
伴奏者に必要なのは、ノーミスではない。
SNSで「ピアノ未経験だけど伴奏に挑戦します」という投稿をよく見かけます。
秋の合唱コンクールに向けて、伴奏者を決める時期のようです。
挑戦する気持ちは、素敵だと思います。
でも、伴奏経験者としては、つい思ってしまうのです。
「1か月で……?」
私はかつてピアノ伴奏を務めていました。
息子も小1からピアノを始め、小5で合奏の伴奏、中学では3年間、合唱コンクールの伴奏を務めました。
だから知っています。
伴奏は、「1曲弾けるようになる」だけでは終わらないということを。
楽譜を読む。
歌に合わせる。
指揮を見る。
テンポを保つ。
そして、本番では何があっても止まらない。
学校行事とはいえ、本番は一度きりです。
伴奏者は、クラス全員の歌を支える役目でもあります。
私が伴奏を通して学んだのは、実はピアノの技術だけではありませんでした。
コンクールで思うような結果にならず、責任を感じたこともあります。
練習してもなかなか上達せず、理不尽だと感じた経験もありました。
それでも、本番の舞台で教わったことがあります。
間違えても、止まらない。
最後まで、音楽をつなぐ。
それが、伴奏者の仕事でした。
これは、仕事にも似ているなと思います。
誰でもミスはします。
本当に信頼されるのは、ミスをしない人ではなく、
慌てずに立て直し、周りと協力しながら最後までやり切る人。
伴奏で身についた力は、社会に出てから、案外役に立っています。
学校の合唱コンクールとはいえ、一つのステージでした。
伴奏者は、ステージを止めない役割を担っています。
私は、未経験で挑戦する人を否定はしませんし
伴奏は「ピアノが弾けるかどうか」だけではないことも、知っています。
The show must go on.
あの日の伴奏で学んだのは、ピアノではなく、「止まらずに最後までつなぐ覚悟」だったのかもしれません。