
時間に追われている方へ 舟の語り#2🐯🛶
朝から晩まで、時間に追われる。
「あれもしないと」「これも終わらせないと」
一つ片づけても、また次が待っている。
こんにちは😃久居です。
今回、男が船頭にこぼしたのは「時間がない」という悩みでした。
しかし船頭は、少し違うものを見ていたようです。
「1日が24時間では足りない。 倍くらいないとまわらないんじゃ……?」
あの夜、男は自分の心と向き合うことを決めた。
自分はどこへ向かいたいのか。
その答えを探しながら、少しずつ舟を漕いでいく。
――はずだった。
朝起きて、仕事へ向かう。
帰れば家事と育児。
子どもを寝かしつけ、明日の準備をする。
ようやく布団に入る頃には、「眠る」というより意識が落ちる。
そして気づけば、もう朝だった。
「いつ自分と向き合えばいいんだ。」
「これでは船頭さんと出会う前と
何一つ変わらない💦」
疲れ切ったその夜、男は再びあの鳥居の前に立っていた。
「結局、何も変わっていないな……。」
小さく呟き、鳥居をくぐる。
霧の向こうには、あの日と変わらない湖が広がっていた。
船着場には一艘の舟。
舟の上では、虎の船頭が静かに櫂を握っている。
男は舟に乗り込むと、ため息交じりに言った。
「船頭さん。やっぱり時間が足りません。」
船頭は櫂を漕ぎながら男を見る。
「時間がお前を追ってきたのか?」
「はい。朝から晩までやることだらけです。」
「仕事をして、家に帰れば家事と育児。それが終われば明日の準備。自分の時間なんて残っていません。」
船頭の虎耳が、男の言葉に反応するようにわずかに動いた。
「だから、もっと時間があればいいと思っている。」
「そうです。」
男は即答した。
「1日が48時間あれば、きっと……。」
船頭は静かに首を横に振った。
「それでも、追われるだろう。」
「え?」
「48時間あれば、48時間分の『やるべきこと』を詰め込む。」
男は言葉を失った。
船頭は続ける。
「この舟を見るといい。」
男が舟の中を見回す。
以前乗ったときよりも、今日はずいぶん積荷が多い。
舟の空いた場所を埋めるように、大小の荷物が積まれていた。
「今日はずいぶん荷物が多いですね。」
男が聞くと
「そうか?」
「お前の舟と大差ないように思えるがな。」
男は黙って考えた。
仕事。
家事。
育児。
明日の準備。
連絡。
予定。
「確かに……。」
「時間は、ただ流れているだけだ。」
船頭は夜空を見上げる。
「朝が来て、昼になり、夜になる。」
「時間そのものがお前を追いかけてくるわけではない。」
「お前が『これをやらなければ』『あれも終わらせなければ』と、次から次へと舟に荷物を積んでいる。」
男は自分の舟を思い浮かべた。
いつの間にか、荷物でいっぱいになっている。
「でも……やるべきことを減らすなんて無理ですよ。」
「家族がいるんですから。」
「そうだな。」
船頭は頷いた。
「だから、全部を捨てろとは言わん。」
「では、どうすれば?」
船頭は舟に積まれた荷物を一つ指した。
「その荷物、本当に今日の港まで運ぶ必要があるのか?」
「え?」
「明日でもいい荷物はないか。お前でなくても運べる荷物は?」
男は黙って考えた。
「……あります。」
思い返してみれば、一つではなかった。
「今日やらなくてもいいこと……結構あるかもしれません。」
「そうだろう。」
船頭は微笑んだ。
「忙しい人ほど、『やることを増やす方法』を考える。」
「だが、本当に必要なのは『やらないことを決めること』だ。」
男は深く息を吐いた。
「時間を増やすんじゃなくて……乗せる荷物を選ぶ。」
船頭は小さく頷いた。
船頭は湖の向こうを指差した。
「目的地へ向かう舟に、必要のない荷物を積み続ければどうなる?」
「重くなって、進むのが遅くなります。」
「人生も同じだ。」
男は静かに頷いた。
男は舟に積まれた荷物を見つめた。
「……俺も同じだったんですね。」
船頭は何も言わず、再び櫂を水へ入れた。
水をかく音だけが、静かな湖に響く。
「気づけたなら、それでいい。」
「人生を変えるのは、時間を増やすことではない。」
「何に時間を使うのかを、自分で選び直すことだ。」
いつの間にか、舟は船着場へ戻っていた。
船頭は舟を岸へ寄せる。
「着いたぞ。」
男が舟を降りようとすると、背後から声がした。
「時間に追われるな。」
男は振り返る。
「自分の舟に何を乗せるのかを、選ぶといい。」
舟はゆっくりと岸を離れていった。
男はその背中を見送りながら、自分の一日を思い返した。
仕事。家事。育児。明日の準備。
どれも大切な荷物だ。
けれど、そのすべてを今日の舟に乗せる必要はないのかもしれない。
男は明日から、一つずつ自分の荷物を見直してみることにした。
さて、あなたの舟には、どんな荷物が積まれているでしょうか。
「今日やらなければ」と思っていること。
「自分がやらなければ」と抱えていること。
その中に、降ろしてもいい荷物はありませんか?
時間を増やすことはできなくても、舟に積む荷物は選び直せる。
あなたはこれから、何を乗せて進んでいきますか?
この記事の解説、補足はこちらから↓
時間がない」の正体。人生の舟に荷物を積みすぎていないか?船頭の道しるべ#2
「時間がない」の正体が見えてきたら、次は今の自分が何を抱えているのか、一度整理してみてもいいかもしれません。
現在地、舟の荷物、大切にしたいものを整理するための「人生の航海図」を作りました。
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