
R3HAB「Rise Or Fall」:熱く冷たい狼を描くエレクトロニック・ミュージック
2025年に『餓狼伝説』の二十数年ぶりのシリーズ新作『餓狼伝説 City of the Wolves』が発売されました。格闘ゲームは自分から最も遠いジャンルですが、それでも『餓狼伝説』の人気は知っています。実情はともかく、アーケードゲーム好きの玄人向けというイメージを持っていました。ゲームセンターに足しげく通う友人から聞く話は『ストリートファイターII』よりも『餓狼伝説』の方が多かった記憶があります。
音楽面で『餓狼伝説 City of the Wolves』は国内外のアーティストとのコラボレーションを発表しています。そのひとつがR3HABの「Rise Or Fall」です。最近R3HABのオリジナルやカバーをいくつか聴く機会があり、そのなかで出会いました。シングルのリストを眺めて目に入ったのが「Rise Or Fall」のジャケット画像。アメコミのように見え、あるいはアニメと関係があるのではと思って画像をよく見たところ、『餓狼伝説』の新作リリースを知りました。ZeddといいSteve Aokiといい、近頃は日本の作品とEDMアーティストの関わりをよく見かけます。
「Rise Or Fall」は内省的でメランコリックな空気に覆われたEDMです。シンセサイザー・サウンドに変化をつけているのはDJエフェクターでしょうか。冷たく金属的な音が響き、僕らの意識に突き刺さります。また、重なるボーカル・トラックが醸すのは乾いた哀愁。音の冷たさに拍車をかけるかのような、ひやりとした肌触りが印象に残る美しく繊細な歌声です。格闘ゲームなので最初から最後までアッパーなサウンドやボーカルで攻めるかと思いきや、むしろクールダウンしそうなテイスト。激しく戦っていてもクールに思考しながら相手の動きや狙いを分析している――そんな姿をイメージさせる曲です。