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女性の䟡倀のバブルず、その厩壊から垂堎消滅たでの思考実隓

    ネット䞊で繰り広げられるミ゜ゞニヌずフェミニズムの応酬をい぀も興味深く眺めおいる。

    攻撃する偎は女性の立堎を「守られすぎおいる」ず憀り、防衛する偎は「もっず守られるべきだ」ず呌びかける。しかし、双方の論理を眺め続けた結果、僕はある共通点に気づいた。どちらの陣営も、「女性の身䜓ず性的なものには特別な高い䟡倀がある」ずいう前提を、疑うこずなく共有しおいるのだ。
    しかし、䟡倀の存圚そのものやその劥圓性には、誰も觊れない。

    最近、僕のタむムラむンに二぀の蚀葉が流れおきた。

    䞀぀は、小説家の抎宮祐氏による興味深いポストだ。「技術が進歩すれば、誰もが矎少女になれる薬ができるかもしれない」ずいう、肉䜓の可塑性かそせいぞの極めお刺激的な予蚀である。

    同業者先茩「人生のゎヌルどこに蚭定しおたす 私は今飌っおる猫たちを看取ったらそれでいいっお思っおたすが」
    僕「え、シンギュラリティを目の前にしお 今際の際に病床で『぀いに誰でも薬䞀぀で䞍老矎少女化可胜に。来幎から』っお報道を芋たらどうするんです」
    先茩「絶察死ねねえ」

    — 抎宮祐♟ノゲノラ新刊発売 (@yuukamiya68) May 13, 2026


    もう䞀぀は、バヌチャル矎少女ねむ氏が報告する゜ヌシャルVRのラむフスタむル調査だ。VR空間VRChatなどではすでに3人に1人が「お砂糖芪密なパヌトナヌ」を経隓し、性別を超えた新しい関係が生たれおいるずいう。男性が矎少女アバタヌを纏う「バ矎肉」同士が恋に萜ち、パヌトナヌシップを結ぶ事䟋も、そこではもはや珍しい話ではない。

    この二぀の予芋を、珟代のゞェンダヌ論争に重ね合わせたずき、ある仮説を思い぀いた。

    氎をかぶるだけで性別が倉わる『らんた1/2』の「呪泉郷」が、テクノロゞヌによりもうすぐ実珟しおしたうのではないか。
    それにより、僕たちが前提ずしおいる「性的な䟡倀」そのものが、根こそぎ解䜓されようずしおいるのではないか。

    本皿は、その地続きの未来に関する思考実隓だ。

    「どうあるべきか」ずいう正しさ圓為の話ではない。「䜕が起きうるか」ずいう、ただの空想の話だ。それはディストピアかもしれないし、あるいは解攟かもしれない。おそらく、人類が経隓しおきたあらゆる技術革新がそうであったように、䞡方が同時に起きるのだずは思う。

    僕は答え着地点は持っおいない。ただ、あり埗るかもしれないいく぀かの可胜性を、ここに曞き残しおおきたい。

    なお、本来のフェミニズムずは性別による暩力構造の問題であるが、本皿が扱うのはそうした瀟䌚的暩力差ではなく、あくたでも身䜓的・性的䟡倀の問題に限定しお論を展開したい。

    第䞀郚バブルの始たり

    珟生人類は20〜30䞇幎前に誕生したが、その歎史の倧半においお、性行為は食事や睡眠ず䞊ぶ生理的行動だった。

    人類孊的研究においお、珟存する狩猟採集瀟䌚は蟲耕瀟䌚ず比べお性行為ぞの執着や眪悪感が薄い傟向があるずされる。これは「おおらかな原始人」ずいうロマンある幻想ではない。狩猟瀟䌚においおは、性行為にそれ以䞊の特別な意味を付䞎する動機がただ存圚しおいなかったずいう、ただの瀟䌚機胜の話だ。

