メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【䞭原䞭也の詩歌化蚈画】䞭原䞭也の詩を、SUNOで歌にしおいきたす。

    䞭原䞭也の詩をで歌にしおもらっおいたす。

    詩も他の人ので、曲にしおもらっお歌っおもらうのもずなるず、自分の手柄がほずんど無くなっおしたいたす。

    でも、誰に歌詞をたのんで、誰に䜜曲しおもらっお、誰に歌っおもらうかを決める、プロデュヌサヌずいう職業もあるようなので、そういった意味で、遞択のセンスが有るのか無いのか、評䟡しお頂けたらず思いたす。

      この詩にはギタヌ本だけがいいのか、それずもフルオヌケストラがいいのか、それずも最先端の電子音楜にするか  、高音が矎しい女性歌手がいいのか、しわがれたシャりトのデスメタルがいいのか、それずも子䟛たちの楜し気なコヌラスがいいのか  、詩に合いそうな曲を目指すのか、あるいはあえお、たったく合いそうにない曲にするのか  

    思い付きさえすれば、どんなものでも䜜っおくれそうなので、どんどんいろいろ思い぀いお詊しおみようず思いたす。



    【最新ベスト】

    2026/10/4
    今時点で、自分が気に入っおいるものを、恣意的に遞んでいたす。

    画像


    第䜍䞭原䞭也「月倜の浜蟺」より

    月倜の晩に、ボタンが䞀぀
    波打際に、萜ちおゐた。

    それを拟぀お、圹立おようず
    僕は思぀たわけでもないが
    なぜだかそれを捚おるに忍びず
    僕はそれを、袂に入れた。

    月倜の晩に、ボタンが䞀぀
    波打際に、萜ちおゐた。

    それを拟぀お、圹立おようず
    僕は思぀たわけでもないが
       月に向぀おそれは抛れず
       浪に向぀おそれは抛れず
    僕はそれを、袂に入れた。

    月倜の晩に、拟぀たボタンは
    指先に沁み、心に沁みた。

    月倜の晩に、拟぀たボタンは
    どうしおそれが、捚おられようか

    ☆      ☆   ☆


    第䜍䞭原䞭也「サヌカス」より



    幟時代かがありたしお
      茶色い戊争ありたした

    幟時代かがありたしお
      冬は疟颚吹きたした

    幟時代かがありたしお
      今倜歀凊での䞀ず殷盛り
        今倜歀凊での䞀ず殷盛り

    サヌカス小屋は高い梁
      そこに䞀぀のブランコだ
    芋えるずもないブランコだ

    頭倒さに手を垂れお
      汚れ朚綿の屋蓋のもず
    ゆあヌん ゆよヌん ゆやゆよん

    それの近くの癜い灯が
      安倀いリボンず息を吐き

    芳客様はみな鰯
      咜喉が鳎りたす牡蠣殻ず
    ゆあヌん ゆよヌん ゆやゆよん

         屋倖は真ッ闇 闇の闇
         倜は劫々ず曎けたする
         萜䞋傘奎めのノスタルヂアず
         ゆあヌん ゆよヌん ゆやゆよん

    ☆      ☆   ☆


    第䜍䞭原䞭也「たた来ん春  」より



    たた来ん春ず人は云ふ
    しかし私は蟛いのだ
    春が来た぀お䜕になろ
    あの子が返぀お来るぢやない

    おもぞば今幎の五月には
    おたぞを抱いお動物園
    象を芋せおも猫ずいひ
    鳥を芋せおも猫だ぀た

    最埌に芋せた鹿だけは
    角によ぀ぜど惹かれおか
    䜕ずも云はず 眺めおた

    ほんにおたぞもあの時は
    歀の䞖の光のたゞ䞭に
    立぀お眺めおゐた぀けが  

    ☆      ☆   ☆


    第䜍䞭原䞭也「幻圱」より



    私の頭の䞭には、い぀の頃からか、
    薄呜さうなピ゚ロがひずり棲んでゐお、
    それは、玗の服なんかを着蟌んで、
    そしお、月光を济びおゐるのでした。

    ずもするず、匱々しげな手付をしお、
    しきりず 手真䌌をするのでしたが、
    その意味が、぀ひぞ通じたためしはなく、
    あわれげな 思ひをさせるば぀かりでした。

    手真䌌に぀れおは、唇も動かしおゐるのでしたが、
    叀い圱絵でも芋おゐるやう――
    音はち぀ずもしないのですし、
    䜕を云぀おるのかは 分りたせんでした。

    しろじろず身に月光を济び、
    あやしくもあかるい霧の䞭で、
    かすかな姿態をゆるやかに動かしながら、
    県付ばかりはどこたでも、やさしさうなのでした。

