
給食革命 第一話『革命』
#創作大賞2026 #お仕事小説部門
プカプカ〜プルルン。
ぐにゅぐにゅ〜プルルン。
なんだこれは。
柔らかくて、形がなくて…。
でも、確かに『何か』をそこに感じる感覚。
最近、朝になるとこの感覚が頭に浮かんでくる…。
ピピピピっピッピッピピっ
ピピピピっピッピッピピっ
スマホのアラーム音が鳴る。
朝だ。
物語の定番のスタートだと思っただろうが、
コレは私にとっての
『革命』の合図だ。
今日は本業の方は休みで、派遣調理のため、
入居者さんが20名程の小さな施設へ行く。
昼食・夕食のおかず6品を、食材を切るなどの仕込みを含めて3時間で作る仕事だ。
『おはようございます。よろしくお願いします!』
『おはようございます。よろしくお願いね。』
施設長さんが笑顔で挨拶してくれた。
ついこの前までなら、
この施設長さんがこんな笑顔になることは
想像もできなかった。
…
3ヶ月前の話になる。
この施設が委託していた給食会社に撤退されてしまい、次の委託先も決まらず、施設で介護をする職員さんが食事を準備する事態になっていた。
そのため、
入居者さんたちも「美味しくない」ということが言いづらい空気になっていた。
その事で施設長さんはずっと頭を抱えていた。
私が初めて施設へ訪問した時も
そのような悲壮感が施設全体へ広がっていた。
そんな中、
私が提案したものは以前のように
調理業務すべてを委託するのではなく、専門性の高い調理のみをプロが行い、盛り付けや食器洗いは施設側で行ってもらうというサービスだ。
施設長さんは
『革命だ!』
と感動されて涙してくれた。
いやいや、
そんな大層なことを言われましたら照れちゃいます。
よし、それじゃあ本当に『革命』を起こしてみようじゃないか!
まず、
施設内の調理スペース、
設備を確認させてもらい、
作業動線を頭の中でシミュレーションしながら
考えてみた。
そして、新たに設備を導入せずに、
今あるものでサービスを始めることができる運営方法を考え、
提案したのである。
施設内での作業動線をよくするために、
配置換えなどはしましたが、もちろん費用は一銭もかかっていません!
結果、
3時間程度の調理するスタッフさんを
派遣する内容となり、話はまとまった。
現在は、アルバイト感覚で、
近隣のお弁当屋さんがちょっとした出稼ぎに、
また、
料理自慢の主婦が腕をふるいに来てくれて、それから同じ給食業界で働く調理師さんが来てくれる日もあり、
日替わりで味にバリエーションをつけることができるのであった。
朝食や間食については、入居者さんも職員さんも今のやり方のままで問題なさそうだったため、昼食と夕食をプロが引き受けることに決まった。
調理経験のない職員さんがやるよりも
プロに任せてもらった方が
短時間で済むし、
美味しくなる。
職員さんに聞いてみると、
実は嫌々やっていた方も多かったそうだ。
そりゃそうでしょうね。
専門外なんだから。
サービスを始めていくと、すぐに変化が起こってきた。
お食事の質の向上はもちろんだが、
施設全体が明るい雰囲気に変わってきたのである。
職員さんの負担は減り、
本来の仕事に集中できる時間が増えたことが
大きかった。
入居者さんもお食事が美味しくなったと
好評である。
施設の掲示板に貼ってある
『本日のシェフ』
というポスターを見ながら、
『この人の作ったアレが美味しい』とか、
『この人の作ったコレが最高だったよ』
というような会話も、
自然と生まれてきたのであった。
ちなみに今日は、
私がそのお仕事をアルバイトする日なのです。
他の調理スタッフさんに負けないくらい美味しいお食事を作るぞ!