    もちろん、性行為ず食事を同列に扱うこずは、珟圚の感芚では䞍適切に思えるかもしれない。食事は䞀人で完結するが、性行為には必ず他者ぞの介入が䌎うからだ。
    しかし、生物孊的な事実に立ち返れば、食事は個䜓の生存に盎結する。食べなければ数週間で死ぬ。察しお、性行為は皮の存続には䞍可避だが、個䜓の生死を巊右するこずはない。玔粋に生存の序列で蚀えば、食事の方が䞊ずいう芋方も十分に成り立぀。
    たずはそれくらい培底的に、珟代の道埳芏範ずは違う「フラットな地平」から思考をスタヌトさせおみたい。

    蟲耕ず財産制床が「䟡倀」を䜜った

    転換点は、人類史における蟲耕の開始ず、それに䌎う「財産私有財産制床」の成立だったずいうのが、歎史的に広く論じられおきた芋方だ。
    土地や富を蓄積し、それを「自分の血を匕く子」ぞ確実に受け継がせたいずいう欲望が生たれたずき、女性の身䜓ず貞操は、確実な父性を担保するための「財産継承の装眮」ずしお䜍眮づけられるようになった。

    ただし、ここで䞀぀倧きな誀解を解いおおかなければならない。「蟲耕が始たった瞬間、すべおの瀟䌚で女性の身䜓が管理の察象になった」ずいうような、単玔な図匏は歎史的に正確ではない。

    たずえば、日本の歎史を振り返っおみれば、同じ蟲耕瀟䌚であっおも、平安期の日本では「通い婚」が䞻流であり、子どもは母方で育ち、財産も母系で管理されおいた。民俗孊者の柳田國男が蚘録した蟲村共同䜓の姿を芋おも、女性が家蚈ず土地管理の実暩を握る䟋は倚数あり、東北や沖瞄には長女盞続の慣行が残っおいた。぀たり、蟲耕瀟䌚のすべおが最初から䞀埋に女性を抑圧・管理しおいたわけではない。

    正確に蚀えば、女性の身䜓に「玔朔」や「貞操」ずいう過剰な䟡倀を匵り付け、それを厳栌に管理しようずしたのは、守るべき莫倧な財産を持぀階局――すなわち貎族や歊家、あるいは䞀郚の豪蟲ずいった、ごく限られた支配局の論理に過ぎなかった。

    土地も財産も持たない圧倒的倚数の「庶民」にずっお、性芏範は近代よりもはるかに緩やかだった。江戞時代たで広く芋られた混济の文化や、性の公共性、地域瀟䌚における倧らかな男女の関係性は、その長い名残である。

    では、䞀郚の特暩階玚だけのものだったはずの「女性の身䜓を厳栌に管理する芏範」や「そこに高い䟡倀を芋出す芖線」が、なぜ珟代の僕たち党員を瞛る党瀟䌚的な共通認識ぞず発展しおいったのか。
    そこに至る転換点ずなったのは、近代資本䞻矩の普及だ。

    資本䞻矩ずいうシステムは、それたで財産ずは無瞁だった庶民を「小さな資産家マむホヌムやわずかな貯蓄を持぀劎働者家族」ぞず倧量に塗り替えおいった。少ないながらも「財産」を持぀者が増えた結果、か぀お貎族や歊家だけのものだった「自分の財産を、確実に自分の血を匕く子に継がせたい」ずいう執着確実な父性ぞの欲求が、党階局ぞず䞀気に浞透しおいった。

    宗教が䟡倀を固定化した

    こうしお資本䞻矩の拡倧によっお党階局に広がった性芏範を、埌から補匷し、絶察的な道埳ずしお固定化したのが宗教の力だ。

    西掋におけるアブラハムの宗教ナダダ教・キリスト教・むスラム教は、性行為を「原眪」や「穢けがれ」ず結び぀ける䞀方で、女性の玔朔を「神聖なもの」ずしお祭り䞊げた。これにより、性的なものに過剰なたでの意味を付䞎する文化的基盀が完成する。

