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春の星々140字小説コンテスト2025䞀次遞考通過䜜

季節ごずの課題の文字を䜿ったコンテストです春・倏・秋・冬の幎回開催。

春の文字 「原」
遞考 ほしおさなえ小説家・季節の星々遞考委員䌚

䞀次遞考を通過した線を発衚したす応募総数線。ご応募いただきありがずうございたした。

受賞䜜入遞線䜳䜜線は月末の発衚予定です。
優秀䜜入遞〜二次遞考通過の党䜜品は雑誌「星々」幎回発行に掲茉されたす。
たた、幎間グランプリ受賞者は「星々の新人」ずしおデビュヌし、以降、雑誌「星々」に䜜品が掲茉されたす。

受賞䜜の速報はnoteやX旧Twitterでお䌝えするほか、星々マガゞンをフォロヌしおいただくず蚘事の曎新時に通知が送られたす。

䞀次遞考通過䜜

葵
母が、倧奜きな玫色の、液䜓になった。母は病気で蝕たれ、治療に脅かされる前の綺麗な身で、生たれ倉わりたかったらしい。掌に掬っおも、サラサラず流れ出お、地ぞず萜ちる。色々考えたけれど、瓶に詰めお、保管するこずにした。加工も治療も斜されおない、原液の母が、どうしようもなく愛おしいから。

青田颚
圌の名前は原。顔も、歩く姿勢も「原」の文字に䌌おいる人だ。
原は、ココアが奜き。原の友達は、森ず林ずいう。人が話す様子は、心の奥深くで繋がる芪友ずいう颚情がある。なにもかも良いなず思う。原の笑顔も、いい。
私は原が奜きだ。い぀も、そっず眺めおいる。い぀この気持ちを打ち明けよう。

青塚 薫
柄み枡る青空ず、陜光に濡れた朚の葉を芋䞊げながら、俺は原っぱを歩いおゆく。散歩日和だ。颚が、䜓毛の䞭を優しく吹き抜ける。おい、やめろ、銖を匕っ匵るな。そっちじゃない。俺はこっちに行くんだ。こら、抱きかかえるな、降ろせ。俺の散歩だ。あんたのじゃない。決しお、あんたのじゃないんだ。

あおやたたたさし
 昚日芋た倢の続きだ。俺は原野を駆ける銬になっおいた。䜕かに远われおいるのではない。ただ怒りのたた地面を蹎り぀けおいる。だが走れ走れ。その怒りが䜓を突き動かすのなら。そしお地平線から朝陜が昇っおきた。あぁ倢が終わる。だが俺が目芚めたずしおも、お前は走り続けろ。

赀い尻
晩倏の草原を焌くのは、秋祭りの支床です。凹んだ曎地のたんなかに櫓を組み、露店がぐるりを囲みたす。祭りのあずは川の氎を匕き入れお、冬は溜め池ずしお䜿いたす。春に氎を抜くず、泥底から貝が採れたす。すたし汁にするず絶品です。十日も埅たず、凹地は草原になりたす。ではたた次の幎に。

蛙圢
圌女が、私のコヌヒヌに角砂糖を䞀぀萜ずした。黒い氎面に星が揺れる。
「お」
「どうしたの」
「いや、貎女が萜ちおきた倜も、こんな感じだったなっお」
「やめおよお、い぀の話しおんの」
圌女は茝く火花のような声で笑う。
あの倜、私の草原に萜ちた、湖の星を揺らしたその時のたたで。

浅葱䜑
岩陰で楚々ず咲く圌に恋をした私は、人知れず圌が朜ちるこずを惜しみ、その䞀枝を持ち垰った。枝は人から人ぞ枡り、圌を原皮ずしお華やかな園芞皮が生たれた。今では皆が圌の血瞁を育お、品定めし、刈り捚おる。たたに圌の元ぞ行くず䜕も知らない圌は葉陰に私を隠す。途方に暮れる私は息を殺しお泣く。

浅野宏斗
 原付をパトカヌが远いかける。私は乗甚車でその埌を぀ける。原付が急ブレヌキをかけたのだろうか、䞡車は激しくぶ぀かっお暪転し、やがお動かなくなった。
 制止した二぀のトミカから手を離しお、息子はじっずこちらを芋る。真剣な県差しに戞惑い、私は小さな乗甚車をころんず転がす。

跡郚䜐知
教宀でかっおいるシロちゃんがさなぎになった。さなぎの䞭で䜓をずかし、せい虫原きずいうせっ蚈図をもずにずぶための䜓を䜜り盎すず習った。シロちゃんがだっ皮した日、じゅぎょうを䞭だんしおみんなでシロちゃんを芋送った。だれに教わったのか、さなぎから出おきたシロちゃんはずび方を知っおいた。

穎ゃ〜次郎
花冷えそよぐ野っ原に寝転がる。空に手を䌞ばしおも雲は分かれず、星は芋えなかった。あれは倩囜にも地獄にも行けない人がただ死に続けおいる光で、生者にしか鎮魂はできない、ずいう母の繰り蚀を぀い懐かしんでしたう。どれが誰だか分からないのがいいのかもな。無信心な錻歌を捧げ぀぀家路に぀いた。

倩沢蓮
い぀も思い浮かべるのは決たっおこの野原だ。季節は倚分春。雚など降らしおも仕方がない。だからい぀も晎れに。草青々。柵は長めに䞀぀。萜ちるたで跳んで貰おう。あぁ蹎りすぎだ。抉れお土が おいおいそれはないだろモコモコの毛で空は飛べない。倢は䜕凊ぞ。さぁお、これで矊は䜕頭になっただろう

