アンタが思うべき真の問題|シロクマ文芸部|借りた本
(777字)
借りた本を見て、買った本を思う。
図書館の特集棚で見た。
面白そう、と借りた。
部屋でハッと本棚を見た。
同じ本を持っていた。
借りた本を読んでいて、返した本を思う。
(っていうか、前のちゃんと返したよね?)、
自信は……ない。
部屋の棚には……ない。
地域図書館のオンラインサービスにログインし、「借りている本」欄に……ある。
ン?!
ってことは、僕が持ってどっかに……ある。
借りた本をじっと見、貸した本も思う。
手には、誰かから借りた本。
かれこれ数年。
会わなくなる直前のぼくの心境を鑑みても。
今の関係性(の無さ)をを鑑みても。
わざわざコンタクトを取り、持ち主に返す機会は、もうなさそう。
(ってか。
貸したって、忘れているっしょ。)
そういうぼくは、別の人に貸した本を一冊ずつ今でもはっきり言える。
また、貸した相手の方からこの先、ぼくに詫びてきて返すことを、心のどこかで望んでいる。
借りた本が、忙しかったり億劫だったりで読めず日にちが経つ中、めちゃくちゃ迷った挙句その時図書館で借りなかった本を思う。
ときに人は「選んだもの」より「選ばなかったもの」に執着する生き物。
ぼくも例外じゃない。
どうしてあれ借りなかったかぁ……、
あんな魅力的な本を……、
とたんに仕事が手につかなくなる。
その日午後、ぼくは理由をつけて急きょ仕事を休み、急いで図書館へ向かった。
棚へ走る。
背表紙と再会。
(あったぁ、良かった……!)
カウンターへ向かう。
待たせたね。
今日残りの時間ほとんどを使って、きみの鑑賞としゃれ込もう……!
「あ。3冊、お返しいただけていない本がありますね……、
あいにく本日お貸し出しができないですね……」

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