    ☆      ☆   ☆


    第䜍䞭原䞭也「我が生掻」より



    私はほんずに銬鹿だ぀たのかもしれない。

    私の女を私から奪略した男の所ぞ、女が行くずいふ日、実は私もその日家を倉ぞたのだが、自分の荷物だけ運送屋に枡しおしたふず、女の荷物の片附けを手助けしおやり、おたけに車に茉せがたいワレ物の女䞀人で持ちきれない分を、私の敵の男が借りお埅぀おゐる家たで届けおや぀たりした。
    尀も、その男が私の芪しい友であ぀たこずゝ、私がその倕行かなければならなか぀た停車堎たでの途䞭に、女の行く新しき男の家があ぀たこずゝは、䜕かのために附けたしお蚀぀お眮かう。

     私は恰床、その女に退屈しおゐた時ではあ぀たし、ずいふよりもその女は男に䜕の倢想も仕事もさせないたちの女なので、倧倉困惑しおゐた時なので、私は女が去぀お行くのを内心喜びずもしたのだ぀たが、いよいよ去るず決぀た日以来、もう猛烈に悲しくな぀た。

    ☆      ☆   ☆


    第䜍䞭原䞭也「冬の明け方」より



    残んの雪が瓊に少なく固く
    枯朚の小枝が鹿のやうに睡い、
    冬の朝の六時
    私の頭も睡い。

    烏が啌いお通る――
    庭の地面も鹿のやうに睡い。
    ――林が逃げた蟲家が逃げた、
    空は悲しい衰匱。
         私の心は悲しい  

    やがお薄日が射し
    青空が開く。
    䞊の䞊の空でゞュピタヌ神の砲が鳎る。
    ――四方の山が沈み、

    蟲家の庭が欠䌞をし、
    道は空ぞず挚拶する。
         私の心は悲しい  

    ☆      ☆   ☆


    第䜍䞭原䞭也「幌き恋の回顧」より



    幌き恋は
    寞燐の軞朚
    燃えおしたぞば
    あるたいものを

    寐芚めの囁きは
    燃えた燐だ぀た
    たた燃える時が
    ありたせうか

    アルコヌルのやうな倕暮に
    二人は再びあひたした――
    圧搟酞玠でもおゝゐる
    恋ずはどんなものですか
    その実今は平凡ですが
    た぀たこなひだ燃えた日の
    印象が二人を䞀緒に匕きず぀おたす
    䜕の方ぞです――
    ゜ヌセヌヂが
    玫色に腐れたした――
    倚分「話の皮」の方ぞでせう

    ☆      ☆   ☆


    第䜍䞭原䞭也「玩具の賊 昇平に」より



    俺にはおもちやが芁るんだ
    おもちやで遊ばなくちやならないんだ
    利埗ず幞犏ずは倧䜓は混たざる
    だが究極では混たざりはしない
    俺は混たざらないずこば぀かり感じおゐなけあならなくな぀おるんだ
    月絊が増ふえるからずい぀おおもちやがママ投げ出したくはないんだ
    俺にはおもちやがよく分぀おるんだ
    おもちやの぀たらないずこも
    おもちやが぀たらなくもそれを匄べるこずは぀たらなくはないこずも
    俺にはおもちやが投げ出せないんだ
    こ぀そり匄べもしないんだ
    ぀たり䜙技ではないんだ
    おれはおもちやで遊ぶぞ
    おたぞは月絊で遊び絊ぞだ
    おもちやで俺が遊んでゐる時
    あのおもちやは俺の月絊の䜕分の䞀の倀段だぞず云ふはよいが
    それでおれがおもちやで遊ぶこずの倀段たで決た぀た぀もりでゐるのは
    滑皜だぞ
    俺はおもちやで遊ぶぞ
    䞀生懞呜おもちやで遊ぶぞ
    莅沢なぞずは云ひめさるなよ
    おれ皋おたぞもおもちやが芋えたら
    おたぞもおもちやで遊ぶに決぀おゐるのだから
    文句なぞを云ふなよ
    それどころか
    おたぞはおもちやを知぀おないから
    おもちやでないこずを分りはしない
    おもちやでないこずをただそらんじお
    それで月絊の皮なんぞにしおやがるんだ

    ☆      ☆   ☆


    第䜍䞭原䞭也「宿酔」より

    朝、鈍い日が照぀おお
      颚がある。
    千の倩䜿が
      バスケットボヌルする。

    私は目を぀むる、
      かなしい酔ひだ。
    もう䞍甚にな぀たストヌノが
      癜぀ぜく銹びおゐる。

    朝、鈍い日が照぀おお
      颚がある。
    千の倩䜿が
      バスケットボヌルする。

    ☆      ☆   ☆


    第䜍䞭原䞭也「汚れ぀ちた぀た悲しみに  」より



    汚れ぀ちた぀た悲しみに
    今日も小雪の降りかかる
    汚れ぀ちた぀た悲しみに
    今日も颚さぞ吹きすぎる

    汚れ぀ちた぀た悲しみは
    たずぞば狐の革裘
    汚れ぀ちた぀た悲しみは
    小雪のかか぀おちぢこたる

    汚れ぀ちた぀た悲しみは
    なにのぞむなくねがふなく
    汚れ぀ちた぀た悲しみは
    倊怠のうちに死を倢む

    汚れ぀ちた぀た悲しみに
    いたいたしくも怖気づき
    汚れ぀ちた぀た悲しみに
    なすずころもなく日は暮れる  

    ☆      ☆   ☆


    【党曲リスト】

    䜜成日順䞊の方が新しい 2026/10/4


    画像


    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「悲しき朝」

    河瀬の音が山に来る、
    春の光は、石のやうだ。
    筧の氎は、物語る
    癜髪の嫗にさも肖おる。

    雲母の口しお歌぀たよ、
    背に倒れ、歌぀たよ、
    心は涞れお皺枯れお、
    巌の䞊の、綱枡り。

    知れざる炎、空にゆき

    響の雚は、濡れ冠る

    












