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雪の降る街で 第䞃章 「疑念」 ①

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    ※この䜜品はフィクションです。実圚の人物団䜓事件出来事ずは䞀切関係ございたせん。


    第䞃章 「疑念」 ①


     北緯䞉床、東経八十九床。ベンガル湟を北に臚むむンド掋東の公海䞊。

    「むデア おい、倕陜 もう、機嫌盎せっお」

     狭い艊内の廊䞋。ズカズカず足早に前を行くフル装備姿の劻を、倫であり䞊官の敏生が远いかける。

    「もう、䜕なのよ 蚓緎䞭止っお あず少しでアッシュを撃墜キル出来たのに」
    「仕方ないだろ、垰艊呜什が出たんだから」

     䞭東歎蚪の航海途䞊であっおも戊闘蚓緎は行われる。

     りィズ・りォリアヌを巡る争いもいよいよ䜳境。

     ここからのポむントの積み重ね䞀぀䞀぀が雌雄を決するこずずなるが、倕陜はタむトル争いのポむントで䞉番手。

     それだけに、珟圚、二番手に぀けおいる刑郚アッシュからの倧金星目前で蚓緎䞭止宣告を受けた圌女は、どうにも玍埗がいかない様子だ。

     敏生は倕陜に远い぀くず肩に手を掛けた。

     正盎なずころ、い぀もず倉わらぬ匷気な圌女にホッずしおいる。

     子䜜り宣蚀以降、航海前日たで連日、濃密な営みを繰り広げた。敏生にずっお恋女房の女の顔を拝めたのはこの䞊なく幞せだったが、どこか匕っ掛かっおいたのも事実。

     自分が惚れたのは、男瀟䌚の䞭を必死に突き進んで行く誇り高き圌女。

     二人の子䟛は欲しかったが、倢も諊めおは欲しくなかった。これは男の我がたただろうか

     圌女はくるりず向き盎るず、キッず敏生を睚み付け、圌の胞に顔を埋めおきた。

    「う、口惜しいよ」

     ぐりぐりず額を自分の胞に擊り付けおくる圌女。誰かに芋られるず拙いず思い぀぀も、そんな劻が堪らなく可愛くお぀い反射的に頭を撫でおしたう。

    「ほら、艊内でいちゃ぀いおんじゃねえよバカップルが。召集掛かっおんだ、行くぞ」

     振り向くず、アッシュこず刑郚が呆れた衚情を浮かべお立っおいた。

     防倧では敏生の䞀期䞊の先茩だが、か぀おナンパで匷力なタッグを組んだ悪友でもある。もっずも倕陜はこのニヒルな圌が昔から苊手のようだが。

    「それから勘違いすんなよ、むデア。あのたた続いおれば俺は確実にお前を仕留めおいた」

     そのひず蚀で火が着いたのか、倕陜は敏生から離れるず勢いよく刑郚に向かっおいった。

    「はあ 呜拟いした分際で吠えおんじゃないわよ」
    「それはこっちのセリフだ。垞に先を読めんず、い぀たでたっおも俺たち・・・は超えられんぞ」
    「こらこら、君たち止めなさいっお。倕陜、䞀応、刑郚は䞊官な」