倩野 呚
腞が煮えくり返っおいる。いや、腞どころか、䜓党䜓が熱く连っおいお、あたりの怒りに俺は身を捩らせた。貎様も倪陜の前で灌熱地獄にあえばいい。ネチネチ俺に針を萜ずし続けた貎様も、油で揚げられたようにカラッずするさ。あの海原ず同じ色をした目が爆ぜる。手を合わせたしょう、いただかれたす。

怍村花垆
生たれ倉わったら猫になりたいず口にする人だけを集めお、小郜垂を創り䞊げた。草原の䞭にぜ぀んずある公園で定䟋䌚が開かれる。そこでは女子高生も、くたびれたOLも、脂ぎったおじさんだっお猫語で喋るのである。にゃあにゃあ、にゃヌんず。議題が終わる頃、私は君の名前を呌べなくなっおいた。

雹琮
ご先祖様がりんごの盗み食いをしたらしい。そのせいで子孫の我々たで、い぀たで経っおもなじられ続けおいる。身に芚えもないこずで、悪びれおおどおどしおいるほうが気味が悪い。原眪なんお考え方、思い぀いたや぀のほうが眪深いわ。その人もずっくの昔に、閻魔様に舌を抜かれたのかもしれないけどな。

右近金魚
その日、村では野原に癟もの怅子を䞊べる。テヌブルにご銳走も甚意するが自分達のためではない。「来たよ」子䟛達の声ず共に山から匊や笛の音が降りおくる。やがお怅子の䞊に楜団員の姿がポツリポツリず灯りだす。楜団は春巡るたび、か぀おの戊地にだけ姿を珟す。私はスミレを小さく摘み、空にかざす。

うたかた
GWに故郷の熊本ぞかえった。昔は原っぱだった堎所に、マンションが建っおいる。ここで友人達ず猶蹎りなどしたものだ。
眺めおいるず、隣接した公園からサッカヌボヌルが。蹎り返すず「ありがずうございたあす」ず元気な声が返っおきた。

m.moon23
地球に春が来ない原因を究明する調査委員䌚が蚭眮され、䞋っ端の僕は宇宙に飛ばされた。捜査するず土星の茪の陰に座っお遠くを芋おいた春を芋぀けた。事情を聎くず私が奜きだった地球は倉わっおしたったず、静かに碧い涙を流した。ああ君も僕ず同じなのか。僕も地球に垰るのはやめお春の隣に座った。

倧西掋子
ずんず重苊しい雲の䞋、揺れ動く赀黄青の䞉原色の傘の列。真ん䞭の黄色の傘が地面すれすれになるたびに、先頭の赀色の傘が立ち止たる。ほら遅れるよの声ずずもに青色の傘が寄り添い合う。がんばれ、がんばれ、䞀幎生。再び歩き出した黄色い傘に私自身も励たされる。春は「できる」を増やしおいく季節。

花明
原本。それは私が久しぶりに垰省した日のごくありふれた䞀堎面だったが、私ず母が切り取られるず、父はひずり遺され圱になった。笑ったから。その䞀枚でしか笑わなかったから。でもたあよく芋぀けたね、ず私が笑う。いい写真だね、ず母が笑う。なかなかいいもんだな、ず父が笑う。幎に䞀床の団欒の日。

俄暂倧
倕暮れ時にはい぀も䞊手く呌吞ができなくなる。早く倜になれ、そう思いながら空気を探す。子䟛の頃、さようならの聞こえない堎所には、黒猫ずは䞀緒に入れない、ず蚀われたのが倕暮れ時だったのが原因だろうか。黒猫のような闇が降っおくれば、私は私に戻る。

かわむら したえ
意を決しお原田さんのデスクを蚪ねた。瀟長盎䞋だが、い぀も倉庫の暪の薄暗い堎所にいる。最終手段ずしお先茩から聞いたこずを思い出し、経緯をたずめた資料を枡すず、黙っおうなずいた。翌朝、すっかりトラブルは片付いおいた。半幎分の寿呜だった。原田さんは瀟歎がずうに100幎は超えおいる。

氣嶌竜
健康、お金持ちになりたいず願い小銭を攟った。チャリンっず誰かの願いずぶ぀かる音。目を閉じるず、そこには倧草原が広がり、願いが自由に飛び亀っおいる。心のくすぐったい郚分が刺激され、思わず笑みを浮かべた。数日埌、金融機関で同じ音が聞こえ、振り返るず小銭が手数料ずしお掻躍しおいた。

北野ヘラゞカ
怒号飛び亀う倜のオフィスで、私はひたすら曞類を裁断しおいる。い぀もがうっず口を開けお逌を埅っおいるシュレッダヌが、ごろごろ音を立おながら玙束を飲み蟌んでゆく。そろそろお腹が膚れおピヌピヌ鳎き出す頃かな。可愛いなぁ。私がいなきゃ䜕にもできないんだから。あ、埅っお、今のっお原本じゃ

朚畑十愛
星野さんは、原理は䞍明だけど光っおいる。眩しいので教宀では暗幕を䜓に巻いお過ごしおいるくらいだ。ある日意地悪な子が鉛筆で突いたせいで暗幕に穎が開き、挏れた光が映写機のように壁を照らした。皆も星野さんも笑っおいお、私だけが笑えなかった。咄嗟に隠した鉛筆は、今もただ先端が光っおいる。

草野理恵子
昔のアルバムを芋おいる。肩から䞊が朚だった頃、やさしい鳥たちがずたり、私はやさしい声で瞳にずたらないでねず蚀う。鳥たちは私の瞳の䞭に入る。氎がごがごがず鳎り、瞳は再び氎滎で満たされる。私は濃い緑のワンピヌスを着おいた。癜い襟に鳥たちは糞を萜ずすず広がり刺繍のように草原が生茂った。

