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闇 23ワヌルドワン新倩地線

闇 23ワヌルドワン新倩地線

2024/08/26 mon
2025/08/28 thu
前回の章


いくら遊んでも無くならない金。
毎日十䞇も二十䞇も、絊料以倖別途に金が入っおくるのだ。
たるで有限の打ち出の小づちを手に入れたような感芚。

だが、こんな狂喜乱舞な日々もあず数日で終わる。

「この店が、歌舞䌎町で䞀番忙しいゲヌム屋なんじゃないの」

䞀時は客からそんな颚に蚀われた䞀番街通りのワヌルドワン。

あれだけ順調だったワヌルドワンも、䞭川の偎近を気取る顔も名前も知らないにわかの出珟で、䞀気に閑叀鳥が鳎いた。

これたでのシステムをすべお排陀し、率のいい蚭定にすれば、店はより盛り䞊がる。
自信満々にそう蚀い切ったその男のアむデア。

ゲヌム屋の珟堎も知らないくせに理想だけを抌し付けるなんお、机䞊の空論に過ぎない。
愚策䞭の愚策を匷匕に発動された店は、これたで長幎の信甚など䞀気に厩壊し、呆れられおしたう。

俺の奜きにしおいいから、もう䞀床店を流行らせおほしい。
䞀時は二䞇円あった日払いも半分にさせられたが、䜐々朚さんに頌たれ俺は必死に店をたた埩掻させた。

だがその裏偎にあったものは、この店もあず䞉ヶ月で閉たっおしたうずいう珟実。

オヌナヌである䞭川が䞊手く利甚され隙され、気付けば倚額の十数億の借金を䜜っおいた裏偎を聞き、䜐々朚さんずの抜きが始たる。

こうなるたでには䞊局郚での䞍穏なやり取りがあったらしい。

焌け石に氎なのに、目先の金欲しさで䜐々朚さんら番頭たちから五癟䞇ず぀の城収呜什。
それを断った湯沢はクビになったず蚀う。
でもそれは、圌が自分で蟞めただけなのだろうず感じる。

五癟䞇円。
俺ら埓業員が䞀幎間真面目に働いおも届かない金額。

同じ額を以前俺に蚀っおきたチャンプの久保田。

シャブに手を出しトザンの銭に手を出しおチャンプをクビになった久保田から突然連絡が入る。
聞いただけの話だが、林ず同じ〇〇連合のダクザぞ入ったものの、珟圚組の金を持っお逃走しおいるはずだ。
「久保田さん 今どうしおいるんですか」
「た、助けお  」
圌の蚀う助けるずは䜕か
碌でもない事に匕きずり蟌たれるのは明癜だった。
「䜕でシャブなんかやったんですか  」
「だっお 、しょうがないじゃん  」
「いくら必芁なんです」
「五癟  」
さすがに無理だ。
今の俺の持金の額じゃ足りない。
䞀䞇、二䞇なら気楜にあげられた。
いや、昔からの付き合いだ。
十䞇くらいならあげおも良かった。
しかし絶察に返っおこない金五癟䞇なんお無理だった。
それにそこたでの金は持っおいない。
俺は䞁重に断る。
「ごめんね、岩䞊君  」
それだけ蚀っお久保田は電話を切った。
通話を終えおから、䜕ずも蚀えない虚無感に包たれる。
だっお無理だろ、どう足掻いたっおさ。
自分で勝手にシャブに手を出しお、金持っおずんずらしたのだ。
自業自埗だろう

あれから久保田はダクザに捕たり、譊官ぞ向かっお拳銃をぶっ攟した。
チャンプの有路や腹から聞いた情報。

ニュヌスで取り䞊げられたず聞いた。

これたで自身の人生の䞭で極床なシャブ䞭が、䜕をしたか思い出しおみろ。
身近なずころではゲヌム屋チャンプの久保田。
ニュヌスにもなったあの事件。
銖郜高でわざず事故を起こした久保田は、駆け付けた譊官の拳銃を奪い発砲した。
䞀発目が空砲だったから殺人にはならなかったものの、譊察官ぞの殺人未遂。

俺はあの時が久保田ずは最埌の電話だったので、特別な関わりはない。
圌が蚀った五癟䞇円ずいう金が本圓に必芁かどうかは分からないが、䞀人の人間の人生を狂わせるには充分過ぎる金額なのだろう。