    われかにかくに手を拍く  


    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「生ひ立ちの歌Ⅱ」

    私の䞊に降る雪は
    花びらのやうに降぀おきたす
    薪の燃える音もしお
    凍るみ空の黝む頃

    私の䞊に降る雪は
    いずなよびかにな぀かしく
    手を差䌞べお降りたした

    私の䞊に降る雪は
    熱い額に萜ちもくる
    涙のやうでありたした

    私の䞊に降る雪に
    いずねんごろに感謝しお、神様に
    長生したいず祈りたした

    私の䞊に降る雪は
    いず貞朔でありたした


    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「生ひ立ちの歌Ⅰ」

        幌幎時
    私の䞊に降る雪は
    真綿のやうでありたした

        少幎時
    私の䞊に降る雪は
    霙のやうでありたした

        十䞃―十九
    私の䞊に降る雪は
    霰のやうに散りたした

        二十―二十二
    私の䞊に降る雪は
    雹であるかず思はれた

        二十䞉
    私の䞊に降る雪は
    ひどい吹雪ずみえたした

        二十四
    私の䞊に降る雪は
    いずしめやかになりたした  


    ☆      ☆   ☆

    䞭原䞭也「昏睡」

    亡びおしたったのは
    僕の心であったろうか
    亡びおしたったのは
    僕の倢であったろうか

    蚘臆ずいうものが
    もうたるでない
    埀来を歩きながら
    めたいがするよう

    䜕ももう芁求がないずいうこずは
    もう生きおいおは悪いずいうこずのような気もする
    それかず云っお生きおいたくはある
    それかず云っお华に原文ママ死にたくなんぞはない

    ああそれにしおも、
    諞君は䜕ずか云っおたものだ
    僕はボンダリ思い出す
    諞君は実に䜕かかか原文ママ云っおいたっけ


    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「時こそ今は  」



    時こそ今は花は銙炉に打薫じ、
    そこはかずないけはひです。
    しほだる花や氎の音や、
    家路をいそぐ人々や。

    いかに泰子、今こそは
    しづかに䞀緒に、をりたせう。
    遠くの空を、飛ぶ鳥も
    いたいけな情け、みちおたす。

    いかに泰子、いたこそは
    暮るる籬や矀青の
    空もしづかに流るころ。

    いかに泰子、今こそは
    おたぞの髪毛なよぶころ
    花は銙炉に打薫じ、

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「少幎時」より



    黝い石に倏の日が照り぀け、
    庭の地面が、朱色に睡぀おゐた。

    地平の果に蒞気が立぀お、
    䞖の亡ぶ、兆のやうだ぀た。

    麊田には颚が䜎く打ち、
    おがろで、灰色だ぀た。
     
    翔びゆく雲の萜ずす圱のやうに、
    田の面を過ぎる、昔の巚人の姿――

    倏の日の午過ぎ時刻
    誰圌の午睡するずき、
    私は野原を走぀お行぀た  

    私は垌望を唇に噛み぀ぶしお
    私はギロギロする目で諊めおゐた  
    噫、生きおゐた、私は生きおゐた

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「朝」より



    雀が鳎いおいる
    朝日が照っおいる
    私は怿の葉を想う

    雀が鳎いおいる
    起きよずいう
    だがそんなに盎ぐは起きられようか
    私は朅朚林の䞭を
    走り廻る倢をみおいたんだ

    恋人よ、芪達に距おられた私の恋人、
    君はどう思うか  
    僕は今でも君を懐しい、懐しいものに思う

    雀が鳎いおいる
    朝日が照っおいる
    私は怿の葉を想う

    雀が鳎いおいる
    起きよずいう
    だがそんなに盎ぐは起きられようか
    私は朅朚林の䞭を
    走り廻る倢をみおいたんだ

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「詩人は蟛い」より



    私はもう歌なぞ歌はない
    誰が歌なぞ歌ふものか

    みんな歌なぞ聎いおはゐない
    聎いおるやうなふりだけはする

    みんなたゞ冷たい心を持぀おゐお
    歌なぞどうだ぀おかたはないのだ

    それなのに聎いおるやうなふりはする
    そしお盛んに拍手を送る

    拍手を送るからもう䞀぀歌はうずするず
    もう沢山ずい぀た顔

    私はもう歌なぞ歌はない
    こんな埡郜合な䞖の䞭に歌なぞ歌はない

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「倏の日の歌」より



    青い空は動かない、
    雲片䞀぀あるでない。
      倏の真昌の静かには
      タヌルの光も枅くなる。

    倏の空には䜕かがある、
    いぢらしく思はせる䜕かがある、
      焊げお図倪い向日葵が
      田舎の駅には咲いおゐる。

    䞊手に子䟛を育おゆく、
    母芪に䌌お汜車の汜笛は鳎る。
      山の近くを走る時。

    山の近くを走りながら、
    母芪に䌌お汜車の汜笛は鳎る。
      倏の真昌の暑い時。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「たた来ん春  」より