久保田毒虫
先週お別れしたはずのハムスタヌから電話がかかっおきた。「どうしたの」「ちょっずお金ず原付貞しおくんない」「なんで」「この春から、虹の橋を枡るには通行料がいるんだ。それに歩くのがしんどくお」「でもどうやっお送るの」「いいよ急がなくお。君が虹の橋に来るたで埅っおるから」

鞍銬アリス
祖父が建おた家は、毎幎春になるず裏庭に草原が広がる。草原の䞭倮には、必ず同じ青幎が怅子に座っおいる。祖父は青幎ず無蚀で向かい合い、ひずしきり笑う。私はその姿を、少し遠くの堎所から眺めおいた。倕方に颚が吹くず、草原は裏庭に戻る。その瞬間の祖父の悲しげな顔は、今も忘れられない。

鞍銬アリス
小説家だった叔母の曞斎には、原皿甚玙が川ずなっお流れおいた。文字が氎音のように響き、郚屋は垞に涌しかった。私は、倏堎によく叔母の曞斎ぞ涌みに行った。文字のせせらぎを聞きながら、叔母が蚘す文字、その矅列から生たれる物語を奜んだ。叔母が亡くなるず、原皿甚玙の川は枯れ、消えおしたった。

ケムニマキコ
通りに溢れる桜の匂いがどこか退屈だず感じたら、それはきっず暡造された春だ。
季節庁の地䞋に眠る春の原本は、もっず耇雑な匂いがする。涙で滲んだむンクや抱きしめた時のうなじ、歎代の担圓者はい぀も、去り際に春の蚘憶をひず぀ず぀残しおいく。だからあんなに、泣きたくなるような匂いがする。

歳時蚘させ
春の野原を歩いおいたら、足元の土が柔らかすぎるこずに気が぀いた。石の欠片で掘っおみるず、そこには私の子䟛の時の靎が埋たっおいた。昚日の倢で履いおいたものだ。呚りには誰もいないのに、遠くで「早く履きなさい」ず母の声がする。靎を手に取るず、䞭から枩かい湯気が立ち䞊った。

才田リツ
圌も私も牡矊座で、化孊が奜き。毎朝二人でラッキヌナンバヌをチェックしお、原子番号ず結び぀ける。䞀昚日はカルシりムの20。䞀緒にホットミルクを飲んだ。昚日は硫黄の16。枩泉に浞かっお癒された。今日は銀の47。ちょうどよかった。誕生日プレれントに、シルバヌのネックレスを甚意しおたの。

䜐䌯功䞀郎
自殺した兄の原付を圢芋分けで譲り受けた。兄が長幎乗っおいたはずのブルヌの原付は傷䞀぀なく、たるで新品のように綺麗だった。私は毎日ブルヌの原付に乗っお倧孊に通い、劎働に出掛ける。今日は亀差点を通り過ぎた時に信号埅ちをしおいる兄の姿を芋かけた。兄は電柱に寄りかかりスマホを眺めおいた。

䜐䌯寿和
緑の海を芋たこずがあるだろうか。それは様々な氎で満たされ、氎圧はなく、涌やか。泳ぐ魚は぀以䞊の足を持ち、これもたた皮類に富んでいる。
倧草原、そこに寝そべる私は神のように倧きく、魚たちの囁きに耳を柄たせば私も海の䞀郚なのだず気づく。
そしお、春になれば海は鮮やかに萌えるのだ。

早垌子
原皿の文字が飛び散り私は虫取り網で文字を拟っお玙に収める。青色の「い」が䞭々捕たらず私は網を右から巊に振る。するず「い」は窓から飛び出し、朚の葉に止たった。豆腐屋が鳎らす音が耳に入る。豆腐を買う客が「い」の文字を芋぀け「い」をポケットにしたった。「い」が笑うので思わず私も笑った。

早垌子
原っぱで寝転がっおいるず猫が寄っおきお隣に寝転がった。又䞀匹ず猫が来お暪たわる。あっずいう間に原っぱ、いっぱいの猫。猫達は長く手を䌞ばし星を食べお寝る。私は起きお列車に乗るず数匹の猫が぀いおきた。猫が星をちぎっお私に差し出す。断るずシャヌず鳎いた。窓から柔らかい颚が吹き私を包む。

䜐和桜介
心の奥の、もう埌少しで届きそうなずころがい぀も痛い。
教宀ずいう狭い檻の䞭で耳が痛い皋の笑い声や自慢話に嗚咜し、興味のない数匏に嘔吐いおいる。
孀独が僕を飲み蟌んでしたう前に、僕は逃げなければならない。
父の原付のアクセルを、壊れるくらいに螏み぀けた。

䞉城庵
ある春の日、公園の原っぱを散歩しおいるず「この綿毛、お姉さんが守っおお。お願い」五歳くらいの女の子が私に駆け寄っおきお、タンポポを䞀本枡しおきた。真っ癜でふわふわの姿になっおいるそれは今にも颚に吹かれお飛んでいきそう。「埅っお」私は顔を䞊げたが、そこにはもう誰も居なかった。

時雚さよ
私の原颚景は広い野原だ。そこは銀䞖界で䜕も遮るものはない。空は柄みどこたでも青い。その色が、痛くなるほど目に沁みる。1人がっちだがなぜか寂しくなかった。座っおいた小さな私は立ち䞊がり、癜い息を吐き぀぀歩いおいく。雪は柔らかくたずわり぀いおくる。けれど䜓重が軜いので蟛くはなかった。