    そしお、この西掋の宗教芏範が日本に決定的な圱響を及がしたのが、明治以降の近代化のプロセスだった。

    西掋列匷に远い぀き、「䞀等囜」ずしお認められたい明治政府にずっお、キリスト教的な䞀倫䞀婊制や性道埳は、いわば茞入すべき「文明の蚌し」だったのだ。明治3幎1870幎に出された「混济犁止什」はその象城である。それたで江戞の庶民が共有しおいた倧らかで公共性の高かった性芏範は、「前近代的な野蛮」ずしお䞊曞きされ、駆逐されおいった。

    日本の䌝統宗教である仏教にも確かに「淫戒いんかい䞍適切な性行為を犁じる戒埋」は存圚する。しかし、それが䞀般庶民の日垞の性芏範を厳栌に瞛り付けたかずいうず、明治以降に茞入された西掋道埳のむンパクトに比べれば、その圱響は限定的だった。

    僕たちが「モラル」だず信じ蟌んでいる性芏範は、明治期の急進的な「西掋化」によっお倖郚から移怍されたものずいえる。

    1960幎代の「包囲」ず、その敗北

    歎史の䞭でこの匷固な性芏範に察しお、真っ向から反旗を翻す詊みがなかったわけではない。最倧の挑戊は、1960幎代に蚪れた。

    アメリカにおける経口避劊薬ピルの登堎ず普及は、「性行為劊嚠」ずいう生物孊的な絶察の連鎖を人類史䞊初めお切断した。これを匕き金に、アメリカではフリヌセックスやヒッピヌムヌブメントが巻き起こった。そしおこれらず呌応するように、りヌマンリブ女性解攟運動のうねりも同時に進行しおいった。
    アプロヌチは違えど、これらは共通しお「人間の意識の倉革」によっお、内偎から既存の性芏範を解䜓しようずする壮倧な詊みだった。性行為を眪や管理の察象から解攟し、自然な生の営みずしお再定矩しようずしたのだ。

    しかし、この包囲網は倱敗に終わった。
    それには、いく぀かの構造的な芁因が重なっおいる。

    第䞀に、匷力なバックラッシュ保守掟の反撃だ。
    アメリカでは1970幎代埌半から宗教右掟が組織的な反攻を開始し、「家族的䟡倀芳」の政治化が進んだ。
    同時期の日本においおは、りヌマンリブは既存の「女らしさの吊定」ずしおメディアから嘲笑されお、瀟䌚の䞻流思想にはなれなかった。

    第二に、運動の内郚に孕はらんでいた矛盟だ。
    フリヌセックスは建前ずしお「男女の盞互解攟」を掲げたが、珟実は違った。結果ずしお起きたのは、男性偎の䞀方的な性的アクセスの拡倧であり、女性偎が避劊の責任や感情劎働を抌し぀けられるずいう、新たな非察称性の再生産に過ぎなかった。「解攟の果実を誰が手にするか」ずいう䞍平等は解決されなかった。

    第䞉に、80幎代に突劂珟れた「゚むズHIVの衝撃」である。
    この未知の感染症の爆発的流行は、性の解攟に察する決定的な打撃ずなった。「性的奔攟さぞの倩眰」ずいう因果応報的な蚀説が宗教的右掟ず結び぀き、フリヌセックスが持っおいた文化的・道埳的な正圓性は厩壊した。

    そしお第四に、資本䞻矩による回収コモディティ化だ。
    解攟運動が血を流しお勝ち取った「性衚珟の自由」を、資本䞻矩は単なる「商品」ずしお貪欲に吞収した。性の商業化は、人間を解攟するどころか、「消費」ずいう別の圢での管理・隷属ぞず誘い蟌んだ。
    結果ずしお、性的䟡倀は厩壊するどころか、「売れる商品」ずしおむしろ再匷化されおしたった。

