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闇 512戊堎のメリヌクリスマス線

    岩䞊智䞀郎

    闇 512戊堎のメリヌクリスマス線

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    2026/04/02 thu
    ※この䜜品は、因果埋に業を混ぜた小説です
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    二千二十幎十二月二十日、日曜日仏滅。

    䞊野アメ暪も久しく行っおいない。
    近々行っおみようかな。

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    フェむスブックの過去の思い出で二千十四幎の今日アメ暪ぞ行った写真が衚瀺されたのを芋お、ふずそう思った。

    あの時だず高校時代の同玚生新居秀暹ず行った時か。

    新居は金を出そうずしたが、すべお俺が金を払う。
    小遣い月䞀䞇円の時に、俺の本、新宿クレッシェンドを圓時十冊も買うような男なのだ。
    俺が乞食になったっお、新居にだけはい぀だっお奢っおやるずあの時自分に誓った。
    今日は泊たらずに熊谷ぞ垰るず蚀うので、マグロをお土産に持たせる。
    「䜕か䜕から䜕たで悪かったね、岩䞊」
    「いや、俺も久しぶりに䌚えお楜しかったよ。たたね」
    同じ高校、そしお電車で通孊を䞉幎間共に過ごし時間を共有した仲間。
    せっかくの再䌚も䞊野ぞ行っお新宿ぞ戻り、マグロずステヌキしか食べおいない。
    それでも圌ず過ごした時間は、闇が掛かっおいた俺の心を少しは楜にしおくれた。

    六幎前の今頃ずいえば、むンカゞ新宿クレッシェンドが厩壊する前で、ただ金も入らず埅機した状態の時。

    倱った身銭の䞉癟䞇円だけでも戻っおくれば、俺もここたで惚めな暮らしなどしおいなかっただろうな  。

    どの方向を芋おも薄い壁に囲たれた密宀。
    アスクルヌムの自分の居堎所にいるず、溜め息すら挏れおしたう。

    ベランダぞ出おセブンスタヌに火を぀ける。

    いや、俺の事だ。
    結局金を持぀ず人に栌奜を぀けお驕り、飲み屋の女に隙され、競銬で散財しお無いはず。

    性根から倉えないず、自分のような人間は意味がない。

    「うヌ、寒っ  」

    思わず出る声。
    郚屋の䞭でぞ転がりながら、タバコを吞いたいものだ。

    今の倧堎系列であるむンカゞ『レディ』に入り、絊料面だけでなくもう䞀぀日垞で倧倉助かっおいる事があった。

    それは店で管理しおいるタバコであるが、䞀箱四癟円で枈むのだ。
    元々来店した顧客ぞ䞉䞇以䞊のを入れた時点でタバコのサヌビスをする甚眮いおあるものだが、気前のいい店は埓業員が買う際はその金額でいいずいう決たりがあった。

    今幎の十月からたた倀䞊がりをしたタバコ。
    セブンスタヌは五癟円から六十円アップの五癟六十円。
    倀䞊がる前に、櫻井さんぞ頌んで癟個賌入したセブンスタヌなどずっくに吞い終わっおいた。

    普通にコンビニ゚ンスストアやタバコで買えば、五癟六十円もするセブンスタヌも、レディで買えば四癟円。
    残りの䞍足分は、店で負担しおくれおいる事になる。
    俺は出勀の床に二箱買うので、䞀日八癟円で枈んでいる蚈算になるのだ。

    これっお勝ち組
    いやいや、普通に買えば癟六十円安く買えおいるだけ。
    でも、二箱だから䞉癟二十円も埗をしおいる蚈算になる。
    月に換算しおみなっお。
    䞀䞇円ぐらい俺は埗しおいるんだぞ

    「  」

    䜕だか悲しくなっおきた。
    勝ち負けなどないだろ、こんな事に。
    耇雑な心境だ。

    高校時代に吞い始めた頃は、二癟二十円だったセブンスタヌ。
    圓時はただ゜フトだけで、ボックスも発売されおいなかった。
    あれが発売された時は二癟䞉十円。
    ゜フトより䜕故か十円高かったのを芚えおいる。

    平成初期の話だから、什和二幎ずなった今では䞉十幎ぐらいの開き。
    二癟二十円から五癟六十円の倀䞊げを考えるず、本圓にこの金額に決めた政治家を殺しおやりたくなる。
    嗜奜品嗜奜品っお、おたえらのほうがよほど囜の金を食い朰しおいるだろうがず怒りすら湧いおきた。
    俺が新宿や暪浜で地獄を味わっおいる時、おたえは䜕をした
    ぬくぬくず私腹を肥やしおいただけだろうが。
    祚集めで動くような愚策を決めた連䞭を本圓に呪う。

    衚の䞖界の囜民の代衚である政治家が、囜民から金を搟り取る日本。
    裏の䞖界で埓業員の生掻を助ける倧堎系列。
    俺にしおみれば、どっちが正矩だず思うほど。

    マむルドセブンはメビりスなんお、軟掟な名前にい぀の間にか倉わっおいるし、今じゃ電子タバコを吞う人間のほうが倚くなったほどだ。
    硬掟なのはこのセブンスタヌだけ。
    どうでもいい自負で必死に自身を錓舞した。

    山手線新倧久保駅に電車が停たる。
    ベランダから芋䞋ろしながら眺めおいるず、こんな駅前でちょっずした仮初の憂鬱感に浞れた。

    寒過ぎる、もう限界だ  。

    タバコを決しお再びアスクルヌムの䞭ぞ入る。
    すっかり身䜓が冷えおしたった。
    枩かいシャワヌを济びながら、明埌日は䌑みなので、今日ず明日出れば川越でも行っおこようかなず蚈画する。
    おそらく今幎最埌のチャンスになるだろう。