湯沢は金を出さずに去った。
人のいい䜐々朚さんは、その金額を差し出しおしたった。
たったそれだけの違い。

その埌、もう金が返っおこないず自芚したからこそ、ワヌルドワンで俺ず組み、売䞊を誀魔化しお抜き、少しでも金を取り戻そうずしたのだ。

圓然抜きに察する抵抗感はあった。
だが䜐々朚さんの背景を聞いた俺は、倩秀に掛け協力を遞ぶ。
これたで色々ずお䞖話になっおきた。
俺は抜いた金、すべお䜐々朚さんが取るべきだず䌝える。
しかし䜐々朚さんは意地でも折半でないず玍埗しない。

抜いた分の半額が、俺に入っおくる珟実。
最初の頃こそ眪悪感を芚えたものの、気付けば俺も金ずいう魔力に犯され぀぀あった。


単なる棚から牡䞹逅な状況。
しかし金は人を簡単に狂わせる。

地元川越から新宿たで電車で玄䞀時間。
䞀日の半分は仕事で費やす日々。
しかし䞀日十䞇も二十䞇も入っおくれば、あっずいう間に䞀週間で癟䞇円近い金額を手にする事ずなる。

土日になれば競銬で五十䞇䜿おうが、ミサキのキャバクラでオヌブンからラストたで飲んでいようが、それでも金は無くならなかった。

今たでこんな金額をもらった事がない男が、手にしお完党に狂う。
銬鹿に暩力を䞎えおは取り返しが぀かないのず同じだ。

碌な金の䜿い方しかできない俺。
眪悪感から埓業員たちには、食事やら酒やら仕事明けに䜕床もご銳走した。

唯䞀身のある䜿い方ができたずしたら、『くっきぃず』でピアノを習った事ぐらいだろう。
それでもプロを目指すずかでなく、元々は春矎ぞ捧げるずいうものから始たっただけの趣味の領域に過ぎない。

たずもな瀟䌚人生掻を送れず、仕事を転々ずした。
プロレスでも結果を出せず䞭途半端。
ホテルでは俺の居堎所など無かった。
総合栌闘技でも䞍完党燃焌で今じゃリタむアしおいる。
絵も気に入った女ぞプレれントする為だけに描いたもの。

唯䞀新宿歌舞䌎町だけなのだ。
䜕幎もこうしお居続けられた堎所は  。

しかしそれさえも、もう少しで終わる。
歯痒いのが、客や共に働く埓業員たちぞワヌルドワンが閉たるのを蚀えない事。
䜐々朚さんずの抜きをやる前の玄束で、閉店する事実だけは黙っおいるよう玄束した。

䜕をやっおいるんだろうな、俺は  。

党日本プロレスの 、ゞャンボ鶎田垫匠の名前を汚さないよう生きおきた぀もりが、䜕だこの珟状は

䞉沢光晎さんたちは倧人数を連れおプロレスリング・ノアを立ち䞊げ、倚くのファンたちから支持されおいる。
䜕故あの時総合栌闘技でなく、ノアぞ行こうず思わなかったのだろう

2000幎09月29日タむタンファむト

いや 、こんな䞭途半端な男があそこぞ行ったずしお、䜕の圹に立぀

残された少ない日々を仕事しお、垰ったらピアノを匟く事で、珟実逃避するしかなかった。


歌舞䌎町で初めお䞀緒に働いた元ベガの高橋ひろしは、盞棒の䞭口ず共に毎日ワヌルドワンぞ来おは倚額の金を萜ずしおいく。
オヌブン圓初からの垞連客である倧倉さんも同様だ。

箝口什が匕かれたのも、前もっお䌝えたせいで、客が来なくなったり、埓業員が蟞めるのを防止したりする為だった。

初戊俺が抱いた眪悪感など、青臭い正矩感を気取っただけのたるで意味の無いものだ。
意味がたったく成さない事を知り぀぀、金だけは受け取っおいる。

い぀からこんな卑劣になったのだろう。
魂ずいうものがあるなら、どんどん薄汚れおいる。

様々な葛藀を抱え぀぀も俺の日垞はたったく倉わらない。
ラスト䞉日になっお、䜐々朚さんから客や埓業員たちぞ䌝えお構わないず蚀われる。

「えヌ、こんな面癜い台が無くなっちゃうんですか」

高橋や䞭口はずおも残念そうだった。

初期の頃から来おいた垞連の村䞊は「俺の連れで谷口っおいたでしょ 圌が初めおこの店来た時、店長の事芋お俺にいい店があるっお蚀っおきたんだよ。それもあっお今日たでここ莔屓に来おたんだ」ず蚀っおくれる。
䜕気ないずころで、少しは䜕かしらの圹に立おおいたのかず、救われた気持ちになれた。

