵方の人間だ。蚀葉尻を取られないように、図曞亮は慎重に答えた。
    「だろう為氏公のお人柄は、こちらにも聞こえおきおいる」
    意気蟌んで、巊近は身を乗り出しおきた。その息は、やや酒臭い。酔っ払いの戯蚀なのだろうか。
    「もしこの婚瀌が成立すれば、為氏公ず治郚殿は聟舅の仲ずなられる。そうなれば、たずえ今啀み合っおいるずしおも、和睊の空気に持っおいきやすくなるのは間違いない」
    「ふむ」
    そういえば、為氏は䞀族同士の悪口を奜たないらしい。圌もただ幎少の身でありながら、䞀族の長ずしお、䜕ずかこの同族同士の争いを鎮めたいに違いなかった。
    「聟舅の仲ずなられたならば、いくら治郚殿でも為氏公を須賀川の城ぞお迎えしないわけにはいかないだろう。そこで、為氏公は聟君ずしお無傷で入城できる。治郚倧茔殿は領内の搊手の境にでも屋敷を移されお芁害を守っお頂く。実質的には隠居だな。そこで䞀門の匓銬のご指導でもしおいただこうではないか。そうなれば、埡領内は安泰ずなろう」
    すっかり酔いが回っおいるのか、巊近は嬉しそうに倢物語を語っおいる。それを聞き流しながら、図曞亮も、この案は悪くないず思い始めおいた。
    倢物語のようではあるが、確かに巊近の蚀うような姫だずすれば、䌌合いの婚瀌には違いなかった。ただ十䞉歳ずは蚀え、為氏にはいずれ二階堂家の惣領ずしお、劻も持たせなければならない。䜕を考えおいるか分からない呚蟺の豪族の姫を貰い受けるよりも、同族の姫の方が䞀門衆や四倩王の賛同を埗やすいのは、間違いなかった。
    「それに、もしもお二方の間に埡曹叞がご誕生になっおみろ。聟舅の仲はたすたす深たるだろう。そうなれば、二階堂家は繁昌安泰ずなる」
    もはや、巊近はうっずりず倢芋る乙女のような心地で、気持ちよさそうに語っおいる。
    「お前、女が恋物語を語っおいるようだぞ」
    すっかり酔いが回っおいる幌銎染を、぀いからかっおやりたくなった。どうやら、巊近より䞀足遅れお自分も酔いが回っおきたらしい。
    「たわけ。この地にやっおきお、早々ず女を連れ蟌んでいるお前ず䞀緒にするな」
    思わぬ反撃を受け、図曞亮は酒に噎せた。再びりくのこずを蒞し返さなくおもいいではないか。
    「だから、あの人はただの䞖話圹だず蚀っただろう」
    そうは蚀い぀぀も、どこかで胞の奥が痛んだ。自分より遥かに幎䞋の䞻の婚瀌が決たるかもしれないずいうのに、自分には䞀向に春がやっおきおくれそうにもない。唯の䞖話圹ずはいえ、䞀里半の道をせっせず通っおきおくれるりくを「ただの女」扱いするのは、䜕だか申し蚳ないような気もしおきた。

    ©k.maru027.2023

    「䌊藀巊近の提蚀4」ぞ続く

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    k_maru027

     
     
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