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闇 1244名を巻き蟌んだ爆砎事件線

闇 1244名を巻き蟌んだ爆砎事件線

2024/08/04 sun
2025/07/11 fry
2025/08/19 tue
前回の章

2000幎09月29日タむタンファむト


二千幎六月十六日、金曜日先勝。

俺の総合栌闘技の詊合よりも数ヶ月前に、䞉沢光晎さんが党日本プロレスを退団。
新しい団䜓プロレスリング・ノアを立ち䞊げた。

これは俺が総合栌闘技タむタンファむトぞ出堎する前の話。
この発衚を聞いお、䜕故俺はプロレスでなく総合を遞んでしたったのだろうず埌悔する。
しかし蚌明するず決め、呚りにも出る事を䌝えおいた俺に軌道修正はできなかった。

2000幎6月16日、䞉沢光晎らが新団䜓NOAH旗揚げを発衚「党日本プロレスが持぀䌝統ず、私がこれからやろうずするプロレスの間にギャップを感じ 」【週刊プロレス】 | BBMスポヌツ | ベヌスボヌルマガゞン瀟 2000幎6月16日、東京・ディファ有明で䞉沢光晎が䌚芋をおこない、新団䜓「NOAH」の蚭立を発衚した。 䌚芋には党日本プ www.bbm-japan.com

党日本には川田さんず淵さんのみ残り、あずのレスラヌは党員䞉沢さんに぀いお行くずいう異䟋の事態。
ここたでの遞手倧量離脱は前代未聞である。
日本プロレス史に斌いお類を芋ない珟象だ。

少数粟鋭ずなった党日本プロレスは、新日本プロレスずの察抗戊で掻路を芋出そうずしおいた。
䞡団䜓の残された゚ヌスである川田利明さんず䜐々朚健介の䞀階打ちが組たれ、ゞャンピング顔面ハむキックにより川田さんの勝利に終わる。
党日本プロレスに行った歊藀敬叞は「小結同士の戊い」ず称した。

プロレスの垣根を超えた双璧ずいえば、䞉沢光晎さんず歊藀敬叞。
歊藀の台詞に頷き賛同する人間も倚かった。

銬鹿な俺はキャバクラやスナックで遊び惚け、最埌に家のひろむぞ行き岡郚さんたちず面癜おかしく過ごしおいた時期。

い぀だっお俺の行動や考えは䞖の䞭ず少しズレおいる。


ワヌルドワンで俺が䌑みの日に、匷盗が来たらしい。
この時代のゲヌム屋は入口に鍵を掛けず、誰でも自由に出入りができた。

店長の所がキャッシャヌに座り金を数えおいるず、フルフェむスのヘルメットを被った男が突然入っおきおいきなり目の前にチキチキの簡易カッタヌを突き぀けられたようだ。
ちょうどテヌブルにあった珟金二十䞇を差し出し、盞手は金を持っお逃げた。

その話を聞き「チキチキカッタヌじゃ、切れおも刺す事はできないんだから、そんなんで金出しちゃ駄目っすよ」ず所に蚀う。
所は「おたえは目の前でナむフ出された事あるのか」ず涙目で睚む。

そんなものいくらでも機䌚はあった。
俺は過去切られた傷を数ヶ所芋せ「俺がいたら金を枡しおない」ず蚀うず、所は䌚話を止め黙ったたた向きを倉える。

この経緯蟺りから、俺ず所の仲は決定的に悪くなったようだ。

「岩䞊さん 、仕事終わったらちょっずお時間頂けたすか」

埓業員の川端が仕事の、合間声を掛けおくる。
できれば静かな堎所でずの垌望だったので、新宿プリンスホテルのティヌラりンゞを䜿う。

「改たっおどうしたよ」
「桶川ストヌカヌ殺人事件っお知っおたすか」

知っおいるも䜕もあれだけ連日マスコミが倧隒ぎした事件である。
この䞀件からストヌカヌずいう蚀葉が䞖の䞭に認知され、埌玉県譊の䞍手際が際立った。

「俺、あの事件の党貌をすべお知っおいるんです」

冗談を蚀っおのかず思ったが川端の衚情は真剣そのものである。
確か真面目な女子倧生を颚俗の店長がストヌカヌしお埓業員らに䞭傷ビラを巻き、桶川駅のずころで刺殺された事件だったよな  。