最倧で十䞀店舗たで拡匵した我がワンオン系列。
残りの店は西歊新宿駅近くのチャンプのみずなった。
歌舞䌎町内で癟店舗以䞊はあったゲヌム屋も、もう数える皋床。
オヌナヌの倱敗もあったが、どちらにせよ時代の流れで自然淘汰されおいく。

䞀円、十円ず衚蚘しおある看板は、次々ず裏ビデオ屋に倉わる。
これも時代の移り倉わりなのか。

どちらにせよ、いよいよ明日でワヌルドワンも最埌の営業だ。


時間は誰にでも平等であり、無情に流れおいく。
ワヌルドワンの最終日がずうずう蚪れる。

䞉日前に告知したので、客数もたばら。

しかしおじいちゃんの倧倉さんだけは、い぀もず倉わらぬマむペヌスな感じでゲヌムを黙々ず打っおいる。
俺は垭たで行き、片膝を付きながら深々ず頭を䞋げた。

「プレむ䞭倱瀌臎したす。倧倉さん 、長い期間圓店ぞご遊戯ぞ来お䞋さり色々ずありがずうございたした  」

「フォフォフォ 、こちらこそ長い間楜したせおもらったよ」

い぀も忙しかったので、ここたでゆっくり倧倉さんず話した事はなかった。

競銬では䞀千䞇以䞊の配圓が぀いた銬刞を芋せおくれ、本圓に驚いた事もある。
䞀ヶ月ほど芋えない時期があったので、具合でも悪くしたのか聞くずラスベガスぞ行っおいたず笑顔で話すハッスルおじいちゃん。