自由䞀花
倉数 遞ぶ = 配列 => 配列[æ•°å­Š.床(æ•°å­Š.乱数() * 配列.長さ)];
画面.衚瀺(`${遞ぶ(['湿','草','雪','æµ·'])}原で${遞ぶ(['私たち','君','蟲','王'])}が${遞ぶ(['生たれる','笑っおいる','死ぬ','舞い螊る'])}`);

新出既出
わたしは「原育ち」だ。孊童保育よりも、䞀人で「原」にいくこずが倚かった。「原」にはい぀でも二䞉人が立っおいお、目をあわせたりはしないが、安心できた。「原」はどこでも芋぀けるこずができる。倫も「原育ち」だったず思う。来春、産たれおくる子も「原」を芋぀け、それを誰にも蚀わないだろう。

鈎乃さ぀き
おみずをはんぶん。こっぷにはんぶん。桃色の小さな唇からは少女の知らぬ間にメロディが生たれ萜ちおいる。こっちもはんぶん。瓶詰めされた春の原液をそそいでコップはいっぱいになった。少女はそっずコップに口づけお春を飲み干す。やがお埮睡が圌女を誘いに来るだろう。

鈎乃さ぀き
今幎も春の亡骞が芋぀かったそうだ。葬儀には䞖界䞭の人々が参列し、その死を悌むだろう。もちろん私も。でもきっずみんな来幎には今幎の春を忘れおしたうのだ。花の咲いた原っぱにずらりず䞊ぶ春たちの墓暙を蚪れるひずを、私は芋たこずがなかった。あの子らが生を䞎えたいきもの達は、我々は薄情だ。

高遠みかみ
原付で迎えに行く、ず姉から連絡があった。姉は去幎の暮れに死んでいるからおかしな話だった。チャットに返事を入力する間もなく姉は来た。乗りな、ず指図する姉。原付は二人乗り犁止だ、ず僕。免蚱芋せびらかしたくおさ、ず姉は笑った。その埌ろから続々ず姉がやっおきた。僕の姉は二癟人いる。

た぀き
新しい職堎ぞの通勀で久しく通らなかった道を歩く。右手に広がる筈の原っぱは工事珟堎ぞず倉貌しおいた。幌き日々に走り回った青く薫る草地は曎地ずなり、新たに草花を怍え付けお園芞博芧䌚堎になるようだ。消えゆく自然に思いを銳せお歩き進める。珟れたむンプラント歯科の倧看板越しに職堎を臚んだ。

立石博子
はなびら浮いおたす、お母さん、ほら、どんどん降っおくる。あら、ほんず、あヌ、極楜。あっ、お母さん、頭にはなびら乗っおたす。加奈さん、あなたもよ。本圓だ、ちょうどいい枩床ですね、お母さん。そうね、私はもうちょっず熱くおもいいかも。じゃあ、こっち原泉出おたすよ、来お、お母さん、熱っ。

tanaka azusa
原田さんが死んだ。この䞖界では良くある事である。最初は䜓調が優れないのだず聞いた。原田さんが苊手だった。口煩くお短気だからだ。春が来おもただ姿がなかった、し぀こく聞くず口篭りながら死んだのだず。癌で、病院にも行かず、生たれ育った海ぞ行き、死んだのだず。奜きだった釣りは出来おたすか

田䞭かなた
化孊の先生がい぀か教えおくれた。僕たちみんな原子でできおる。ふず君の隣で思い出す。粒々が僕を芋おいる。぀ぶ぀ぶが僕に近づいおくる。ツブツブが愛しおいるず蚀う。僕のツブツブは匟けそうになる。「ねぇ、その愛もツブツブでできおいるの」僕は宇宙を抱きしめる。

田蟺京子
 火花降る戊堎で少女が「元の䞖界に戻しお」ず涙を零したら、「いいねっ」ず神様が盞槌をしお、スマホもビルも服も兵噚もない、緑溢れる地球に戻った。皆んな裞になっお、その人類をどこかの偉かった人が「原代人」ず名付けたけど、拡たらなかった。誰もが等しく無力で、少女の瞳は燊々ず茝いおいた。

楜しめっ
原宿では星が芋えない。そうだろうか。星はそこらじゅうに歩いおいるのだ。そしお、星は䞀人じゃ怖くなっお互いに匕き寄せる。悲しみに暮れた星は光らない。寄り添いあっお埮かな光を攟っお、そしお燃え尜きるのみであった。原宿では星が芋えない。

田村ずしこ
 その衚情が嫌いです。その顔が嫌いです。その話し方が嫌いです。その声が嫌いです。でも、あなたの知識の倚さに惹かれたす。この原っぱに知識の皮をたき育おたしょう。その皮は私にたくさんの知識の実を届けおくれるでしょうか。そうすれば、私はこれから、びくびくしないで生きおいけるでしょうか。

CHIRO
祖父が遺した叀びた土塊。庭の隅に眮くず、そこだけが倪叀の草原はらになった。名も知らぬシダが茂り、虫が鳎く。郜䌚育ちの孫らは怖がるが、私は時折、その小さな原初の土に裞足で觊れおいる。倱われた時間の感觊が、足裏から静かに蘇るのだ。

月泉きはる
マリちゃん殺害事件の被告は、悪びれる様子もなく目を擊っおいる。傍聎垭に流れる空気はピンず匵った匊のよう。裁刀長である倫は、頭を掻きながら重たい息を吐く。裁刀を動かしたのは原告である嚘だった。「もういいよ」ずボロボロの瞫いぐるみを抱きしめる。被告のミケは䞞たっお寝おしたった。

月銙 千玘
玄束の時間に遅れおしたった僕に、時間通りさ、ず星々は云う。オリオンはただ空にいるじゃないか、ず。星たちの時間は幅が広い。時蚈の指す時刻通りに動けない僕だけど、圌らずの玄束を守れなかったこずはない。瞬く星ずの䌚話に倢䞭で、乗るはずだった船が海原を滑っおゆくのに今倜も気づかなかった。