簡単に俺の知っおいる内容を䌝えるず、川端は口を開く。

「その䞭傷ビラを巻いた埓業員の䞀人が自分なんです  」

俺は圌の話をたず聞いおみる。
真面目な女子倧生ずいうよりも、被害者はその颚俗で働き、店長ずネンゎロの仲だったらしい。
スカりトを受け、店の金たで持ち出しお他の店ぞ移る。

可愛さ䜙っお憎さ癟倍。
憎悪からあの事件に発展したようだ。

川端があの事件に関䞎
ここ数ヶ月圌の勀務態床や性栌を芋おいるず、ずおもそんな颚に思えない。
できれば今日この䌚話が嘘であっおほしかった。

「自分、圓時保険蚌なくお、あの店長の借りたたた事件になっおさたい、ただ保険蚌持っおいるんです  」

「 ずいう事はオマ゚も指名手配ずいう事」

「はい  」
「それを俺に蚀っお、どうしたかったの」

「実は黙っおいようず思っおいたんです 。ただ、色々良くしおもらっお䜕かあった時では遅いので正盎に話したした」

正盎店の店長は所である、䜕故圌が䌑みのタむミングで俺に蚀っおくるんだず思った。

「仕事を蟞めたいのか」
「いえ、そんな事はないです。できれば続けたいずは思っおいたす」

俺じゃたったく手に負えない話である。
しかし川端の気持ちも汲んでやりたい。

「分かった。今日俺は䜕も聞いおいない。䜆し䜕かあっお実際に捕たった時、うちで働いおいたなんお名前出すなよ」

「岩䞊さん、ありがずうございたす」

深々頭を䞋げる川端。

あの事件の党貌を聞いた。
新聞や雑誌は、刺し殺された女子倧生をひたすら擁護するような蚘事ばかりだったが、川端の話は党然違った。

元々、逮捕された店長の店で働いおいた女性は、店長ずプラむベヌトでできおいた。
店長は圌女にメロメロになり、色々ず金などを貢いだそうだ。
突然、圌女は店を蟞めるず蚀い出し、口論になったらしい。

散々、利甚するだけ利甚しおポむッず捚おた女性に、店長の怒りは収たらなかった。
その怒りは、凄たじかったようだ。

店長は川端を含む埓業員たちを脅し、いたずら電話をさせたり䞭傷ビラを撒かせたりず、随分無茶苊茶な行動をやらせた。
それでも怒りが収たらず、あのような結果に  。

人の呜を奪うのは、䞀番いけない事である。
それは䞀番やっちゃいけない事。

でも、考えおほしい。
そこたで人の怒りを買うような真䌌をしたほうにも責任があるずいう事を  。

男尊女卑の時代から、時は流れ、女のほうが匷くなったずいわれるような䞖の䞭に倉わり぀぀ある。
男も女も少しモラルを無くし過ぎのような気がした。

これも携垯電話がむンタヌネットを䜿えるようになり、䟿利になった分だけ人は思いやりを無くしおいった結果だずしたら、それはずおも悲しい事だ。
十幎前は携垯電話など無く、あっおもせいぜい自動車電話だけだった。

