「このままでいいのだろうか」と思ったときに描く、人生の航海図
男は、しばらく黙って舟の縁を握っていた。
「別に、不幸なわけじゃないんです」
船頭は櫂を動かす手を止めなかった。
「仕事もある。家族もいる。毎日ちゃんと暮らしています」
「ふむ」
「でも、ときどき思うんです」
男は水面に目を落とした。
「……このままでいいのかなって」
水面に月が揺れていた。
船頭は金色の瞳でしばらく水面を眺めていたが、やがて口を開いた。
「お前は今、自分の舟がどこにいるか分かっているか」
「え?」
「行き先の話をしているんじゃない。今、どこにいるかだ」
男は答えられなかった。
考えたこともなかった。
「多くの者が、行き先ばかり探す。あの港がいい、この港がいいとな」
船頭はゆっくり櫂を動かした。
「だが、自分が今どこにいるのか分からないまま地図を広げても、線は引けない」
舟が止まった。
夜の水面は、静かだった。
「今日はどこにも進まない」
船頭は男を見る。
「まず、お前の舟が今どこにいるのか。一緒に見てみるか。」
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この航海図でやること
一度にすべて終わらせる必要はありません。
目安は30〜60分ほどです。
気になる章だけ先に取り組んでも構いません。
「このままでいいのだろうか」
そう思ったとき、私たちはつい未来のことを考えます。
転職した方がいいのか。
新しいことを始めるべきなのか。
もっと収入を増やすべきなのか。
何か夢を持たなければならないのか。
けれど、未来を考える前に、一度確認しておきたいことがあります。
今、自分はどこにいるのか。
この記事では、5つのワークを通して、
- 今の生活で何に満足し、何に引っかかっているのか
- 自分の舟に何を積みすぎているのか
- これまでの経験から何を得てきたのか
- 本当は何を大切にして生きたいのか
- 次の3か月をどんな方向へ進みたいのか
を整理していきます。
答えを急ぐ必要はありません。
全部をきれいに書く必要もありません。
ノートでも、スマートフォンのメモでも構いません。
この記事を読み終えたとき、
「現在地から次の港まで」を記した、あなただけの航海図を一枚つくる。
それが今回の目的です。
第1章|まず、現在地を知る
「このままでいいのか分からない」
このモヤモヤが厄介なのは、輪郭がないからです。
仕事が嫌なのか。
家庭に不満があるのか。
お金が不安なのか。
時間がないのか。
それとも、特に大きな不満はないのに、なぜか落ち着かないのか。
理由が分からないままでは、何を変えればいいのかも分かりません。
未来を変える前に、まず現在地を言葉にしてみます。
ワーク①|人生の満足度マップ
次の項目について、今の満足度を10点満点でつけてみてください。
- 仕事
- 家庭・家族
- 人間関係
- お金
- 健康
- 自分の時間
- 学び・成長
- 趣味・楽しみ
点数をつけたら、その横に一行だけ理由を書きます。
「なぜ、その点数なのか」
ここまで書くことが大切です。
たとえば、
仕事 6/10
「嫌いではない。ただ、余裕がない」
家庭 8/10
「大きな不満はない」
自分の時間 3/10
「ほとんど取れていない」
趣味 2/10
「何年もできていない」
こんな結果になったとします。
数字だけを見ると、
「仕事も家庭も、それほど悪くない」
となります。
けれど理由を見ると、違う景色が見えてきます。
もしかすると苦しかったのは仕事そのものではなく、
自分のために使える時間がなくなっていること
なのかもしれません。
船頭が言う「現在地」とは、地図の上の一点ではありません。
自分でも気づいていなかった、心の引っかかりです。
もう一つ、考えてみる
点数を書いたら、自分に問いかけてみてください。
「一つだけ2点上げられるとしたら、どれを上げたいだろう?」
一番点数が低いものとは限りません。
「今の自分が本当に変えたいところ」が見えてきます。
ここまでで、今の自分の「現在地」が少し見えてきたでしょうか。
けれど、現在地が分かっただけでは、まだ航路は描けません。
ここからは、舟に積んでいる荷物を整理し、これまでの航路を振り返り、自分が失いたくないものを見つけていきます。
最後には、それらを一枚の「人生の航海図」にまとめ、3か月後の次の港と、24時間以内にできる最初の一歩まで決めていきます。
「大きな不満はない。でも、このままでいいのか分からない」
そんな状態から抜け出すために、ここからは答えを読むのではなく、自分自身について書いていきます。
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