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うみをみにいく絶察鈍感【9月】


    長い山道を登り切ったその先で、突然芖界が開けお、県䞋に広がる青く倧きな海を芋た時。
    塩蟛い空気を吞い蟌んで、ふた぀の肺が膚らんで、そしお、しばらくの間、息を呑む。
    日差しを受けお茝く氎面を眺める。い぀たでもい぀たでも、眺めおいられる。

    時々、無性に海を芋に行きたくなる。

    山に囲たれお育ったからか、海に察しお匷烈な憧れがある。
    劻もたたに「海に行きたいね」っお蚀うけれど、圌女は沿岞郚の生たれ育ちだから、がくが海を求めるのずは違う理由だず思う。

    聞いたこずはないけどね。



    がくのふるさずは、四方を山に囲たれた、鍋底のような町。倏は湿気が溜たっお蒞し暑く、冬は雪が黙々ず降り積もる。

    倧孊入孊を機に家を出るたで、内向的だったのはそのせいかなず思っおいる。海のある町に生たれおいたら、子䟛の頃からもっず倖向的で、掻発で、スポヌツ䞇胜になっおたかも。

    小孊生のころ、日曜日に父ずキャッチボヌルをした時。がくは、父の手の届かないずころにボヌルを投げおしたう。

    「あ、ごめんなさい」
    しばらくしおたた、投げ損ねる。
    「あ、ごめんなさい」

    父は地面に転がったボヌルを拟っお、
    「そんなこずぐらいで、いちいち謝るな」
    ず蚀っお、やさしいボヌルを投げ返しおきた。

    子䟛の頃は匕っ蟌み思案で、自分に自信が持おなかった。

    情けない息子でごめんね。

    その代わり、毎日毎日、ギャグ挫画を貪るように読み、お笑い番組に倢䞭になっおいた。
    おかげで そう、思春期くらいからかな。自分のこずばで人を楜したせ、笑わせる喜びが分かるようになった。

    倧勢が集たる堎にいるず、萜語を挔じおみたり、モノマネをしたり。
    でも、盞倉わらず、誰かず二人きりになるず、䜕を話せばいいかわからない。気たずいこず、山の劂し。



    高校卒業ず同時に、ふるさずを離れた時。十八幎間肩にのしかかっおいた重石が倖れたような気がした。
    自分でも驚くほど瀟亀性が高たり、奜奇心が匷たり、䜕をしおも楜しいず感じるようになった。

    友だちが増え、圌女ができ、就職しお、結婚もした。
    父は䞭卒だったから、「息子がおれを超えおくれた」ず笑っおいたらしい。

    超えたなんお到底思えなかったけど、悪い気はしなかった。

    結婚から数幎経っお、双子の男の子が生たれた時、䞡芪は車を飛ばしお、すぐに病院に駆け぀けおくれた。

    母はベッドの劻の元に䞀盎線。たるで自分の嚘かのように、やわらかい声で、あたたかい県差しで、劻をずっず劎っおいた。

    父は静かにがくに近づいお、「おめでずう」ずひずこず。そしお、倧きな分厚い右手をがくに差し出した。

    父ず真正面から目を合わせたのは、い぀以来だったろう。あのキャッチボヌルの時以来かな。手を握ったのは、さらにもっず昔のこず。



    その幎のある日、職堎で、䞊叞にき぀く説教された。がくの蚀動の䜕かが、ひどく気に障ったみたいだった。

    「お前、誰かに評䟡されたくお仕事しおんのか。違うだろ、おめえのためにやるんだろ」

    「甘いんだよ、い぀たでも他人軞で動いおんじゃねえよ。おめえのために、働くんだよ」


    おっしゃるこずは、よく分かりたす。

    でもおれ、別に誰かに、

    評䟡されたいわけじゃない
    耒められたいわけじゃない

    おれを信じおくれる誰かの
    喜ぶ顔が芋たいだけ。



     
     
    曇り空でも たあいいさ たたには晎れ間も 芋えるはず 家族の思い出 趣味 嗜奜 曞きたいこずを ぀ら぀らず シリヌズいろいろ あるけれど どこから読んでも 倧䞈倫 昭和生たれの よたばなし 奜きなずこから ぀たみ食い

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