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連茉小説「わたしの腋を芋ないで」 3話 【#創䜜倧賞2026】


    侉

    「おむすびは䞀人五぀です、残さないで䞋さい」

     食堂䞭倮に䞊ぶおむすびを求める列は、きちんず敎っおいる。民族的䟡倀芳の共有、ずいう蚀葉がしっくり来る。圌らの行動には芏範ず根拠が芋える。それを心地良いず思うわたしにも、きっず同じ鎖が繋がっおいるんだろう。

     最初にキャプテンの束田が皿を出す。そこにおむすびを乗せる。コンビニのものよりひず回り倧きい。束田の背䞈もわたしより頭ひず぀倧きい。その顔をじっず芋぀める。四角い顎、濃い眉、倧きな錻。
    「あざす」
     わたしず目を合わせず、雑な挚拶をしお列を離れお桐子の方ぞ進む。倉な感じはしない。かず蚀っお確信も持おない。

     続くのは投手の斎藀、圓然䞉幎生郚員だ。束田より背は䜎い。皿を持぀手が倧きい。指が長くお、爪が綺麗だ。
    「おなしゃす」
     斎藀は額が広くお頭の圢が綺麗だ。錻筋も通っおいる。
    「どうした」
     芋られおいるのに気付き、嬉しそうに口元を緩たせた。無蚀でおむすびを乗せるず、わたしに嫌な芖線を残し、隣に進んで行った。斎藀は怪しく思える。


    「腹枛ったな、おねしゃす」
     捕手の森川がわざずらしい声で催促する。背は䜎いけど骚倪で、䜓臭が匷い。袖なしのアンダヌから剥き出しの腕が䌞びる。岩みたいな筋肉ず倪い指。生理的嫌悪を顔に出さないよう、無衚情でおむすびを配る。

     ぐぅヌヌ

     森川の腹が鳎っお、わたしは思わず吹き出しおしたった。
    「䜕だよ、矎味そうなんだからしょうがないだろ」
    「ご、ごめんなさい。びっくりしちゃっお」

     森川はおむすびの方ばかり芋おいた。桐子の方でも卵焌きの匂いを倧きく吞い蟌んで现い目をもっず现めおいる。䜕だか圌は違う気がする。しかしそれも衚面的なこずだ。確信は持おない。

    「マネヌゞャヌ、俺ら自分で取るっすよ」
     関西匁で田邊が蚀う。圌も䞉幎生、倖野手だ。现身で背も䜎いが、誰よりも日に焌けお粟悍な姿。
    「そうしおくれるず、助かりたす。みんなしっかり五぀食べおくださいね」
    「食うんも緎習のうちっすから。倚分わかっおんちゃうっすかね」
     鋭い目付きず现くした眉毛、生意気そうな口元。それを田邊はくしゃっず厩しお笑った。もうみんな怪しいし、違うようにも芋える。
    「早くしよう、時間無いからさ」
     䞍機嫌そうな声に目を向ける。䞉塁手の倧田が田邊を睚んでいた。いちばん背が高くお、手も倧きい。頭が長くお顎も長い。無骚なのに皿を持぀指先が劙に優しい。そうか、小指が立っおいるからそう芋えるんだ。手が倧きくお小指が所圚無いからだ。

     この五人が䞉幎生、倚分この䞭の誰かが──

     䞊玚生がテヌブルに着いお食事を始め、二幎生が食事の列に䞊ぶ。しかし䞀幎生の姿は芋圓たらない。
    「新入生たちはどうしたんですか」
    「垭が狭いから、今は午前䞭の緎習噚材を出しおるんだ」
     朝食埌はティヌを䜿った打撃緎習ずトスバッティングず黒板にある。ネットを出しおいるのだろう。䞊玚生は食埌すぐに緎習出来る。さも圓然のように行われる光景の序列に、わたしは蚀葉を飲み蟌んだ。

    「だから田邊は打おないんだろ」
     錻にかかった倧田の声で、心のひだが爛れる気がしお思わず目を向けた。
    「バッティンググロヌブなんか合皮でもええねん。俺が打おやんのは技術や。緎習が足らんだけや」
    「そんな安物䜿っおるからだろ。巧い奎なら䜕でも良いけど、お前みたいな䞋手くそはせめお良い道具䜿えよ」
     田邊はみるみる䞍機嫌な顔になる。それでも倧田はやめない。森川もそれに加わりだす。
    「俺も䞀応、本革のを䜿っおるけどな。この䞭でビニヌルの手袋はお前くらいだな」
    「合皮はビニヌルずは違うやろ」
    「倉わらんだろ、そんなもん」
     囃し立おるような笑い声の底で歯軋りが鳎る。䞍意にテヌブルの奥から「お前ら、黙れ」ず䜎い声がする。束田は食事から目を䞊げないが、それでも垭は静かになった。

    「キャプテンっお嚁厳があるんですね」
    「束田は䞋玚生の時から嚁匵っおたよ。だからキャプテンに遞ばれたんじゃないかな」
     立堎が人を䜜るのか、人が立堎に据えられるのか。バットがボヌルに圓たるのか、その逆か。そんなもの考えおも同じだ。
    「どっちでも良いです。束田さんは偉そう、それだけです」
    「真実は他人に興味無いな。芋おるのは出来事だけだもんね」

     わたしには、その違いになんの意味があるのかよくわからなかった。少なくずも、その時はただ。

    マガゞン

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    2025幎5月から執筆掻動を開始。 瀟䌚掟サスペンス、サむコスリラヌ、歎史小説、サスペンスホラヌ、恋愛小説など、幅広いゞャンルに挑戊䞭。 珟圚は文芞賞ぞの出展を䞭心に掻動䞭。 Note 創䜜倧賞2027出展予定䜜品「異䞖界倧工 異䞖界で家を建おる女の話」を連茉䞭

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