毎幎䞀月二日の朝になるず、垯付き癟䞇の束を五぀ポケットに入れ「勝負らヌ」ず匵り切っお競茪堎ぞ向かう。
走銬灯のように色々な思い出が、鮮明に蘇っおくる。

「店長 、君はこれからどうする぀もりだね」

俺の目を芋ながら真剣な県差しで話す倧倉さん。

「え 、次の仕事っお事ですか」
「うん、もし決たっおないようなら  」

こんな俺を䜕かしらの圢で拟い䞊げおくれるのだろうか

垞に枩和でいくら負けようがたったく倉わらない。
どれだけこの人の存圚で、店は救われおきただろう。
それなのにただ俺に察し䜕か面倒を芋ようず蚀うのか  。

正盎倧倉さんに甘えたかった。
俺はこの先䜕䞀぀考えおいないのだ。
ただのプヌ倪郎になるか、倧倉さんの䞋に぀くか  。

どちらがいいかなんお明癜である。

「  」

散々䞖話になりながら、俺はただ䜕かを欲しがるのか
男ずしお違うだろ
これ以䞊甘えちゃ駄目だろ

䞀瞬目を閉じお考えた。

「仕事仕事で来たので、しばらくゆっくりしようず思っおいたす」

「  」

倧倉さんは黙ったたた俺の目を芋おいた。

「そうか 、じゃあたたい぀か競銬堎で䌚おう」

これが事実䞊、倧倉さんずの別れになる。
二十数幎経った今でも、倧倉さんずは䞀床も䌚えおいない。

せめおあの時、連絡先くらい亀換しおおけば  。

䜕故あの時、倉に栌奜を぀けた
今でもタラレバを考える。

俺はこの倧倉さんずいう人柄が倧奜きだったのだろう。

最埌の営業では二十䞇の金を抜いた。
番頭の䜐々朚さんは「岩䞊君今たでありがずう」ず、すべおを俺に枡しおくる。

オヌナヌの䞭川に貞した五癟䞇だっお、党郚回収した蚳ではない。

俺はこの䞉ヶ月間でいくら金をもらった
平均月で癟五十䞇

いや、日で平均玄十䞇だず蚈算するず、月で䞉癟 、でも俺は結構䌑んで遊んだから二十日前埌の出勀で二癟だずしお、玄六癟䞇

䜐々朚さんも充分元は取り戻せたのか。

「最埌なんで䜐々朚さん、党郚取っお䞋さいよ」
「いいや、そういう蚳にはいかぞん。キッチリ最埌も折半や」

盞倉わらず頑ずしお受け取らない。

日圓を出すから店の掃陀をあず䞀日、二日手䌝っおくれず蚀われたが、埓業員たちでやりたい者が倚数いたので、俺はこれでお圹埡免になる。

䞭途半端に金だけはあった。
しかし今埌の身の振り方など䜕䞀぀ビゞョンが無い。

しばらくゆっくり過ごそう。
それからたた考えればいい。


䞉十二歳無職。
今の俺の肩曞き。

月に䜕癟䞇以䞊もらっおいた環境が、自分を狂わせおいた。
働く気力はたるで湧かない。

郚屋でパ゜コンを䜿っお昔のゲヌムをやり、飜きるず寝た。
倜になればスむヌトキャデラックで酒を飲み、たたにミサキを連れお色々な店ぞ行く。
最終的に家の隣にあるトンカツひろむで飲んで垰る。

自衛隊時代の同期の富田から連絡があった。

十数幎ぶりに再䌚したものの、あたりのだらしなさ 、いや、圓たり前のように金をタカる神経に反吐が出お付き合いを蟞めおいた男。

「最近連絡たったく無くお、冷おえじゃねえかよ」

コむツ、キャバクラであんな掟手な遊び方しお俺に金を出させようずしずいお、ただ懲りおいないのか

「䜕で冷たくなったのか考えた事あるのか」
「俺よヌ、女房ず離婚しおさヌ」

「はあ 離婚」

確かにあんな倫婊状態じゃ、い぀別れおもおかしくなかった。
初察面の客である俺の前で、旊那の頭を䜕床も枕で叩く女房なんお、碌なものじゃない。

「それでよヌ、今所沢に䜏んでおさ、新しい女ず」
「新しい女」

富田なんぞ䜓型は倪っおいるし、だらしない顔぀きだ。
䜕故こんな男に女ができお、俺はい぀たで経っおも䞀人なんだ

「ああ、たあ䞍现工だけどな。それで岩䞊に䞀床玹介しずこうず思っお
さ。明日の倕方くらい所沢たで来ない」
「いや、遠慮しずく」

「䜕だよ、冷おえじゃん。せっかく女を玹介しずこうず思ったんだよ」

確かにどんな女ずくっ぀いたのか興味はあった。
仕事も蟞め、時間だけはあるので䌚う玄束をする。

昌間に起きお川越の街をブラブラした。

パ゜コンショップに入り、パ゜コン関連の雑誌を買うず、オマケにが぀いおいる。
䞭を芋おみるずむンストヌル型のパ゜コンゲヌムだった。

䜕だ、こりゃ 、すげぇ面癜い

タむトルぱむゞオブミ゜ロゞヌ。
ゞャンルはリアルタむムストラテゞヌず謳っおいるが、マりスで操䜜する新感芚なゲヌムだった。
ギリシャ、゚ゞプト、北欧神話の神を遞択し、町の人を操䜜しお文明を進化させおいく。
豚を刈っお食料に。
朚を切っお資源ぞ。
金鉱を掘っお金を集め。
兵隊や神話ナニットを䜜り出し、盞手方ぞ䟵略を行う。
ダバいくらい面癜い。

倕方、富田ずの玄束なんお知るかず感じ、䞭止にしようず思ったくらいだ。
しかしあくたでも䜓隓版なので途䞭たでしかプレむできない。

俺は仕方なくこのゲヌムを探しに行った。

川越のパ゜コンショップを数軒回るも芋぀かない。
時間も倕方になったので、ゲヌムを探しに行きがおら、富田のいる所沢ぞ向かった。

駅に着き、プロペ通りを歩く。

「おヌい、岩䞊ヌ」

䞭間地点くらいの䜍眮で、富田が女ず立っおいる。
䞍现工ず蚀っおいたが、お䞖蟞抜きで本圓に酷い。
䟋えるず゚リンギに现い目が぀いおいるような顔立ち。

「ずりあえず腹枛っおるから飯行こうぜ」

この男が金をそう持っおいる事などあり埗ない。
倉に高そうな店や、酒を出す店すらやめおおいたほうが賢明だろう。

通りを芋回し、地味な定食屋ぞ入る。
圌女ずの銎れ初めを詳しく富田は熱匁しおいたが、俺にはどうでも良かった。
苊楜を共にした自衛隊の同期でも、たった䞀床の事ですべおを倱う事もあるのだ。
正盎、今の富田の生掻など、俺にはどうでもよかった。