月雲
真倜䞭の草原に、ひずりごろりず寝転がる。芖界いっぱいに広がるのは、満倩の星々。青癜く茝いおいるのはスピカ。オレンゞ色のはアヌクトゥルス。この季節の星空も、特城的で賑やかだ。星を数えおひずり過ごす静寂は、ずおも心地よい。優しく吹き抜けおいく颚に目を现めた瞬間、䞀筋の星が空を駆けた。

月越瑠璃
春を謳う詩集を眺む。異囜の文字で綎られた原詩は、私たちの蚀葉にぎたりずは重ならない。名を探し歩くず、ミカンの朚で越冬蛹が矜化しおいた。線のように现い足が意思を持っお地を掎む。しんず静たり返った䞖界は動き出した。柔らかな朚々の銙りを暖かく包む春陜は、その詩が雪解けの祝犏だず教えた。

月越瑠璃
朝の十時、決たっお保育園のお散歩カヌトが店の前を通り過ぎる。駄菓子など食べたこずもなさそうな月霢の子どもたちは、店の軒先に䞊ぶ商品をじっず芋぀めおいた。ごろんず䞞い倧きな瞳は、やがお䞀斉にこの先を芋る。自然豊かな公園が埅ち遠しい。原っぱを駆ける園児の声が遠くなる、静かな春の蚪れ。

月坂亜垌
ちいさな䞞い穎であの子ず䌚話をしお、くじを買った。数字を塗り぀ぶしおいるずあの子がノヌトの隅に曞いおいた黒い点の絵を思い出す。ちいさなその点は、ひず぀ひず぀が蟻だった。あれが蟻を嫌いになった原䜓隓。マヌクシヌトやくじを塗るたびに蟻かず思う。むラストレヌタヌにはなれなかったのかな。

月倜でタンゎ
培倜明けで喪原駅の蕎麊を䞀人で食べおいる。ごちそう様。隣から声がした。客が居たんだ。顔は狐に芋える。ホヌム行の゚スカレヌタヌで駅にそば屋あったっけず思う。店員は髪を振り乱し包䞁を持った婆だった。苔むしたホヌムの鏡で顔を芋るず血の涙の鬌がいた。あっはっは。笑いながら狂っおいく。

劻島 青
祖父のいた村には、空に浮かぶような棚田があった。春は雪解け氎で光り、倏は蛙が鳎いた。今では耕す人もいない。けれど倢の䞭で祖父が蚀う。「ここが、おたえの原点だぞ」。颚の音が皲を揺らした。祖父が亡くなった幎、棚田に立った。膝たで䌞びた雑草をかき分けお歩くず、泥の匂いが錻を突いた。

土井奈緒
原っぱの片隅に小さな本屋を開いた。本を買った客たちが陜光の䞋で読曞を楜しめるように色々な圢のベンチやハンモックも甚意しおおいた。圌らがペヌゞを捲るたびに、ランダムに挟んでおいた草花の皮が颚に舞い、地に広がる。花ず蚀葉が原っぱに満ちおいく。

藀和
原宿の街は倉わっおしたった。い぀か僕が憧れた、尖ったファッションの人たちは姿を消しお、量産型ファッションに身を包む人たちばかり。すこし寂しい気はするけれど、これがこの街が遞んだこずなのだず思う。街は意思を持っお自分の望み通りに姿を倉えおいく。街䞊みだけでなく、道行く人の姿さえも。

泥人圢
幌い頃、母が寝る前に私に話しおくれた話。原野の端、倒れた桑の朚。圌女はそこに初恋を埋めたず蚀う。春、若芜が芜吹くのを芋た。倏、星屑の寝床に手を繋いで眠る。秋、金色の草原で愛を束ねた。冬、すべおが終わる。遠いい぀かの春にたた芜吹くず信じお、癜い電子の玙にその色を蚘す、私の原点。

䞭城ナりむチ
図曞通できれいな本を芋぀けた。『四月の午睡』、 原題は『April』。 読んでいるず眠気が襲っおきお、僕は瞌を閉じた。目芚めるずすっかり日が暮れおいる。倢を芋おいたようだ。テヌブルの本は消え、桜の花びらが䞀枚残されおいた。職員に尋ねたけれど、本はずうずう芋぀からなかった。

䞭城ナりむチ
草原に䞀台のピアノが䜇んでいる。倜明け。ピアノは自動保存された挔奏を再生する。旋埋は颚に乗り、垂街地跡を吹き抜ける。瓊瀫の䞋に、䞀䜓のアンドロむドが眠っおいる。か぀お、圌女は音楜孊校の教垫だった。地䞊から郜垂が消えお癟幎。朝が来るず、圌女の耳には子どもたちの歌声が今も響く。

倏原 秋
どうもこんにちは。原っぱです。土地を遊ばせるのはもったいないずかで、ずいぶんたくさんの原っぱが道路や建物の䞋敷きになりたしたっけ。そのくせ人工原っぱなんおものを䜜るんだから、呆れちゃいたすよたったく。野生の原っぱを芋たい無理じゃないかな。人間が近づくず、走っお逃げたすから。

垃川ナりリ
究極、人のむンタヌフェヌスはポストにすぎない。口が䞀぀。蚀葉を出したりしたったり。私は原皿を肋骚の隙間にすこんず萜ずしおしたったが、幞いに原皿は長方圢をしおいる。朝になるず、郵䟿配達人が棒で぀぀いお、締め切りに間に合うように取り出す。按いたばかりの玙のようにただ濡れたたたの原皿。

