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足りない欠片 第話 俺っちハチ

    第話 俺っちハチ


     俺っちは、朝の光の角床で時間を枬る。
    腹が枛っおる日は、だいたい人間も荒れおる。
     
    片目を少し開けおみるず、柔らかい日差しが郚屋の奥の方たで䌞びお、䞀面枯れ草だった窓の景色にもずころどころに若草の緑がキラキラず朝露を济びおいる。

    グググッず背䌞びをしおからのおおあくび。

    あヌよく寝た スッキリ。
    でも、腹枛ったヌ。

    昚倜は同僚 いや、矩兄匟 うヌん、同居猫か。その同居猫のナナずだいぶ暎れたもんな。

    悪ふざけの぀もりで、ちょっずだけ爪を出した右手を肩に回したせいで、あんなに怒るずは  
    もみくちゃな喧嘩になっお、テヌブルはひっくり返すわ、その䞊にのっおた鉢怍えは宙を舞うわで。

    ママの叫び声で喧嘩は終了したけど、忙しいママの朝に、土だらけにしたリビングの掃陀を远加させちゃったもんだから、あヌあ。朝ごはんはカリカリしか貰えなかったよ。

    そういえばナナは、ママからこっぎどく怒られたせいで、どっかに隠れたたんただな。
     
    俺っちこずハチ。ハチワレ猫のハチ。この家に来おからもうそろそろ二幎になる。

    ナナは俺っちず䞀ヶ月も倉わらない時期にここに䜏むこずになった元野良猫。
    たぁ俺っちも元野良猫だけど、䞀日でも先に家猫になった俺っちは先䜏猫っおワケ。
    先茩猫、っおこずになる。

    この家には人間のママずパパずカナタっお男の子が䜏んでお、朝早くにカナタが孊校ずやらに行くず途端に静かになっお、昌過ぎたで寝ちゃうこずもある。

    早朝、ママはカナタずパパの朝ごはんやお匁圓を䜜りながら俺っちやナナの朝ごはんも準備しおくれる。
    い぀もだったらちょっずだけ電子レンゞで枩めおくれたりェットフヌドずカリカリのドラむフヌド。それにデザヌトのチュヌルたで付くんだけど、今朝は、近づかない方がよさそうだ。

    パパはすっごく小さくなっお隅っこに避難しおる。
    カナタは逃げるようにいなくなった。

    い぀もなら「行っおきたす」の挚拶に、頭のおっぺんから尻尟の先っちょたでゆっくりず撫でられる。そうするず背䞭がしなっお、身をよじっおしたう。

    ナナなんか気持ち良すぎお、ぞそたで芋せお党身撫でお貰っおる。

    ナナがここに貰われお来た日、あい぀、母猫から匕き離されおここに連れお来られたもんだから、最初に入ったケヌゞの䞭で喚いおたんだ。
    ケヌゞの鉄の棒に䜓圓たりしたり、噛み千切ろうずしたり、ずにかくものすごく暎れおいた。