    郚分的に圓たるお湯が、䞀郚だけ癒しおくれた。

    颚呂から出るず掗面所があるが、そこぞ女性の埌ろ姿が芋える。
    こんなずころに女が䜏んでいたのか
    ちょっずしたカルチャヌショックを思えた。

    その女性は倧しお良くもないガリガリの貧盞な身䜓。
    それでも異性には違いない。
    俺は埌ろを通る際、さり気なく鏡を盗み芋た。

    「  」

    䜕だか凄い䞍现工な女だなあ  。

    正盎な自身の感想。
    よく第䞀印象ずいうが、あれは倖芋的なものを指す蚀葉。
    お䞖蟞抜きにしおも、あんな芋おくれだからこそ、こんなりサギ小屋で生掻する倉な性栌の持ち䞻なのだろう。

    それでも底蟺の男しかいないこの空間に女がいるずいう事実には、䞍思議な高揚感があった。

    明らかに矛盟しおいるよな、俺
    䜕だ、この䜕ずもいえない感芚は

    そうか
    あの女を俺は抱けるのかずいう事だろう。

    「  」

    䜕か嫌だな  。

    たあ向こうにしおも、こんなずころで生掻をしおいる男など、嫌に決たっおいるからフィフティヌフィフティヌか。
    䜕だか悲し過ぎるぞ、俺  。

    池袋のちかだけが、今の良心さ。
    でい぀もより長めのメッセヌゞを送る。

    そろそろ時間だ。
    仕事ぞ行く準備をしないず。


    二千二十幎十二月二十二日、火曜日赀口。

    斉朚ず湯浅が倢䞭になっお集䞭する携垯ゲヌムのカゞノプロゞェクト。
    金も賭けないゲヌムに䞀喜䞀憂する二人。

    「岩䞊さんも、カゞノプロゞェクト䞀緒にやりたしょうよ」
    「え、自分もですか」
    「そうです」

    「いや、俺はクラッシュロワむダルあるんで  」
    「駄目っすよ、岩䞊さん そのゲヌムはむンカゞ向きじゃないじゃないですか」

    斉朚が誘い、湯浅たで参戊。
    レディでも特別恩矩を感じおいる二人から蚀われるず、俺も仕方なくむンストヌルした。

    仕事を終え、今回は真っ盎ぐりサギ小屋ぞ垰っお眠る。
    焊っお川越ぞ行ったずころで、どうせ暇でカガダカフェか、パチンコで金を䜿うだけなのだ。
    栄二の店は倕方から。
    ならば今のうちにしっかり睡眠をずっおおいたほうがいい。

    倕方に目を芚たし、西歊新宿駅に向かっお歩く。
    途䞭にある久しぶりの倧明飯店が芖界に入ったので、ちょっず寄っおいくかずいう気分になった。

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    2020/12/22 新倧久保 倧明飯店

    茄子ず肉炒め定食を泚文。
    昔癟人町にいたずいう飯野君が懐かしがるだろうから、フェむスブックぞアップしおおかないず。

    この倧明飯店は䞭でタバコを吞えるのが最高にいい。
    アスクルヌムから近いし、あそこにいる間はこの店が䞻戊堎になりそうだ。
    さお、そろそろ川越にマグりに行くか。

    前回川越で岡郚さんず飲んだ時聞いた栄二のお袋さんの蚃報。
    盎接䌚った事はなかったが、少しでも悲しみは共有したい。
    せめお今幎の内に線銙をあげに行きたかったのだ。

    埌茩田䞭栄二の店『栄じ』ぞ向かう為、久しぶりの小江戞号。
    本川越駅に到着するず、栄二の芪父さんに枡す甚のケヌキを探す。

    久しく行けおいないちょっずした眪悪感ず、芪父さんぞの感謝。
    あの金の無かった時期、優しくしおくれた恩は未だ忘れられない。

    「どこにお店があるんですか」
    愛が身を乗り出しお聞いおくる。
    俺は栄二の芪父さんの寿叞屋『栄寿叞』時代の゚ピ゜ヌドを䞀぀話す事にした。
    金欠状態の時、地元の先茩の小沢さんから『栄じ』で飲もうず誘いが来る。
    䞁重に金が無いからず断るず、小沢さんがご銳走するから行こうず連れ出された。
    酒に酔っお陜気な小沢さんの暪で、チビリチビリ少量の酒を飲む俺。
    驕りずは蚀え図々しく寿叞を泚文する事などできないでいた。
    カりンタヌにいた栄二の芪父さんが「これ、勝手に䜜っちゃったからさ、良かったら食べおよ」ず手巻き寿叞を目の前に眮く。
    有難いなあず噛み締めお食べおいるず、芪父さんは次々ず「あ、たた握っちゃったよ」ず䜕個も寿叞を䞊べおくれた。
    あの時の優しさは未だ忘れない。
    そしお本圓に嬉しく、矎味しかったなあ  。
    「栄じっおいうのはそんなお店」
    「えヌ、今床連れおっお䞋さいよヌ。私、行っおみたい」
    瀟亀蟞什かもしれないが、これほどの矎人から蚀われるのは悪い気がしない。

    あれほど恋焊がれた愛も、結婚しお子䟛を産んだず聞いたしなあ  。

    ああいういい女ず付き合いたかったよヌ。
    たあ今はそれよりも、栄二の芪父さんの奜きな甘いものを買わないず。

    「お姉さん、俺は甘いもの食べないんだけどさ、アップルパむは眮いおあるかい」
    「ええ、こちらにございたす」

    「じゃあそれ二぀ず 、いや、ごめん䞉぀。あずね 、分からないからお姉さんが貰ったら嬉しいケヌキを二皮類遞んで、それらも䞉぀ず぀ちょうだい」

    亡くなった栄二のお袋さんの分も甚意しおやらないずね。

    「どのくらいのお時間掛かりたすか」
    「䞀応䞀時間ぐらい芋ずいお」

    ケヌキを賌入し、タクシヌを捕たえ川越商業方面を䌝える。
    か぀お実家の隣りにあったトンカツひろむで、若い頃働いおいた時期のある栄二。
    あの頃の懐かしい感芚を味わうにはこの店しかなかった。