䟿利さが生んだ歪んだ末の事件ずも蚀えるのではないか。

ストヌカヌ  。

やられるほうにしおみれば、いい迷惑だろう。
でも、䞖間で隒いでいるほずんどが、本圓にそうなのだろうか

片方は玔愛で付き合っおいる぀もりなのに、盞手はそこをうたく利甚する。
そんな図匏が壊れた時、玔情な心が壊れた時  。

真面目な誰にでも奜かれる女子倧生が、あんな無残な殺され方をするのだろうか
数ヵ所刺され、亡くなった女子倧生。
呚りの人間はさぞかし悲しんだろう。

でも、そうなる前に䜕故もっず早く圌女の異倉を泚意出来なかったのでだろう
䜕かがあっおからでは、もう遅いのだ。

埌玉県譊の初動ミスずいう声が圧倒的に倚い䞭、もちろんそれも原因ではあるけど、それだけではないような気がする。

もっず、みんなモラルを持぀べきなのだ。
思いやりをそしお優しさを。
最近この事に぀いお考える自分がいる。

もちろんその䞀件を聞いたからずいっお、俺の仕事に察する評䟡は倉わらない。
いい意味でも悪い意味でも。

ある日、川端が遅刻をした。
真面目な勀務態床に反比䟋するかのように倚かったのだ。
本圓の理由は分かる。
だが、俺は聞いおいないず圌に䌝えた぀もり。

床重なる遅刻の時は「やる気ないなら蟞めろ」ず突き攟し、島村や小山が川端をフォロヌしお初めお「やる気があるなら今から出おこい」ず、あずでこっそりタクシヌ代は俺が自腹であげた。
地元の北海道ぞ里垰りした時、お土産で俺にたりもを持っおきおくれた事もあった。
仕事終了埌、俺は金に䜙裕の無い川端や小山を連れお、コマ劇堎にある『フラむキッチン峰』ぞよく連れお行き驕った。

そんな川端の告癜から䞀ヶ月埌  。

圌は連絡もなく、突然、店に来なくなる。
最初はただの遅刻だず思っおいたが、そのたた圌は来なかった。

俺はあえお連絡をしおいない。
店のみんなにも連絡するのを止めさせた。
予想通り譊察に捕たったのだろう。

䜕ずもやるせない気持ちになった。


川端が抜けた穎を早番から山䞋が遅番に来お欠員を埋める。

「遅番はいいですよね。い぀も早番から埓業員持っおくから。こっちはから初心者育おるようですよ」

早番の責任者である吉田の嫌味。
ここ数幎䞀緒の店で働いお分かったのが、どうしょうもないグズだずいう点だ。

朝、出勀前にモヌニングコヌルしおくれずいうからしお起きおいるのに䞉日連続䞀時間以䞊の遅刻を平気でするような奎である。
もちろんその尻拭いはすべお俺が残りやっおいた。

山䞋は遅番に来るなり吉田に察しおの愚痎が凄かった。
ただ早番にいる䞉門や倧倉も仕事垰り、食事や酒をタカられ䞍満が盞圓溜たっおいるず聞く。

「あの吉田の豚野郎、䜕がそんな酷いの 遅刻垞習犯でうんざりはしおいるけど」
「あの人、責任者のくせに、平気で䞋の人間からタカるんすよ」

遅刻だけでなく金に察しおも意地汚いのかよ。
俺は店長の所ぞ盞談しようずした。
だが、来おもほずんど奥で寝お過ごす店長の所。

现かい内茪の問題が埐々に山積みになっおいるのを感じた。

島村が他の店で名矩瀟長を頌たれ、ワヌルドワンを蟞める事になる。
ゲヌム屋なのか聞くず、新しい商売のむンタヌネットカゞノずいう店らしい。

「むンタヌネットカゞノ どんな仕事なの」
「いやヌ、自分もずりあえず名矩瀟長をやっおくれっお話なだけで、内容たではよく分からないんですよねえ」

幎も近く䞭々頌もしい存圚だったので、圌が蟞める事はずおも残念に思う。

島村は有線で流れる掋楜に぀いお、俺が「この曲っお䜕」ずいう質問にほずんど答えられるほど知識があった。
そしおほが毎日ず蚀っおいいくらいマクドナルドのポテトのを二個ず、柿の皮を奜んで食べる。
柿の皮はせんべいしか食べないので「良かったら食べお䞋さい」ずピヌナツだけを枡しおくる倉人だ。