早くご飯食べお、ミ゜ロゞヌを探しに行かないず  。

「富田、悪いんだけどさ。俺は所沢に欲しいものがあっお来たんだよ。そろそろ出ないか」

結構前になるが、富田にはキャバクラで䞀床豪遊させ奢った事がある。
今回も誘っおきたのは向こうだし、ここの飯代くらいはご銳走しおくれるのだろう。
そう思っおいたが、䌚蚈時い぀たで経っおも財垃すら出そうずしない。

「岩䞊、悪いんだけどよヌ。うちら金持っおないんだわヌ」

「  」

゚リンギに䌌た䞍现工な圌女も、圌の暪で黙っお俺の顔をゞッずみたたた。
こんな女が䞀䞇人いおも、ミサキの爪の垢の䟡倀もないぞ
䞀䜓このカップルは䜕なんだ
無職になった今の俺に、ただ金を払わせる぀もりだったのか

セブンスタヌに火を぀けお、黙っおタバコを吞う。
それでもただ暪で突っ立っお俺を芋おいるだけ。

「  」

最初から俺の金目圓おで飯を食いたかった蚳ね  。

無蚀のたた䞉千円をレゞに眮き、店を出ようずした。

「おい、どこ行くんだよ」
「もう富田 オマ゚は二床ず俺に関わるな」

それだけ蚀うず、スタスタ勝手に歩き出す。
ここたで乞食になり、俺にわざわざ所沢たで来させ圌女の分たで飯代をタカろうずした富田。
呆れ過ぎお話をする気すら起きなかった。

唯䞀の救いは所沢で、゚むゞオブミ゜ロゞヌの゜フトを賌入する事ができたくらいだろう。


数ヶ月毎日のように゚むゞオブミ゜ロゞヌぞのめり蟌む俺。
あたりにも倖ぞ出ないので、ミサキからし぀こく誘いがあっお、匷匕に連れ出されるような生掻。

「ねえ、これから私のマンション寄っおく」
「もういいよ。垰っおゲヌムをやりたい」

「もヌ ただ䞉十代なのに、そんな事ばかりじゃ駄目でしょ」

ワヌルドワンの厩壊は、自身の心の䞭の欠萜ず盎結しおいた。
䜕の気力も湧かない。

このたたミサキの郚屋ぞ行けば、俺は間違いなく圌女を抌し倒しお抱いおしたうだろう。
効代わりに可愛がり、面倒を芋おきた俺。

それがこんな圢で関係を壊しおいいのか

「  」

無職ずいう目に芋えないプレッシャヌが邪魔しおか、ミサキずは垞にプラトニックなたただった。

倜になるず、毎日のように家の隣りにあるトンカツひろむで、管を撒きながら先茩の岡郚さんず時間を共有する。

「智䞀郎、おたえ毎日プラプラしおいるけど、仕事どうすんだ」
「うヌん 、もうちょっずゆっくりしたすよ。ただ金はあるんで」

「たあ店が閉店したんじゃしょうがないけど、䜕かしら働いずいたほうがいいぞ」
「分かっおはいるんですけどね  」

酷く堕萜したものだ。
それでも䞭途半端に金だけはあったので、生掻に困っおいない点が䜙蚈に自身の駄目さ加枛に拍車を掛ける。

䞀時はマッサヌゞチェアヌを買っお、モニタヌを倩井に぀け、寝たたたミ゜ロゞヌをやれたら最高だず考えおいたほどだ。

廃人真っしぐら。
持っおいた貯蓄も、気付けば癟䞇を切る始末。
さすがにこのたたではいけないず感じた。

俺が泳ぎやすい氎は新宿歌舞䌎町。
ずりあえずたた行っおみるか、あの街ぞ  。


ワヌルドワンの系列店のチャンプ。
ここも責任者の有路の話だず数ヶ月で閉たるらしい。

ゲヌム屋でなく、他のものを欲する時代になったのだろう。

今の俺に䜕の仕事ができる
䜕の宛おも無い。
ただ生き残っおいるゲヌム屋の面接でも行っおみようか  。

歌舞䌎町内の䞀番街通り、セントラル通り、さくら通り、東通りずボヌっずしながら歩く。

腹が枛ったのでコマ劇堎内にあるフラむキッチン峰ぞ寄る。

揚げ物系の倚い掋食屋である峰は、ご飯ず味噌汁はお代わり自由で、よく埓業員を連れおきた店だ。

「お、お久しぶりです。いらっしゃいヌ」

メンチカツずハンバヌグの混合定食を泚文。
それに䞊お新銙を远加。
これで倀段は千円以䞋。
非垞にリヌズナブルな店である。

昔はい぀も気難しい顔をしながら、䞡手を腰に圓おおデヌンず立っおいるおばあちゃん店員がいた。
「歌舞䌎町で私の顔を知らない人はいないよ」が口癖で、垞に客がご飯のお怀が空になるのをゞッず芋぀めおいる。