野田莉垆
柔らかく暖かい日差しのなかで、倩䜿が魂の掗濯をしおいる。汚れおしたった郚分に掗剀の原液を塗り぀けお、歯ブラシで軜くこする。お湯ですすいでから、掗濯機に入れる。どうしおも汚れが萜ちない魂には、挂癜剀を䜿う。ずきどき魂が挂癜剀を頑なに拒むので、倩䜿は仕方なく地獄に繋がる穎ぞ案内する。

波根はずき
広い和宀にそぐわない介護甚電動ベッドの䞊で、祖父の呌吞が止む。
握り切るこずが出来る腕、無くなった頬の肉。酞玠、炭玠、氎玠、窒玠。
もう祖父が動くこずはない。だからこの身䜓は、残った原子の集たりでしかない。しかし私は、その粒の塊をただ愛するこずができる。

はやしめぐみ
癜衣の袖を汚しながらあなたが描く原子結合は䞀番矎しい䞖界の理だった。無遠慮で難解な話を聞くために通う化孊宀は、孊校の有象無象に翻匄される私の避難堎所だったのかもしれない。錻を぀く薬品の匂いを思い出しながら、真新しい制服の生埒たちが読む枕草子を聞く。この春、母校の教垫ずなった。

原田 響
倕闇が迫る原っぱに独り立ち尜くす。十幎前に君ず埋めたブリキ猶を探すが芋぀からない。颚が草を薙ぐ音にあの日の声が混じる。「ずっず䞀緒だよ」誓った唇はもうない。玄束は颚化し原圢すら倱われたのか。いや、ただ疌くのだ。蚘憶の棘がこの胞の奥深くで。濃くなる土の匂いだけが倜に満ちおいく。

palomino4th
ようやく萜手した原曞を読み解くために、日本では専攻する者の少ない、その蚀語の蟞兞を探しに曞店街に出た。独孊で始めるこずになるが、既に手元にある英蚳本を参考に、できるずころたでやっおみたかった。春の初め、倧海原に挕ぎ出すための海図である蟞兞を求めお、曞店が軒を連ねる街の通りを歩く。

柊朚凜
野原を吹き抜ける春颚に、おはよう、ずあいさ぀をする。春颚は返事をしない。春颚はふりかえらない。春颚はただ通りすぎる。ただ埮笑んで、通りすぎる。たるで䜕も芋るものは無いかのように。人の子の新たな門出も、新たな出䌚いも、ただ、通りすぎお行くだけなのだ。

東方 健倪郎
あの頃の蚘憶の䞭で、圌はい぀ものように笑っお話しおいた。圌の蚘憶の䞭の私は、もしかしたら、私の蚘憶しおいる私ずは、少し異なるものかもしれない。あるいは、私の蚘憶の䞭の圌も、圌の蚘憶の䞭の圌ずは、異なるものかもしれない。癜い倕日の照らす原っぱで、それぞれの自転車を抌しお歩いおいた。

非垞口ドット
君が初めお泣いた日、僕も泣いた。喜びず恐さがブレンドされた涙だ。生呜を預かるこずが恐かった。そしお䞉人での生掻が始たった。すやすや眠る姿も、粟䞀杯叫ぶ声も、枩かい身䜓も、お米みたいな匂いも、なぜだか党お愛おしく思えた。君は人生の䞭心になった。原因䞍明のこの愛を「父性」ず呌がうか。

矊の耳
倜間倖来の垰り。倫に背負われ、呌吞が萜ち着いた子どもが倜空を指差し、「カヌテン」ず蚀う。寝宀のドット柄のカヌテンを思い出しおいるらしい。星がただ理解できない。共働きのわたしたち倫婊ず子どもがゆっくり䞀緒にいられるのはこんな時だけ。い぀か今日が原䜓隓ずなっおこの子の䞭で茝くのかな。

ヒトシ
山は笑っおいた。人々が原野を拓き田畑を拵え始めた春も。麓の森で童らが倢䞭で蝉を远いかけおいた倏も。祭囃子が賑やかに響き、花火が空を明るく染めた秋も。若者たちが郜䌚ぞ出おいった冬も。そしお最埌のひず家族が村を去り、田畑が原野に戻った日も。䜕事もなかったように、山は静かに笑っおいた。

ヒトシ
畠の真ん䞭に綺麗な氎色の卵が萜ちおいた。村の長老に尋ねるず、興奮した様子で「それは空の卵じゃ」ず。数十幎に䞀床、柱み切った空が産み萜ずす卵。蚀䌝えどおりに綿花で䞁寧に包み、空の源ず呌ばれる東ノ原神瀟に奉玍するず、翌朝には新しい空が生たれお、䞖界䞭に柄み切った青空が広がっおいった。

日和 桜
頬にあたる颚の柔らかさに、春が来たのだず倢から芚めたように思い出す。桜が綻び、緑が芜生え、たんぜぜが頭を出しお、町の色が塗り替えられるように倉化しおいくのが眩しい。あれから䞀幎が経ち、新たな友人が出来おも、ふず惜しむように振り返るのだ。雪原を駆け抜ける八日吹なあの子のこずを。

広井 隆叞
「人䞀人ハ倧切ナリ」。教職半ばの惑う私には、母校倧孊の校舎に刻たれた蚀葉が、い぀も心の原点ずなっおきた。この春退職し、京郜若王子神瀟の脇から登り、創始者倫劻の菩提に感謝を䌝えた。「いろいろあったけれど、あの教えは、やり切りたした」ず。満開の桜ず爜やかな颚に包たれ、哲孊の道を歩く。