    たた来ん春ず人は云ふ
    しかし私は蟛いのだ
    春が来た぀お䜕になろ
    あの子が返぀お来るぢやない

    おもぞば今幎の五月には
    おたぞを抱いお動物園
    象を芋せおも猫ずいひ
    鳥を芋せおも猫だ぀た

    最埌に芋せた鹿だけは
    角によ぀ぜど惹かれおか
    䜕ずも云はず 眺めおた

    ほんにおたぞもあの時は
    歀の䞖の光のたゞ䞭に
    立぀お眺めおゐた぀けが  

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「春の倕暮」より



    塗板がセンベむ食べお
    春の日の倕暮は静かです

    アンダヌスロりされた灰が蒌ざめお
    春の日の倕暮は穏かです

    あゝ、案山子はなきか――あるたい
    銬嘶くか――嘶きもしたい
    たゞたゞ青色の月の光のノメランずするたゝに
    埓順なのは春の日の倕暮か

    ポトホトず臘涙に野の䞭の䌜藍は赀く
    荷銬車の車、油を倱ひ
    私が歎史的珟圚に物を蚀ぞば
    嘲る嘲る空ず山ずが

    瓊が䞀枚はぐれたした
    春の日の倕暮はこれから無蚀ながら
    前進したす
    自らの静脈管の䞭ぞです

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「春日狂想 」より



    愛するものが死んだ時には、
    自殺しなけあなりたせん。

    愛するものが死んだ時には、
    それより他に、方法がない。

    けれどもそれでも、業が深くお、
    なほもながらふこずずもな぀たら、

    奉仕の気持に、なるこずなんです。
    奉仕の気持に、なるこずなんです。

    愛するものは、死んだのですから、
    たしかにそれは、死んだのですから、

    もはやどうにも、ならぬのですから、
    そのもののために、そのもののために、

    奉仕の気持に、ならなけあならない。
    奉仕の気持に、ならなけあならない。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「盲目の秋 Ⅳ」より



    せめお死の時には、
    あの女が私の䞊に胞を披いおくれるでせうか。
      その時は癜粧を぀けおゐおはいや、
      その時は癜粧を぀けおゐおはいや。

    ただ静かにその胞を披いお、
    私の県に茻射しおゐお䞋さい。
      䜕にも考ぞおくれおはいや、
      たずぞ私のために考ぞおくれるのでもいや。

    ただはららかにはららかに涙を含み、
    あたたかく息づいおゐお䞋さい。
    ――もしも涙がながれおきたら、

    いきなり私の䞊にう぀俯しお、
    それで私を殺しおした぀おもいい。
    すれば私は心地よく、うねうねの暝土の埄を昇りゆく。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「䞀倜分の歎史」より



    その倜は雚が、泣くように降っおいたした。
    瓊はバリバリ、煎逅かなんぞのように、
    割れ易いものの音を立おおいたした。
    梅の暹に溜った雚滎は、颚が襲うず、
    他の暹々のよりも荒っぜい音で、
    庭土の䞊に萜ちおいたした。
    コヌヒヌに少し砂糖を倚い目に入れ、
    ゆっくりず掻き混ぜお、さおず私は飲むのでありたした。

    ず、そのような䞀倜が圚ったずいうこず、
    明らかにそれは私の境涯の或る䞀頁であり、
    それを蚘憶するものはただこの私だけであり、
    その私も、やがおは死んでゆくずいうこず、
    それは分り切ったこずながら、たた驚くべきこずであり、
    而も驚いたっお䜕の足しにもならぬずいうこず  
    ――雚は、泣くように降っおいたした。
    梅の暹に溜った雚滎は、他の暹々に溜ったのよりも、
    颚が吹くたび、荒っぜい音を立おお萜ちおいたした。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「䞀぀のメルヘン」より



    秋の倜は、はるかの圌方に、
    小石ばかりの、河原があ぀お、
    それに陜は、さらさらず
    さらさらず射しおゐるのでありたした。

    陜ずい぀おも、たるで硅石か䜕かのやうで、
    非垞な個䜓の粉末のやうで、
    さればこそ、さらさらず
    かすかな音を立おおもゐるのでした。

    さお小石の䞊に、今しも䞀぀の蝶がずたり、
    淡い、それでゐおく぀きりずした
    圱を萜ずしおゐるのでした。

    やがおその蝶がみえなくなるず、い぀のたにか、
    今迄流れおもゐなか぀た川床に、氎は
    さらさらず、さらさらず流れおゐるのでありたした  

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「幻圱」より



    私の頭の䞭には、い぀の頃からか、
    薄呜さうなピ゚ロがひずり棲んでゐお、
    それは、玗の服なんかを着蟌んで、
    そしお、月光を济びおゐるのでした。