圓たり前のようにいた人間がいなくなる珟実。
寂しいが、それはしょうがない。
みんな金を皌ぐ為に裏皌業ぞ手を染めたのだから。

事前にい぀い぀蟞めるず䌝えおくれた島村には、店の人員確保の準備もあるから非垞に助かるし、飛ぶ人間が倚い䞭圌の姿勢には共感を芚えた。


ゲヌム屋は䞀日䞀床新芏サヌビスが入る。
だから初回のプレむだけで蟞めるのを犁止にしおいた。

業界でケンチャンず呌ばれる客がいる。
これは新芏プラス二、䞉千円の五千円勝負しかしない现かくセコい客を指す。
店的には新芏サヌビス入れおいるから、勝ち負け関係無しに䞀䞇円くらいの勝負はしお䞋さいねずいうのが本音である。

俺より十センチほど背は䜎いが劙に䜓栌のいいケンチャン集団がいた。

「岩䞊さん、あい぀ら䞀応プロレスラヌですよ」ず島村は蚀う。
「え あんなんでレスラヌなの」

「高朚䞉四郎ずいう名前でずいうむンディ団䜓なんですけどね」
「䜕それ デンゞャラスドラむバヌ倩韍の略の技じゃん」

「䜕でそんな団䜓名にしたんだか分かりたせんけどね」
「だっおあい぀ら本圓にレスラヌ集団なの 身䜓が现いのもいれば、俺より䜓栌いい奎䞀人もいないじゃん」

「岩䞊さんは元メゞャヌの党日本じゃないですか。あんなむンディ連䞭ず比べちゃ駄目ですよ」
「あんな金も無いケンチャン集団が、レスラヌだっおリングに䞊がっおんでしょ 䜕かムカ぀くなヌ」

毎日四人五人の集団で来お、䜿っおも五千円のみ。
圹や䞀気を飛ばすず即蟞めな連䞭ばかりなので、正盎客ずしおいらなかった。
ビンゎをたたたた取られでもしたら、ワヌルドワンの倪客の打ち気を削がれる事になっおしたう。

「ねえ、店長。あんな乞食集団入れないでよ。ちゃんずゲヌムしおいるこっちが阿呆らしくなるからさ」
「俺は別に店長じゃないですよ。でも、意芋はちゃんず䞊申しおおきたすね」

垞連からのクレヌムも増えおくる。
あたりにも目立぀ケンチャン行為の集団だったので、俺は芋せしめに䞀人出入犁止にした。


二千䞀幎九月䞀日、土曜日友匕、二癟十日。

盞倉わらず垞に満垭状態でク゜忙しいワヌルドワン。

「この店が歌舞䌎町で䞀番忙しい店でしょ」

こんな颚に蚀っおくる客も倚い。
ホヌルで埓業員がタバコを吞う蚳にもいかないので、順番に䞀服䌑憩を回す。
この時が唯䞀ゆっくりできる時でもあった。

「あれ 豆切れちゃっおんじゃん 。島村君、小山君、すぐ戻るからコヌヒヌ豆買っおきおもいい」
「ええ、どうぞ」

自分が飲む甚のコヌヒヌ豆が切れたので、島村らに断りワヌルドワンを出る。
倖ぞ出るず䜕やら䞀番街通りが隒がしい。
トンカツにいむらの向かいにあるビルがボダ隒ぎを出したようで野次銬が凄かった。
尋垞じゃない人だかり。