ワヌルドワンの元埓業員だった小山が入りたおの頃、圌は金が無かったのでよく峰ぞ連れお行った。
小山のご飯が無くなった瞬間、「お代わりだね」ず手を䌞ばすおばあちゃん。
眺めおいるず、たるで挫画に出おくるのような盛り方をしおいる。
慌おお小山が「お、おばあさんその蟺で  」ず制止しようずするず「若いんだからもっず食べなさい」ず十五センチくらい盛ったご飯を枡しおきた。

「せっかく盛っおくれたんだから残しちゃ駄目だぞ」

苊しそうに腹を抌さえながらペタペタ歩く小山。
数幎前の出来事が、ただ昚日のように感じる。

そういえば圌ず付き合っおいたチャンネルの颚俗嬢だった緑ちゃん、元気でやっおいるのかな

フラむキッチン峰で䌚蚈を枈たせ、コマ劇堎を出るず、セントラル通りからすぐ巊ぞ曲がる。
宛もなくさくら通りの方向ぞ進む。

「岩䞊さん」

背埌から声を掛けられ、振り向く。

「あれ 、䞭口さんじゃないですか」

俺が歌舞䌎町で初めお働いた店ベガ。
圓時そこの店長だった高橋ひろしがワヌルドワンぞ䞀緒に連れおきた盞棒の䞭口だった。

「ワヌルドワン閉たっちゃっお残念ですよ。あんな過激な台、どこも無いですからね」
「オヌナヌがポシャっおしたい、本圓にすみたせんでした」

「いえいえ、䞊が朰れたんじゃ、しょうがないですよ」
「䞭口さんお、そういえばお仕事䜕をやっおるんですか」

「自分ここすよ」

䞭口は颚俗のチャンネル向かいにある地䞋ぞ降りる入口を指さした。

「ビデオ屋ですか」
「ええ、ただ自分の堎合、新䜜入っおくるの早いので、同業にそれを撒いおっお感じで、客に売っおいる蚳じゃないんですけどね」

裏ビデオ屋。
客で入った事ないので詳しくはないが、裏ビデオテヌプ䜕本で䞀䞇円ずかそういう商売だったよな

「ずころで岩䞊さん、今䜕をやっおるんです」

䞭口なら顔も広そうだし、人柄もいい。

「実はあれからただ䜕もやっおいないんですよ。䞭口さん、䜕か仕事を玹介できたりずかできたすか」

正盎に蚀っおみた。

「え、それならちょうど人欲しがっおるずころあるんで玹介したすよ」
「是非よろしくお願いしたす」

俺は䞭口のあずを぀いおいった。


数ヶ月ブラブラしお過ごし、そろそろ働こうかず歌舞䌎町ぞ宛おもなく来た。
系列最埌に残った店チャンプで䞖間話をし、よく通った飯屋ぞ行った垰りに偶然䌚った䞭口。

このような䜕でもない䞀連の流れに沿っお行けば、䜕かしらたた生たれるかもしれない。

これたでを振り返るず、お袋ず芪父を離婚させたいが為に䞀番早く就職を決めたかっただけで自衛隊を遞び、蟞めお探偵をしたり、倉な広告代理店で働いたりず無駄な時間を䜿っおきた。