    ママがそっず話しかけおも眵声を济びせお、嚁嚇しおさ。

    仕舞いには、ワンワン泣き出しお  。
    ママにも手に負えなかった。

    俺っちがおもちゃを咥えおいっおも、芋向きもしないでしばらくずっず泣いおたんだ。
    倜䞭もずっずね。

    俺っちには「僕ちんのお母さん知りたせんか」っお五分おきぐらいに聞いおきおさ。
    「さっきも同じこず聞いおきたよ」っお蚀っおんのに、メ゜メ゜泣くわけ。

    そこでカナタの右手の登堎 
    泣きすぎお疲れ果おおたナナの背䞭を優しくゆっくり撫でお、慰めおもらっお、泣きながら眠っちゃったらしい。

    気づいたら翌朝だったんだず。
    それからアむツは、カナタからしょっちゅう撫でおもらっおる。

    さお、ず。
    腹は枛っおるが、戊に出るずしようか。

    ナナのこずだから、い぀もの堎所に隠れおそうなんだけどね。

    和宀の窓際に蚭えた猫甚の毛垃を前足でふみふみしお、もう䞀床倧きく䌞びをしおあくびした。

    陜射しはもうお昌だ。

    そろそろ隣の工房で働いおいるパパがお昌ご飯を食べに垰っお来る頃。
    台所の猫のご飯皿をチラッず芋たが、やっぱり䜕にも入っおなかった。

    トホホ。

    それから階段を䞀段飛ばしに駆け䞊がる。

    䞭腹で䞀床立ち止たる。ここには小さな食り窓が付いおいお、家の裏偎のブロック塀が芋える。

    地域猫ず呌ばれる耳に切り蟌みが入れられた野良猫達がこのブロック塀を通っお行くんだが――いや、通るのは構わない。だけど、䞀歩足りずもうちの敷地には入れさせない。

    こうしおたたに目を光らせずかないず、飯欲しさにい぀䜕時奎らが䟵入しおくるかわからない。

    たしおやカナタがいる時なんかに入っおこられたら、俺っちの必死な抵抗の鳎き声なんおお構いなしで、矎味しいおや぀を分けちゃうんだ。

    俺っち達は倖には出ない。
    出しおもらえないんだ。

    なんでも俺っちが元々保護されおた愛護センタヌから匕き取られる時の取り決めで、「倖には出さずに家の䞭で飌育するこず」っおのがあっお、それを守っおるっおわけ。

    それでも去幎の倏、ナナは出おった。

    颚呂堎の窓が開いおるのを芋぀けたのは俺っちだったんだよな。
    颚呂堎の窓っお窓なんだけど「磚りガラス」っおいっお、透明じゃないんだ。
    向こうが芋えない窓。
    だからほんのちょっず隙間から倖が芋えた時、俺っちは急いでナナを呌んだ。
     
    「オむオむ来おみろよ こっちにも塀があるぜ」っお。
    家䞭に゚アコンが入っおいる我が家は、窓は䞀切開けない。
    なのにこの日は脱衣所のドアが開いおいお、颚呂堎の窓も少しだけ開けおあった。

    誰かが颚呂から䞊がっお、閉め忘れたんだ。

    猫の顔が䞀匹分出るくらいの隙間から、亀互に倖を芗いおみた。

    がうっず街灯に照らされた電信柱が芋える。

    湿床の高い蒞した颚が髭を揺らし、遠くの゚ノコログサの匂いを運んでくる。

    それず共に、たった今通ったばかりの野良猫の匷い匂い。
    雌猫か 気になる  。
    いや、ダメだ。

    俺っちは顔を匕っ蟌めた。

    え
    オむオむ

    芗いおいたはずのナナがいない
    どこ行った⁈
    出おいったヌ⁈
    ナナヌッ⁈
    ナナヌッ⁈

    しばらくしお歯磚きにやっおきたカナタが、俺っちの癜くなった顔を芋お――いや元々、半分は癜いんだが――歯ブラシを口に入れたたた固たった。

    すぐにママが珟れお、その埌たたすぐにパパも来た。
    䞉人でワヌワヌ蚀っおる。

    机の䞋や抌入れたで開けおナナを探しおる。

    いや、違うんだ
    倖に、倖に出お行っちゃったんだ  。

    カナタずパパが玄関から出お、懐䞭電灯で蟺りを照らし始めた。

    俺っちは今のこの堎所、階段の䞭腹の窓からナナを探した。
    窓の前を行ったり来たりした。

    でも、ナナの姿はない。 カナタは泣きながらナナを呌んでる。

    もう近所もみんな寝静たる時間だ。倧声で呌ぶわけにもいかない。

    どのくらいの時間が経っただろうか。

    やがお、カナタずパパが疲れ切った衚情で戻っおきた。

    カナタは汗でぐしゃぐしゃ、涙でベタベタになっおいる。
    颚呂堎の窓は、開いたたんただ  。

    俺っちの出番か
    今、俺っちがナナを連れお垰っお来たらどんなにカナタが喜ぶだろう。
    そしお俺っちが  。

    窓の倖から聞こえおくる車の゚ンゞン音  。
    密集した䜏宅の狭い隙間を、笛の音を鳎らしお通る颚  。

    右前脚浮かせた。
    螏みかえお、巊前脚を浮かせた。
    俺っちの前足は、そこにあった。

    「出ちゃダメなんだよ  」
     
    ナナにはもう二床ず䌚えないんだろうっお、そうやっお眠ったんだ。

    そしたらさ、お前、散々人に――じゃなかった、猫に心配させずいお、ヒョロっず垰っお来やがったんだもんな
    その晩のうちに。
    人隒がせじゃなかった、猫隒がせな奎だよ。
    みんな、呆れお笑ったよ。

    おっず、思い出に耜っおナナ探しを忘れるずこだった。
    たさかたた颚呂堎の窓は、開いおないよな。
    「ナナヌ」

    小窓からの日差しに照らされ、枩かくなった残りの階段をトトトず駆け䞊がった。

    ナナはママの垃団の、さらに䞋のマットに挟たったたた、ぞそを䞊に向けおスピスピ眠っおいた。

    倢の䞭で、カナタの右手に撫でられおるんだろう。

    【次回】カナタのこず 受隓生で思春期で肌トラブルで匕きこもり 人間っお倧倉なんです

     
     
    猫ず暮らしおいたす。ゆるく投皿したす。ほがほが読専です。

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