芋物しおいる堎合じゃない。
すぐ戻っお䌑憩を回さないず。
遠目から煙の出おいるビルをちょっずだけ眺め、俺は靖囜通りを枡っお豆を買いに行く。

店も満垭で忙しいたただろう。
すぐ買い物を枈たせ䞀番街通りぞ入ろうずするず、譊察官がかなりいる。

「䜕だ、ありゃ」

思わず出る声。
䞀番街通りの入口を有刺鉄線でバリケヌドを䜜っおいた。
入口の封鎖。
通りには誰も入れないようだ。

「ちょっず 、䞭に入りたいんだけど」

譊察官に蚀うず「立入犁止だ」ず断られる。

物々しい雰囲気。
䜕か異垞事態があったのだろう。
だがワヌルドワンは動いおいるのだ。

「ふざけんなよ 䞭に店があっお客が満垭でいるんだ。いきなりこんなバリケヌドしお入れないで、知らない客たちはどうなる ずりあえずいいから入れおくれ」

そう蚀うず、譊察官は枋々バリケヌドの隙間を䜜り䞭ぞ入れおくれた。
俺のあずを぀いお、いか぀いダクザ者も䞀緒入ろうずするず、譊察に止められおいる。

「おいっ 俺は◯◯組のなヌ  」
「はいはい、譊察盞手に組の名前出しおも意味無いから」

ダクザず譊察が揉めおいるのを暪目に歌舞䌎町ぞ入った。

ガランずした歌舞䌎町。
譊察官、消防士、マスコミの姿しかいない。

蚘者らしき人がマむクを向けおきたので「勝手に撮るんじゃねえ 俺の詊合ずかスルヌしたくせにふざけんなっ」ずただの八぀圓たりをしながら店ぞ向かう。

あれ
さっき煙が出おいたビルの呚り、消防車凄いな。
ひょっずしおあれが原因か
いやいや、早く戻らないず。

歌舞䌎町ビル火灜

確かお觊りパブの『ルヌズ゜ックス』ずか雀ピュヌタヌの『䞀䌑』の入ったビルだよな
いやいや、早く戻らないず。
階段を駆け䞋りる。

店内は倉わらず満垭。
倖の異様さなど誰䞀人気付いおいない。

小山に「倖、䜕か知らないけどバリケヌドで封鎖されおダバいぞ」ず蚀うず、キョトンずしおいた。
ずりあえずこのたたではいずれ譊察も事情聎取で店に来るだろう。
ゲヌム屋は賭博法違反なので珟行犯逮捕。
たずは客をすぐ出さないず  。

「今倖がダバい状態です みなさん、倖ぞ逃げお䞋さい」

俺は倧きな声で客に倖ぞ出るよう促す。
店の倪客である倧倉さんは䜕があったのか聞いおくるので、手短に倖の状況を説明した。

ケンチャンの现かい客は「僕のクレゞット残っおいるんです。すればいいんですか」ず緊急時にセコい事を蚀うので「クレゞットはそのたたにしお、あずで䜕ずかしたす。今倖が譊察も䞀杯いたす。迅速に店から出お䞋さい」ず客を早く出した。

䞀人だけ客が残っおいる。
面倒臭い阿郚ずいう客。

「いいから阿郚さん、早く倖出お䞋さい」
「嫌だ 倖、譊察䞀杯なんでしょ」

倧方シャブか䜕か悪いものを持っおいるのだろう。
だかこんなのを匿っおトバッチリでこっちたで被害が来るのは溜たったものではない。

台にしがみ぀き、立ずうずしない阿郚。

「阿郚さん、ずりあえず萜ち着きたしょう。無理に远い出したりしたせんから」

俺の蚀葉に阿郚は安心したのか台から手を離す。
その瞬間俺は身䜓を持ち䞊げ「早く足持おっ」ず匷匕に店の倖ぞ投げ捚おた。

喫茶店䞊高地

匷匕に客党員を出すず、埓業員たちに出おすぐ右手にある喫茶店の䞊高地で私服を持っおいき埅機するよう䌝える。
最埌に残った俺は、各台のクレゞットを玙に控え、店の珟金、〆甚玙など必芁なものだけバックに入れおすぐ倖ぞ出た。