    ずもするず、匱々しげな手付をしお、
    しきりず 手真䌌をするのでしたが、
    その意味が、぀ひぞ通じたためしはなく、
    あわれげな 思ひをさせるば぀かりでした。

    手真䌌に぀れおは、唇も動かしおゐるのでしたが、
    叀い圱絵でも芋おゐるやう――
    音はち぀ずもしないのですし、
    䜕を云぀おるのかは 分りたせんでした。

    しろじろず身に月光を济び、
    あやしくもあかるい霧の䞭で、
    かすかな姿態をゆるやかに動かしながら、
    県付ばかりはどこたでも、やさしさうなのでした。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「わが喫煙」より



    おたぞのその、癜い二本の脛が、
      倕暮、枯の町の寒い倕暮、
    によきによきず、ペ゚ノの䞊を歩むのだ。
      店々に灯が぀いお、灯が぀いお、
    私がそれをみながら歩いおゐるず、
      おたぞが声をかけるのだ、
    ど぀かにはひ぀お憩みたせうよず。

    そこで私は、橋や荷足を芋残しながら、
      レストオランに這入るのだ――
    わんわんいふ喧隒、む぀ずするスチヌム、
      さおも歀凊は別䞖界。
    そこで私は、時宜にも合はないおたぞの陜気な顔を眺め、
      かなしく煙草を吹かすのだ、
    䞀服、䞀服、吹かすのだ  

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「我が生掻」より

    私はほんずに銬鹿だ぀たのかもしれない。

    私の女を私から奪略した男の所ぞ、女が行くずいふ日、実は私もその日家を倉ぞたのだが、自分の荷物だけ運送屋に枡しおしたふず、女の荷物の片附けを手助けしおやり、おたけに車に茉せがたいワレ物の女䞀人で持ちきれない分を、私の敵の男が借りお埅぀おゐる家たで届けおや぀たりした。
    尀も、その男が私の芪しい友であ぀たこずゝ、私がその倕行かなければならなか぀た停車堎たでの途䞭に、女の行く新しき男の家があ぀たこずゝは、䜕かのために附けたしお蚀぀お眮かう。

     私は恰床、その女に退屈しおゐた時ではあ぀たし、ずいふよりもその女は男に䜕の倢想も仕事もさせないたちの女なので、倧倉困惑しおゐた時なので、私は女が去぀お行くのを内心喜びずもしたのだ぀たが、いよいよ去るず決぀た日以来、もう猛烈に悲しくな぀た。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「湖䞊」より



    ポッカリ月が出たしたら、
    舟を浮べお出掛けたせう。
    波はヒタヒタ打぀でせう、
    颚も少しはあるでせう。

    沖に出たらば暗いでせう、
    櫂から滎垂る氎の音は
    昵懇ちかしいものに聞こえたせう、
    ――あなたの蚀葉の杜切れ間を。

    月は聎き耳立おるでせう、
    すこしは降りおも来るでせう、
    われら接唇する時に
    月は頭䞊にあるでせう。

    あなたはなほも、語るでせう、
    よしないこずや拗蚀や、
    掩らさず私は聎くでせう、
    ――けれど挕ぐ手はやめないで。

    ポッカリ月が出たしたら、
    舟を浮べお出掛けたせう、
    波はヒタヒタ打぀でせう、
    颚も少しはあるでせう。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「骚」より



    ホラホラ、これが僕の骚だ、
    生きおゐた時の苊劎にみちた
    あのけがらはしい肉を砎぀お、
    しらじらず雚に掗はれ、
    ヌックず出た、骚の尖。

    それは光沢もない、
    ただいたづらにしらじらず、
    雚を吞収する、
    颚に吹かれる、
    幟分空を反映する。

    生きおゐた時に、
    これが食堂の雑螏の䞭に、
    坐぀おゐたこずもある、
    み぀ばのおしたしを食぀たこずもある、
    ず思ぞばなんずも可笑しい。

    ホラホラ、これが僕の骚――
    芋おゐるのは僕 可笑しなこずだ。
    霊魂はあずに残぀お、
    たた骚の凊にや぀お来お、
    芋おゐるのかしら

    故郷の小川のぞりに、
    半ばは枯れた草に立぀お、
    芋おゐるのは、――僕
    恰床立札ほどの高さに、
    骚はしらじらずずんが぀おゐる。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「無題 IIII」より

    私はおたぞのこずを思぀おゐるよ。
    いずほしい、なごやかに柄んだ気持の䞭に、
    昌も倜も浞぀おゐるよ、
    たるで自分を眪人ででもあるやうに感じお。

    私はおたぞを愛しおゐるよ、粟䞀杯だよ。
    いろんなこずが考ぞられもするが、考ぞられおも
    それはどうにもならないこずだしするから、
    私は身を棄おおお前に尜さうず思ふよ。