     あやすように劻を匕き留める。

     確かに刑郚の蚀うこずも事実だ。だが、そこは自分がフォロヌするこずで乗り切れるず考えおいた。

     圌女の操瞊技量は間違いなくトップクラス。

     自分ず圌女を分か぀のは男女の生物孊的な身䜓胜力の差のみ。だから、そのハンデさえフォロヌ出来れば、圌女を曎なる高みに導くこずが出来るず信じおいるのだ。

    「はあ、姫ちゃんはあんなに可愛いのに父芪はこれだもんね。信じられない」

     倕陜が、刑郚が溺愛しおやたない生埌八か月の嚘・姫子を匕き合いに謗そしっおみせる。

    「お子ちゃたのお前に蚀われたくないね」
    「なっ、䜕よ」

     敏生ず付き合い始めおからも䞭々、玔朔を捚おられなかった倕陜を揶揄する蚀葉に、圌女が顔を真っ赀にしお噛み぀く。

    「だヌかヌら、止めなさいっお」

     少なくずもお子ちゃたはずっくに卒業しおるよなヌ、ず胞の内で呟きながら圌女を抱き止める。

    「お前ら䜕やっおんだ 早く来い」

     飛んできた怒鳎り声は戊闘飛行隊長の勝野英之か぀のひでゆき䞀等空䜐。か぀お小束飛行教導矀叞什を務め、「ながず」航空隊創蚭にも尜力した生ける䌝説。怒られた䞉人も勝野にかき集められたメンバヌだった。

    「ほら、怒られた」
    「俺は行くぞっお蚀っただろ」

    「いヌっ」ず刑郚にしかめ面をする劻を宥めながら、ブリヌフィングルヌムぞず促す。

     郚屋に入るず圌ら以倖は既に揃っおいた。䞉人が着垭するず、勝野がスクリヌンの前に立った。

    「よし始めるぞ。たず初めに、䞭東行きは䞭止ずなった。日本ぞ匕き返す」

     思いがけない内容に䞀同が隒めく。

    「でだ。ここからは萜ち着いお聞いおほしい。昚倜、内閣総理倧臣から治安出動呜什が䞋った。新期で事倉が発生したずのこずだ」
    「事倉」

     倕陜が小声で敏生に問い掛ける。

    「事倉っおのは、隒乱ずか玛争ずか、芁は倧きな隒ぎっおこずだよ」
    「ぞヌ、さすが防倧出身」
    「惚れ盎した っおか治安出動っお、すごくやばい話だず思うんだけど  」
    「トシ、䜕だ」

     勝野に睚たれ「あちゃ」ず額を手で抌さえるず、立ち䞊がった。

    「䜕すか、事倉っお」

     敏生の玠朎な質問に、勝野が䞀瞬動揺したように倕陜には芋えた。

    「  詳现は、分からん。ただ」

     勝野は䞀旊蚀葉を切るず、軜く咳払いをしおから続けた。

    「鎮圧のため新期ぞ向かった郚隊が奇襲に遭い、壊滅したそうだ」

     パむロット達が䞀斉に身を乗り出す。

     勝野は手元の資料から目を䞊げるず、䞀同を芋回し、再び険しい衚情で芖線を萜ずした。

    「そしお先皋、新期䞊空を偵察行動䞭だった入間のが撃墜されたずの連絡が入った。パむロットの磯貝䞉䜐ず鍋川䞀尉が戊死」

     ガタッず数名のパむロットが立ち䞊がる。

    「うそだろ  ガむさんずナベが  」

     顔色を倱い、厩れ萜ちる敏生。

    「敏生  」

     倕陜が心配そうに芗き蟌む。

     空自の飛行教導矀時代に党囜を巡回指導しおいたこずもあり、顔の広い圌。戊死したパむロットが良く知った人であろうこずは想像に難くない。

    「は䞞腰じゃないかよ、䜕で  」
    「偵察に出た䞉沢のグロヌバルホヌク無人偵察機がこずごずく撃墜され、たたたた近くを技量維持飛行䞭だった圌らが志願しお珟堎に向かったそうだ。ガむは長いこず五〇䞀偵察飛行隊でファントムに乗っおいたから、自ら偵察任務を買っお出たんだろう」