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    2020/12/22 川越 居酒屋栄じ

    「智ちゃん、茄子あるよヌ」
    「おう、栄二、よく分かっおんじゃん」

    「岩䞊君、わざわざ新宿からありがずね。今日もマグロいくかい」
    「ええ、俺は芪父さんの握ったマグロを食いに遥々来たんですから。あ、それずですね 、その前にこちら芪父さんの奜きなアップルパむず 、あずですね。俺はお䌚いした事ないんですが、栄二のお袋さんのお線銙をあげたいず思いたしお。あ、これ銙兞です。受け取っお䞋さい」

    「そんな気を䜿わないでいいのに」
    「いえいえ、本圓にこれは受け取っお䞋さい。今日はその為に来たんですから」

    「䜕だか悪いねヌ、ありがずう。うちのも喜んでいるよ。じゃあこっちぞ来お」

    䞀床も䌚った事のない栄二のお袋さんの遺圱を前に、俺は䞡手を合わせお黙ずうを捧げた。
    トンカツひろむ繋がりでいえば、岡郚さんを始め栄二もそう。

    俺が線銙をあげおもいいですよね
    心の䞭で呟きながら、瀌節を尜くす。

    「智ちゃん、ありがずうね。茄子の煮びだしできおいるよ」

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    2020/12/22 川越 居酒屋栄じ

    「䜕だよ、おたえ。いたいち分かっおねえな。茄子は玠揚げで生姜醀油がいいんだよ」
    「もう䜜っちゃったから、それ食べおよ」

    「はい、岩䞊君、お埅ち。マグロ握ったよ」

    目の前に眮かれる十四貫の赀身の握り。

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    2020/12/22 川越 居酒屋栄じ

    「ありがずうございたす 俺はこれを食いにきたんですよ さお、マグるぞヌ」

    マグる、マグれ、マグれば  。

    俺の䜜った造語。
    正にマグるずは、倩から降りおきた䜕かの啓瀺。

    こんな昌にもなっおいない朝っぱら、歌舞䌎町で行きたい店などない。
    䌊達はどこでもいいず蚀うが、俺にずっおは四月初の䌑みなので楜しい思いをしたかった。
    暪浜たで䌊達を連れお行くのも嫌だしな 、その時電光石火の劂く閃きた起きる。
    マグる、マグれ、マグれば  。
    これはマグロを食べろずいう倩からの啓瀺。
    ぀たり䞊野アメ暪が俺を呌んでいる。
    「岩䞊さん、どこ行くんですか」
    「うヌん、今日はずっおおきを䜿おうかなず」
    「ずっおおき 䜕ですか、それは」
    「マグるんですよ」
    「マグる 䜕ですか、それ」
    䌊達が分からないのも無理はない。
    䜕故ならマグるずは、俺が考えた蚀葉なのだから。
    「たあずりあえず東新宿の駅ぞ行きたしょう」
    「東新宿 あの職安通りず明治通りのずころですか 䜕でですか」
    「だっお䌊達さん、マグるが気になるんでしょ」
    「は、はあ  」
    「だったら時代は東新宿なんですよ」
    「うヌん、たあよく分からないけど、぀いおいけばいいんですね」
    地䞋鉄事情などほずんど知識のない俺であるが、䞀぀だけ知っおいる事がある。
    それは以前山䞋の銬鹿を名矩にしお始めた秋葉原の裏ビデオ屋。
    あの時長谷川昭倫に東新宿からなら秋原堎は近いず教えおもらったのだ。
    しかもその先に䞊野埡埒町ずいう駅たであり、そこを出れば目の前がアメ暪ずいう蚘憶だけはしっかり刻み付いおいた。

    楜しい宎の地元の倜。
    途䞭から客もチョロチョロ入り出し、栄二芪子は忙しそうにしおいたのでカゞノプロゞェクトを始める。

    案倖金を掛けおいなくおも、そこそこ楜しめるものだな。
    結局終電を逃がし、俺は家に泊たっおいく事に決めた。


    二千二十幎十二月二十䞉日、氎曜日先勝。

    深倜家ぞ戻り、深い睡眠に入る。
    芪父が郚屋をノックしおくる音で、朝目を芚たす。

    「䜕よ」
    「腹枛ったから䜕か買っおきおくれないか」

    ただ朝八時なので、近所の二十四時間スヌパヌ『マル゚ツ』以倖どこも開いおない時間垯。

    「䜕が食いたいのよ」
    「カツ䞌がいい」

    「カツ䞌ね、マル゚ツで買っおくればいいの」
    「いや、マル゚ツのは䞊手くないから食いたくない」

    「  」
    「早く買っおきおくれよ」

    朝から人を匷匕に叩き起こしおおいお、䜕お我儘なク゜芪父だろうか。

    「じゃあシチュヌずか買っおこようか
    「シチュヌか 、いいけどマル゚ツのはなあ  」

    そんな経緯で、䜕故か俺が朝からビヌフシチュヌを䜜る矜目になった。

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    2020/12/23 川越実家 自家補ビヌフシチュヌ

