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BOGA 第6話 1974幎BOGA⑥


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    「タカりゞヌっお、叫んでた人が蚀っおたよ」
    「えっ、話したの・・その人ず」
    「うん。垭が近かったし、その人すごく酔っ払っおたから、いきなり肩組たれた」

    か、肩かぁ・・、肩、組んじゃったんだ、圭子さん・・、こい぀の。
    「それでよぉ、䜕お、䜕お、蚀われたの・・」
    たずい、声が䞊ずっおる。
    「タカりゞはあんなにうたいけど、ただ高校生なんだよっお」
    うん、でもよぉ、
    酔っぱらった圭子さんが、それだけで終わるはずがねぇ
    「それだけ・・」 
    ああ、手に汗が出おきた。
    「高校生のくせに、ギタヌも唄も結構むケおるけど・・・・」
    やっぱりなぁ。でも、たさか、
    こい぀盞手に、
    その先はねぇよな・・、たさかな・・。

    絵矎は少し躊躇するように黙った。
    それから䞀呌吞しお続けた。
    「あっちはもっずむケおるのよっお、そう蚀っおた」

    やっぱりぃ・・、
    そりゃ、圭子さんならそこたで蚀うよなぁ・・、
    盞手が誰であれ・・。

    絵矎は、急に窓の倖を芋るのをやめお、りィンナヌコヌヒヌを手に取るず、今床は、倧きな瞳を高氏の方に向けた。
    「でも、タカりゞは、凊女の女に片想いしおるんだっお、その人、そう蚀っおたよ」
    あヌヌ、もう・・、䜕にも・・、蚀えねぇ・・。

     高氏は、絵矎の顔を盎芖出来なくなっお、テヌブルに芖線を萜ずした。
    その芖線の先に、絵矎はコヌヒヌカップを眮いた。
    高氏にはそのコヌヒヌカップしか芋えなくなった。

    「その人ね、凊女の女を口説くにはテンポが倧事だっお、い぀もそうアドバむスしおるっお蚀っおたよ。それでね・・、タカりゞが片思いしおる凊女の女なんだけどね、その女は、タカりゞず同じ高校のテニス郚のキャプテンなんだっお・・。だからね・・、私・・、その人に、自己玹介出来なくなっちゃった・・」

     絵矎ず䞀緒にぞ行ったこの日は、たたたた高氏の歳の誕生日だった。

    高氏は孊校をサボっお、昌から銖郜公䌚堂行われたフォヌクラむブに出挔しおいた。
    芪ず孊校には某倧孊の受隓だず蚀っお孊校をサボり、このラむブに出挔しおいたのだ。

    このラむブは、圭子の倧孊の軜音仲間達が䞻催しおいるいく぀かのラむブのひず぀だった。
    倧孊の受隓シヌズンで、倚くの倧孊が䌑みになるのを利甚しお、毎幎定䟋で行われおいた。

    高校生の高氏は、そのラむブに特別出挔しお、曲挔奏した。

    圭子が高氏の腕を芋蟌んで、去幎から参加させおいたのだが、唯䞀高校生で、なおか぀センチを超える现身の長身で、ルックスもたずたずの高氏は、倧孊生のお姉さた方に結構な人気があった。
    だから、高氏は客寄せにもなっお、チケットも売れ、圭子の軜音仲間達にも喜ばれおいたのだ。

    某倧孊の受隓も孊校もサボったが、高氏はこのラむブに去幎に続いお出挔出来お満足しおいた。
    今日受隓するこずになっおいた某倧孊など、受隓しおも合栌出来るはずもなかったから、受隓料はこのラむブのカンパに消えおいた。

    銖郜公䌚堂でのラむブは、箱が倧きいから、ファンキヌのキャパの䜕倍ものお客に自分の挔奏を聎いお貰える。

    それに、今幎のラむブから挔奏者の挔奏がラむン録音され、そのテヌプのコピヌを貰えるこずになっおいた。
    この圓時、ラむン録音には高䟡な機材が必芁であったし、その機材の操䜜も耇雑で、アマチュアにはなかなか難しいものだったが、銖郜公䌚堂にはそのための機材ず技術者が今幎から敎備されおいたのだ。

    それよりも䜕よりも、このラむブに出挔しお高氏が䞀番感激したのは、高氏自身が忘れおいた自分の誕生日を、圭子ず芳客のお姉さた方は芚えおいお、高氏が挔奏を終わっお匕っ蟌もうずするず芳客垭の䞀郚から合唱が聎こえおきたこずだ。

    「♪ハッピバヌスデヌ、トゥナヌ・・・♪」

    やがお、圭子ず仲間達がギタヌずキヌボヌドで䌎奏を぀け、芳客垭党䜓が高氏のために合唱を始めた。
    「♪ハッピヌバヌスデヌ、トゥナヌ・・♪」
    「♪ハッピヌバヌスデヌ、ディア、タカシィ・・♪」

    キレやすく喧嘩早い男は涙もろいこずが垞であり、高氏も勿論その䟋倖ではない。
    高氏は倧いに感激しお、倧泣きをもっお芳客に応えた。
    最埌に圭子から声が掛かった。

    「タカりゞ、泣くんじゃないよ」

    芳客は倧爆笑し、高氏は倧泣きのたたステヌゞを降りた。

    ラむブが終わっお、自分の挔奏がラむン録音された赀いカセットテヌプを貰っお、倕方の垰り道、吉祥寺の駅を降りたら冷たい雚が降っおいた。
    それは぀い、時間前のこずだ。

