「幸せホルモン美容」は肌に効く?論文の中身を開けたら、ヒトの比較は「3人対3人」だった
推しのライブ映像を見ていると、なんだか肌の調子がいい気がする。
「幸せホルモンで美肌に」という記事を見て、「推し活って美容にもなるんだ」とちょっと嬉しくなった推し活女子、多くないですか?
私もなりました。
だから、その話の根っこにある論文を、1本ずつ開けてみました。
そうしたら、ヒトの比較が「3人対3人」でした。
■ 「幸せホルモン美容」はどこから来たのか
幸せホルモンと呼ばれるオキシトシン。
実は脳だけでなく、肌の細胞も自分で作っています。
資生堂は、肌に軽い刺激を与えると肌の中のオキシトシンが増え、表皮の再生を促すと発表しています。
(資生堂ニュースリリース 化粧品会社自身の研究)
もう1つ、一緒に語られやすいのがSOD3。
肌の細胞の「外側」で活性酸素を消す酵素で、コラーゲンのそばで見張り役をしています。
「幸せホルモン×抗酸化」。響きは最強です。
でも、響きと中身は別物でした。
■ 話題の4本、中身を開けてみた
①「年齢で減るのはSOD3だけ」
ヒトの比較は、20代3人と80代3人。
お尻の皮膚を4mm切り取って、染色の見た目を比べたものです。
コラーゲンが約2倍になったのは、培養皿の中の細胞の話でした。
(Kim et al. Antioxidants. 2022 ヒト3人対3人と培養細胞の研究)
→ 20代と30代の間で減るかは、この論文では分かりません。
②「試験ストレスで肌のバリアが落ちる」
対象は、全員男性の医学生25人。
試験期間の4日目と、試験のない時期を比べています。
(Choe et al. Sci Rep. 2018 男性25人。研究費は化粧品会社)
ただ、別の研究では健康な女性でも、面接のストレスや徹夜で、肌のバリアの回復が遅れていました。
(Altemus et al. J Invest Dermatol. 2001 健康な女性の研究)
→ ここは向きがそろっていて、信頼できる方です。
③「ゆっくりした音楽で幸せホルモンが増える」
対象は男性26人。
聴いたのはショパンのピアノ20分。しかも全員、初めて聴く曲でした。
(Ooishi et al. PLoS One. 2017 男性26人)
→ 「推しの曲」で同じことが起きるかは、誰も調べていません。
④「幸せホルモンが多い人は、傷の治りが早い」
夫婦37組が24時間入院して、腕の小さな傷の治り方を追った研究です。
(Gouin et al. Psychoneuroendocrinology. 2010 夫婦37組)
→ 「多い人は治りが早かった」という関係で、「増やせば治る」とまでは言えません。
もう1つ。
オキシトシンそのものは、日本では医薬品の成分なので、化粧品には入りません。
売られているのは「幸せホルモン配合」ではなく、「幸せホルモンに働きかけるとされる植物エキス」です。

■ 開けて分かった「3つのクセ」
誰で調べたか
男性だけ、80代、培養皿の細胞。
推し活女子の肌そのものを調べた研究は、ほとんどありませんでした。どこで起きたか
培養皿で起きたことが、見出しになると「肌」になります。誰のお金か
化粧品会社が関わる研究は多いです。それ自体は悪ではありません。
でも、一行確認する価値はあります。
グサッと言うと、
「幸せホルモン美容」に反応しているのは、肌ではなく、私たちの期待の方かもしれません。
■ 推し貯肌で言うと
引く:心のストレスと徹夜は、肌のバリアの回復を遅らせる。
触る:肌は、軽く触れられると自分でオキシトシンを出す。
貯める:足すより、削らない。
逆算:イベント前夜こそ、睡眠を削らない。
新しい成分を足さなくても、やることは変わりませんでした。
■ 1. 美容ニュースは「誰で・何人で」を1回だけ見る
ヒト? 何人? 男性だけ? 培養皿の中?
この数行を見るだけで、たいていの見出しは落ち着いて読めます。
■ 2. イベント前夜は、睡眠を削らない
徹夜は、肌のバリアの回復を遅らせます。
遠征前夜こそ、寝る。
■ 3. 触るときは、羽のように軽く、ゆっくり
こすらない。押さえる。
触れるなら、なでるくらいの速さで。
■ 判定表に、8つ目の質問
ビタミンCの記事で、新しい成分名を見たら確かめたい質問は7つになりました。
今回、8つ目が加わりました。
① その研究は、塗った研究? 注射の研究?
② 分子や粒の大きさは、500ダルトンの壁を超えていない?
③ 数字は何%? 誰が測った?
④ 表示に「(保湿成分)」「※角質層まで」と書いてある?
⑤ 「何億個」は、いつ・何で数えた数字?
⑥ 注射や点滴なら、それは国が安全を確かめた治療?
⑦ そのボトルは、古くなっていない?
⑧ その研究は、誰で・何人で調べた?
■ 言えること、まだ言えないこと
言えること
・肌の細胞は、自分でオキシトシンを作っている
・心のストレスや徹夜で、肌のバリアの回復は遅れる(男女それぞれの研究で同じ向き)
・オキシトシンそのものは、化粧品には入らない
まだ言えないこと
・20〜30代の間で、SOD3が減るか
・推しの曲で、幸せホルモンが増えるか
・幸せホルモンを増やせば、肌がきれいになるか
まとめ
「幸せホルモン美容」。
その土台には、3人対3人、男性だけ、培養皿の中の研究が多くありました。
それでも「徹夜しない」「軽く触る」は、中身を開けたあとも残りました。
推しに会う日の肌は、新しい成分より、削らない習慣で作る。
私は専門家ではありません。論文と資料を読んで、確かめた範囲で書いています。多くは少人数や実験室の研究、企業や開発者側の研究です。
肌の不調が続くときは、皮膚科に相談してください。
判定表の7つ目の質問は、ビタミンCを調べて見つけました。
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https://x.com/iozh97sm83209
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専門家じゃないから、全部調べて書いています。いただいたチップは、次の論文を読む時間に使わせてもらいます🫧