
膝が痛くても、母は今日も歌っていた
「あっ、母ちゃんにまだ言ってない」
「、、、、まぁ、いいか。」
退職届はもう会社に出したのに、
母にまだ言えてない。
子供の頃は、すぐ報告していたと思う。
テストでいい点とったとか。
欲しいものがあるとか。
チョコレートもらったとか。
今度、結婚するとか。
結婚してから、もちろん報告の順番は変わった。
妻、母、父、たまに兄の順番
母に言えば自動的に家族に広まる。
妻が言ってくれる時もある。
しかし、私から母への
自動をいつしか使わなくなっていた。
昨年父がなくなり、一人になった母。
とても寂しがっていた。
毎日母から連絡が来るようになった。
毎日励ました。
毎日ショートメールを送った。
母も毎日返してきた。
「いつもありがとう」
「今日は安定してます」
「お父さんの夢を見ました」
「もう、お父さん成仏したかも」
「お父さんの釣具どうする?」
「今日は膝の水が溜まって痛い
自分で抜けたらいいのに」
「今日は友達とカラオケに行ってきました」
「バスに乗ったら、間違って定期を
お金入れるところに
入れそうになって焦ったわ」
「イオンで友達とあんたの話してたら
バス乗り遅れたわ」
「兄ちゃんが来たよ。お寿司食べたよ。」
いつしか、「自動」が戻ってきていた。
半年近く「自動」は続いた。
母は、とても楽しそうに日々を生きてるように見える。
今は、「自動」が減り、1か月に1、2回になった。
「自動」は継続中。
今は、カラオケが日課。
這ってでもカラオケボックスに行っているみたい。
好きなもがずっと変わらない。
「天童よしみ」
母との「自動」の情報をアップデートしていれば
私がどこにいてもきっと大丈夫だろう。
母を寂しくさせないようにしたい。
「会話」を使って。

そろそろ、言わなくちゃな。