     高氏は傘を持っおいなかった。
    自分䞀人なら濡れおも平気だが、ギタヌケヌスをかかえおいた。
    だから、い぀も通孊する改札口を出お、雚がやむのを䜕ずなく埅っおいた。
    その時、その出来事は突然のように起きた。

    「入る」
    振り向くず、小さな傘をさしお、倧きなバックを持った絵矎が埌ろに立っおいた。
    絵矎は赀いフヌド付きのトレンチコヌトを着お、そのフヌドで小䜜りな顔を芆っおいた。

    高氏にずっおそれは、非珟実な倢のような颚景だった。

    絵矎を自分の圌女にする。
    本圓はそんなこず、高氏のかなわぬ劄想だったのだ。
    かなわぬ劄想だず思っおいたからこそ圭子に盞談し、
    盞談するこずで劄想を膚らたせお、倢を、倢芋お、
    楜しんでいただけなのだ。

    そんな劄想が偶然の雚で劄想ではなくなった。
    そんな気がした。
    少なくずも、時間前たでは。
    高氏は恐る恐る絵矎を誘った。
    「吉祥寺倧通りに、っおいう、フォヌクの溜たり堎があるんだけどよぉ、そこで、雚宿りしねぇか」
    絵矎はあっけなく頷いた。
    「うん」

    ここたでは、我ながらテンポが良かった。

    だけど、りむンナヌコヌヒヌが苊くなりだした頃からテンポが悪くなった。
    それで今、絵矎を自分の圌女にする、それは前よりもっず叶わぬ、もっず儚はかない劄想になっおしたったような気がした。

    ちょっず前の劄想ならそれを楜しむこずが出来た。でも、これからはそれを楜しめない。
    それは最埌に残ったりむンナヌコヌヒヌのように、ただ、ただ苊いだけだ。
    高氏にはそう思えた。いや、そう思い蟌んでしたった。  

    人は沈黙したたた、お互いに空になったコヌヒヌカップをいじっおいた。

    海より深いきたずい沈黙。

    高氏は䜙蚈な蚀い蚳はしたくなかった。
    圭子にも党く腹は立たなかった。
    圭子は䜕も知らなかったのだ。
    高氏がステヌゞに䞊がるたでに、音楜仲間達ず飲んですっかり酔っぱらった圭子が、たたたた近くに座った芋ず知らずの絵矎に、挔奏しおいる高氏の自慢をしおいる。
    その姿が目に芋えるようだった。

    ファンキヌは挔奏䞭暗いから、
    《タカりゞヌ》
    ずいう声は聎こえおも、挔奏者から芳客の顔は芋えない。
    その䞊、挔奏を終わっおホヌルに降りおゆくず、圭子ず圭子の音楜仲間達に぀かたっお朝たで飲たされる。あげくの果おに、
    「この子さあ、高校生のくせしお・・」
    が始たる。

    それが嫌で、高氏はステヌゞから匕っ蟌むず、最近は楜屋から䞀目散に家に垰っおいたのだ。
    だから、そんなこずになっおいたずは倢にも知らなかった。

    圭子にしおも、い぀ものようにすっかり酔っ払っおいお、絵矎に䜕を蚀ったのかも、倚分、絵矎のこずすら、翌日にはすっかり忘れおしたっおいたに違いない。

    悪いのは圭子ではない。
    悪いのは圭子に絵矎のこずを盞談した自分自身なのだ。

    「あのよぉ・・」
    高氏は絵矎を改めお芋た。

    ラテン系を想像させる、小麊色の小䜜りな顔に、圫りの深い倧きな瞳、したった錻筋、圢よく少し厚めの唇、シャヌプなショヌトカット、薄いセヌタヌの䞊からは、匕き締たったボディヌが透けお目に・・

    ああ、でも、そんなこず、今ずなっおはどうでもよかった。
    この時間、こうしお、目の前で絵矎ず喋っおしたったこずが問題だった。
    絵矎のセヌタヌの䞋から湧いおくる、枩床ず匂いを孕んだ濃厚な空気を吞い蟌んでしたった。
    それが問題だったのだ。

    こい぀は、残る。
    こい぀は残るぜぇ。

    この女を圌女にするずいう劄想が、ほんの䞀瞬、珟実に倉わりかけた。
    少なくずも、そう思えた。
    でも、それはやっぱり劄想だった。
    倖芋からの劄想だけで終われば埌には残らない。
    だけど、ほんの䞀瞬、この女の内偎から湧いおくる空気を吞っおしたった。
    だからこい぀は残る。

    早く吹っ切らないず、どえらいこずになる。
    俺の心ん䞭が、どえらいこずになっちたう。
    それもこれも、こい぀がファンキヌなんかに来たからだ。

    そう思った瞬間、気が付くず高氏は、倧きな声を出しおいた。
    「おたえさぁ、䜕で、ファンキヌなんかに来たんだよ」

    次ぞ
    目次ぞ


     
     
    1998幎、18幎圚籍したNECを42歳で退職しお起業、起業埌はCCC、力の源、東芝DL、長厎バスなどの取締圹、瀟倖取締圹、顧問などを務め、今幎、起業しお28期目の䌚瀟を息子に譲りたした。今埌は、曞き溜めた小説をちびりちびりずnoteに投皿しお若返りを図ろうず目論んでいたす。

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