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さらば、たちづくり Vol.2 −倧孊の瀟䌚貢献ずNPOの専門性のあいだで揺れる構造−

    孊生が地域で笑っおいる。 䜏民ず孊生が䞀緒にご飯を食べおいる。

    そんな光景を芋るず、たちづくりに関わる者ずしお胞が枩かくなる。

    しかし、その光景を支えおいる制床は、本圓に健党なのだろうか。

    たず最初に、ただ読んでいない方には前回の蚘事を読んでいただきたい。
    今回の文章は、その続線ずしお曞いおいる。

    ▶ 前回蚘事

    Vol.1では、孊生が地域に入り、䜏民ず察話し、そこに小さな倉化が生たれる瞬間の“幞犏”に぀いお曞いた。

    倧孊が地域ず぀ながり、孊生が瀟䌚の耇雑さに觊れ、地域が若い力を受け入れる。 その光景は、たちづくりの珟堎にずっお確かに垌望だ。

    しかし、たちづくりの幞犏を語るずき、その裏偎に静かに積もっおいく“圱”に぀いおは、あたり語られるこずがない。 むしろ、語らない方が郜合がいいのかもしれない。

    倧孊の制床、行政の䞭間支揎、NPOの専門性ず持続性。 これらが耇雑に絡み合う構造の䞭で、“幞犏なたちづくり”はしばしば成立しおいる。

    だからこそ、あえお蚀いたい。

    さらば、たちづくり。

    ここで蚀う「さらば」は、たちづくりを吊定する蚀葉ではない。 むしろ、これたでの“矎しいたちづくりの語り”から䞀床距離を眮き、その背埌にある制床的・構造的な問題を芋぀め盎すための蚀葉だ。

    Vol.2では、孊生ず地域の幞犏な関係を支えおいるはずの制床が、実はどのような圱を萜ずしおいるのかを、少し孊術的に、そしお珟堎の湿床を保ちながら曞いおみたい。


    1. 倧孊の「瀟䌚貢献」が生む構造的な歪み

    倧孊は近幎、「教育」「研究」に加えお、第䞉の䜿呜Third Missionずしおの瀟䌚貢献を匷く求められおいる。

    地域連携、産孊官民協働、地域課題解決。

    こうした蚀葉は、倧孊の䜿呜ずしお圓然のように語られる。

    しかし、この「瀟䌚貢献」は、しばしば無料の専門性提䟛ずしお扱われる。

    地域から盞談が来れば、倧孊教員ずしお応えようずする。 孊生の孊びに぀ながるなら、なおさら断りにくい。 倧孊の制床も「地域貢献」を奚励する。

    だがその結果、次のような構造が生たれる。

    ・倧孊教員は「無料で盞談に乗る専門家」ずしお扱われる
    ・地域は「専門性は無料で埗られるもの」ず認識する
    ・NPOが有償で提䟛すべき専門性が、倧孊によっお無料化される
    ・倧孊制床はその圱響を十分に匕き受けない

    誀解しおほしくないのは、これはNPOが利益を远求したいから蚀っおいるのではないずいうこずだ。

    NPOが事業を継続し、スタッフが燃え尜きずに安定しお地域を支揎し続ける。 その持続可胜性を保぀ためには、専門性に察する適切な察䟡が䞍可欠になる。

    ぀たり、

    倧孊の瀟䌚貢献無料の善意が、NPOが持続しおいくための垂堎圢成を静かに阻害する構造がある。

    Vol.1で描いた「孊生ず地域の幞犏な関係」は、この構造の䞊に成り立っおいる偎面がある。


    2. 二重所属者が抱える“自己矛盟”

    倧孊ずNPOの䞡方に立぀人間—— 組織論の蚀葉を借りれば「バりンダリヌスパナヌ境界連結者」ず呌ばれる存圚だ。

    異なる組織や制床の境界に立぀人間は、匷い圹割葛藀role conflictを抱えやすいずされる。

    俺自身もたさにその状況にある。

    倧孊教員ずしお無料で盞談に乗る。 NPO圹員ずしおは有償で支揎したい。

    しかし倧孊の肩曞きがあるため、無料を期埅される。

    結果ずしお、

    自分で自分のNPOの䟡倀を䞋げおしたう

    ずいう自己矛盟に陥る。

    Vol.1で曞いた「孊生の孊びを支える」ずいう行為は、この矛盟の䞊に成り立っおいるこずもある。

    孊生の孊びを守りたい。 地域の困りごずにも応えたい。

    しかし、その善意がNPOの持続性を削るこずがある。

    これは倫理の問題ではなく、構造の問題だ。


    3. ボランティアセンタヌや地の拠点が抱える“善意の圱”

    垂民瀟䌚論では、行政による䞭間支揎は「垂民掻動の基盀敎備」ずしお肯定的に語られる。

    ボランティアセンタヌ、地域連携拠点、地知の拠点。 これらは、垂民瀟䌚を育おるための装眮ずしお蚭蚈されおいる。

    しかし、珟堎で芋えおくるのは別の偎面だ。

    哲孊者むノァン・むリむチは、専門家による支揎の制床化が進むず、かえっお垂民が自埋的に問題を解決する力を匱めおしたう可胜性を指摘した。

    たちづくりの珟堎でも、䌌た珟象が起きおいる。

    ・無料の盞談窓口が公的に敎備される
    ・行政や倧孊が“無料の専門性”を提䟛する
    ・地域は「専門性は無料で埗られるもの」ず認識する
    ・NPOの有償サヌビスが盞察的に䟡倀を倱う
    ・結果ずしお、垂民瀟䌚の自立が育たない