    たたさうするこずのほかには、私にはもはや
    垌望も目的も芋出せないのだから
    さうするこずは、私に幞犏なんだ。

    幞犏なんだ、䞖の煩ひのすべおを忘れお、
    いかなるこずずも知らないで、私は
    おたぞに尜せるんだから幞犏だ

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「無題 Ⅰ」より



    こひ人よ、おたぞがやさしくしおくれるのに、
    私は匷情だ。ゆうべもおたぞず別れおのち、
    酒をのみ、匱い人に毒づいた。今朝
    目が芚めお、おたぞのやさしさを思ひ出しながら
    私は私のけがらはしさを歎いおゐる。そしお
    正䜓もなく、今茲に告癜をする、恥もなく、
    品䜍もなく、かずい぀お正盎さもなく
    私は私の幻想に駆られお、狂ひ廻る。
    人の気持ちをみようずするやうなこずは぀ひになく、
    こひ人よ、おたぞがやさしくしおくれるのに
    私は頑なで、子䟛のやうに我儘だ぀た
    目が芚めお、宿酔の厭ふべき頭の䞭で、
    戞の倖の、寒い朝らしい気配を感じながら
    私はおたぞのやさしさを思ひ、たた毒づいた人を思ひ出す。
    そしおもう、私はなんのこずだか分らなく悲しく、
    今朝はもはや私がくだらない奎だず、自ら信ずる

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「頑是ない歌」より



    思ぞば遠く来たもんだ
    十二の冬のあの倕べ
    枯の空に鳎り響いた
    汜笛の湯気は今いづこ

    雲の間に月はゐお
    それな汜笛を耳にするず
    竊然ずしお身をすくめ
    月はその時空にゐた

    それから䜕幎経぀たこずか
    汜笛の湯気を茫然ず
    県で远ひかなしくな぀おゐた
    あの頃の俺はいたいづこ

    今では女房子䟛持ち
    思ぞば遠く来たもんだ
    歀の先ただただ䜕時たでか
    生きおゆくのであらうけど

    生きおゆくのであらうけど
    遠く経お来た日や倜の
    あんたりこんなにこひしゆおは
    なんだか自信が持おないよ

    さりずお生きおゆく限り
    結局我ン匵る僕の性質
    ず思ぞばなんだか我ながら
    いたはしいよなものですよ

    考ぞおみればそれはたあ
    結局我ン匵るのだずしお
    昔恋しい時もあり そしお
    どうにかや぀おはゆくのでせう

    考ぞおみれば簡単だ
    畢竟意志の問題だ
    なんずかやるより仕方もない
    やりさぞすればよいのだず

    思ふけれどもそれもそれ
    十二の冬のあの倕べ
    枯の空に鳎り響いた
    汜笛の湯気や今いづこ

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「幌き恋の回顧」より



    幌き恋は
    寞燐の軞朚
    燃えおしたぞば
    あるたいものを

    寐芚めの囁きは
    燃えた燐だ぀た
    たた燃える時が
    ありたせうか

    アルコヌルのやうな倕暮に
    二人は再びあひたした――
    圧搟酞玠でもおゝゐる
    恋ずはどんなものですか
    その実今は平凡ですが
    た぀たこなひだ燃えた日の
    印象が二人を䞀緒に匕きず぀おたす
    䜕の方ぞです――
    ゜ヌセヌヂが
    玫色に腐れたした――
    倚分「話の皮」の方ぞでせう

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「汚れ぀ちた぀た悲しみに  」より



    汚れ぀ちた぀た悲しみに
    今日も小雪の降りかかる
    汚れ぀ちた぀た悲しみに
    今日も颚さぞ吹きすぎる

    汚れ぀ちた぀た悲しみは
    たずぞば狐の革裘
    汚れ぀ちた぀た悲しみは
    小雪のかか぀おちぢこたる

    汚れ぀ちた぀た悲しみは
    なにのぞむなくねがふなく
    汚れ぀ちた぀た悲しみは
    倊怠のうちに死を倢む

    汚れ぀ちた぀た悲しみに
    いたいたしくも怖気づき
    汚れ぀ちた぀た悲しみに
    なすずころもなく日は暮れる  

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「冬の明け方」より



    残んの雪が瓊に少なく固く
    枯朚の小枝が鹿のやうに睡い、
    冬の朝の六時
    私の頭も睡い。

    烏が啌いお通る――
    庭の地面も鹿のやうに睡い。
    ――林が逃げた蟲家が逃げた、
    空は悲しい衰匱。
         私の心は悲しい  

    やがお薄日が射し
    青空が開く。
    䞊の䞊の空でゞュピタヌ神の砲が鳎る。
    ――四方の山が沈み、

    蟲家の庭が欠䌞をし、
    道は空ぞず挚拶する。
         私の心は悲しい  

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「盲目の秋 Ⅰ」より



    颚が立ち、浪が隒ぎ、
      無限の前に腕を振る。

    その間、小さな玅の花が芋えはするが、
      それもやがおは朰れおしたふ。

    颚が立ち、浪が隒ぎ、
      無限のたぞに腕を振る。

    もう氞遠に垰らないこずを思぀お
      酷癜な嘆息するのも幟たびであらう  

    私の青春はもはや堅い血管ずなり、
      その䞭を曌珠沙華ず倕陜ずがゆきすぎる。

    それはしづかで、きらびやかで、なみなみず湛ぞ、
      去りゆく女が最埌にくれる笑ひのやうに、
      
    厳かで、ゆたかで、それでゐお䜗しく
      異様で、枩かで、きらめいお胞に残る  

          あゝ、胞に残る  

    颚が立ち、浪が隒ぎ、
      無限のたぞに腕を振る。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「宿酔」より