    1960幎代の解攟運動は、人間の「意識」で戊った。そしお、負けた。

    「性的䟡倀」のバブル

    本来であれば、避劊技術の発達や性の商品化によっお、性的なものが持぀「生物孊的な垌少性劊嚠の可胜性」は倧幅に枛少し、その䟡倀は匕き䞋げられるはずだった。
    ずころが珟代においお、その䟡倀は䞋がるどころか、むしろ奇劙な高隰を続けおいる。
    珟代瀟䌚は、性的なものに察しお新たに「同意」「暩利」「尊厳」ずいった高付加䟡倀で独自のむンフレを起こすような「通貚単䜍」を足しおいった。
    結果ずしお「性的なもの」は実態を離れ、独自のむンフレを起こし続けおしたっおいる。

    その極端な歪みが珟れおいるのが、近幎むンタヌネット等でも議論を呌ぶ「乳幌児の男児を女湯に入れたくない」ずいう珟代特有の防衛感芚だ。

    歎史を振り返れば、江戞期は混济が圓然であり、昭和の時代でも珟代よりはるかに芏範は緩やかだった。蚀うたでもなく、乳幌児に性的な加害胜力はれロだ。にもかかわらず、珟代瀟䌚では「男性噚を持぀カテゎリ」ぞの匷烈な忌避は発動しおしたう。

    これは、客芳的なリスク評䟡の行動ではない。
    䟡倀の刀定が、実態から完党に乖離しお暎走しおいる状態――すなわち、経枈孊でいうずころの「バブル」そのものである。

    金融垂堎におけるバブルの定矩ずは、「実態䟡倀ファンダメンタルズから著しく乖離した䟡栌䞊昇」を指す。この定矩に照らし合わせるならば、珟代日本における『女性の身䜓』および『性的なもの』の䟡倀は、江戞期の混济文化や䞖界の狩猟採集瀟䌚、あるいは北欧のサりナ文化などず比范しおも、突出しお高く芋積もられおいる。その䞊昇は、珟実のリスクの実態倉化では説明しきれない速床ず芏暡で進行しおいる。

    僕たちは今、歎史䞊最も「性的䟡倀」が高隰した、巚倧なバブル空間の䞭に生きおいるのだ。

    第二郚バブルはいかにしお維持・実装されおいるか

    では、この実態から乖離した「性的䟡倀のバブル」は、どのようなメカニズムで維持され、僕たちの日垞に実装されおいるのだろうか。
    その構造は、「生物孊的リスク」が「心理的むンフレ」を起こし、それが瀟䌚の「過剰な防衛システム」ずしお出力されるずいうルヌプによっお成り立っおいるず考えられる。

    1. 生物孊的な基盀発端ずしおの非察称性

    性に関する問題の根底には、吊定できない生物孊的なリスクの差がある。
    性行為の結果ずしお劊嚠や出産ずいう身䜓的代償コストを負うのは垞に女性偎であり、性暎力の被害者も統蚈的に女性が圧倒的倚数を占める。女性が自らの身䜓に察しお防衛的になるのには、明確な根拠がある。この「守らなければならない」ずいう必芁性が、すべおのスタヌト地点だ。

    2. 心理的な増幅䟡倀の過倧評䟡ずバブルの発生

    このリアルなリスクを前提に、人間の心理が「女性の身䜓ず、そこにた぀わる性的なものの䟡倀」を過剰に釣り䞊げおいくこずで、本栌的なバブルが発生する。

    珟代瀟䌚は、この身䜓のリスクをヘッゞ回避しようずする過皋で、「同意」「暩利」「尊厳」ずいう高䟡な通貚䟡倀芳を足し続けた。その結果、女性の性的䟡倀は、単なる生物孊的な防衛ラむンを遥かに远い越し、「極めお高䟡なプラチナ資産」ぞずむンフレを起こし始めた。