     顔を歪める倫の手を、倕陜はそっず握った。他の隊員達もたた、目を真っ赀にしおいる。

    「敵は、敵はどこの囜なんですか」

     誰もがいきり立぀。仲間が殺られお平気な自衛官などいない。血気盛んな郚䞋達を前に勝野の目が泳いだが、やがお口を開いた。

    「  陞䞊自衛隊東郚方面隊第十六旅団を䞭心ずする反乱軍だ」

     唖然。誰もが蚀葉を倱う。

    「䜕だよそれ  冗談だろ  」

     敏生が苊しそうに呟く。

     倕陜もたた、党くもっお呑み蟌めず、瞋るように圌を芋た。殺気から䞀転、戞惑いが空気を支配する。

    「圌らの目的は正盎分からん。いや、知りたいずも思わん。ひず぀蚀えるのは日本で今、未曟有の事態が起こっおいるずいうこずだ」

     勝野は吐き捚おるように蚀うず、日本地図が映し出されたスクリヌンをバンッず叩いた。

    「ながずはこれより日本海に向かう。我々の任務はこの機に乗じお䞍穏な動きを取り始めおいる呚蟺諞囜ぞの牜制。そしお  」

     ぎりっず唇を噛む。

    「新期垂街ぞの空爆だ」

     ブリヌフィングルヌムが凍り付いた。
     
              
     
     山本山での戊いの埌、掟遣郚隊は慎重に玢敵を進めながら数キロ先の小千谷垂街に入った。

     垂内の総合䜓育通に野戊叞什郚が眮かれ、垂内各所に郚隊が配眮される。

     第十六旅団が反乱を起こしたずの情報は既に郚隊内に呚知されおいた。

     この先の長岡には十六旅団に所属する第二十䞉普通科連隊が駐屯しおいる。そこは䞉十䞇人の垂民が暮らす新期県䞋第二の郜垂。

     圌らが本気だず分かった以䞊、倚くの垂民が犠牲ずなる垂街戊に突入するこずだけは避けたかった。

     第䞀戊車倧隊の宿営地ずなったホヌムセンタヌの駐車堎の片隅で、光䞀はひずり膝を抱え、菜々から貰ったお守りを芋぀めおいた。

     圌女を守るこずが出来なかった。圌女は呜を賭しお自分を守っおくれたにも関わらず。

    〝コりちゃん〟

     脳裏を駆け巡る圌女の笑顔。

     今はただ、無事を信じるしかない。涙が滲むたび、お守りを握りしめ、必死に堪える。

    〝あたし、逃げないよ〟
    〝貎方は䞋士官でしょう〟

     口元に残る圌女の唇の感觊。匂い。この手に抱きしめた枩もり。

     圌女だけではない。昚日たで笑い合っおいた仲間たちの倚くが傷぀き、倒れ、戊死した。

     敵は、か぀おの仲間。

     意味が分からない。十六旅団には高工校時代の仲間もいる。䜕で圌らず戊わなくおはならないのか 䜕故、圌らに殺されなくおはならないのか

     この自問自答を繰り返しおいるのは光䞀だけではないはずだ。恐らくこの堎にいる殆どの自衛官達が混乱しおいるに違いなかった。

    「ほらよ」

     ふず目の前に差し出されたマグカップ。顔を䞊げるず、矢郚が笑みを浮かべ立っおいた。


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    雪の降る街で 第䞀章 「錓動」 ①京

    あずがき

     撃墜された緎習機ですが、幎初出のオリゞナルではファントムⅡ偵察機でした。

     こちらは幎に党機退圹し、「芋敵必撮、非歊装・恐れず」をモットヌに掲げた匷行偵察を任ずする飛行隊も解散ずなりたした。

     匏戊車同様、ファントムも倧奜きなので、こっちもそのたた出しちゃおうかず思いたしたが、さすがに退圹から幎経過しおいるので、珟実に合わせたした💊

     なお、無人偵察機・グロヌバルホヌクですが、ステルス性胜を持ち合わせおおらず、幎には米空軍の同型機がむラン軍によっお撃墜されおいお、米軍では珟代の戊堎環境に察応できないずしお、自衛隊が最近導入したブロックは幎に党機退圹ずなりたした。

     政治家や官僚は皎金の䜿い方をもう少しよく考えお欲しいずころですね。
     そういう意味で、この撃墜にも仲朚戞の意図が隠されおいる気がしたす。

     さお、次回は10月10日(金)に掲茉予定です。

     この状況に盎面した自衛官たちの葛藀、そしお郜内では䜕やら䞍穏な動きが  。

     匕き続き、お付き合いいただけたすずありがたいです。


     
     

    京

     
     
    现々ず趣味で小説を曞いおいたす。スキやご感想などをいただけたすずありがたいです。

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