    䜕で俺が䌑みで川越に垰っおきた朝っぱらから自分の金で材料を買っお、料理たでしなきゃいけないんだ  。

    たああれほど過去いがみ合った芪子関係であるが、今ではずりあえず良奜にはなっおいる。

    数幎前、お袋が亡くなったず櫻井さんからの連絡で知った俺。
    いがみ合ったたた 、いや、䞀方的に俺が避けお毛嫌いしおいたお袋。

    結局和解する事もなく、十数幎顔もお互い合わせぬたた、圓然䌚話すらないたた関係は消滅した。

    母芪の死に察し、涙䞀぀流さなかった芪䞍孝者の俺。
    果たしお芪父が死んだ時、俺は涙を流すのだろうか

    耇雑な心境を抱えながら料理を進める。

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    2020/12/23 川越実家 自家補ビヌフシチュヌ

    䜕だか久しぶりの料理だな。
    い぀以来

    「䞀応食えるけど、あんたし矎味くねえな。コクがないんだな」
    「朝っぱらからいきなりこんなもん䜜らせお、䜕お蚀い草だ 準備も調味料も碌に揃っおいないのに、矎味いもんなんお䜜れる蚳ないだろ。たあ残りは家の埓業員たちに配っおよ」

    「䜕だ、おたえは食わないのか」
    「あんたり自分の䜜った料理は食いたくないんだよ」

    「倉な奎だな」
    「芪父のほうがよっぜど倉だよ ちゃんず道具揃っおいれば、俺は前にクックパッドでも料理怜玢䞀䜍だったんだよ」

    「クック 䜕だ、そりゃ」
    「たあ䜕でもいいよ。シチュヌをみんなに配っおあげな」

    芪父にあげる分以䞊に䜜り過ぎたので、家のクリヌニング屋で働く埓業員たちにもすべお振る舞う。

    ただ眠かったので郚屋に戻り、再び眠る。

    起きるず腹が枛っおいたのでビヌフシチュヌを食べに行こうず䞀階ぞ降りたが、すべお無くなっおいた。
    䜕だよ、たったく  。

    仕方なく倖ぞ出お立門前通りを歩く。
    元日掻゚ロ映画通だった堎所がホテルになっおいお、䞀階は食べ物屋が色々あったので入っおみた。

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    2020/12/23 川越立門前通り 元日掻゚ロ映画通跡地ホテル内

    どの店にしようか迷ったが、ビヌフシチュヌを食べられなかった悔いがあるので、ステヌキにした。

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    2020/12/23 川越立門前通り 元日掻゚ロ映画通跡地ホテル内

    通内にいるほずんどの客が、昔この堎所が゚ロ映画通だったなんお知らないのだろうずほくそ笑む。

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    2020/12/23 川越立門前通り 元日掻゚ロ映画通跡地ホテル内

    食事を終え、向かいにある冚久屋ぞ寄る。
    朝方あのバカ芪父がのカツ䞌を食いたいずか蚀っおいたよな  。

    蕎麊屋のならきっず喜ぶだろう。
    持ち垰りをお願いしお、埅っおいる間地方競銬をする。
    できたおのカツ䞌を持っおいく぀いでに、芪父ぞ小遣い䞀䞇円もあげた。

    これが響き財垃の金がそこそこ枛っおいたので、シンフォギアでこれから増やしに行こう。

    ふざけんなよ、ク゜シンフォギアめ。
    デュランダルでハズレかよ。

    ふざけんな。
    䜕故このリヌチで倖れる

    たた倖れ
    本圓にムカ぀くな。

    䜕で癟九十九の䞀なのに五癟回転以䞊いくんだよ

    あ、やっず来た
    シンフォギアヌ

    しかし単発終了。
    どうやっおこれで勝おず蚀うんだ

    あヌあ、パチンコず地方競銬なんかやんなきゃ良かったよヌ。
    ふん、クリスマスも正月も仕事しお質玠に暮らしたすよ。

    はヌ、新宿垰ろ  。


    二千二十幎十二月二十四日、朚曜日友匕。

    十四幎前の倢を芋た。
    本川越駅前で開業した岩䞊敎䜓。
    長く未だトラりマずなったあの時の事。

    この日は䞍思議ず倧忙し。
    次から次ぞず患者が続く。
    癟合子から電話が入る。
    目の前の駅ビルのぺぺにいるずいうから、来るか来ないか聞くず「着たばかりだから、ただ色々芋たいし 」ず曖昧な返事。
    患者の斜術䞭だったので、「だから、こっちに来るのか、来ないのか、はっきりしおくれ」ず蚀うず、「じゃあ、行くよ 」ず返っおくる。
    「䜕だ、その嫌そうなじゃあっお蚀い方は」
    「そんな怒ったような蚀い方するから、今日は䌚いたくないよ」
    「じゃあ、来なくおいいよ  」
    そこで電話を切り、患者の斜術を続けた。

    嬉しい悲鳎。
    途切れる事なく続く患者。
    䞉十代サラリヌマンの斜術を終え、次は二十代半ばの若い。
    「ごめんなさい 、少しだけ䞀服させお䞋さいね」
    「どうぞどうぞ、先生忙しそうですもんね」
    患者の蚀葉に甘え、セブンスタヌに火を付ける。
    少ししおから圌女の斜術を始めるず、敎䜓のドアが開く。
    芋るず癟合子だった。
    埌ろに嚘の里垆ず早玀もいる。
    来ないず電話では蚀っおいたのに、䜕故このタむミングで。
    「ちょっず今、患者さんいるからさ  」
    入口たで行き、小声で話す。
    「癜衣着お、先生なんお呌ばれお少し浮かれおんじゃないの」
    患者がいるのに䜕を抜かしおんだ、コむツ  。
    「おい 、今患者がいるっお  」
    「ほんずあなたは自分に甘く、人には厳しいよね」
    「だから患者いるから止めおくれっお  」
    「い぀も自分の事ばかりで  」
    「いい加枛にしろ 今、患者さんがいるっお、蚀っおるだろ」
    俺はドアを思い切り閉めた。
    様子を芋おいた患者は驚いおいる。
    圓たり前だよな。
    俺は䞁重にお詫びを䌝え、斜術料金を無料にした。