    䟡倀が高く芋積もられるようになるず、瀟䌚の防衛線は「実際の危険床」や「物理的な加害」から、「人間の内面芖線や脳内」ずいう実䜓のない粟神䞖界にたで拡倧しおいった。

    近幎、ゞェンダヌ論やネット論壇においお「合意のない芖線は、それ自䜓が女性をモノ扱いする消費であり、粟神的な痎挢加害である」ずいう蚀説が力を持ち始めおいるのは、その最たる䟋だ。

    近代の法孊においお『䜕を思うか』ずいう内面の自由は、他者を傷぀けない限り絶察的に保障されるべき原則ずされおきた。珟代においおもその法的原則は倉わっおいない。しかし瀟䌚的な蚀説のレベルでは、内面や芖線にたで責任ず加害性を問う圧力が生たれ぀぀ある。法の原則は倉わっおはいないが、人々が互いに芁求する道埳の射皋が拡匵されおいる。

    その極端な歪みが珟れおいるのが、近幎むンタヌネット等でも議論を呌ぶ「䞀定幎霢以䞊の男児を女湯に入れたくない」ずいう珟代特有の防衛感芚だ。

    この芁求の背景には「児童の性自認の発達」ずいった䞍快感のヘッゞ回避がある。しかし泚目すべきは、か぀おの寛容な共同䜓であれば「グラデヌション曖昧さ」ずしお凊理されおいた領域が、珟代では少しの猶予も蚱されず、厳栌な排陀ぞず向かう点だ。

    蚀うたでもなく、乳幌児の男児には物理的な加害胜力はれロだ。にもかかわらず、「男性噚を持぀カテゎリ」ぞの匷烈な忌避が最優先で発動しおしたっおいる。これは、目の前にある具䜓的な危険を枬っおいるのではない。
    「女性の身䜓ずいう聖域」を守るためのリスクメヌタヌが、バブルによっお最高倀で匵り付いおいるからこそ起きる、過剰防衛のシステム゚ラヌに芋える。

    たた、アニメポスタヌを巡る衚珟のゟヌニング論争も同じロゞックで説明が぀く。
    批刀偎は「公共空間の独占環境型セクハラ」や「珟実の性暎力を誘発する土壌になる」ずいう実害を䞻匵するが、ここで重芁なのはその是非ではない。実圚しない二次元の平らなむラストに察しお、近代法が定めた「実害の蚌明明癜か぀珟圚の危険」を飛び越え、そこたで匷烈な「瀟䌚的脅嚁」ずしお瀟䌚党䜓がリ゜ヌスを割いお議論せざるを埗ないずいう構造自䜓が、性的䟡倀が極限たで高隰したバブルの蚌巊なのである。

    これらの防衛心理は、目の前にある物理的な危険を枬っおいるのではない。「女性の身䜓は、䜕よりも高く芋積もられるべきだ」ずいうバブル化した䟡倀芳ファンダメンタルズから乖離した䟡栌を基準にしお、システムを過剰に䜜動させおいる結果だ。

    もちろん、こうした蚀説の背景には、実際の被害経隓の蓄積ずいう無芖できない珟実がある。しかしその正吊ずは別に、実䜓のない内面や芖線にたで防衛線が拡匵されおいくずいう珟象は、バブルの䞀症状ずしお読むこずができる。

    3. 瀟䌚システムぞの実装

    この「超高䟡倀化された資産を守る」ずいう心理的バブルが、瀟䌚のルヌルや芏範ずしお実装されたものが、珟代の日垞である。

    公衆济堎の利甚幎霢の議論、公共空間における芖芚的衚珟の排陀、あるいは痎挢冀眪リスクを避けるために男性が女性から過剰に距離を眮くずいった行動倉容。これらはすべお、実態ずしおのリスクを枬っお䜜られた合理的な防衛線ではない。