    ぀たり、

    善意のむンフラが、垂民瀟䌚の自立を阻害するずいう逆説が生たれおいる。

    Vol.1で描いた「孊生ず地域の幞犏な関係」は、こうした“無料の専門性”の文化に支えられおいる偎面がある。


    4. 物品寄付ずいう“善意の分断”

    物品寄付は、寄付研究でもしばしば議論されるテヌマだ。

    文化人類孊者マルセル・モヌスが、か぀お『莈䞎論』で瀺したように、莈䞎は単なる善意ではなく、瀟䌚関係や芋えない矩務を生み出す行為でもある。

    珟堎で最も問題になるのは、次の点だ。

    ・誠実な人が「喜んでくれるかな」ず思っお持っおくる物
    ・䞍芁品の凊分先ずしお持ち蟌たれる物

    この二぀が、同じ“寄付”ずしお届く。

    その結果、NPOは

    ・遞別
    ・保管
    ・管理
    ・凊分

    ずいう“寄付の裏偎のコスト”を背負うこずになる。

    寄付は善意であるず同時に、誰がそのコストを匕き受けるのかずいう問題でもある。

    Vol.1で曞いた「孊生の善意」も、時にこの構造に巻き蟌たれるこずがある。

    善意は矎しい。 しかし、善意は時に人を疲匊させる。


    5. 困窮者向け制床が抱える倫理的な問題

    NPOの䞖界では「困窮者向け料金」や「枛額制床」が善意ずしお語られる。

    しかし、僕はこの制床に匷い違和感を持っおいる。

    貧困研究では、「本圓に困っおいる人」を遞別しお支揎する制床遞別䞻矩が、察象者に匷いスティグマ負の烙印を生み出す可胜性が指摘されおいる。

    理由は単玔だ。

    ・困窮者ずいうラベルを貌るこずになる
    ・蚌明を求めるず、プラむバシヌを剥がす行為になる
    ・「困窮しおいるから安くしおあげる」ずいう䞊䞋関係が生たれる

    人を状態ではなく、存圚ずしお芋たい。

    その感芚を倧切にしたい。

    Vol.1で曞いた「孊生ず地域の察等な関係」を守るためにも、この䞊䞋構造は避けたい。


    6. では、どうすればいいのか

    ここたで述べおきた問題は、個人の努力では解決できない。

    制床の蚭蚈そのものを問い盎す必芁がある。

    倧孊がすべおを担う瀟䌚は、垂民瀟䌚が匷い瀟䌚ずは蚀えない。 倧孊ずNPOの圹割を、もう少し䞁寧に分けお考える必芁がある。

    僕が考えおいる方向性は、次のようなものだ。

    ● 倧孊は“入口”を担圓する

    ・課題の敎理
    ・䞀般的な知芋の提䟛
    ・孊習機䌚の提䟛
    ・孊生の関䞎

    ● NPOは“出口”を担圓する

    ・具䜓的な助蚀
    ・䌎走支揎
    ・実務支揎
    ・専門性の提䟛

    ● 無料有料は“人”ではなく“内容”で線匕きする

    倧孊䞀般論無料 地域の珟状分析や、他地域の事䟋玹介など

    NPO具䜓論有償 個別の事業蚈画の策定䌎走や、実務的な運営サポヌトなど

    ● 物品寄付はNPOが䞻導暩を持぀

    ・必芁な物だけを明瀺する
    ・それ以倖は受け取らない

    ● 困窮者向け制床ではなく、関わり方の倚様性で包摂する

    ・時間
    ・内容
    ・支払い方法
    ・関䞎の深さ

    Vol.1で描いた「幞犏な関係」を守るためには、その裏偎の制床を䞁寧に蚭蚈し盎す必芁がある。


    7. たちづくりの幞犏を語るために、圱を芋぀める

    たちづくりの珟堎には、光ず圱がある。

    孊生が地域で笑う光景は、確かに矎しい。 倧孊が地域ず぀ながるこずも、きっず倧切だ。

    しかし、

    善意の制床が、善意の人を疲れさせる構造が存圚しおいる。

    Vol.1で描いた幞犏をより確かなものにするためには、その圱を芋぀めるこずが必芁だ。

    光だけを芋おいおは、土は痩せおいく。 圱を芋぀めるこずで、土の湿床が保たれる。

    その湿床の䞭で、垂民瀟䌚はゆっくりず、しかし確かに育っおいく。


    参考文献

    ・むノァン・むリむチ1984  『専門家時代ぞの幻想』新評論

    ・マルセル・モヌス原著1925幎2014幎蚳  『莈䞎論』岩波文庫

    ・阿郚圩2014  『子どもの貧困Ⅱ——解決策を考える』岩波新曞


     
     
    立呜通倧准教授博士孊術。日々の颚景や路地裏の違和感から、䞍完党な瀟䌚を芳察。孀立や貧困、居堎所づくりなど瀟䌚の呚瞁を研究。NPO぀ながるKYOTO理事長。論文に収たらない「珟堎の䜓枩」を゚ッセむで綎りたす。䟝頌kotsuji@fc.ritsumei.ac.jp

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