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『現場改善日記』 ♯016~♯020 店長から「現場経営者」へ ~利益・信頼・未来をつくる5つの視点~



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    店長になると、本当にいろいろなことを考えます。

    売上を上げる。
    経費を抑える。
    人を育てる。
    お客様に喜んでいただく。
    そして、利益を残す。

    目の前の仕事だけを見れば、「今日の店を回すだけでも大変だ……。」と思う日もあります。

    私自身も、現場にいた頃は何度もそう感じました。

    でも、長く現場に関わる中で、少しずつ店長という仕事の見え方が変わってきました。

    店長とは、単に「店舗を管理する人」ではない。
    そして、「今日の売上だけをつくる人」でもない。

    利益を残す。
    お客様から信頼される。
    人を育てる。
    次の売上を育てる。
    そして、現場の未来をつくる。
    本来、そこまでを考える仕事ではないのか。
    そう思うようになりました。

    だから私は、「現場責任者」よりも、「現場経営者」という言葉の方がしっくりきます。

    今回は「現場改善日記」#016~#020から、店長から「現場経営者」へ視点を広げる5つの考え方をご紹介します。

    #016 |経費削減は、一度「止めてみる」

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    経費を見直そうとすると、「でも、これは必要だよな……。」となかなか減らせないことがあります。

    昔から契約しているもの。
    長い間使っているもの。
    毎月、当たり前のように支払っているもの。
    一度「必要」と判断された経費は、その後、見直されにくくなります。

    でも、現場も商売も変わります。
    以前必要だったものが、今も本当に必要とは限りません。

    そこで私が一つの方法として考えていたのが、「一度、止めてみる」ことです。

    もちろん、安全やお客様へのサービスなど、必要不可欠なものを何でも止めるという意味ではありません。

    まず、「なくても本当に困らないものはないか?」を探してみる。

    そして、判断がつかないものは、期間を決めて一度止めてみる。
    例えば3カ月。

    すると、「なくても、まったく困らなかった。」というものが見つかることがあります。

    逆に、「これはやっぱり必要だった。」と分かることもあります。
    それなら戻せばいい。

    大切なのは、経費を削ることではなく、必要かどうかを確かめること。です。

    経費削減というと、「使わない。」「我慢する。」という話になりがちです。
    でも、それで現場そのものが弱くなってしまったら意味がありません。

    ムダを減らして生まれた余力を、
    人材育成。
    販促。
    設備改善。
    新しい取り組み。
    など、未来の売上や利益をつくるところへ使う。

    そのための経費改善だと思っています。

    止める。
    試す。
    そして、見直す。

    その繰り返しによって、本当に必要なお金の使い方が見えてきます。

    現場CHECK POINT
    「昔から払っているから」という理由だけで、続けている経費はありませんか?

    関連対応記事:『現場経営論60』
    53「利益は『売上』と『経費』の掛け算」
    54「やめる勇気が利益を生む」

    #017 |売上より、利益。利益より、信頼。

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    商売を続けるために、売上は必要です。利益も必要です。
    売上がなければ、利益は生まれません。
    利益がなければ、会社や現場を守ることができません。

    でも、長く商売を続けることを考えた時、もう一つ大切なものがあります。

    それが、お客様の「信頼」です。

    「あの店なら安心できる。」
    「困ったら、あの店へ相談しよう。」
    「あの人なら、きちんと対応してくれる。」
    そんなふうに思っていただけること。

    これは、一日や二日ではつくれません。

    約束を守る。
    困っている時に話を聞く。
    売ったあとも親身になって対応する。
    必要のないものを無理にすすめない。
    そうした小さな行動の積み重ねの結果です。

    私は、その信頼が積み重なったものが「ブランド」だと思っています。

    ブランドというと、大企業や有名店だけのものに感じるかもしれません。
    でも、地域に一店舗しかない店にも、立派なブランドがあります。
    「あの店だから行く。」
    「あの人がいるから相談する。」
    そう思っていただけること自体が、その店のブランドです。

    売上は、今日の数字。
    利益は、現場を守る力。
    そして信頼は、未来の売上や利益を生み出す土台。

    だから現場経営では、「いくら売ったか。」だけではなく、
    「お客様に、どんな店として記憶されているか。」
    まで考えることが大切だと思っています。

    現場CHECK POINT
    あなたの店舗は、お客様からどんな店だと思われているでしょうか?

