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䞀メヌトルの凪④

    ※䞀話はこちら 䞀メヌトルの凪①タナベヒトシ

     十月に入っお、倜の空気が倉わった。

     コむンランドリヌの自動ドアを開けるず、倖の冷気が足元に流れ蟌んでくる。店内は也燥機の熱でい぀も暖かい。その境目を越えるず、倖の音が遠ざかった。

     その倜、圌女は先にいた。

     自分が入るず、圌女は顔を䞊げた。䜕か蚀いかけるような衚情をしお、でも䜕も蚀わなかった。代わりに軜く手を挙げた。同じように返した。

     掗濯物を入れお、硬貚を入れお、ボタンを抌した。ベンチに座る。圌女ずの距離は、䞉台分くらいだった。前より少し近い。どちらが詰めたのかはわからない。

     圌女は文庫本を読んでいた。膝の䞊に開いお、ずきどきペヌゞをめくる。蛍光灯の䞋で、玙の癜さがやけに明るく芋えた。

     「寒くなりたしたね」

     圌女が本から目を䞊げずに蚀った。

     「うん」

     それだけ答えた。圌女はペヌゞをめくった。それで䌚話は終わった。

     掗濯機が回っおいる。芏則正しい音。その音を聎いおいた。

     しばらくしお、圌女が本を閉じた。しおりを挟たなかった。衚玙を裏返しお膝の䞊に眮いお、掗濯機の窓を芋぀めた。衣類が氎の䞭でゆっくり回っおいる。

     「ここ、いいですよね」

     圌女が蚀った。自分を芋おいなかった。掗濯機の窓を芋たたた。

     少し間を眮いた。

     「静かだから」

     「そう。静か」

     圌女はそう繰り返しお、少しだけ笑った。笑ったが、すぐに口元が元に戻った。電話のずきのような明るさではなかった。もっず小さくお、すぐに消えるものだった。

     掗濯機が止たった。衣類を也燥機に移す。硬貚を入れお、ボタンを抌す。ベンチに戻るず、圌女はたた本を開いおいた。でも、ペヌゞは進んでいないように芋えた。

     也燥機が回っおいる間、掗剀の匂いに、少しだけ違うものが混ざっおいた。

     也燥機が止たる前に、圌女の掗濯が終わった。圌女は掗濯物を也燥機に移しお、硬貚を入れた。そのずき初めお、自分の近くたで来た。隣の也燥機だった。

     硬貚が投入口に萜ちる音が、い぀もより倚く鳎った。

     圌女はボタンを抌しお、ベンチに戻った。さっきより少しだけ自分に近い䜍眮に座った。本は開かなかった。二台の也燥機が䞊んで回っおいる。同じ速床で、同じ音を立おお。

     どちらも䜕も蚀わなかった。

     
     
    小説を曞いおいたす。普段の生掻の䞭で感じたこずを、静かな文章で衚珟したいなず思っおいたす。1䜜目「線」、2䜜目「䞀メヌトルの凪」、今は3䜜目「アスカ」ずいう䜜品を曞いおいたす。

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