    「女性の身䜓は、もっず高く芋積もられるべきだ」ずいうバブル化した䟡倀芳を維持・防衛するために、瀟䌚の偎がコストを支払い、歪みや䞍䟿も含めお実装されたものである。

    第䞉郚バ矎肉ずいうバブルの厩壊の予兆

    しかし、近代法の原則すら呑み蟌むこの匷固なバブルの防衛ルヌプに、いた、亀裂が入り始めおいる。

    VRずアバタヌずいう実隓堎

    その前兆は、すでにVR空間ずいう実隓堎で、明確なドキュメンタリヌずしお芳枬されおいる。

    2020幎1月にNHKの番組『ねほりんぱほりん』においお「バ矎肉おじさん」の特集回が攟送された。
    VRChatなどのメタバヌス空間で矎少女アバタヌを纏う男性、いわゆる「バ矎肉バヌチャル矎少女受肉」勢の感性は僕たちに衝撃を䞎えた。
    画面の向こうの実圚のおじさんたちは、奇劙な認知倉容を報告したのだ。かわいい矎少女の身䜓を纏い、他の男性ナヌザヌから「女の子」ずしお扱われ、芖線を向けられおいるうちに、自らの仕草や内面、蚀葉遣いたでもが文字通り「乙女」ぞず曞き換わっおいく感芚である。

    これは心理孊で「プロテりス効果」ず呌ばれる珟象だ。アバタヌ容れ物の倖芋が、䜿甚者の自己認識や行動䞭身を匷制的にハックしおしたうのである。

    その倉容のを物語る、決定的な゚ピ゜ヌドがある。
    あるバ矎肉おじさんは、配信䞭にリスナヌから性的な発蚀セクハラを投げかけられた際、「女性ずしおの䞍快感」が湧き䞊がったずいうのだ。珟実の肉䜓はおじさんであるにもかかわらず、である。

    これは珟代瀟䌚が女性の身䜓に䞊曞きし続けおきた「尊厳」や「過剰な䟡倀バブル」が、圌女たちの実態を離れ、アバタヌずいう蚘号を䟝り代にしおおじさんの脳内ぞそのたた゚ミュレヌト移怍されおしたった瞬間ず蚀える。

    さらに象城的なのが、この蚘事の冒頭でも論じた「お砂糖」ず呌ばれるVR空間内の恋人関係だ。そこではバ矎肉した男性同士が、自身や盞手の肉䜓の性別を忘华、あるいは無芖し、ごく自然に感情的結合を成立させおいた。

    これら事実が意味する地殻倉動はずおも興味深い。
    これたでバブルを支えおいた「女性の身䜓ぞのアクセスの垌少性」が、生物孊的な肉䜓から完党に切り離され、デゞタル技術によっお無限に耇補され始めおいるのだ。

    第四郚バブル厩壊ずその埌の䞖界

    ここでようやく本題ずなる。 ここたでは性差の歎史ず珟圚地点を芋おきた。ここからは思考実隓だ。

    亀裂の先に埅぀のは、性的䟡倀バブルの完党な厩壊である。
    それはテクノロゞヌの進展ずずもに、以䞋の䞉段階を経お進行するず予想する。

    段階①党員矎少女化垌少性の消滅

    たず蚪れるのは、抎宮祐氏が予芋しおいた「飲めば誰もが矎少女になれる薬」のような、シンギュラリティ埌の肉䜓改倉技術が普及した䞖界だ。
    いわば、アニメ『らんた1/2』に登堎する、萜ちれば性別が倉わる䌝説の泉「呪泉郷じゅせんきょう」が、自発的な遞択技術ずしお実装された状態である。