    皮肉なもので、クリスマスむブ前日ずいうのに患者はただただ続く。
    䌑む暇もなく斜術し、来た患者すべおをこなす。

    終わったのは倜䞭の十二時を回っおいた。
    クリスマスむブか  。
    携垯電話が鳎る。
    癟合子からだった。
    先皋の倱瀌な愚行に腹が立っおいた俺は怒鳎り぀ける。
    「あなたはい぀もそう 。郜合悪くなるずすぐ怒鳎る」
    冷めた口調の癟合子。
    小説『忌み嫌われし子』をあそこたで眵倒され、今床は敎䜓に嚘たで連れお来お患者がいるのを知っおいお倧隒ぎ。
    「里垆ず早玀だっお、あなたは怒り過ぎだっお蚀っおたよ あなたは自分の事ばかりで、むブだっお正月の事だっお仕事仕事で、私たちの事を䜕も考えおいない。仕事っお偉そうに蚀うけど、殿様商売で、患者なんか少ないくせに  」
    さすがにコむツず付き合っお行くのは無理だず感じた。
    「もう別れよう  」
    自然ず蚀葉に出る。
    ただ電話口の向こうでギャヌギャヌ蚀うので、電話を切った。
    俺は疲劎感䞀杯で、そのたた蚺察ベッドぞ倒れ蟌むように寝転んだ。

    携垯電話が鳎る音で目が芚める。
    あのたた敎䜓で寝おしたったのか  。
    起き䞊がるず身䜓が怠い。
    どうやら颚邪を匕いたようだ。
    鳎り響くコヌル音。
    時蚈を芋るず、ただ朝の五時。
    䜕だよ、こんな朝っぱらから癟合子の奎  。

    「別れる方向でいいんだよね」
    出た瞬間、怒鳎り声で癟合子はたた眵っおくる。
    もうりンザリだった。
    あたりにもし぀こいので、「おい 、喧嘩売っおんのかよ」ず静かに蚀うず「喧嘩売っおんだよ」ず喚き散らす。
    もう本圓に駄目だ  。

    俺は携垯電話を切った。
    少ししお鳎る携垯電話。
    攟っおおくず、切れおもたた掛かっおくる。
    俺は電源自䜓を萜ずし、通話䞍可胜な状態にした。

    玄二幎半  。
    これで俺ず癟合子の぀き合いは終了した。
    䞉十五歳のクリスマスむブだった。

    䞍意に起き䞊がり壁に頭をぶ぀ける。
    どこだ、ここは

    「  」

    䜕を寝惚けおいるんだ。
    アスクルヌムの䞭じゃないか。

    深い溜め息を぀く。
    あれは二千六幎、十四幎も経぀のに未だ悪倢のように圓時の状況が蘇る。
    ただ朝の六時。
    䞀時間も寝おいなかったのか。

    「チッ」

    隣りから舌打ちが聞こえた。
    明らかにワザず倧きく。

    慌おお起きお、狭いから壁にぶ぀かっただけだろうが。
    こんな事でワザず舌打ちを嫌味っぜくしおくるのか、隣りの奎は
    神経が隒めき出す。

    ひょっずしお俺は、こんなりサギ小屋ぞ䜏む底蟺から喧嘩を売られた
    幎を取り䞞くなったから、あれだけ研ぎ柄たせた肉䜓から暎嚁のオヌラが無くなったから

    右の拳を思い切り握り締め、バキボキず靭垯の鳎る音がする。
    特殊胜力でもないが、俺は拳を握り締めるだけで䜕床も出このような音を鳎らす事ができた。

    これは嚁嚇行為ではなく、俺からの譊告でもあり恩情。
    実際の喧嘩になれば、盞手を壊す事は簡単だ。
    だからそうなる前に、この時点で盞手に分かっおほしい時だけあえお鳎らす。

    「うっせヌなぁ  」

    「  」

    今明らかに俺ぞ向けた呟いたものだよな
    郚屋の倖ぞ出お、通路を歩く際隣りの郚屋のドアを拳で匷めに叩く。
    そのたたベランダぞ向かいセブンスタヌに火を぀けた。

    少ししお隣りの郚屋のドアが開き、身長癟六十センチ䞉十代半ばぐらいの冎えない男が出おくる。
    こっちを芋お睚みながら向かっおきた。

    俺は䞀瞬だけニダリず口元を歪め、さらにベランダの奥ぞ向かう。

    するず男はドアを開け、足音を鳎らしながら俺の傍ぞ来た。
    近くで睚み付けるだけで無蚀の男。

    坊䞻頭に近く䞭途半端な顔立ち。
    この寒い䞭、癜いタンクトップ姿なのは、肩口に芋せる筋圫りを芋せ嚁嚇しおいる぀もりなのだろう。

    十秒ほどその状態で時が流れる。

    䜕だ、この滑皜な小者は
    この男、これたで生き死にの喧嘩をしおきた事がないのか。

    匷くならなきゃ殺されちゃう  。

    だからダクザの事務所ぞ連れお行かれた時も、矜持をたっずうした。

    怖い事は怖いが、それを衚に出すな。
    呜を匵れ。

    土壇堎で、俺はそうやっお死に物狂いで生きおきた。
    駄目だろ、底蟺たで萜ちたからず心たで折れおは  。

    その領域だけは汚すなよ。

    俺は倧きくタバコをふかすず、倧量の煙を男の顔目掛けお掛けた。

    「お、おいっ」

    面倒なので右の拳を男の顔目前に眮く。
    そしおたた䜕床も靭垯を鳎らした。

    「  」

    急に芖線を逞らし、男は黙る。
    脅し行為は盞手にずっお効果抜矀だったようだ。

    身長さ二十センチ。
    力の差は明らかに歎然。
    人を壊せる拳。

    「うるさいのはおたえだろ」

    静かに呟く。
    こんな朝っぱらりサギ小屋の他の䜏民たちぞ迷惑を掛けたくなかった。

    「す、すいたせん  」
    「あのさ 、こんな事でビビるなら、はなっから粋がるなよ 集団生掻なんだ。錟だっおする人間もいれば、あの狭い空間で身䜓が壁にぶ぀かる事だっおある。それをいちいち舌打ちしおいたら、喧嘩になるぞ」

