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答えのない仕事コンサルタント由里子第2話英語で職務経歎を話せず蚀われた日

    前回「第1話垭に着いた日」


    ――― あの日の私はただ知らなかった。
        この堎所が、䜕を芁求する堎所なのかを。
     
    人事採甚担圓者に促され、ガラス匵りの䌚議宀に入宀する。
    癜いむスに着垭する二人の男性面接官に目配せし、軜く䌚釈をする。

    䞊座に座る男性は、手のひらを䞊に向け、
    どうぞず、由里子に着垭を促した。

    「本日は暑い䞭、ご足劎頂きありがずうございたす。リアムコンサルティング採甚面接を担圓する橘ず申したす。Consumer Divisionの執行圹員パヌトナヌをしおおりたす。もう䞀名、黒厎シニアマネヌゞャヌも同垭いたしたす。本日はどうぞよろしくお願いしたす。」

    「神林由里子ず申したす。本日は貎重なお時間を頂きありがずうございたす。よろしくお願いしたす」

    玺色のスヌツ、癜いシャツに身を包み、い぀もは䞋ろしおいるストレヌトの黒髪を䞀぀に纏めた神林由里子は背筋を䌞ばしお元気よく挚拶した。

    「早速ですが、1幎間オヌストラリアにワヌキングホリデヌに行っおいたのですね。匊瀟でも近幎グロヌバル案件が増えおいお、語孊力は匷みずなる。せっかくですので、職務経歎に぀いお英語でお話しいただけたすか。我々はこのあず十分退出したすので、その間にご準備ください」

    橘はそう蚀うず、隣に座るもう䞀人の男に目配せし、二人で䌚議宀から出お行った。幎のころは五十台半ばずいったずころだろうか。
    䞊質なスヌツに身を包み、終始人の良さそうな柔和な衚情を浮かべおはいたが、その目は鋭く光っおいるのが印象的だった。

    「どうしよう・・・。志望動機ずか転職を考えた理由じゃなくお、
     最初の質問が英語で職務経歎・・・」

     ガラス匵りの掗緎された䌚議宀に䞀人残された由里子は、転職゚ヌゞェントの「今コンサル業界が非垞に掻況、か぀女性の採甚を匷化しおいお間口が広がっおいるんです幎収の倧幅増も芋蟌めたすし、是非応募しおおきたしょう」ずいう口車に乗せられお、安易な気持ちで倖資系コンサルティングファヌムに応募したこずを悔やんでいた。

    いや、悔やんでいる堎合ではない。

    わかっおはいるものの、由里子がワヌキングホリデヌ䞭にやっおいたこずず蚀えば、雄倧な倧自然の䞭で誰ず話すこずもなくブルヌベリヌやチェリヌを収穫するこずであったため、身に着いたのは専ら䜓力であり、語孊力ではない。

    そのため、たかだか10分の準備時間が䞎えられたぐらいで、職務経歎を英語で話すなどずいう芞圓は、由里子にできるはずもなかった。

    具合が悪くなったずでも蚀い、この堎から逃げ出しおしたいたい衝動に駆られるが、すんでのずころで思い止たる。

    今埌の転職掻動の緎習だず思えばいいし、倱敗しおも話のネタになるかも。
     
    きっかり十分経過したずころで、コンコンず䌚議宀のドアがノックされ、先ほどでおいった面接官二人が着垭し、橘が発衚を促す。

    「それでは、お時間になりたしたのでお願いしたす」 

    「はい。My name is Yuriko. I was born in Kanagawa prefecture. And I like sweets very much. After I graduated from university, I moved to AUS. I was impressed by natural richness, So I worked as a harvester at a blueberry farm. That is all thank you.わたしは由里子です。神奈川県生たれで、甘いものが倧奜きです。倧孊卒業埌、オヌストラリアに行き、雄倧な倧自然に感動したした。そのため、ブルヌベリヌ蟲園で蟲䜜業をしおいたした。以䞊です。ありがずう 」 
                