䞊高地ぞ着いおから初めお番頭の䜐々朚さんに電話を入れる。

「䞀番街のビルで倧火事みたいよ。店に譊察ずか来そうだから岩䞊君だけ店に残っおおよ。他の埓業員はみんな垰しおいいから」
「えヌ、嫌ですよ」

「頌むよ。今日所君䌑みだし、二番手の岩䞊君しかいないからさ」

仕方なく嫌な圹目を受け、みんなを垰す。
店に戻りゲヌム機の電源、ホヌルの電気などすべお消した。
無音で暗い空間の䞭䞀人䜇む。

携垯電話を芋るず、着信履歎の数が凄かった。
䜕なのこの数は

ずりあえず始めに着信のあった地元の先茩である岡郚さんぞ連絡を入れる。

「おヌ、智䞀郎無事だったか」

状況を聞くずテレビでは䞀番街通りの雑居ビルが倧火事で歌舞䌎町を封鎖しおいる様子が攟送されおいたようだ。

俺はゲヌム屋ずいう仕事を隠し、䌚員制のバヌで働いおいるず嘘を぀いおいた。
知り合いが俺の店に来たいず蚀われおも、䌚員制だから無理ず垞に断っおいる。

歌舞䌎町ずいう事で、みんな俺の安吊を気に掛けおくれたのだ。

ドアには鍵も掛けおいない。
しかし特に店ぞ譊察やら消防が来る事はなかった。

朝たで埅っお、䜐々朚さんに連絡を入れお川越に戻る。
粟神的に疲れたのか垰りの小江戞号では熟睡しおしたい、本川越駅に着いお駅員に起こされた。

改札を出ようずした時携垯電話が鳎る。
芋た事のない番号。
から始たるので川越の人間だろう。

出お「もしもし」ず答えるず、無蚀で切られる。
䜕だ、コむツ
倱瀌な奎だな  。

頭に来たので俺からその番号に掛け盎す。
二回コヌルが鳎り、盞手が出た。

「に 、二階堂です  」

十幎は䌚っおなくおも声を聞いお䞀発で誰か分かる。
身䜓䞭の现胞がざわ぀く。

「䜕で俺の番号知っおるんですか  」
「新宿で火事あったっお蚀うからね。電話したら出たから無事なのかず思っただけ」

俺は䜕も蚀わず携垯電話を耳に抌し圓おおいたが、少ししお電話は切れた。

幌少時代の悪倢が鮮明に蘇る。
盞手は小孊校二幎生の冬、俺ら䞉兄匟を捚おお家を出お行ったお袋だったのだ。

勝手に捚おお奜きなように生きながら、今さら俺の心配

巊瞌の䞊のこめかみの傷が疌く。
俺の根底にはドス黒い憎悪が蓄積しおいる。

これはお袋だけではない。
芪父の効である叔母さんのピヌちゃんずも、仲が悪いたた。
台所に立぀ず垞に邪魔され、キャベツの葉䞀枚䜿っただけで泥棒扱い。

詊合前日の倜䞭、女絡みで倧隒ぎを起こした芪父。
どれだけ女遊びをすれば気が枈むのだ
たた詊合圓日培倜で臚む矜目になったその匵本人である加藀皐月。

俺の憎悪は様々な人間によっお構築されおいた。

党日本プロレス、浅草ビュヌホテル、歌舞䌎町ず日々忙しく過ごしおいたから、ほずんど過去を思い出す事もなかっただけ。

「智、おたえ早くあの家から出なよ」

䌚う床蚀われた先茩の坊䞻さんの台詞が蘇る。

俺の為を思っおの蚀葉。
だが䜕もできないけど、俺が家を出たらおじいちゃんがどうなる
垞にそんな想いがあった。
だからこそ川越からわざわざ新宿たで通っおいるのだ。

「䜕が二階堂ですだよ  」

俺はボ゜ッず呟き家に向かった。


あんな倧惚事があったのに、歌舞䌎町はい぀もの賑わい。
圓然ワヌルドワンも翌日から普通に営業しおいる。

新宿の䜏民たちの情報をたずめるず、あの雑居ビルの倧火灜で四十四名が亡くなった。
䞉階の雀ピュヌタヌ屋の䞀䌑。
ゲヌム屋がポヌカヌゲヌムなのに察し、雀ピュヌタヌ屋は麻雀のゲヌム機を䜿う。
そこで火事になり、䞭の客は党滅。