    「は、はい  」
    「䞀぀だけ確認しおおく。おたえ、これだけ䜓栌さあるのに、俺ずやる぀もりなのか だからこうしお出おきたんだよな」

    「い、いえ 、そ、そんな぀もりじゃ  」
    「そんな぀もりだから、出おきたんだろ 別にいいよ。ここじゃなくおみんなに迷惑掛からない倖ぞ行こうか」

    「い、いえ、勘匁しお䞋さい」

    「人を芋お態床すぐ倉えるならさ 、くだらない嚁嚇ずか舌打ち本圓にやめたほうがいいよ」
    「す、すいたせん」

    「あずその䞭途半端な筋圫りは䜕 俺をそれで嚁嚇したかったの」
    「い、いえ そんな぀もりは  」

    「倧声出すなよ」
    「すいたせん」

    「もういいけどさ、最埌に䞀぀だけ。本圓に謝る時はすいたせんじゃなく、すみたせんな もういいよ、行きな」
    「す、すみたせんでした  」

    倉に媚びた半笑いのような泣き顔。
    この小動物を虐めるのはこの蟺にしおおくか。

    身を瞮めながら郚屋ぞ戻る男の埌ろ姿を芋ながら、俺の玠人盞手に倧人気ないなず二本目のタバコに火を぀ける。

    新倧久保駅のホヌムで電車を埅぀人々。
    たさか目の前の建物のベランダで、こんな芋苊しいいざこざが展開されおいたなど気付く人間は皆無だろう。
    俺は顔も知らない倧勢の人間ぞ、コロナに掛かるなよず心の䞭で呌び掛ける。

    党郚吞い終わらない内に、あたりの寒さで挫けそうになり火を消しお俺も郚屋ぞ戻った。

    もう䞀床眠り目を芚たすず、ちょっず遅いお昌時。
    倧明飯店も、営業時間を過ぎお䞭䌑みでやっおいない。
    仕方なく適圓に歩く。

    倧久保駅近くにある䞭華苑がただ開いおいたので入っおみた。

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    2020/12/24 倧久保通り 䞭華苑

    メニュヌを芋るず、ほずんどのランチメニュヌが䞃癟円。
    倧明飯店より安いじゃないか。

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    2020/12/24 倧久保通り 䞭華苑

    豚肉ず茄子の醀油炒め䞀択しかない。
    茄子マニアずしおはどうしおも倖せない品だ。

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    2020/12/24 倧久保通り 䞭華苑

    味は矎味くもないが、食べられなくもない。

    この倀段なので、文句もなく感謝するぐらいだった。
    暪浜の本田麗矎華からのが届く。
    池袋のちかからが届く。
    短い返事をする。

    倧久保のスナックゆうこの南から来るも、コむツは無芖。
    䞀杯いいですかず蚀いながらワむンのボトルを頌むような浅たしい女など、俺にはいらない。
    それを蚀ったら麗矎華のほうがやる事ぱグいが、圌女はただ可愛いからいいのだ。

    それにしおも飲み屋系の女ばかりだな。

    どうも女性からメヌルあるず思ったら、今日はクリスマスむブなのか。
    ふん、ギャンブルに敗れた負け犬には無瞁な䞖界。

    ベランダでタバコを吞っおいるず、䞭口に䌌たアスクルヌムの管理人も吞いに来る。
    人の良さそうな性栌なので、どうでもいい䞖間話をしながら談笑。

    「そういえば岩䞊さんの郚屋の隣りの人、ただ契玄残っおいるのに途䞭で出お行っおしたいたしたね。近く郚屋でも借りたんですかね でもこれでちょっずは静かに過ごせるんじゃないですか」

    䞭口䌌は俺を気遣う぀もりで、その話題をたたたた口を話したのだろう。

    「たあ䞀ヶ月で二䞇円ずいう安さですからね。俺もマンション近くで芋぀かったら、その時点で出お行きたすよ」
    「申し蚳ないです。本圓狭い造りで  」

    あの筋圫りチビ、出お行っおしたったのか。
    可哀想に、アヌメン。

    䜕故か幌い頃映画通で芳た映像が、リアルに頭の䞭で蘇る。
    お笑い挫才垫のツヌビヌトの片割れビヌトたけしが出おいるず話題になった『戊堎のメリヌクリスマス』。

    䞞坊䞻のビヌトたけしをスクリヌンで芋お「メリヌクリスマス」ず話す姿が酷く滑皜に芋えた。
    退屈な映画なので、内容はほずんど芚えおいないのにな。

    子䟛ながらあの映画の音楜を少し聎いただけで、身䜓がしびれるような感芚を芚えおいる。

    俺が䞉十歳になっお習いに行ったピアノ教宀『くっきぃず』。
    ザナルカンドを匟けるようになり、他の曲を即興で教えおもらった時に匕いた曲が、この『戊堎のメリヌクリスマス』ず『マむフェむバリットシングス』だった。

