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【連載 #7】習字って、文字をきれいにするだけじゃない。【まとめ】

    この記事は、

    マガジン『子どもに必要なことは、すべて習字が教えてくれた』です。全8回、連載完結しております。

    ※この連載はnote創作大賞2026にエントリーしています。プロローグから最終章まで、全8回を公開中です。

    最初から読む方はこちら↓からどうぞ。

    連載の最終章です。ここまでお付き合いくださり感謝申し上げます。どうぞ最後までお付き合いください。

    まとめ:習字は、羊の皮をかぶった狼だった

    ◯羊の皮をかぶった狼

    「子どもに必要なことは、すべて習字が教えてくれた」

    このマガジンのタイトルです。少し大げさに見えたかもしれません。

    でも読み終えた今、どうでしょう。

    習字は、羊の皮をかぶった狼でした。

    表向きは「文字をきれいにする習い事」です。でもその中身は、全然違うものでした。

    失敗を恐れない心。
    姿勢を整え集中する力。
    決められたことをやり抜く力。
    手と脳を同時に育てること。
    時間をかけることの価値。
    至高の1枚を目指して諦めない気持ち。

    これだけのものが、机の上で、筆と紙だけで、自分1人で経験できるのです。

    ◯レジリエンスという言葉

    最近「レジリエンス」という言葉をよく聞きます。

    逆境に折れない力。
    失敗しても立ち上がれる力。
    壁にぶつかっても諦めない力。

    現代の教育で最も求められているものの一つです。コツコツやる。我慢強くやる。粘り強くやる。

    難しく考えなくていいんです。「習字を夢中でやっていたら、いつの間にか集中力も粘り強さもついていた」で、いいじゃないですか。

    親御さんにとっては、子どものためになる習い事、子どもにとっては字を書いて遊ぶ場所。

    習字は親と子どもの「やりたい」、その両方を丸く収められる習い事。

    半分勉強、半分遊び。それが習字。

    ◯昭和の習字が、意図せず鍛えていたもの

    実はこれ、昭和の時代から、習字でずっとやってきたことです。当時の人たちは「レジリエンスを鍛えよう」なんて思っていなかったはずです。

    ただ筆を持って、何枚も書いて、直されて。また書いてまた直されて。昭和のやり方は不条理にも感じました。

    でもその繰り返しの中に、折れない心を育てる仕組みが、無理なく自然と入っていたんです。意図せずして習字はレジリエンスを鍛えていました。

    他の子が10枚で上手くなっていっても、自分は50枚かかっている気がしたものです。それでも筆を持つ。まるで修行です。

    小さな紙の上で、子どもたちは知らないうちに人間として大切なことを学んでいました。

    ◯書道の「道」

    日本のお稽古事には、よく「道」という字がつきます。

    剣道、柔道、華道、茶道。技と心を磨くことが人間を磨くことにつながるという考え方です。

    書道の「道」も同様に、

    文字を美しく書くために、1000年前からある本来の文字の形を学ぶ。柔らかく頼りない筆を自らの手指で繊細に扱う。姿勢と呼吸を整えながら体幹を鍛える。

    1枚1枚を真剣に書き、繰り返し、直されても直されても心を強く保ち、あきらめずにまた練習し、人間としての芯を育てていく。

    「習字」という羊の皮をかぶっているから、気づかれにくい。でも確かにそこには狼という厳しさもあります。

    ◯大人だけが知っている、習字の真の姿

    表の看板には子ども向けに「習字」と優しく書かれていますが、裏を返せば己を磨く「書道」の道。

    裏に「書道」が隠れているなんて子どもたちには秘密にしておいてくださいね。これは大人だけが知っている「習字」の真の姿。

    ◯最後に、教室の子どもたちへ

    習字をやっている子どもたちへ。これは先生からのお手紙です。

    「いつもお手本をよく見ているね。」

    ていねいに見る習慣は、学校で教科書やプリントを読むときにも、文字を飛ばさず、ひとつひとつ丁寧に読んでいるよね。それはちゃんと活きてるよ。

    「1人でコツコツ書いているね。」

    コツコツ積み重ねて続ける力、毎日の家庭学習も同じだね。今日は少ししかできなくても、また明日やればいいんだよ。いつも同じじゃなくて、たまに工夫も入れてみると最高だ。

    「お手本の線の、細かいところまでよく見ているね。」

    注意深く分析して見る目は、図形問題や理科の観察問題でも武器になるよ。これはキミだけの観察力だ。他にはどんなことに気付いたかな?

    「硬筆練習でも、いつもしっかり書いてるね。」

    “書く力”は、全科目の勉強で使っているよね。学校のノートを取るときにもそれは発揮される。

    急いでノートをとることもあるけれど、ノートのときは丁寧すぎなくていいから、自分が分かりやすく楽しんで書いてみて。

    「いつも習字を頑張ってくれてありがとう!」

    人前で発表することは苦手でも、キミには他にたくさん良いところがある!無理に話さなくても大丈夫。キミはコツコツできる子だよ。

    自分だけで、いろんな工夫をしてみよう。自分だけのやり方を見つけてみよう。

    習字でやってきたこと、勉強の中にちゃんと活きてるんだよ!

    だから大丈夫、大丈夫!

    あなたの先生より。

    ◯この連載を読んでくださった方へ

    この連載を読んで、習字に興味を持ってくださった方がいれば嬉しいです。

    しかし、この連載は習字を習わせることが目的ではありません。

    コツコツやること、時間をかけること。我慢強くやること、粘り強くやること。その価値を、もう一度見直してもらえたら、それだけで十分です。

    あなたのお子さんが、小さな壁にぶつかったとき、それでも前に進める人間になるために。習字は必ず力になってくれます。

    20年間、子どもたちの筆を見てきた私が、自信を持ってそう言えます。

    これにて連載は終了です。拙い文章を、最後までご覧くださり誠にありがとうございました。

    しょうじ書道教室 主宰・書家 東海林龍文

     
     
    書家・東海林龍文|しょうじ書道教室 主宰/1980年創業&2代目・秋田市3教場|累積700人以上を指導|習字は「和製モンテッソーリ」、文字をきれいにするだけじゃない|秋田県美術展 特賞受賞|NHK秋田取材|手本年間2000枚|二児の父

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