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地味な恋愛|魅力の翻訳ー上海④ー


    車道脇のパラソルの下
    文字化けのタイトルが並ぶ。

    違法コピーのディスク屋が
    あちこちに溢れていた。

    VCDと間違えない様に
    インインは手の圧で注意する。
    安過ぎると怪しい。

    新旧の映画、アニメ、
    公開中の最新映画のタイトルも
    いち早く屋台に並んだ。

    日本にはないジブリの全集が
    売られていた。

    サイゼリアが出店して
    行列ができていた。

    上海人と日本人。
    迷わないように
    手を握り返す。

    動物園には
    普通の犬種が檻に入れられて
    並んでいた。

    2人で笑った。
    手が離れない。

    歩く。

    杏仁豆腐の『あんにん』という音は
    上海語だった。

    歩く。
    地下鉄に並んで座る。

    リボンのついたノースリーブ。
    小さなショルダーポーチ。

    黒髪が僕の肩へ伝う。

    歩く。
    景色が後ろへ下がる。

    ⸻

    先輩が
    卒業後に出張で上海に来ることになった。

    先輩とオフィスビルで再会した。

    エレベーターの前で
    インインを紹介する。

    中国語学科の先輩の前で、
    初めて話す北京語。

    別れ際、
    先輩に彼女の感想を聞いた。

    どう?

    先輩は少し首をかしげた。

    いや
    どうだろ…

    え?

    強く握る。
    手の湿気に気づく。

    ⸻

    映画を観た。

    ジャッキーの息子は
    演技が下手で乗れなかった。

    インインは
    金持ちの七光の息子が
    そもそも貧乏人役に向いていないよ。

    と笑った。

    彼女は北京語よりも
    上海語を使うと喜んだ。

    シャジャノン。

    謝謝你

    ありがとう。

    ゼイウェイ。

    再見。

    手の平が乾く。



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