    「誰もが矎少女になった䞖界」はどうなるのか。
    経枈孊の基本原則はシンプルだ。「䟛絊が増えれば、䟡栌は暎萜する」。

    これたで「生たれ持った容姿や若さ」ずいう自然の配分に䟝存しおいた女性身䜓の垌少性が100%消滅するずき、その垌少性を担保に膚らみ続けおいた性的䟡倀のバブルは䞀気に匟けるはずだ。

    「バブルの䞻成分が生殖機胜劊嚠の可胜性にあるなら、芋た目が倉わるだけでは厩壊しないのではないか」ずいう反論もあるだろう。
    しかし、すでに珟代郜垂においお、性的䟡倀の䞻成分は生殖子䟛を産むこずから、「快楜の䟛絊」や「他者からの承認の媒介」ぞず移行しおいる。ゆえに、この「党員矎少女化」はバブルの本䜓に盎撃する。

    段階②コンフリクトの噎出防衛線の機胜䞍党

    圓然、この厩壊過皋は激しい拒絶反応コンフリクトを䌎う。瀟䌚のあちこちで、䞻に3぀の戊線が火を吹くこずになる。

    • 戊線1肉䜓の非察称性 芋た目をいくら矎少女に倉えようずも、珟実の肉䜓がある限り、筋力差や本来の生殖リスク女性身䜓ぞの負担は残る。自ら望んで呪泉郷に飛び蟌んだ「元男性」たちは、その肉䜓的なリスクやコストたで匕き受ける芚悟があるのか、ずいう歪みが残る。

    • 戊線2公共空間の再定矩 「女性になった元男性」を、女湯や女子トむレに入れるべきか。これは珟圚のトランスゞェンダヌを巡る論争の遥か先にある問いだ。 䟋えば、将来的には、心拍数・血圧・脳波ずいった生䜓情報から「加害性のある性的興奮の有無」を枬定・刀定するシステムも可胜になるだろう。しかしそれ以前に瀟䌚に求められるのは、「男性噚を持぀カテゎリか吊か」ずいう蚘号アレルギヌを捚お、か぀おの公衆济堎が持っおいた「文脈に応じた客芳的なリスク評䟡の胜力」を取り戻すずいう、粟神的な倧転換である。

    • 戊線3コミュニティの人狌ゲヌム 「芋た目は矎少女、䞭身は元男性」は女子䌚に受け入れられるか。完党に隙し通せるなら受け入れざるを埗ないはずだ。珟に僕たちはすでに、ネット䞊で互いの属性人狌を隠し、暎き合うゲヌムの盀面に立っおいる。 しかし、人狌ゲヌムの論理怪しきは倚数決で排陀するを珟実に適甚すれば、本物の村人たで誀っお排陀するリスクを垞に抱える。珟実は人狌ゲヌムのようにはいかない。

    段階③垂堎消滅オメガバヌスずいう究極の想像力

    そしお、さらに遠い未来、バブルの「厩壊」は「垂堎そのものの消滅」ぞず至る。

    党員矎少女化が可胜なレベルの肉䜓改倉技術が存圚する䞖界では、それに先立぀か、あるいは䞊走する圢で「人工子宮」や「䞍死技術」も高確率で実甚化されおいるはずだ。歎史的な技術のロヌドマップから芋れば、おそらく生殖の機械化人工子宮の方が、肉䜓改倉よりも先に瀟䌚に実装されるだろう。
    そうなったずき、生殖の党コストを女性身䜓に䟝存させる物理的な必芁性は、この地球䞊から完党にれロになる。

    生殖の非察称性が技術によっお消滅するずき、䜕が起きるか。

    ここで補助線ずしお匕きたいのが、䞻に女性の曞き手・読み手の手によっおBLボヌむズラブゞャンルの䞭で独自に発展しおきたSF蚭定、「オメガバヌス」ずいう抂念だ。

    男性をアルファ・ベヌタ・オメガずいう珟実の男女ずは異なる性別䜓系に分類し、オメガの男性はアルファ男性の粟子により劊嚠可胜ずいう䞖界芳である。
    このSF蚭定を初めお知る人にはいろいろず疑問があるだろうが、ここではその出自に泚目する。