䞀番街通りに面したずころに簡単な調理ができる厚房があった。
埓業員䞉名はそこから飛び降りお足を折ったようだ。

䞊の四階にはお觊りパブで圓時流行っおいたスヌパヌルヌズ。
そこの客や女の子たちは䞀酞化炭玠䞭毒で党員死亡。

男が怅子に腰掛けその䞊に女が乗っお向き合う姿をラッコちゃんスタむルずいう呌び名があった。
あんな栌奜で死んだら、目も圓おられないだろう  。

マスコミもこの四十四人亡くなった雑居ビル倧火灜を連日取り䞊げおいた。

俺は䞉十歳になった。

島村が蟞め、新人の二宮が入っおくる。
他のゲヌム屋で経隓あるらしく遅番採甚ずなったのだ。
二宮は二十歳。
十歳も幎䞋。
時代の流れを感じた。

店のシステムの説明をしおいるず、二宮は盞槌に「なるほど」ずいう蚀葉を乱発する。
聞いおいおあたり気分がいい蚀葉ではないので、乱発しお䜿わぬよう泚意した。

圌は倉な運気を持っおいお、ワヌルドワンぞ来る前あの倧火灜雑居ビルの䞀䌑の面接を受けおいたようだ。
倧火灜の前、本胜的に嫌なものを感じお結局䞀䌑には行かず、うちを遞んだらしい。

あれから少し経ち、最近店に私服譊察官が数名で来るようになった。
その床構える俺。
客のこの状態でどう逃がすかが頭によぎっおしたう。
たず「別件だから安心しろ」ず蚀われ、䞀枚の写真を芋せられる。

こちらを振り向いおいる途䞭の埌ろ姿の男が写っおいた。

「この男、店に出入りは」
「コむツ、䜕をやったんです」

「䟋の雑居ビルの䞉階の店の入口に、爆匟を仕掛けた䞭囜人だ」

え 、火事でなく爆砎

もちろんワヌルドワンは日本人以倖の客は入れない
なので芋た事も無いし、倖囜人は入れおない説明をした
凄かったのが今床はどこどこ眲ず別の所蜄の生掻安党課の刑事が倚い時で䞀日䞉組ほど同じ事を聞き蟌み調査で来た事だ。

ある日い぀ものように䟋の䞭囜人の写真を提瀺しお同じ質問をする刑事が来た。
今たでず違うのが、「随分流行っおいるお店ですね〜、䜕垭あるんですか」ず聞きながら垭数を数え、メモに取っおいる。

きな臭い䜕かを感じ、俺は䜐々朚さんに連絡を入れた。

「さっき来た刑事、䜕か雰囲気違いたしたよ。気味悪いんで数日店を閉めたほうがいいんじゃないですか」

䜐々朚さんが䞊のオヌナヌである䞭川や片桐に盞談したずころで、儲け優先らしくそのたた通垞に営業するだけだった。

今たでの譊察ず明らかに違った察応のあの刑事。
杞憂に過ぎなければいいが俺は雇われ、䞊の呜什には埓わなきゃならない。

二宮が突然䌑みを代えおほしいず俺に蚀っおきた。
理由を聞くず、その日急に知人の結婚匏が入ったからず蚀う。
そんなたった䞀日でいきなり結婚匏なんお入らないだろうず突っ蟌みたかったが、特に甚事も無いので䌑みを代わる。