    関連対応記事:『現場経営論60』
    20「買うか買わないかはお客様が判断すること」
    59「価格ではなく“物語”で選ばれる」

    #018 |価格で選ばれる店より、信頼で選ばれる店

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    商売をしていると、「あちらの店の方が安い。」「もう少し値引きできないの?」と言われることがあります。
    もちろん、価格はお客様が選ぶ大切な要素です。

    でも、価格だけで選ばれる店には、弱さもあります。

    もっと安い店が現れれば、そちらへ移られてしまう可能性があるからです。

    だから私は、
    「価格で選ばれる店」より、「信頼で選ばれる店」を目指したいと思っていました。

    そこで大切にしていたことの一つが、「御用聞き」です。

    「何かお困りのことはありませんか?」
    「前回の商品、その後どうですか?」
    「何か気になることはありませんか?」
    売る前に、聞く。
    売った後にも、聞く。

    困っていることがあれば、自分たちにできることを考える。
    その場で分からなければ、調べる。
    必要であれば、詳しい人へつなぐ。
    そして、売ったあとも忘れない。

    こうしたことを繰り返していると、「この店なら相談できる。」という関係がお客様との間に少しずつ生まれてきます。

    ここで大切なのは、その場ですぐ売上にならなくても構わない、ということです。

    今日は何も売れなかった。でも、信頼が一つ増えた。
    その信頼が半年後、一年後、「また、あの店へ行こう。」という理由になることがあります。
    さらに、「いい店があるよ。」と誰かへ紹介していただけることもあります。

    商売は、一回売って終わりではありません。

    「もう一度、あなたから買いたい。」と思っていただく。

    その積み重ねが、価格だけでは簡単に崩れない商売をつくっていくのだと思います。

    現場CHECK POINT
    あなたの店舗は、「安いから」ではなく、「あなたの店だから」と選ばれる理由がありますか?

    関連対応記事:『現場経営論60』
    10「『360度』の顧客を拾う」
    20「買うか買わないかはお客様が判断すること」
    59「価格ではなく“物語”で選ばれる」

    #019 |「今日の売上」より、「次の売上の柱」を育てる

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    現場責任者になると、どうしても今日の数字が気になります。

    今日の売上。
    今月の売上。
    今日の利益。
    もちろん、今日の数字をつくることは大切です。

    でも、管理職にはもう一つ仕事があります。
    それが、「次の売上の柱」を育てること。です。

    今売れている商品が、ずっと売れ続けるとは限りません。
    お客様のニーズは変わります。
    競合も変わります。
    市場も変わります。
    昨日まで売れていたものが、少しずつ売れなくなることもあります。

    だから、今の売上があるうちに、次の可能性を探しておく。

    新しい商品。
    新しいサービス。
    新しい仕組み。
    新しいお客様。

    最初から大きな売上を狙う必要はありません。
    小さく試す。
    反応を見る。
    改善する。
    また試す。
    そうやって少しずつ育てていく。

    今の商品が売れなくなってから、「次は何を売ろう?」と考えるのでは遅い場合があります。

    一方で、普段から小さな種をまいておけば、一つの売上が弱くなった時、別の柱が育ち始めているかもしれません。

    だから、管理職には、「未来の仕事」を探すアンテナが必要だと思っています。

    今日の売上を守る。同時に、次の売上を育てる。
    この両方を続けられる現場は、変化にも強くなっていきます。

    現場CHECK POINT
    今の現場に、半年後・一年後の「次の売上の柱」は育っていますか?