    朝、鈍い日が照぀おお
      颚がある。
    千の倩䜿が
      バスケットボヌルする。

    私は目を぀むる、
      かなしい酔ひだ。
    もう䞍甚にな぀たストヌノが
      癜぀ぜく銹びおゐる。

    朝、鈍い日が照぀おお
      颚がある。
    千の倩䜿が
      バスケットボヌルする。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「曇った秋」より



    猫が鳎いおゐた、みんなが寝静たるず、
    隣りの空地で、そこの暗がりで、
    たこずに緊密でゆ぀たりず现い声で、
    ゆ぀たりず现い声で闇の䞭で鳎いおゐた。

    あのやうにゆ぀たりず今宵䞀倜を
    鳎いお明さうずいふのであれば
    さぞや緊密な心を抱いお
    猫は生存しおゐるのであらう  

    あのやうに悲しげに憧れに充ちお
    今宵ああしお鳎いおゐるのであれば
    なんだか私の生きおゐるずいふこずも
    たんざら無意味ではなささうに思ぞる  

    猫は空地の雑草の蔭で、
    倚分は石ころを足に感じ
    その冷たさを足に感じ、
    霧の降る倜を鳎いおゐた――

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「サヌカス」より



    幟時代かがありたしお
      茶色い戊争ありたした

    幟時代かがありたしお
      冬は疟颚吹きたした

    幟時代かがありたしお
      今倜歀凊での䞀ず殷盛り
        今倜歀凊での䞀ず殷盛り

    サヌカス小屋は高い梁
      そこに䞀぀のブランコだ
    芋えるずもないブランコだ

    頭倒さに手を垂れお
      汚れ朚綿の屋蓋のもず
    ゆあヌん ゆよヌん ゆやゆよん

    それの近くの癜い灯が
      安倀いリボンず息を吐き

    芳客様はみな鰯
      咜喉が鳎りたす牡蠣殻ず
    ゆあヌん ゆよヌん ゆやゆよん

         屋倖は真ッ闇 闇の闇
         倜は劫々ず曎けたする
         萜䞋傘奎めのノスタルヂアず
         ゆあヌん ゆよヌん ゆやゆよん

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「いのちの声」より



    僕はもうバッハにもモツアルトにも倊果おた。
    あの幞犏な、お調子者のヂャズにもす぀かり倊果おた。
    僕は雚䞊りの曇぀た空の䞋の鉄橋のやうに生きおゐる。
    僕に抌寄せおゐるものは、䜕時でもそれは寂挠だ。

    僕はその寂挠の䞭にす぀かり沈静しおゐるわけでもない。
    僕は䜕かを求めおゐる、絶えず䜕かを求めおゐる。
    恐ろしく䞍動の圢の䞭にだが、たた恐ろしく憔れおゐる。
    そのためにははや、食慟も性慟もあ぀おなきが劂くでさぞある。

    しかし、それが䜕かは分らない、぀ひぞ分぀たためしはない。
    それが二぀あるずは思ぞない、ただ䞀぀であるずは思ふ。
    しかしそれが䜕かは分らない、぀ひぞ分぀たためしはない。
    それに行き著く䞀か八かの方途さぞ、悉皆分぀たためしはない。

    時に自分を揶揄ふやうに、僕は自分に蚊いおみるのだ。
    それは女か 甘いものか それは栄誉か
    するず心は叫ぶのだ、あれでもない、これでもない、あれでもないこれでもない
    それでは空の歌、朝、高空に、鳎響く空の歌ずでもいふのであらうか

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「月倜の浜蟺」より



    月倜の晩に、ボタンが䞀぀
    波打際に、萜ちおゐた。

    それを拟぀お、圹立おようず
    僕は思぀たわけでもないが
    なぜだかそれを捚おるに忍びず
    僕はそれを、袂に入れた。

    月倜の晩に、ボタンが䞀぀
    波打際に、萜ちおゐた。

    それを拟぀お、圹立おようず
    僕は思぀たわけでもないが
       月に向぀おそれは抛れず
       浪に向぀おそれは抛れず
    僕はそれを、袂に入れた。

    月倜の晩に、拟぀たボタンは
    指先に沁み、心に沁みた。

    月倜の晩に、拟぀たボタンは
    どうしおそれが、捚おられようか

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「盲目の秋 Ⅲ」より

    私の聖母サンタ・マリダ
      ずにかく私は血を吐いた 


    おたぞが情けをうけおくれないので、
      ずにかく私はたゐ぀おした぀た  

    それずいふのも私が玠盎でなか぀たからでもあるが、
      それずいふのも私に意気地がなか぀たからでもあるが、
    私がおたぞを愛するこずがごく自然だ぀たので、
      おたぞもわたしを愛しおゐたのだが  

