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『守秘義務の壁を越えて。現役臨床心理士が「小説」でどうしても伝えたかったリアル #創作大賞2026』

    明日、note創作大賞が締め切りを迎えます。
    私が応募した『こころ日誌』と『インスペクシオ』について、最後に「なぜこの物語を書いたのか」をお伝えさせてください。

    自己紹介記事でも少し触れましたが、この二作品を書き始めた当初の目的は、私が愛知県で主宰する『山の香りカウンセリングサービス』の宣伝でした。
    カウンセリングの利用を検討されている方に、当相談室の中身を知ってもらいたいという願い。しかし、私たち臨床心理士は厳格な守秘義務を負っているため、実際の事例を皆様にお伝えすることは絶対にできません。

    そこで思いついたのが、「フィクション(小説)を書く」という手段でした。
    作品の中に出てくる『山の香りカウンセリングサービス』という相談室と、その所在する愛知県および周辺の地名は実在するものです。他に実在するものは『ピノ』という商品名と『スーパーサイヤ人』くらいでしょうか。あとは全て架空の設定です。

    しかし、いざ公開してみると、当相談室を利用する実際のクライアントから「とてもリアルだった」と言われ、また読者からは「自分にも思い当たる節がある」など、予想以上の反響をいただきました。
    そのような経緯を経て、『こころ日誌』を書き終える頃には、私の執筆目的は「当相談室の宣伝」という枠を完全に超え、「心理臨床の本当の姿(リアル)を社会に伝えたい」という切実な願いへと変貌を遂げていたのです。

    その願いの結晶として、私が長年従事してきたスクールカウンセラーとしてのリアルを叩きつけたのが、スピンオフである『こころ日誌・インスペクシオ』です。
    学校という巨大な組織の実情。その中で板挟みになるスクールカウンセラーの立ち位置や無力さ。現場で何度も直面してきた限界を、これでもかというほどふんだんに詰め込みました。

    結果として、『こころ日誌』で描いた「家族の再生」「トラウマケア」というカウンセリングの【光】の側面と、『インスペクシオ』で描いた「社会的制約」「システムの限界」という【影】の側面。この表裏一体の二作品を通して、心理職のリアルを描き切ることができたと自負しております。

    さて、この二作品を書きあげた今、私の中に新しい夢が生まれました。
    それは、「心理職のアイコニックヒーローを創り出す」というものです。

    刑事ドラマや医療ドラマの主人公のように、もがきながらも戦うカウンセラーのヒーローを創りたい。そのヒーローの活躍を通して、世の中に私たちの活動がさらに浸透していけば、援助を本当に必要としている人がカウンセリングという選択肢を選びやすくなる。そして認知の向上はカウンセラー自身の質を上げることにも直結します。それは最終的に、私たちが最も守りたい『クライアントの利益』につながるでしょう。

    そう信じているからこそ、物語はここで終わりません。
    現在、カウンセリングのさらに深い本質を詰め込んだ続編『こころ日誌・フィルトラティオ』を執筆中です。

    学校というシステムから排除され、苦しみの果てにカケルがたどり着いた「煙突のある相談室」。かほりから届いた絵ハガキを見つめながら待ち構える榊。
    深いトラウマを抱えたクライアントが持つ息の詰まるようなヒリヒリ感に心をすり減らすカウンセラー。
    最も泥臭い心理臨床が幕を開けます。

    心理職のリアルを世の中に届けるために。
    そして、今もどこかで息を潜めている「かほり」や「カケル」に希望を届けるために。

    どうか、この二作品に「スキ」を押して、皆様の力を貸してください。
    応援よろしくお願いいたします!

    ▼家族の再生を描く「光」の物語
    『こころ日誌』~不登校の少女が描いた血まみれの絵に隠された真実~

    ▼学校の限界と排除を描く「影」の物語
    『こころ日誌・インスペクシオ』~不適応者はかく排除される~


     
     
    愛知県日進市でカウンセリングルームを主宰しております臨床心理士です。カウンセリングについて漠然としたイメージを持っている人は多いけど、本当のカウンセリングって何をするの?って方にカウンセリングのリアルを感じてもらいたい思いから、小説『こころ日誌』を連載していきます。

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