    関連対応記事:『現場経営論60』
    35「『今日のメシ』と『明日のメシ』」
    55「次の売上の柱を育てる」

    #020 |店長とは、現場責任者ではなく「現場経営者」です

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    売上を考える。
    経費を考える。
    利益を考える。
    人を育てる。
    お客様との関係を考える。
    未来の売上を考える。
    こうして並べてみると、店長という仕事は本当に幅広いものです。

    だから私は、店長とは単なる、「現場責任者」ではないと思っています。
    私がしっくりくる言葉は、「現場経営者」です。

    もちろん、会社全体の経営者と店長では、権限も責任も違います。

    でも、自分が任されている現場について、
    「どうすれば売上が伸びるか。」
    「どうすれば利益が残るか。」
    「どうすれば人が育つか。」
    「どうすればお客様から選ばれるか。」
    「半年後、この現場をどうしたいか。」
    と考えているのであれば、
    それはまさに、自分の現場を経営することだと思います。

    そして、現場経営で私が一番大切だと思っているのが、
    考えたことを「行動」へ変えること。です。

    売上を上げたい。では、何を変えるのか。
    経費を改善したい。では、何を止めるのか。
    人を育てたい。では、今日誰に何を任せるのか。
    次の売上をつくりたい。では、何を小さく試すのか。

    考えているだけでは、現場から答えは返ってきません。

    行動してみる。すると、
    お客様が反応する。
    メンバーが反応する。
    数字が変わる。
    うまくいかなければ、修正する。
    そして、またやってみる。

    私は、この距離の近さが、現場経営の面白さだと思っています。

    改善すれば、数字が変わる。
    教育すれば、人が育つ。
    挑戦すれば、新しい結果が返ってくる。
    自分たちの行動によって、目の前の現場が少しずつ変わっていく。

    だから私は、「現場経営が一番面白い。」と思っています。

    現場CHECK POINT
    あなたは、目の前の店を「管理」していますか?
    それとも、自分の現場を「経営」していますか?

    関連対応記事:『現場経営論60』
    60「店長という仕事は人の人生を変える」

    『現場経営論60』では、もう少し深く

    今回の5つも、『現場経営論60』の中にあるいくつものテーマにつながっています。
    今回は、その中から一つだけ。
    60「店長という仕事は人の人生を変える」をご紹介します。

    なぜ、このテーマなのか。
    店長の仕事を長く続けていると、
    「自分が今日、何件売ったか。」
    「自分がどれだけ仕事をしたか。」
    だけでは、店長の価値を測れないと感じるようになります。

    本当に大切なのは、「自分がいたことで、その現場に何が残ったのか。」ではないかと思うからです。

    人が育った。
    お客様との信頼が残った。
    利益が残る仕組みができた。
    次の売上が育った。
    そして、自分がいなくても成果を出せる現場が残った。

    そこにも、店長という仕事の大きな価値があると思っています。

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    こんな形で『現場経営論60』では、私自身が現場で失敗し、試し、考えてきた中から、「人が育ち、利益が残り、組織が強くなるための考え方」を60のテーマに整理しています。

    「今日の店をどう回すか」だけでなく、「この現場に、何を残すのか。」
    そんな視点で使っていただければと思っています。

    『現場経営論60 改訂版』


    最後に

    今回の記事を読んで、「もっと経営者のように考えなければ。」と難しく考える必要はありません。

    まずは明日の現場で、「いつもの判断を、一つだけ“経営する視点”で考えてみる。」
    それくらいでいいと思っています。

    例えば、
    何となく続けている経費を、一つ見直してみる。
    一人のお客様へ、売る前に話を聞いてみる。
    今日の売上とは別に、次の売上につながることを一つ試してみる。

    大きな経営判断でなくても構いません。

    店長という立場で、「この判断は、半年後の現場を少し良くするだろうか?」と一度考えてみる。

    それだけでも、目の前の仕事の見え方が少し変わるかもしれません。

    最後に、自分自身へ一つだけ問いかけてみて下さい。
    あなたは明日、「現場経営者」として何を一つ変えますか?

    次回も「現場改善日記」の中から、現場で使える考え方をいくつかまとめながら、もう少し深く掘り下げていきます。

     
     
    現場30年以上経験。300人以上を育成。人手不足、数字未達、人が育たない。「結局、自分がやるしかない」現場の失敗と実践から生まれた、人が育ち、利益が残る現場の「判断の軸」を発信しています。