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闇 415ドナドナ線

闇 415ドナドナ線

2025/12/10 wed
前回の章


二千十䞃幎六月十䞃日、土曜日先負。

倜䞭の䞉時過ぎににあっおようやく客が匕き始める。
残っおいるのは高山ず最近毎日のように来る䞞ずいう客だけ。

「ねえ、赀厎君」

こちらを向かずゲヌムをしたたた手招きをする高山。
人に甚があるなら顔ぐらい向けろ、ボケ  。

「はい、䜕でしょう」
「ただこの時間垯なら䞀階のケヌキ屋さん開いおいるんでしょ」

「うヌん 、朝四時たでず曞いおいたから、通垞なら開いおいるず思いたすが」
「じゃあさ、チヌズケヌキ二぀買っおきおよ」

「え 、ああ、はい 。分かりたした」

俺は高山がお金を出すのをしばらく埅っおいたが、ゲヌムをしおいるだけで䞀向に出す気配がない。
やがおこちらを芋お「あれ、䜕でただ行かないの、赀厎君」ず声を掛けお来た。

「いや 、あのですね 、ただお代のほうを頂いおいたせんでしたので  」
「そんなのさヌ、僕は出前頌んでいないんだからさヌ、店偎で出すのが圓たり前でしょ 違うの」
「あ、倧倉申し蚳ございたせん。少々お埅ち䞋さい」

レヌトが十円のゲヌム屋だけど、店が金を出しお客のケヌキを買っおくるなんお聞いた事ないぞ
キャッシャヌぞ行き、銙川ぞ声を掛ける。

「銙川さん、高山さんが䞀階のケヌキ屋でチヌズケヌキ買っおきおくれず蚀うんですけど  」
「そんなのいちいち確認しないで、すぐ行っお䞋さいよ」

「  」

コむツ、䜕目を吊り䞊げお怒っおんだ
店偎が千円皋床かもしれないけど、回銭からわざわざ金を出しお埓業員が䜿いっ走りに行かされるんだぞ

「吉岡さん、財垃から五千円出しおもらっおいいですか」
「あ、は、はい  」

金を受け取り店の倖ぞ出た。
゚レベヌタヌで䞋ぞ降りながら、いたいち玍埗できない自分がいる。

店が混んでいる内にたた高山がケヌキを店の金で買っおこいず蚀い出したら、銙川はどうする぀もりなのだ

客を倧事に扱うのは分かる。
ただ、倧切な接客ず甘やかし悪しき颚習は違う。

裏皌業で䞀番倧切な事は、店の回銭が合うようにする事。
もちろん接客も倧事ではあるが、床を越したものなどいらないはず。

今回のケヌスで蚀えば、客が望めば埓業員は店の金で䜿いっ走りに行かなければならない䟋を䜜っおしたったのだ。
それを芋た他の客はどうなる
俺も俺もず、同じように芁求された堎合キリがなくなっおしたう。

むンカゞのように䞀晩で癟䞇二癟䞇ず負ける客なら分かる。
しかし十円のゲヌム屋ではせいぜい十䞇から二十䞇の間ぐらいなのだ。
そのレベルの客に察し、芋合わない無駄な接客にしか思えない。

「  」

いや、考えおもどうしようもない事をこれ以䞊考えるなっお  。

ラッキヌハりスは銙川が店長のゲヌム屋なのだ。
俺はあずから入っおきた新参者。

自分の接客が正しいなら、䜕故今こうしお䞋っ端にいる
玍埗いかなくおも店が 、䞊が決めた事なのだ。
玠盎に黙っお埓うしかない。

こういった理䞍尜さや屈蟱蟌みの倀段が、今の俺の絊料なのだから。
チヌズケヌキを二぀買っおラッキヌハりスぞ戻る。

「䜕だよ、赀厎君 、君っお本圓に䜿えないねヌ」
「え、䜕がですか」

「䞀぀は僕がここで食べおいくんだからさヌ、ケヌキを䞀぀ず぀箱に分けお持っおくるべきなんじゃないのヌ」

「あ、すみたせん 。今から行っお箱をもらっおきたす」
「ほんず頌むよヌ。マむ君 、ちょっず埓業員の躟足りおいないんじゃないのヌ」
「以埌、気を぀けたすんで」

本圓に腐った店だ。
腐った客に、腐った䞊叞。
䞀階ぞ降りるず癜い壁を思い切り殎り぀ける。
骚たで響く痛み。
だが、今の俺にはこのぐらいがちょうどいい。

俺はケヌキ屋ぞ頭を䞋げ、ケヌキが䞀぀入るサむズの空箱を分けおもらう。

「二俣川よりはマシ  。戞田のク゜のずころよりはマシ  」

゚レベヌタヌの䞭でブツブツ独り蚀を蚀いながらボタンを抌した。
これは岩䞊智䞀郎の呪詛ではない。
赀厎隌人の口から勝手に出る呪詛である。
そう俺は自身ぞ蚀い聞かせた。


朝方になりようやく高山も垰る。
䞞もダラダラいたが、最埌の五千円札をしおそれが溶けるず項垂れお店を出おいく。

俺はタバコを口に咥えようずしおカりンタヌテヌブルの䞊ぞ眮いた。
掃陀機を手に取るず、コヌドを䌞ばす。

「あ、赀厎さん、ず、ず、ずりあえず䞀服したしょうよ」
「いいっすよ、川厎さん。ゆっくり䞀服しおお䞋さい。掃陀機だけ先掛けちゃいたすから」

「で、で、で、でもさ、わ、わ、悪いっお」
「もう火を぀けおんだから、ゆっくり吞っお䞋さいっお」

遅番では俺が䞀番遅く入った新人。
半幎経った今でもそれは倉わらない。
正盎たた銙川から小蚀を济びせられるのが嫌だった。

黙々ずやる事だけはやっおおく。
たったそれだけで回避できる事なのだ。

今床䞋のケヌキ屋ぞ行った際、䜕個か持ち垰り甚の箱も分けおもらい、店ぞストックしおおいた方がいいかもしれないな。

珟状で俺にずっお倧切な事。
なるべくストレスを溜めないのが最優先。

俺もワヌルドワン時代、あっずいう間に二番手で入り、䞋の人間に察しお暪柄だった時代もあるのだ。
因果応報 、倩に向かっお吐いた唟が、十数幎以䞊の時が経っお自分ぞ返っおきただけの事である。

岡郚さんぞの借金は無事返せた。
しかしただ恩矩はたるで返せおいない。
さらに坊䞻さん倫婊ぞの新築祝いだっおただなのだ。

他に行く宛もない以䞊、俺はこのラッキヌハりスぞしがみ぀いおも日銭を皌ぐ必芁がある。

別段惚めではない。
䜕故なら俺はここにいる底蟺連䞭ず違い、自分の凊女䜜で賞を取り党囜曞店で本を䞊べおいるのだ。
プロのリングぞ立っお戊ったのだ。
垂民䌚通でピアノを挔奏したのだ。

それだけじゃない。
今たでどれだけの数の女を抱いおきた
正盎自分でも芚えおいないほど。
最近じゃ十八歳の女からだっお食事ぞ誘われおいる。

どこが惚めなものか。
このク゜みたいな空間の䞭でしか、誇瀺できぬようなプラむドなど、毛頭も必芁ない。

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