ささっと食材を仕込んで、
パパッと調理をこなしていく。
入居者さんの中には、
その姿を毎日拝見されている方もおられます。
お料理教室のような『実演イベント』みたいに思われているのだろうか。
さぁ、出来上がりだ。
キッチンの後片付けを済ませて帰路につく。
施設の職員さんには、
盛り付け方や洗い物をスピーディーに済ませる方法も伝授してある。
こちらがお食事を作ってしまったら、
後はお任せあれ、という感じで後のことはやってくださる。
小規模の施設には、持ってこいのサービスへとなったのである。
こうして、
施設長さんが涙された『革命』を、起こさせていただくことになった。
そして、この小さな革命を支えているのが、
朝にふと浮かぶ、
あの“柔らかい感覚”の正体でもある。
この革命は偶然生まれたわけではない。
私自身が、
これまでの人生で身につけてきた『ある思考』があったからこそ実現できたのだ。
ここで今、読んでくださっている皆様にこの小説の核となっている私が幾度となく辛い思いや、
理不尽なことを経験し、
実践してきたことにより考えついた思考法を先にお伝えしておく。
それは
『スライム思考』だ。
これは、
良いもの悪いものに関わらず、
一旦自分の中に取り込んで、
解析し、自分の力にする…
まさにスライムのごとく、
変幻自在に形を変え
ありとあらゆることを吸収し、
成長していく方法だ。
普段の生活で親や友達と意見が合わなかったり、職場の上司や部下と揉めることもあるだろうが、
相手のことを一旦受け入れて理解し
その上で相手と自分の考えを
1番いい方向に持っていく。
また、会社で新規事業を始めたり、
仕事の進め方で困った時にもこの思考法は、
かなり役立つ。
元々の仕事のやり方をまずは理解し、
そうなった背景を想像する。
そこから本当に必要な部分だけ残して、
新たに加えることで仕事が生み出されたり効率化することができる。
給食サービス業でも「常識」という固定観念でがんじがらめになってしまうことが多くある。
『常識』という壁を壊さない限り、進む未来は開けない。
『ダーウィンの進化論』で語られているように、
人間の進化の過程でもこのような歩みを踏みながら進んできた。
別に特別な話ではない。
どんな世界でも同じような進化を遂げているのだ。
使い方次第で無限の可能性を秘めている思考法である。
例えば、
スタッフさんの世代間ギャップ。
年齢差による意見の食い違いだ。
そこにも実はこの『スライム思考』が使える。
世代によって仕事の捉え方、進め方が違うのは、当然なのである。
経験値が違うのだから。
ここで言う経験とは、
どんな環境で、
どんな生き方をして、
どんなモノを見てきたか。
私より昔の世代の人は、
情報を得るのに新聞や本から入手してきたと思う。
私の世代なら主にテレビを見てきた世代なのだが、
最近の若手はネットやYouTubeがメインとなっている。
この事だけでも全くと言っていい程、
価値観が違ってくるのだが、
それにその人の育った環境や関わってきた人の影響が掛け合わさっているので、
もっと複雑に人格は形成される事となる。
そこでこの『スライム思考』を発動させるのだ!
相手がどんな人生を歩んできたかなどの話を聞き出し、理解し、想像する。
そして、
自分の経験を元に相手と向き合う事で突破口を見つけ出す…
柔軟に対応し吸収し
自分を再構築していくことで
人生をより豊かにする考え方こそ
『スライム思考』だ!
柔軟×吸収×核
このことを踏まえて読み進めていただきたい。
私の実体験してきたことや私が本気で考え抜いた
これから実際に起こりうることを書き綴っている。
なので半フィクション作品である。
半フィクション作品ってものがあるのか分からないが、
ノンフィクションでもフィクションでもないので、そうさせて欲しい。
給食会社だから提供するサービスは『給食』だけだとこだわらず、様々な角度、視点からビジネスをしていくことが大切ではないだろうか。
アイデアをマネしたり、新しいビジネスのヒントになってくれれば良い。
むしろ、それが一番の望み。
それでこの業界が発展していくのなら私は喜んで貢献していきたい。
『給食のおじさん』が、
これからも生き続ける未来が続くのであれば。
おっと、
小説の第1話なのに話が逸れまくってしまったようだ。
小説になっていないではないか。
申し訳ないです。
私の言いたいことは最終章に書き綴ることにしよう。
それでは、改めて小説を再開しよう!