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【022】 オマリーの六甲おろし

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    (*写真はスズメ目ツグミ科トラツグミ属トラツグミ、別名:鵺ぬえ)

    六甲颪ろっこうおろしに 颯爽さっそうと
    蒼天そうてん翔かける 日輪にちりんの
    青春せいしゅんの覇気はき 美うるわしく
    輝かがやく我わが名なぞ 阪神はんしんタイガース
    『阪神タイガースの歌』(作詞:佐藤惣之助)

    1994年発表の『オマリーの六甲おろし』。疲れた体に一服の清涼剤となること間違いなし。ぜひ聞いて欲しい。

    ところでタイガースは、なぜタイガーズ⚫︎ではないのか?

    これは大和言葉(簡単に言えば訓読み)の法則に準じて、日本人に発音しやすいようにしているのである。その法則とは「連濁れんだく」である。

    連濁とは、大和言葉が二つ合わさって一つの単語になるときに、後ろの語(後部語こうぶごと命名する)の最初の音がカ・サ・タ・ハ行の場合に濁音化する現象のこと。

    しかし先の語(前部語とする)と後部語にすでに濁音が含まれている場合は連濁は起きない。一つの単語に二つ以上の濁音が入ることを嫌うのだ。また前部語の最後の音が促音(っ)の場合も連濁しない。

    苗字で考えてみよう。

    【連濁する】
    ・武田たけだ・織田おだ・真田さなだ・前田まえだ・今川いまがわ・徳川とくがわ・島津しまづ・立花たちばな・松平まつだいら・最上もがみ・北畠きたばたけ・榊原さかきばら

    【連濁しないパターン1】
    ・上杉うえすぎ・柴田しばた・渋川しぶかわ・水原みずはら・鈴木すずき・長坂ながさか・鍋島なべしま・藤田ふじた・柳沢やなぎさわ・小早川こばやかわ

    【連濁しないパターン2】
    ・吉川きっかわ・新田にった・堀田ほった

    ただし例外も多い。濁音含みの萩原はぎわら、荻原おぎわら、藤原ふじわらは、なぜハラではなくワラなのか? なぜ朝倉はアサグラではないのか? なぜ豊臣はトヨドミではないのか? 

    柳田國男は「ヤナギダ」と呼ばれると、都度「ヤナギタ」であると訂正していたそうだ。これはパターン1の通り、柳やなぎにすでに濁音を含んでいるので連濁しないのである。

    それとは別に、関西では連濁しない、関東では連濁する、という傾向もある。私は関東出身だが、仕事の関係で大阪に住んでいたことがある。新しい社員の中田さん、関西人は「なかた」と決めつけて呼んでいた。私は本人に確認が必要かと思っていたが、関西人には連濁しないのが標準のように感じたのだ。

    石川出身の深田久弥はフカタ、三重出身の福田アジオはフクタが正しい。

    日本人は、一つの単語に濁音が二音以上あることを嫌う。だからタイガーズではなくタイガースなのだ。スパイダースもその論理だろう。

    しかしドリフターズやドラゴンズはどうなる? 
    これを研究しようと思ったら一生かかるだろうから、この辺りでおしまいにしよう。

    余談ではあるが、ジェームズ・ディーン主演映画の『ジャイアンツ』。原題は Giant(巨人)の単数形である。一つしかない巨大油田の通称が Giant であり、複数形にする理由が全くない。邦題をつけた人が巨人ファンだったに違いない。そう考えている。

    次はスワローズを見てみよう。

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    Amazon Kindle でトリに関する本や写真集を出版しています。 昭和後期のサブカルチャーの研究をライフワークにしています。

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