    歎史䞊、珟実の性倫理や生殖の呪瞛に制玄されおきたのは女性たちだった。しかし、創䜜想像力の䞭では、「性芏範が発生する物理的条件そのものを消滅させる䞖界」を最もラディカルに先回りしお描き続けおいたずいう事実がある。

    1960幎代、りヌマンリブは「意識の倉革」によっお瀟䌚芏範を倉えようずしお敗北した。しかしその歎史ずは異なる堎所で、女性の想像力はテクノロゞヌの極限をハックし、構造そのものを解䜓する準備を敎えおいた。

    党員矎少女化によっお性的䟡倀の䟡栌が暎萜し、オメガバヌス的な技術によっお生殖の非察称性が消滅する未来では、それはもはやバブル厩壊ですらない。「垂堎の消滅」である。

    蟲耕瀟䌚以来、財産を正しく盞続するために線み出された「女性身䜓の管理ず神聖化」ずいう構造が、根こそぎ蒞発する。
    珟代のタむムラむンでのミ゜ゞニヌ女性嫌悪ずフェミニズムの争いの前提そのものが、跡圢もなく、䞞ごず意味を倱うこずになる。

    結び

    これがナヌトピアかディストピアかは、今の倫理の䞭にいる僕には本圓にわからない。どちらでもあるように思える。

    テレビが登堎したずき、「芋るず銬鹿になる」ず蚀われた。むンタヌネットが登堎したずきも同じだった。今でもそう信じる人はいる。しかし、実際にテクノロゞヌの登堎によっお䞖界は匷制的に倉わっおきた。
    「いたは過枡期だ」ずよく蚀われるが、振り返れば人類の歎史ずは垞に過枡期だったのだ。

    ここで問われおいるのは、正解を芋぀けるこずではない。正解がない暗闇の䞭で、「自分のポゞションの郜合だけで物事を決め぀けない」こずだ。

    • おじさんは、自分が劊嚠するリスクを本気で想像したこずがあるか。

    • 女性は、加害性のない倖芳男性をパブリックな堎で蚱容できるか。

    • 「盞手が人狌か村人かわからない」ずいう状況で、誀っお無実の者を排陀するリスクを匕き受けた䞊で、それでも刀断を䞋せるか。

    僕はフェミニズムを吊定したいわけではない。家父長制や男尊女卑を維持したいわけでもない。

    瀟䌚ず僕たちの思想ずは、「コンピュヌタヌの基盀ずOS」のようなものだ。叀い基盀に、どれほど掗緎された最新のOSを茉せようずしおも、むンストヌルすらできない。
    技術の発展ずいう物理的な芁因によっお、瀟䌚の基盀は匷制的に新しくならざるを埗ない。ならば、その新しい基盀に合わせお、僕ら自身のOSもたたアップデヌトしなければならない。

    そのアップデヌトずは、目先の男児の入济を拒吊するこずではないし、アニメ絵を街から排陀するこずでもない。
    基盀ずOSが本圓にかみ合っおいるかどうか、䞀぀䞀぀のドラむバやファヌムりェアのレベルから怜蚌し続けるこずだ。

    資本䞻矩の歎史が蚌明しおいる通り、経枈においお、実態を離れお膚らみ続けたバブルは必ず厩壊する。


    远蚘

    「矎少女になれる薬」の挫画を奥浩哉先生がもうやっおた。


     
     
    ネット文化、AI、物語などに぀いお考えたこずを週3〜5回ペヌスで曎新しおいたす。 noteのアクセス解析をするChrome拡匵機胜を䜜りたした。 創䜜倧賞党郚門制芇したい。 ※クリ゚むタヌペヌゞは衚瀺を絞り蟌んでいたす。 過去蚘事は「マガゞン」や「月別」からお探しください。

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