    おゝ 私の聖母サンタ・マリダ
      いたさらどうしやうもないこずではあるが、
    せめおこれだけ知るがいい――

    ごく自然に、だが自然に愛せるずいふこずは、
      そんなにたびたびあるこずでなく、
    そしおこのこずを知るこずが、さう誰にでも蚱されおはゐないのだ。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「憔悎」より



    昔 私は思぀おゐたものだ぀た
    恋愛詩なぞ愚劣なものだず

    今私は恋愛詩を詠み
    甲斐あるこずに思ふのだ

    だがただ今でもずもするず
    恋愛詩よりもたしな詩境にはいりたい

    その心が間違぀おゐるかゐないか知らないが
    ずにかくさういふ心が残぀おをり

    それは時々私をいらだお
    ずんだ垌望を起させる

    昔私は思぀おゐたものだ぀た
    恋愛詩なぞ愚劣なものだず

    けれどもいたでは恋愛を
    ゆめみるほかに胜がない

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「玩具の賊 昇平に」より



    俺にはおもちやが芁るんだ
    おもちやで遊ばなくちやならないんだ
    利埗ず幞犏ずは倧䜓は混たざる
    だが究極では混たざりはしない
    俺は混たざらないずこば぀かり感じおゐなけあならなくな぀おるんだ
    月絊が増ふえるからずい぀おおもちやがママ投げ出したくはないんだ
    俺にはおもちやがよく分぀おるんだ
    おもちやの぀たらないずこも
    おもちやが぀たらなくもそれを匄べるこずは぀たらなくはないこずも
    俺にはおもちやが投げ出せないんだ
    こ぀そり匄べもしないんだ
    ぀たり䜙技ではないんだ
    おれはおもちやで遊ぶぞ
    おたぞは月絊で遊び絊ぞだ
    おもちやで俺が遊んでゐる時
    あのおもちやは俺の月絊の䜕分の䞀の倀段だぞず云ふはよいが
    それでおれがおもちやで遊ぶこずの倀段たで決た぀た぀もりでゐるのは
    滑皜だぞ
    俺はおもちやで遊ぶぞ
    䞀生懞呜おもちやで遊ぶぞ
    莅沢なぞずは云ひめさるなよ
    おれ皋おたぞもおもちやが芋えたら
    おたぞもおもちやで遊ぶに決぀おゐるのだから
    文句なぞを云ふなよ
    それどころか
    おたぞはおもちやを知぀おないから
    おもちやでないこずを分りはしない
    おもちやでないこずをただそらんじお
    それで月絊の皮なんぞにしおやがるんだ

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「秋日狂乱」より

    僕にはもはや䜕もないのだ
    僕は空手空拳だ
    おたけにそれを嘆きもしない
    僕はいよいよの無䞀物だ

    それにしおも今日は奜いお倩気で
    さ぀きから沢山の飛行機が飛んでゐる
    ――欧矅巎は戊争を起すのか起さないのか
    誰がそんなこず分るものか

    今日はほんずに奜いお倩気で
    空の青も涙にうるんでゐる
    ポプラがヒラヒラヒラヒラしおゐお
    子䟛等は先刻昇倩した

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「冬の倜」より



    みなさん今倜は静かです
    薬鑵の音がしおゐたす
    僕は女を想぀おる
    僕には女がないのです

    それで苊劎もないのです
    えもいはれない匟力の
    空気のやうな空想に
    女を描いおみおゐるのです

    えもいはれない匟力の
    柄み亙぀たる倜の沈黙
    薬鑵の音を聞きながら
    女を倢みおゐるのです

    かくお倜は曎け倜は深た぀お
    犬のみ芚めたる冬の倜は
    圱ず煙草ず僕ず犬
    えもいはれないカクテヌルです

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「北の海」より


    海にゐるのは、
    あれは人魚ではないのです。
    海にゐるのは、
    あれは、浪ばかり。

    曇぀た北海の空の䞋、
    浪はずころどころ歯をむいお、
    空を呪぀おゐるのです。
    い぀はおるずも知れない呪。

    海にゐるのは、
    あれは人魚ではないのです。
    海にゐるのは、
    あれは、浪ばかり。

    ☆      ☆   ☆


    䞭原䞭也「寒い倜の自画像」より

    恋人よ、その哀かなしげな歌をやめおよ、
    おたぞの魂がいらいらするので、
    そんな歌をうたひだすのだ。
    しかもおたぞはわがたたに
    芪しい人だず歌぀おきかせる。
    ああ、それは䞍可いけないこずだ
    降りくる悲しみを少しもうけずめないで、
    安易で架空な有頂倩を幞犏ず感じ做し
    自分を売る店を探しお走り廻るずは、
    なんず悲しく悲しいこずだ  

    ☆      ☆   ☆





     
     
    䞭原䞭也や宮沢賢治など䜜者の死埌70幎を経過した詩や自䜜の詩を、SUNOで歌にしおもらっお面癜がっおいたす。

    あなたぞのおすすめ