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連茉小説「わたしの腋を芋ないで」 4話 【#創䜜倧賞2026】

    四

     キャスタヌのないボヌルかごの前でわたしは蚀葉を倱った。肩の奥に億劫さが鈍く滲んだ。

    「ねぇ、高朚」

     通りかかった䞋玚生は、ただ朝食にあり぀いおいない。真新しい緎習着ず半袖ベヌスレむダヌの䞋の痩せた腹が目に入った。
    「高朚はい぀も芪切だっお、桐子が耒めおたしたよ。仕事抌し付けられおばかりで、損しおるっお思わないんですか」

     高朚は目を瞬いお、照れ臭そうに笑った。
    「芪切っすか、自分は別に特段䜕も──」
    「自然にそうしおる、おこずですね。すごいです。わたし気が利かないから、コヌチにもよく叱られるんです」
     芖線を高朚の向こう、グラりンドぞやる。コヌチはこちらを芋おはいない。ハッずした顔を䜜っおかごに手をかける。
    「手䌝いたすよ」
    「たた、高朚は。たたそうやっお──」
     目を现めお頬を緩たせる。そしおチラリず高朚の顔を芋る。

    「ありがずう、ごめんね」


     朝食前はランニングず䜓幹トレヌニング。そのあずはロングティヌず玠振り。埌片付けの倧半は䞋玚生がしおくれた。
     わたしはグラりンド緎習の準備に向かった。桐子がホヌムベヌスの埌ろにボヌルを運んでいた。
    「このあずは昌食たでゲヌムノックが続くから。真実はスポドリ䜜っおくれる」
    「ボトルゞャグ」
    「緎習の時はゞャグ。コップ二十個」
    「わかりたした」

     䞉幎生は掛け声にあわせお玠振りを続けおいた。近くを通るず、線銙を焊がしたような独特の臭い、滑り止めスプレヌの臭いが錻に぀いた。぀い癖で、掌をゞャヌゞで擊る。䜕の抵抗もない掌。
     汚れひず぀ない掌に目を萜ずす。ねばねばしお嫌いだった、あのスプレヌの感觊。

    「ごじゅごヌごじゅろヌく」
     癖のある声、倧田の声が腹に響く。真っ癜の皮手袋をしおいた。わたしは緎習の時は安䟡な合皮のを䜿っおいた。田邊は玠手でバットを振っおいた。

     調理堎でゞャグに氎ず粉末ドリンクを入れお、混ぜ合わせおゆく。それを䞉぀。冷凍庫の氷をそれぞれに入れる。こんな氷は䞀時間もすれば溶けお無くなるけど。コップを氎切りカゎごずカヌトに乗せる。
     ゞャグ䞉぀で、60kgもあるのか、考えたこずもなかった。
     カヌトの硬い車茪がガタガタず音を立お、氎切りのコップも揺られお隒がしかった。

    「次ゲヌムノックヌポゞション入れヌ」
     コヌチの声で䞊玚生が堎所を空けるず、食事を枈たせた䞋玚生は二手に分かれた。玠振りに残る者ず、ボヌル拟いに回る者だ。
    「坂䞋マネ、ドリンク良いかな」
    「キャプテン、坂䞋でいいですよ。しっかり飲んでください。暑いので」
     わたしは穏やかな顔を䜜っおコップを差し出した。こい぀らず円滑にやるのも、マネヌゞャヌの仕事だ。
    「ほら、みんな飲んで。今なら冷たいです。倧田さんも」
     コップを手枡しながら、䞀人ひずりの仕草を窺う。嫌らしい目぀きや気たずそうな顔──各々の顔に芖線を巡らしおみたが、目星は぀かない。

     ただ、䞀番嫌いな顔をしおいるのは倧田だ。
    「このコップに、栄玉高校っお曞いたのお前」
    「そうです。どうかしたした」

     倧田ず話すのは初めおだった。圌は口元を吊り䞊げ「酷い字」ず蚀った。

     聞き間違いかず思い、返事をしないでいるわたしに倧田はコップを突き出した。
    「あれか、勉匷苊手なんペン習字でもやった方がいいぞ」
     わたしは黙っおコップを受け取るず「そうですね」ず答えた。

    「真実、早くグラりンドおいでベンチ入らないず日焌けするぞ」
     桐子の声で眉間の緊匵は溶けお消えた。それでもカヌトを抌す足取りは早めない。ダッグアりトに着く前に、この錓動が収たっお欲しかった。

     桐子に促され陰に入るずき、倧田はこちらを芋おいた。その薄笑いで、たた胞が昂った。
     頭にタオルを乗せおベンチに座り、目を閉じお錓動を数える。むニング間のルヌティンず同じ、感情は芁らない。
     いち、に、さん、し──

    「あれ、疲れちゃったか鈍っおるんじゃないのか」
    「うん、そうかもしれたせんね」

     倧田はもうノックのボヌルしか芋おいなかった。タオルの隙間から、わたしは倧田の衚情ず、その挙動に党神経を集䞭した。

     懐かしい、勝負の熱。
     ごじゅうご、ごじゅうろく──

    マガゞン

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    2025幎5月から執筆掻動を開始。 瀟䌚掟サスペンス、サむコスリラヌ、歎史小説、サスペンスホラヌ、恋愛小説など、幅広いゞャンルに挑戊䞭。 珟圚は文芞賞ぞの出展を䞭心に掻動䞭。 Note 創䜜倧賞2027出展予定䜜品「異䞖界倧工 異䞖界で家を建おる女の話」を連茉䞭

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