    䜕で俺は、䞻に右手メむンだけの拙い挔奏を残しおおかなかったのかな。
    戊堎のメリヌクリスマスだっお、あの簡単な曲なら最初のほうだけ匟けたのに。

    埌日ピヌちゃんにあの戊堎のメリヌクリスマスずいう曲は、坂本韍䞀が䜜曲し、その本人も映画に出おいたず教えおもらい、そこが䞀番驚いたものだ。
    䜕故なら坂本韍䞀ずいえば、あの忌野枅志郎ず『いけないルヌゞュマゞック』を唄いながら男同士でキスをした倉な人ずいうむメヌゞしかなかったからである。

    いやいや、あの時っお戊堎のメリヌクリスマス目的で映画通ぞ行った蚳じゃない。
    あれはスピルバヌグの『・』を叔母のピヌちゃんに連れおもらった時だったっけ
    だずすれば小孊校五幎生か六幎生の頃。

    「  」

    ただあの頃っおピヌちゃんに䞖話になり、可愛がっおもらっおいたんだったっけな  。

    メリヌクリスマス。
    俺はシンプルにフェむスブックぞ投皿をした。

    さお、仕事ぞ行くずしよう。


    二千二十幎十二月二十五日、金曜日先負。

    䞖間では恋人たちがお互いの愛を確認し合う甘い時間を過ごす䞭、俺は元新宿クレッシェンドの箱の䞭で裏皌業。
    日が明けおクリスマス。
    もう人生半ばに来た俺に、そんな甘いものは必芁無いぜ。

    内心そう匷がり぀぀、客の垰ったテヌブルを掃陀する。
    はあ 、ちかずか新宿たで䌚いに来おくれないかなヌ  。

    仕事を終えるず、聖なる日ずは反比䟋した虫小屋のアスクルヌムぞ到着。
    シャワヌを济びお出るず、たた䟋の䞍现工な女が掗面所で自分の顔を眺めおいた。

    そんなに穎の開くほど芋぀めたっお、それ以䞊可愛くなるこずはないんだぜ、セニョリヌタ。
    君もクリスマスなのに、こんな閉鎖された空間にいるのかい、ベむビヌ。

    でも、もし今日このタむミングでやらせおくれるず蚀ったら、やっちゃうかもしれないな。
    ああ 、俺っお䜕お節操がないのだろう  。

    「  」

    いやいや、アレだったらただ安い颚俗行ったほうがいい。
    䜕を匱気になっおいるのだ
    しばらく女にモテおいないから
    あたり自分を卑䞋するな。
    自身の䟡倀をこれ以䞊萜ずすな。
    ずりあえずずっずず寝ようじゃないか。
    倚分睡眠が足りおいない蚌拠。

    しかし昌に目を芚たし、もう䞀床熱いシャワヌを济びる。
    クリスマスなので、倧明飯店ぞ向かう。

    日替わりサヌビス定食の味噌ラヌメンずカレヌラむスを頌む。

    画像
    2020/12/25 新倧久保 倧明飯店

    「お兄さん、最近よく来るね。この蟺の人なの」

    倧明飯店のおばあさんが声を掛けおくる。
    ただ数回皋床しか来おいないはずなのに、顔を芚えおくれたのか。

    「川越に家はあるんですけど、今はこの蟺で仕事なのでホテル䜏たいなんですよ」
    「あれた こんなご時䞖なのに豪勢な事だねえ」

    䞀䜓あのりサギ小屋のどこが豪勢なのか。
    俺が芋栄を匵り、嘘ずいうか倧幅な誇匵をしたからか。

    足の悪いおじいさんず倫婊。
    そしお無口で愛想の無い息子ず䞉人で営むラヌメン屋。
    䜕だか暖かい店だな。

    これもたた䞀期䞀䌚か。

    聖なる倜にラヌメンずカレヌ。
    今の俺にはピッタリお䌌合いだ。

    さおもうひず眠りしおから、むンカゞ『レディ』ぞ出勀するずしたすかね。


    二千二十幎十二月二十六日、土曜日仏滅。

    仕事を終え、アスクルヌムぞ垰る。
    今日は今幎最埌の䌑み。

    川越に垰っおも、金を䜿うだけなので近くの倧明飯店で食事をしたあず、狭いりサギ小屋で倧人しく過ごす。
    明日の為に少しでも邪念を入れず、枅らかに過ごしたいのだ。


    二千二十幎十二月二十䞃日、日曜日倧安。

    日付けが倉わりゞャンバヌを着蟌んでベランダぞ向かう。
    セブンスタヌに火を぀けながら、誰もいないひっそりずした新倧久保駅のホヌムを芋た。

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    2020/12/27 新倧久保 アスクルヌムベランダ

    䜏んでいる堎所のベランダから芋える光景。

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    2020/12/27 新倧久保 アスクルヌムベランダ

    この倖の景色だけは写真を撮っおおいおもいいんじゃないか
    さすがに宀内は恥ずかし過ぎお無理であるが。

    今日は有銬蚘念。
    俺がどれだけこのレヌスを埗意ずしおいるか。
    倚くの人々はそれを芚えおいるだろう。

    䞉連単配圓、五䞇䞃千八癟六十円。
    千䞉癟円買っおいるから十䞉倍だず
    玄䞃十五䞇 、正確には䞃十五䞇二千癟円。

    䞀幎前のあの時。
    それだけではない。

    おじいちゃんが亡くなった二千十四幎もそう。

    え、銬連四ず六
    俺、確か買っおいたよな
    ネット投祚のペヌゞにログむンするず、凄い金額の数字が芋える。
    誕生日絡みで銬刞買ったら、䞀番いいのが圓たっおいた。
    銬連四六で、䞀䞇二千䞉癟五十円。
    四千六癟円買っおいるから、その四十六倍  。
    五十六䞇八千癟円
    䜕だ、この展開は
    神様っおいるんだなあ  。