地元のゞャズバヌ、スむヌトキャデラックでゆっくり過ごそうず思っおいたが仕方ない。
本来なら䌑みなのを出勀。
この日もい぀ものように店内は忙しかった。

所に食事䌑憩をそろそろ回すか話しおいる時、目぀きの悪い䞉人組が入っおくる。

䞀人は芋芚えがあった。
あの時違和感を芚えた刑事だ。

客はほが満垭。
俺は客を倖に出そうずするず、刑事がポケットから譊察手垳出しお「党員動くなっ」ず怒鳎る。

凍り぀く店内。
「流行っおいたすね、䜕垭あるんですか」ず䞋っ端のふりをしおいた若い刑事が䞀番偉そうな態床だった。

残りの郚䞋に客の連絡先などを聞きに行かせ、終わった客から随時倖ぞ出される。

若い刑事は䞀人で怒鳎りながら奥の䌑憩宀ぞ行き、埓業員の吊るしおあった私服を床ぞ投げた。

カチカチに固たり、刑事の質問にどもりながら答える店長の所。
俺はあの時の聞き蟌み調査自䜓が茶番なのが分かり、劙に苛立っおいた。

「お巡りさん」
「お巡りさんじゃねえ 刑事だ」

「じゃあ刑事さん、俺の服床に萜ちお汚れっから拟っおいいすかねヌ」

あえお小銬鹿にした口調で蚀う。

「あ、ああ」

ムカ぀いたので刑事を嚁嚇しおやる。
今回は捕たえに来たずいうよりも、譊告を入れに来ただけらしい。
刑事から名前ず䜏所を聞かれたので、神嚁韍䞀、䜏所は所沢垂ず嘘を曞く。

刑事たちが出おいくず、所はいきなり俺に怒鳎っおきた。

「岩䞊っ 譊察に向かっおあんな嚁圧的な態床はやめろ」

散々ビビっおいたくせに、セヌフティな状況になった途端これか  。

「はいはい  」

俺は小銬鹿にした声で返事をした。


ベテランだった島村が蟞め、新人の二宮は䌑みを代わっおから店を飛んだ。
俺、小山、山䞋、石黒ず所が䌑みで四人で店を回す時なら問題ない。
誰か䌑み、所が出勀する時は基本奥で寝おしたうので地獄のような忙しさになる。

石黒が目に涙を溜めながら「岩䞊さん、所さんが寝おおグラス溜たっおるから゜ヌッず掗っおいたら、氎を飛ばすなっお怒鳎られたした」ず蚀っおきた。

「寝おんのにそんな状態でグラスなんお掗わなくおもよかっただろ」
「掗わないず溜たり過ぎおお、客に出すグラスのストックが無いんですよ」

「そっか 、ごめんな。そうだよな  」

店長だから倚少の楜ぐらいはしおもいいず思っおいた。
幎䞊だし敬った察応をしおいた぀もりだ。
しかし最近の所の業務姿勢は明らかに酷い。

俺はホヌルを埓業員に任せ、奥の䌑憩宀ぞ向かう。
寝おいる所を起こし「所さん、い぀たでぬるた湯に浞かっおんですか」ず文句を蚀った。
睚んではきたが䜕も口を開かない。

「みんな䌑憩も入れず、ホヌルを駆けずり回りヘトヘトですよ。少しは店の事考えおくれおも良くないですか」

所は終始無蚀だった。

翌日になり早番の吉田が垰り際俺に声を掛けおくる。

「岩䞊さん 、さすがに所さんにぬるた湯発蚀はマズいですっお。所さんにそんな事蚀うの岩䞊さんぐらいですよ」

確かに蚀い方は悪かった。
しかし所の最近の行動は酷い。

その数日埌、所はワヌルドワンを蟞める事になった。
先日の譊察や匷盗の䞀件、俺ずの関係の悪化、幎霢的な問題もあったのかもしれない。
送別䌚をやったが、所が俺に察し話し掛けおくる事はなかった。

この系列に入ったのは俺が先ではあるが、ワヌルドワンオヌプン圓初からいる吉田が店長になる。

俺はそのたた遅番の責任者ぞ繰り䞊がった。




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