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最新AIの知識量は“博士レベル”。技術の疑問はAIに聞けばOK

    1.はじめに

    私は現在、特許事務所で働きながら、職場で生成AI(主にChatGPT)の活用を推進しています。

    生成AIは現段階でも十分に有用と思いますが、その活用を周囲に普及させることには苦労しています。

    というのも、仕事のスタイルは人それぞれ。使い方を紹介されても自分の業務に落とし込むのが意外と難しいのかもしれません。

    ネットでは生成AIの活用事例として「文章要約」「議事録作成」「コーティング」などが挙げられますが、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。


    ◾ 分からない技術を聞く

    そこで本記事では、私が推奨する最もシンプルかつ有用な生成AIの活用方法をご紹介します。

    それは「技術的に分からないことをAIに聞く」。
    ただ、それだけです。

    我ながらバカバカしく聞こえます。
    しかし、生成AIの活用事例は「業務をAIで代替してコスト削減」といういわば横展開がほとんどです。

    もちろん、それはそれで有用ですが「生成AIでスキルを強化し、業務の質を向上させる」という縦の展開の方が私は可能性を感じます。

    生成AIに詳しい人には目新しい内容ではありませんが、当たり前すぎるせいか意外とネットに情報が少ないのでここにまとめます。


    2.最新の生成AIの実力

    ChatGPTの最新モデル(「o1」、「o3-mini」)は、理系分野では博士レベルの知識を持つとされています。

    個人的には「o1」が最も良いと思いますが、無料プランでも使える「o3-mini」も高性能と思います。なお、無料プランで「o3-mini」を使う方法はこちら。

    この「o1」は、「GPQAダイヤモンド」という、生物・物理・化学の難問からなるベンチマーク(詳細)で、博士号保持者を上回っています。

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    出典:Open AI ホームページ、筆者が一部加工

    また、「o1」は、日本の医師試験や薬剤師試験にも合格できると確認されています(詳細1、詳細2)。

    これらはあくまでペーパーテストで、「人間の専門家より賢い」とは言えませんが、業務で技術的な疑問をぶつける相手として非常に優秀であることは間違いありません。


    ◾ ハルシネーションも許容水準

    生成AIを普段触らない人は「昔ChatGPTを使ったらデタラメばかりだった」という印象で情報が止まっているかもしれません。

    しかし、今ではモデルの進化で、理系の技術分野に関しては実用的な精度です。デタラメ(ハルシネーション)もありますが、概ね許容できます。

    なお、法律、税金、国の制度といった文系・社会系の知識は少し怪しいです。特に日本特有の制度や、最新の情報に関しては注意が必要です。


    3.実際に質問してみた

    では、実際にモデル「o1」に専門的な技術を質問してみましょう。今回のテーマは、私の専門であるバイオ分野から、「抗体断片」に関する質問です。

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    ◾ 驚くべき完成度

    まず注目したいのは回答の正確さです。
    私が確認した限り、特に誤りのない信頼できる説明です。情報量も多く、構造だけでなく製法や応用例も網羅しています。

    バイオ系の大学生がネットを駆使してもこの完成度は難しいでしょう。「詳しい人がまとめた」と言われても納得する内容といえます。


    ◾ 単なる情報提供では終わらない

    とはいえ、単なる情報の提示であれば、ネット検索でも時間さえかければ可能です。しかし、生成AIの真価はむしろここからです。

    • 「じゃあ、Fab断片とscFvの違いは?」

    • 「通常の抗体に対するメリットは?」

    • 「難しいから大学1年生レベルで説明して」

    こうした様々な角度から追加質問を繰り返して深掘りできる点が、生成AIの強みです。

    また、自分なりの考えを入力し、誤りがないかフィードバックをもらうこともできます。以下では、あえて間違った文章を入力しましたが、間違っていることとその理由を指摘してくれています。

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    こうした質問やフィードバックを繰り返すことで、効率的に技術理解を深めることができます。


    4.具体的にどう業務で活かせる?

    高い知識レベルを持つ生成AIですが、実際の業務でどう使えばいいのでしょうか?

    まず技術職の方ですが、専門領域に関しては生成AIよりも詳しく理解しているでしょう。しかし、周辺領域についてはあまり深く理解せずなんとなく進めている…というケースも多いのではないでしょうか?

    そんなときこそ、生成AIが力を発揮します。
    「この測定装置、原理をもっと深掘りしたい」「横の部署の人の作業は何のためにしてるのか」といった素朴な疑問を解消する手段として、有効です。

    また、「化学屋だけど数学だけはどうしても苦手で…」というような人は、苦手分野は生成AIに任せて人間と生成AIの協働で弱点を克服できます。

    もちろん、ハルシネーションのリスクはあります。
    特に、資料を参照しないで答えるせいで細かい情報(数字や化合物名など)は怪しいです。また、知らない情報を知ったかぶりをする悪癖があり、専門性が高すぎる内容や最新技術は要注意です。

    言うなれば、なんでも答えてくれるけれど、時々適当なことを言う。"鵜呑みにできないけど頼りになる先輩"といった存在です。


    ◾ 技術職以外にも、広く役立つ

    技術の理解が必要なのは、なにも技術職だけではありません。

    • 営業職:製品の技術的特徴を把握して的確に提案

    • 総務:ITシステムの仕組みを把握して有効活用

    • 経営層:自社や取引先が扱う技術の本質を把握

    このように、現代のビジネスにおいては職種によらず技術知識が武器になります。

    生成AIの業務活用というと「自動化でコスト削減」という事例が多いです。しかし、生成AIの知識を活用して仕事の質を上げるという方向性も、高い付加価値を出せるのではないでしょうか。


    ◾自身の経験

    私自身の経験でいうと、生成AIを弁理士業務に活用した結果、新しい技術を理解するスピードも理解の深さも格段に上がりました。大げさに言うと、生成AIで脳が拡張したような感じです。

    その結果、技術者とより高度な議論ができるようになり、また今まで経験にない新しい技術分野でも自信を持って受けられるようになりました。

    いきなり"生産性が爆上がり"とは行きませんが、仕事の質は上がっており、数年単位で見れば大きな差になると思います。


    ◾ でも限界はある

    ここまでいくと「もう人間に高度な知識は要らないのでは?」となるかもしれませんが、さすがにそれは誤りです。

    生成AIが凄いのはあくまで知識量であり、より実践的な作業、例えばデータの解釈や実験系の構築などはそこまでの性能ではない印象です。

    また、人間側に知識がないと有意義な質問を考えること自体が難しく、ハルシネーションのチェックもできません。

    それでも、生成AIの癖を理解し、その膨大な知識量を上手く活用すれば業務に役立てられる機会は多いのではないかと思います。


     
     
     
    万博の話ばかりしています。本業は特許事務所に勤務する弁理士で、メーカーの開発した技術を特許化するための支援を行っています。専門は化学とバイオです。 このnoteでは、万博の情報と科学知識を紹介していきます。

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