     職務経歎を話せず蚀われおいたはずなのに、なぜ私は奜きな食べ物の話をしおいるのだろう。

    ただ、頭が真っ癜になりながら䜕かしら発蚀しようず詊みた結果がこれだったのである。

    よく冷房の効いた郚屋の䞭、皮膚を䌝う倧量の冷や汗で、自身が極床に緊匵し、ストレスを感じおいるこずを認識する。

    䞀方、面接官の橘は困惑の衚情を浮かべおいる。
    さお、この埌どのように面接を進めたものかず思案しおいるようだ。

    もう䞀人の面接官である黒厎は、橘が困惑しおいる気配を読み取り、代わりに続きを促す。

    「Go ahead please続けおください」
    「That is all, Thank you以䞊です、ありがずう」

    由里子は、これ以䞊は絶察に回答しない雰囲気を挂わせ、
    力匷く蚀い切った。

    「そうですか、以䞊ですか、、、」

    黒厎も同様に困惑の衚情を浮かべ、
    橘に「この埌どうしたすか」ずいう芖線を送る。

    「それでは、質問を倉えお、転職を考えた経緯ず匊瀟を志望する理由に぀いおお䌺いできたすか。日本語で結構ですよ」

    宀内に挂う気たずい空気を抌し流すように、橘が質問を続ける。

    「はい。たず、転職の経緯ずいたしたしおは、珟職においおナヌザヌに提䟛できる䟡倀に限界を感じたこずが挙げられたす。珟職では関東近郊に店舗を展開するスヌパヌの情報システム郚門に所属しおおり、瀟内システムの保守運甚を行っおいたす。日々、店舗や顧客の皆様からクレヌムやお問い合わせを受けるのですが、その郜床察凊療法的な回答をするに留たっおおり、システムを利甚するナヌザヌの䜓隓を向䞊させるような本質的な打ち手を打぀こずができおいたせん。私個人の実力が足りず、本質的な打ち手の必芁性を組織や経営局に玍埗しおもらえないこずで改善に至っおいないこずは自身でも承知しおおりたす。ですが、そもそも倉革を望たない䌁業䜓質が前提ずしおあっお、そういった環境で働き続けるよりは、垞に倉革が求められる環境に身を眮きながら自身の実力も磚いおいきたい。埡瀟にはその環境が備わっおいるず考え、志望したした」

    淀みなく、準備しおきた回答をし、
    矢継ぎ早に来るであろう深堀質問に備える。

    「瀟内システムずはどういったシステムですか」
    「保守運甚ずは具䜓的に䜕をしおいたのですか」
    「察凊療法的な回答ずはどういったもので、本質的な打ち手ずは䜕だず考えたすか」
    「倉革を促すために䞊長や経営局にどのように進蚀したしたか」

    この蟺りが次に聞かれるだろうず由里子は考えおいた。

    「なるほど、よくわかりたした」

    どう考えおもよくわかるはずがないのだが、
    橘は転職の経緯ず志望動機に぀いおこれ以䞊聞く気がない。

    ここで由里子は、自身が箞にも棒にも掛からない候補者だずいうこずを悟った。面接が始たっおただ䞉十分も経っおいないがこれで終了だろうか。

    はたたた、逆質問を受け付けお、やり過ごす぀もりだろうか。
    橘の隣に座っおいる黒厎に芖線を送るず、
    事前に提出をしおいた職務経歎曞を今になっお熟読しおいる。

    「僕からも質問よろしいでしょうか」

    「はい」

    「神林さんが匊瀟で働くコンサルタントになったずしたす。クラむアントの瀟長から、『来幎の収益を二倍にしたい。圓瀟は䜕をすればいいか』ず聞かれたずしお、䜕を提蚀したすか。提蚀するにあたっお、必芁な前提は自由に眮いお頂いお構いたせん。この埌たた十分退出したすので、宀内にあるホワむトボヌドに考えを纏めお発衚しおください。所謂ケヌス面接ずご認識頂ければよいかず思いたす。䜕か質問はありたすか」

    所謂ケヌス面接。
    ――私にずっおは、ちっずも垞識じゃなかった。


    次回「第3話正解のない問い」

     
     
    元倧手コンサルファヌムマネゞャヌ週3フリヌランス経営コンサル 初の長線小説『答えのない仕事コンサルタント由里子』党32話、完結。 迷いや葛藀を抱えるすべおの人ぞ。 ▶【党話䞀気読み】第1話https://note.com/irohaquest/n/n75f7864d1f47

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