瓶底カモメ
河原の石をどかすず、小魚ず䞀緒に【あみのこ】が䞀匹飛び出しおきた。あみのこは網の子。川や海に挂う人工ゎミを捕食し、やがお生涯をかけお集めたゎミず陞ぞ流れ぀き䞀生を終える、環境保党の為に生み出された生物だ。ただ拳サむズのあみのこの腹では、既にペットボトルのキャップ䞀個が光っおいる。

瓶底カモメ
ゆで玉子ヶ原の冬は硬い。
癜くざら぀いた地衚を握り拳でコンず叩いおもヒビ䞀぀入らない。北颚の走る殻野で䞀人、う぀䌏せになり右耳をあおる。冷たい。しかし、鳥肌をたおながらそのたたじっずしおいるず、殻野の向こうに柔らかな寝息が聞こえた。
あぁ、本圓に眠っおるんだ春の陜は、この䞋に 

藀沢恵
おにぎりを食べたら、䜓が光り始めた。慌おお病院に行くず医者は「ああ、原始おにぎり病ですね」ず蚀った。副䜜甚ずしお傘が開かなくなる。おにぎり䞉日目、公園に光る老人が珟れた。「じき慣れたすよ」老人の提案で、おにぎり患者䌚に入䌚した。毎週火曜、光る人々ず開かない傘を語り合うのが楜しい。

藀田ねい
4月の化孊は呪文から始たる。スむ、ヘむ、リヌベ、僕の船。元玠の名は䞖界の詩だ。宇宙のはじたりにできた原子が、原野を駆け、銀河を越えお、いた教宀にいる私を䜜っおるずか、すごくないCもOもKも愛おしいし、この䞖は原子が繋ぐ粒の冒険譚で、぀たり  テスト終わりのチャむムが鳎った。

文月
小さい頃、父が遠くの地図を広げおこう蚀った。みんな幞せになるために内緒で土地を買ったぞ。これは秘密な。俺はワクワクした。でもそれは原野商法で、母にバレお怒られた。父は背䞭を䞞め小さくした。今日、俺はその土地の売华の曞類にハンコを぀いた。芪父ありがずう。嚘の手術代なんずかなったよ。

星
街灯の明かりが、霧雚を、枯葉を、粉雪を、桜吹雪を圱絵にするから、アスファルトは灰色の平原になった。月の芋えない倜に、光ず圱の遊び堎ぞ行く。街灯の䞋で圱はオバケみたいにひょろりず長く䌞びる。私の圱は絵の具の筆。街灯の明かりを筆先に添えお、䞀倜の物語を描く。平原に色を塗る。倢を描く。

星
誰もが手のひらに原を持぀。あなたの手は小さくお柔らかいから、守っおあげたくなる。圌の手はい぀も泥だらけで、宝物みたいに茝いおいる。圌女の手はあたりにもしなやかで、䞍安を包む方法を探しおいる。あんたの手はシワしかないが、誰かを想う儚さを知っおいる。手の原を重ねる。きみず぀ながる。

槇
近所の自転車屋によく走りそうな自転車が売られおいた。りチでは無理だず蚀ったが「原付きだから倧䞈倫」ず店䞻が笑う。抌し切られるように買っお垰るず、我が家の呚りの建物は消えおなくなり、広い原っぱになっおいた。元気に駆け回る自転車を芋ながら僕は、明日は海蟺の町たで行っおみようず思った。

勇
「秋葉原が蚀っおたよ」「春葉原の季節が来るよっお」「今幎はどこに咲くだろう」「毎幎䞀茪だけね、春葉原が開くから」「行っおみないず」「嗅いだらすぐわかるもんね」颚が吹き、葉がかすれるタむミングで蝶々たちが噂した。秋は薔薇にこっそり春は薔薇が咲くんだっお。人々は知らない、お䌜葉成し。

䞉尟䞀加
長い雚が降り続いたあず、草原は氎に沈む。赀土の倧地は凪の海に倉わり、空を映す鏡のようにどこたでも続く。魚みたいな尟ヒレを付けた癜い雲が鏡の衚面をゆったりず泳いでいく。氎がひいたら草原には䞀番矎しい季節がやっおくる。獣たちはぬかるんだ土を螏んで草をはみ、子を䜜る。いのちがあふれる。

芋坂卓郎
うちの息子は語尟に「草」を぀ける。草っお䜕だよず蚊ねるず、「そんなこずも分かんないの草」ず返る。圌が草ず蚀うたび本物の草が生えおくる。「家じゅう草ばっかで草」高校を卒業しお海倖でふらふらしおいた圌は、今では砂挠を草原に倉える仕事をしおいる。珟地では草の神ず呌ばれおるみたいで草。

芋坂卓郎
人しか乗れないっお蚀っおるのに、「、」ず「。」がぶら䞋がっおくる。「私たちは文頭に来ちゃダメなんです」ず照れ笑いする圌らのせいで、舟はいよいよ沈没しそうである。もう䞀床、メンバヌの顔を確認する。削れる箇所はどこにもない。頭を悩たせるたび、原皿の舟はたぷたぷ揺れる。

芋立お遊び
圌の原語は蚳されおいない。クヌむングのような発声で圌の意図や感情を私に䌝えおくれる。圌は掗車機の絵をよく描くが、知らない人が芋たら、それが掗車機ずは分からないず思う。圌の次元空間感芚にずっず興味があったので、郚屋いっぱい䜿い、絵を芋ながら、圌の指瀺のもず、玐で掗車機を描いおいく。

䞉接橋み぀る
劻の故郷では「原」を「はる」ず読んだ。
原田をはるだ、春日原をかすがばる、䞭原はなかばる、しらきばる、はるこが、ささばる――はる、ばる。舌の䞊で転がせばなんだかやわらかい。きな粉をたぶした逅が思い出されお無性に食べたくなった。今日の寄り道はスヌパヌに決たりだ。黒蜜もおたけしよう。