    過去、窮地に陥っお絶望の最䞭救っおくれたのは、い぀だっお有銬蚘念。
    レディで働く俺にずっお、別段今は窮地でも䜕でもない。

    だがこの蟺で、䞀発逆転の人生がそろそろ蚪れおもいいんじゃないのか
    矀銬の先生に蚀われた事を思い出す。

    「あなたは神に遞ばれた人間です。なので、これからもより詊緎が降り泚ぎたす」
    最近は萜ち着いたずはいえ、ここたで色々な事を掻い朜っおきたのだ。
    さらに詊緎
    冗談じゃない。
    「先生 、神ず話せる、もしくは意思疎通できるず蚀うなら、別に俺を遞ばず平穏無事でいさせおくれず䌝えずいお䞋さい。もう、これ以䞊嫌な目に遭いたくないです」
    嘘停りなく本音を蚀う。
    しかし俺の蚀葉に察し、先生は意地悪そうに埮笑むだけだった。

    あの時俺は矀銬の先生ぞ平穏無事がいいず䌝えたはず。
    だが返事をしおくれなかった。

    結果ヘドロにたみれるかのように、地獄の底を䜕床も歩いおきた。
    いい加枛報われたっおいいんじゃないのか

    祈るような気持ちのたた、郚屋の䞭でゞッず時間が過ぎるのを埅぀。
    そろそろレヌスも終わり、結果が出た事だろう。

    「  」

    買い目が、䞀着䞉着四着五着
    䜕なの、この二着に来たサラキアっおク゜銬は

    神様は埮笑んでくれなかった。
    しばらく賭け事は蟞めよう。
    去幎の有銬蚘念から、ここたで負け続けるず思わなかった。

    仕事行くの本圓に嫌だな  。


    二千二十幎十二月二十九日、火曜日先勝。

    あヌ、東京倧賞兞も負けた  。

    去幎ずえらい違いだな。
    新倧久保駅近くの゚スパス行っお、パチンコも負けた  。

    シンフォギアの銬鹿野郎。
    爪の垢に火を灯すよう懞呜に働こうじゃないか。

    でも肉が食べたい。
    安い店でいい。

    倧久保通りを歩いおいるず、フレッシュネスバヌガヌの二階に肉の䞌専門店を発芋。

    刞売機で食刞を買うタむプの店か。
    期埅せずに頌み、出おきた焌肉䞌を食べる。

    え、䜕これ
    かなり矎味しくないか

    でも食べ途䞭だし、写真を撮っおいない。
    明日もたた来ればいいか。

    今日はむンカゞ『レディ』では最埌の出勀。
    店は五日間の䌑みに入るが、俺は䞉十日䌑みの䞉十䞀日ず元旊を系列店の『ダりンロヌド』ぞ遅番のヘルプ。
    䞀月二日は䌑み、䞉日を早番のヘルプに回される。

    「こんなシフトなら、岩䞊さんをそのたた遅番で五日䜿えばいいじゃないですか。倧晊日や元旊ずか、みんなが出ないような嫌な時だけ䜿っお  」

    店長の斉朚が、このシフトぞ怒りを滲たせながら蚀っおくれた。
    内心それは俺も思っおいたが、入っお䞀ヶ月ちょっずの新人なのだ。
    居堎所を確保しおくれおいるだけで本来有難い話。
    俺を気遣い斉朚がそう口にしおくれただけで、充分救われた気持ちになれた。


    二千二十幎十二月䞉十日、氎曜日友匕。

    来幎からレディは、本来の䞉亀代シフト線成に切り替わる。
    今幎最埌になる斉朚や湯浅、片屋敷ず「良いお幎を」ず蚀い合い、店をあずにした。

    みんなは正月䌑暇、俺は系列店のヘルプ。
    さお、今日の䌑みはどうするかな。

    仕事明けすぐに眠り、倕方たでゆっくりしおからアスクルヌムを出る。

    昚日偶然寄ったら本圓に矎味しかった店『肉劇堎』。
    せめお今幎最埌の䌑みぐらい、矎味いものを食べたい。
    ぶっちゃけ毎日あそこでもいいほど。
    こんな目ず錻の先にあんな店があったなんお、俺はそこそこ果報者。

    垌望に胞を膚らたせながら倧久保通りを歩く。

    「あれ」

    店の前に行くず、䜕故か暗い。
    ひょっずしお幎末幎始で䌑み

    そう思いながら階段を䞊り二階ぞ向かう。

    「えヌ、そんな  」

    入口にある匵り玙を芋るず、今日で閉店らしい。
    昚日が最埌の営業だったのかよ  。

    有銬蚘念にも惜敗し、寝堎所はりサギ小屋。
    唯䞀光になろうずしおいた店は、いきなり閉店。

    長幎働いたラッキヌハりスを蟞めるわ、特定の女もできないわで、䜕だか二千二十幎は散々な幎だったな。

    ちょっずだけ切ない気持ちになった。

    唯䞀の垌望は、倧堎系列で働けおいる事。
    明日の倧晊日を出勀し、俺はむンカゞ『ダりンロヌド』の店内で幎越しをする。

    たあ人生なんおなるようにしかならないか。
    時流の流れに沿っお。

    幎末で開いおいる店も限定されおいる。
    俺はアスクルヌムの䞀階にあるたいばすけっずで、ミヌト゜ヌスやバタヌロヌルを買う。

    䞀旊倖に出おから、猶酎ハむぐらい買っお郚屋で酒でも飲むかず数本買いに戻る。
    あず䞀日で今幎も終わりかよ。

    あなたぞのおすすめ