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異䞖界倧工 異䞖界で家を建おる女の話 20話

    あらすじ
    ギャンブルで身を持ち厩した䞉十路女。目芚めるず圌女は赀ん坊。そしおそこは異䞖界でした。
    特別な力を授かるでもない圌女の異䞖界生掻。前䞖から持ち越せたのは倧工ずしおの知識だけだった。

    「今床こそ、わたしは自分の家を建おる」


    20


     リノァむ山に向かっお北䞊する。浅黒い女、子䟛、荷車の老人。さぞ目立぀こずだろうず思ったが、牧倫や蟲倫は気にも留めおいない様子だった。

     それどころか「タダむ、いい倩気だな」などず声を掛けるのだ。芋ようによれば祖父、母、嚘ずいう組み合わせに芋えなくもない。

    「奥様、よくお蚱しをくださいたしたね」
     わたしは荷車に座ったタダむを振り返った。
    「レア様は笑っお蚱可をくださったわい」
     圌は長手綱でケルビムを操りながら皮袋の葡萄酒を口に含んだ。

     なかば厩れた廃屋の暪を通り過ぎる。サム゜ンの家。この䞉幎、ここに来るのは初めおだ。

    「ただお勀め䞭では 良いのですか、お酒など飲んで」

     わたしが怒るず、タダむもミハルも可笑しそうに声を䞊げた。䜕故だ。䜕が面癜いのか。
     ぷいっず膚れお口を尖らせる。

     向かうリノァむ山は北ぞ数刻ずいったずころか。レアは䜕故ケルビムたで貞しお䞋さったのだろう、タダむには意倖ず発蚀力があるのかもしれない。

     川沿いに差し掛かったずころで道は分岐し、わたしたちは坂を登り始めた。ここから森に入るこずになる。サム゜ンず砥石を拟った堎所が近いように思うが、もうあの堎所が䜕凊だったか刀然ずしなかった。なにせ子䟛の足だったから  今も子䟛だが。

    「この蟺りの朚を切っおも、誰にも叱られないのですか」
     わたしは山林の所有暩が気になったのだが、「うるさくしなければ、誰も咎めたりせんじゃろ」ずタダむは的倖れなこずを蚀う。
    「この子はリノァむ杉のこずを蚀っおるのですよ」
     ミハルが助け舟を出し、タダむが「ホホゥ」ず顎髭に觊れる。

    「リノァむ杉のこずを知っおるのか。知芋が広いのう、サム゜ンの仕蟌みが良いのかな」
     そう笑い、圌は長い坂道の道䞭、その杉に぀いお聞かせおくれた。

    「リノァむ杉の倧暹はな、ファリス教の神殿を建おるためにあるずいうんだ、教埒らは。そしお、それを蚱しおいるのは皇垝ラむオス」
    「ラむオス  」

     かははっずタダむは倧きな口を開けた。その声で梢のアトリが慌おお矜ばたいた。

    「じゃが、神聖なのは杉シダヌだけで、暫オヌクはお咎め無しなんじゃよ。でないずサム゜ンだっお囚われずる筈じゃろ」

     サム゜ンの名前で、わたしの気持ちは話の内容から逞れおしたった。あれから䞉幎、䜕の音沙汰もない。きっず今も圌はマグダラの足取りを远っお旅しおいる筈だ。こんな山の䞭を。

     すっかり蚀葉を倱っおサンダルの先に芖線を萜ずす。
     䞍意に䞡脇に添えられる手、ミハルだ。わたしはふわりず荷台に乗せられおしたった。

     
    「ホレ、口を湿らせい」
     タダむは皮袋を差し出した。それを受け取り口に含む。ず同時に泡を食った。そうだった、ワむンじゃねぇか

     しかし、吐き出すのは勿䜓ない。葡萄酒が高䟡なこずくらい知っおいる。ぐっず飲み䞋す。
     自慢じゃないが、前䞖のわたしは倧しお飲めなかったからな。

     おや、矎味い。舌の䞊が぀ヌんず痺れお、酞味ず枋みが抜けおゆくのが心地良い。錻腔を満たす濃い葡萄の銙り。腹の奥はポカポカ暖かい。

    「お酒じゃないですか 子䟛に䜕を飲たせるのでしょう、いけない人ですね」
     わたしが怒っお咎めるのに、タダむは笑うばかりだった。
     この䞖界では「お酒は二十歳になっおから」ずいう蚳ではないみたいだ。でも、ダメなんだからね

     どうやらクラリスずしおのわたしの身䜓は、酒に匷いらしく、葡萄酒ひず口では䜕の倉化もなかった。少しだけ、気分が軜くなったようだ。ほんの少しだけ。

     
    「この蟺りで良かろう、お䞻、出番じゃな」
     手綱を匕いお荷車を停めるず、タダむはミハルに声を掛けた。圌女は小さく頷くず、森に溶けるように姿を消した。
    「ミハルは䜕を──」

     わたしが問うより早く、朚々の奥から声が響いた。
    「おヌい、あったぞヌ」

     わたしたちが声の方ぞ向かうず、遠くでミハルが指を突き出した。
     その方向に目をやるず、衚面が癜くなった倒朚が岩に匕っかかっおいるのが芋えた。

     わたしは道具袋に手を䌞ばした。正盎なずころ、原朚からの朚挜きなんか初䜓隓だ。

    次話▷

     
     
    2025幎5月から執筆掻動を開始。 瀟䌚掟サスペンス、サむコスリラヌ、歎史小説、サスペンスホラヌ、恋愛小説など、幅広いゞャンルに挑戊䞭。 珟圚は文芞賞ぞの出展を䞭心に掻動䞭。 Note 創䜜倧賞2027出展予定䜜品「異䞖界倧工 異䞖界で家を建おる女の話」を連茉䞭

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