
#12 みつぴー星人と「運動能力」
みつぴー星人(2歳)は小石を投げるのが好きだった。
近くの河原を散歩すると、小石を拾っては延々と川に石を投げた。
延々と投げる、2時間投げる。
彼の周りから手ごろな小石が無くなった頃、お帰りとなる。
そんな姿を見ていた私は、「こいつ将来は野球選手になるかも」と期待を膨らませたものだ。
小1の時、グローブ・バット・ボールの3点セットを誕生日にプレゼントし、みつぴー星人とキャッチボールをしてみた。
想像に反し、どんなにみつぴー星人に投げ方を教えても、彼はボールは遠くに投げられなかった。見ていると、とにかく手首が柔らかい、タコのようだ。彼は手首を使ってボールを押し出せなかった。みつぴー星人の体はプヨプヨなのである。
次に、問題となったのが、パパが投げたボールを絶対に取らないことだ。
パパが下から投げようが、緩く投げようが100%ボールを避ける。もう、本能レベルで避ける。そう、みつぴー星人は精神的にヘタレなのである。
こうして、親子キャッチボールと野球選手の夢は、はかない夢となった。
次に、野球が駄目ならと、近所のサッカー教室に通わせてみた。
すると彼は、練習試合で驚くべき行動に出た。
彼は、ボールを追っても、取れない、蹴れない、に業を煮やし、コート中で動くのを止めた。そして泣きじゃくり、指をさして他の子供たちに文句を言い始めたのである。
「コート内、ヤジプレイヤー」彼は新しいジャンルを確立した。
こうして、サッカーの先生からも、ちょっと向いてないかもしれませんね、という、誰の目から見ても正しいご意見を頂きサッカー教室を後にした。
ここまでくると、みつぴー星人は運動音痴であると、親として理解するのだが、唯一彼が才能を発揮した運動がある。
自転車だ。
なんと彼は、1ヶ月の練習で自転車に乗れるようになった。
これにはパパも驚いた。私だって自転車に乗れたのは小2だったことを記憶しているし、相当転んで練習した記憶がある。
それをみつぴー星人は、ケガすることも転ぶこともなく小1の夏にはスーッと自転車に乗れるようになった。
その姿を見た私は、人には、何が向いていて、何が向いていないかはやってみないと分からないものだと教えられたものである。
翌年、みつぴー星人は、自転車に乗れなくなっていた。
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次回作もお楽しみに。
■大谷川一聡の作品
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