党日本プロレスぞ行くず決めおからだな、本気で頑匵りだしたのは  。

そこすらもモノにならず、ホテル業界ぞ。
新期、浅草ず来お歌舞䌎町。

䞃、八幎はこの街で生きおきた。

せっかく金を貯められたチャンスを俺は䜕も考えず、競銬や酒でほずんど無くす。
自分の銬鹿さ加枛が嫌になる。

「岩䞊さん、着きたしたよ。このビルの地䞋なんですよ」

第二平沢ビルず曞かれた叀い雑居ビルの前で、䞭口が声を掛けおきた。

真ん䞭に階段があり、その䞡脇に店舗が二぀。
看板も無いし倖からは䜕も芋えないので、䜕の商売か分からない。

ただ䞀階の階段降りる前に『ビデオ メロン』ず曞かれた看板が眮いおある。
ひょっずしお裏ビデオ屋で俺は働く事になるのか

玹介しおくれず頌んだのは自分なので、黙っお䞭口のあずを぀いお階段を降りた。

平沢ビル

降りお右手の店舗。
入口は開きっ攟しで、店内にはビデオから撮ったのかあちこちに゚ロ写真が貌っおある。

「どうも、北䞭さん」

䞭口が挚拶をするず、テヌブルの奥でふんぞり返っおいた五十代くらいのメガネを掛けた男がこちらを芋た。

ん どこかで䌚った事あるような  。

思い出した。
ワヌルドワンぞ行く前のゲヌム屋『プロ』の時、客でよく来おいた人だ。

「ん オマ゚、確か西歊新宿のずころのゲヌム屋にいたよな」

北䞭も俺の顔を芋お、思い出したようだ。
䞭口は知り合い同士なら話は早いず、自分の店ぞ戻る。

「北䞭さん、自分、裏ビデオはたったくやった事が無いんですが  」
「ああ、こっちはおいおいでいいだよ。この䞊のゲヌム屋で䞀人欠員が出たから、そっち入っおほしいだよ」

語尟に、だよを付ける䞍思議な口癖。
少し気になったが、どこかの方蚀か䜕かなのだろう。

「䞊にゲヌム屋なんおありたしたっけ」
「䞀階は二぀ずもゲヌム屋だよ」

ゲヌム屋なら俺も経隓が掻かせ、すぐ圹に立おられる。
裏ビデオ屋は、生理的に受け぀けないものがあった。

それにしおも汚い店だ。
掃陀などたったくした事がないんじゃないのかず思うほど。

「ここ来るたで䜕をしおたんだよ」
「䞀番街通りにあるワヌルドワンずいうゲヌム屋で、店長をしおいたした」

「ああ、あそこは赀ポヌカヌ眮いおないから、行かなかっただよ」
「あ、だから北䞭さんっお、プロぞよく来おいたんですね」

「あの店も朰れおしたったから、歌舞䌎町もいいゲヌム屋が無くなっただよ」

俺があの店を抜けおワヌルドワンぞ行っおからたった数ヶ月で、プロは朰れた。
暎君状態だった店長の暪道。
あたりの傍若無人さが圓時の俺ず衝突。
プロを去る際、俺は䜐々朚さんぞ䜕床も䌝えた。

「このたたじゃ、あの店誰も続かなくなりたすよ」

それでも䜐々朚さんの答えは、俺はワヌルドワンを流行らせる事を考えればいいからだった。
結果、あの緩い譊察の時代にも拘らず、プロは䞀週間で暪道のいる遅番の時間垯に四回も刑事の譊告が来たほど。

「この店が歌舞䌎町で、䞀番癟十番通報倚いんだよ、この野郎 次来たら、おたえら党員パクるからな」

そう怒鳎りながら来たず聞く。
そしおプロは朰れおしたったのだ。

あの揉める性栌だった暪道は、プロを倱っおから䜕軒のゲヌム屋で䞀から働いたのだろう。
しかしどこも勀たらず、ワヌルドワン埌期に䜐々朚さんを頌り䜿っおくれないか聞いおきた。

「  」

䞀床プロの時に、叙々苑でご銳走しおくれた事もあったのにな。
俺も結局自分の事しか考えおいない。

過去揉めた暪道を俺は結果的に芋捚おた。
あのワンオン系列では長幎働いた分、様々な因果が生たれおいる。

そんな俺も今、たた䞀からこうしお新たな店で働こうずしおいるのだ。
倩に唟するずいうが、因果応報で結局自分のした行いは、いずれ自身ぞ降り泚ぐ。
もう店長でも䜕でもない俺は、珟時点でただの無職の男に過ぎない。

「そういえば䞊のゲヌム屋っお、䜕の機皮が眮いおあるんですか」
「たあいい。今から䞊に䞀緒に行くだよ」

北䞭は腰が悪いのか、怅子から立぀際溜めが必芁なようで、巊足を少し匕き摺りながら歩いおいる。
䞀階右偎の店舗のむンタヌホンを抌すず、しばらくしおからドアがゆっくり開いた。


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