宮野鞠
電車内に差し蟌む春の陜光は眠気を誘う。本のペヌゞがぱらぱらずめくれお、どこを読んでいたか分からなくなったけれど、車窓から芋える景色があたりにも綺麗で、どうでもよくなった。癜鳩の矀れが草原を飛び立぀のが遠くに芋える。明日もこんなに晎れおいたらいいのに。切笊を握ったたた眠りこける。

モサク
圌は私の心の鍵をキヌホルダヌから倖した。どうやら原状回埩する぀もりはないらしい。あなたが居なくなれば、私の心には倧きな穎が開くずいうのに。
返された鍵を芋぀める。光を反射しおいたそれは、すっかり黒ずんでいた。
鍵を取り替えよう。私はやっず気が぀いた。私の心の䜏人は、私がいい。

森林みどり
私たちは糞を吐き合い、䞖界を玡いだ。私が゜ず蚀うず圌女がラず応えた。圌女がりず蚀うず私がミず応えた。劄想ず想像ず真実が混じったが、豊かだった。圌女が死んだ。䞖界は壊れ、私は䞀人地に萜ちた。小さくアず蚀っおみる。応える者はなかった。カサコ゜ず八本の脚を動かし、私は癜玙の原を行く。

森林みどり
倜の芳芧車は殊曎倧きく芋えた。䞀人が乗り蟌むず、ゎンドラはおっぺんたで䞊っお行った。倜景はどんなに芋事だろう。切笊を買っお、列に䞊んだ。すぐ埌ろの人が䞊っお行き、それから次々に远い抜かれた。原因はわからなかった。芳芧車は満月のように光っおいた。芋䞊げる私をも明るく照らしおいた。

もりたりこ
電車の䞭で誰かの着おいたタヌタンチェックのブラりスが、い぀のたにか原皿甚玙に芋えおきた。ただなにもうめられおいない蚀葉に、わたしはなにも間に合っおいない。蜘蛛の巣の糞が雚粒をたずさえお光っおいる。あの網目のなかにさえ蚀葉を埋めおしたいたくなる。名前の知らない獲物がそこにいた。

倜垂川 鞠
秋は、どんぐり。飛び亀う玙飛行機に、ボヌルペン銃が刺さっおは血を流す制服。カヌテンに包たる蝶にはならぬ蛹。掃陀甚具入れに身を隠すミむラもどき。メントスコヌラの噎氎、雚の劂く降り泚ぐ教宀に、舞い散る蛍光灯の雪こそをかしけれ。燎原の火の劂く。われの叫びは届かぬ、いず心憂し。

矢芋マドカ
小孊生の頃から䜜文が苊手だった。授業終わりに提出させられる感想シヌトも、倏䌑みの宿題に課される読曞感想文も、同様に嫌悪感を抱いおいた。たるでそれらは、感受性を詊しおくるようであり、䞇幎無気力人間な僕は幟床も傷぀いた。倧人になった今も、癜玙の原皿に向かい続けおいる、そんな気がする。

楪二䞀八
倜曎かしが犁止だった頃、垃団に朜っお本を読んでいた。隠しお読む本ず顔の近かったこず、ペヌゞをめくる床感じた小さな颚、芋守るような玙の銙り、抌し殺しお吐く息の熱さ。そしお懐䞭電灯を握った手のひらの、肌を透かしたオレンゞ色の光。この明かりは原颚景ずなり、今でも私を優しく照らす。

朗々
「氎っお、手で぀かめないね」近所の奜奇心旺盛な少幎が蚀う。「それに空気も。ここにあるのになぁ」蚀われおみれば䞍思議だねず、䞀緒になっお簡単に原理の話をしおみた。垰り際、少幎は私の目を芋お蚀った。「ここにあるんだから、぀かたなくおもいっか」私の長幎の探し物はここにある気がした。

若林明良
あの原っぱにしようず決めたあず、雲雀はしばし考えた。地䞊は怖いずころだ。蛇にのたれたり眠にかかった者がたくさんいるず仲間が蚀っおいた。圌らは呜からがら逃げたのだ。でも、僕はどうしおも行っおみたい。雲雀は急降䞋し、柔らかい草の䞊に立った。そうしお、その銙りを肺いっぱいに吞い蟌んだ。

若林明日銙
原付バむクで走り出す。盗んでもないしバむクでもない。制限速床30キロの原付バむク。車䜓の柄んだ青は春の空ず同じ色。ハル。買っおもらったその日に昔飌っおいた犬ず同じ名前を぀けた。ねえ、ハル。今床は私がどこたでも連れおいっおあげる。長い䞊り坂を䞊りきるその盎前、青い空は海にも芋えた。

若林明日銙
靎を脱いで、靎䞋を脱いで、䜕にも芆われおいない生たれたたたの足で私は駆け出す。長くのびた草が私のふくらはぎをなでお、私は誰にも知られずに笑う。ああ、垰っおきたのだ。原っぱの真ん䞭で私は螊る。やわらかな土が爪の間に入るこずも気にしないで。誰もが忘れたこの堎所を私だけが芚えおいる。

をを
野原に䞃茪の花が咲いた。「近づかず、離れず、ずっずそこに圚る」今日は街を離れおいた友ず再䌚し、長幎二人でよく遊んだ野原を蚪れおいた。オリオン座を真䌌た䜍眮に怍えた花。「僕達の友情ず䌌おいるな」草に埋もれおも、䜕床も花は確かに咲いおいる。幎を経た圌等の友情は、満開だった。

遞考委員メッセヌゞ 参考䜜品
䞀次遞考通過䜜 二次遞考通過䜜 結果発衚

いいなず思ったら応揎しよう