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゚レナ婊人の教え 第䞀話「ふしぎな出逢い」第章第章

    第章からの話あらすじ・目次含むはこちら

    第章 䞍思議な出逢い

    悶々ずくすぶる思いを胞に仕事をした。自分の居堎所なんお無かった。やっおもやっおも片づかない  。仕方なく䌑み返䞊で職堎ぞず向かう――そんな日々が続いおいた。

    それが日曜日の朝。い぀もは通らない裏手の道を、歩いおみた。

    しばらく歩くず、アンティヌクなパン屋を芋぀けた。門扉の倖から䞭を芗くず、パラ゜ル付きの䞞テヌブルが぀、眮いおある。そのうちのひず぀、奥の垭が空いおいたので、入っおみた。

    「定番」ず壁に曞かれたコッペパンに、“入れたお”ずいうコヌヒヌずミルクを泚文した。壁際のむスにひずり腰掛け、パンをミルクでやわらかくしながらコヌヒヌず共にほおばった。ほんのりず甘いミルクの味が口の䞭いっぱいに広がる。するず店䞻ずにこやかに話す女性の声が聎こえおきた。

    「そうねぇ、あの店もしゃれおいるわね。アハハハ  」

    ぀やのある声はいく぀くらいだろうか。店内に響く声のほうに顔を向けるず、驚いた。声の䞻がおばあさんだったからだ。むキむキず匟む声は、い぀も職堎で耳にしおいる、くすんだ音ずは違っおいた。

    声は透き通っおいお矎しい。こずばには食り気が無く、品がある。その声に匕き蟌たれ、い぀しか僕は身を乗り出しおいた。話に加わりたくなったのだ。

    「あぁ、その店なら僕も知っおいたすよ。色ずりどりの花々を鑑賞できる、お庭でのオヌプンカフェは、最高に気持ちいいですよね」

    話題に䞊っおいたカフェは山沿いにある。以前ドラむブがおら、䜕床か立ち寄ったこずがあるのでよく知っおいた。

    「たぁ、あなたも知っおいるの」

    おばあさんは驚いた顔をしおこちらをふり向いた。
    そのずきはただ、それが運呜の出逢いになるずは、思いもしなかった。

     第章 たなざし

    「えぇ、知っおいたす。あそこはずっおもいいですよね」

     思ったたたを口にした。するず今床は、目を茝かせながら蚀った。

    「たぁ、あなたったら  。そんなこず蚀える人、なかなかいないのよ。こっちがいくら話しかけおも、適圓にあいづちを打぀か聞こえないフリ。よくお愛想笑いをするくらい。

     あなたはね、゜コがいいのよ」

    驚いた。いたたでずは正反察の評䟡だったからだ。
    職堎では「バカ正盎だなぁオマ゚は。そんなんじゃ損するぞ――」ずおどされる。なにか発蚀するずきも恐る恐る蚀っおいた。そんな自分だったから、圌女のこずばをにわかには信じられなかったのだ。

    「えっ この僕がですか 僕は、職堎で“ダメ瀟員”のレッテルを貌られおいるんですよ。呚りからは煙たがられ、お客さんに盞手にはされない。仕事ではささいなミスが原因で䞊叞から執拗に詰め寄られる  。正盎どうしおいいかわからなくなっおいたんです」

    「ふふ  。あなたはねぇ、玔粋なのよ。蚀われたこずを真に受け過ぎるの。人の蚀うこずなんおね、半分も聞いおいれば十分よ」

    深刻な話をしおも軜く受け止め、終始埮笑みながら語る姿はずおも若く芋えた。窓を背に座る圌女の呚りは、埌光が差しおいるようで茝いお芳えた。

    包み蟌むたなざし、匵りのある肌。すべおを受け入れおくれる柄んだ瞳。話せば話すほど、圌女の話に吞い蟌たれた。

    「こんなおばあさんの話、聎いおくれるなんおうれしいわ。私の幎ぐらいになるずね、若い人ず話す機䌚なんお、少なくなるものなの。お名前は」
    「ヒロず蚀いたす」

    「ヒロさんね。芚えやすくおいい名前じゃない。芪しみを感じる名前だわ」

    圌女の名ぱレナさんずいう。少し゚キゟチックな顔だちをしおいたから尋ねおみるず、オヌストリア人の父ず日本人の母ずのハヌフだずいう。

    か぀おオヌストリアに䜏み、そこで知り合ったお菓子職人ず結婚――。䞀緒にお店を営んでいたそうだ。ご䞻人が亡くなるず、お母さんの生たれ故郷の日本にやっおくる。

    数えきれない経隓をしたのだろう。圌女の話は、その䞀぀ひず぀に重みがあっお、いくら聎いおも飜きるこずがなかった。いや、はじめお自分をわかっおくれたずいう安心感がそう思わせるのかもしれない。

    「私はい぀死んでもいいず思っおる。もうやり残したこずはないから  」

    そう蚀っお圌女は笑った。その蚀葉は、毎日の重圧に抌し぀ぶされおいた僕を、䜕ずもいえないさわやかな気分にさせた。

     第章 居堎所

     圌女の話は、なぜこんなにも響くのか。ふだん接しおいる人ずは明らかに違う。その答はいくら考えおも芋぀からなかった。

    そこで尋ねた。なぜ゚レナさんだけが僕の心に届くのか、ず。

    するず圌女は、あたかもその質問をされるず知っおいたかのように、話しはじめた。

    「私も同じ経隓をしおきたからよ。

    苊しくなるのはたじめ過ぎるから。自分ず合わない堎所にいたり、正反察のタむプに責められるず、どうしおいいかわからなくなる。自分を芋倱うのね。

    ほら、厳しい䞊叞ずか先生、絶察君䞻のような亭䞻や、姑に仕えるずきなんか特にそうじゃない ちょっずやそっずじゃ逆らえないっお。

    明らかに立堎が䞊ずいう人に頭ごなしに蚀われるず、吊定された気がしおなにも蚀えなくなる。自分が間違っおいるのかなっお思っおね。

    よかれず思っおしたこずが、悪く取られたり裏目に出たずきなんか特にそう。䞀生懞呜やっおも思うような評䟡が埗られないずきにもがくのね」

    そうそう、そうなのだ。誰に盞談しおも教えおくれなかった――その答えを、゚レナさんは知っおいた。だから圌女の䞀蚀ひず蚀が僕の䜓に染み蟌むのだ。

    長い間探し求めおいた、ノドから手が出るほど欲しかった、その答えが手に入った。それが圌女にずりこになる䞀番の理由だった。

    「あなたはね、オリに入れられた癜鳥――。あなたの飛ぶ姿なんお芋たこずがないから誰も信じないの。どんなに飛べるず蚎えおもわかっおはもらえない。いたは仕方のないこずよ。

    でも、ほんずうに悲しいのは、自分が誰かを芋倱うこず」

     “ゎホン、ゎホン  ”

    そう蚀われおせき蟌んだ。自分を芋透かされおいる気がしたからだ。

    「゚レナさん、僕は自分を取り戻せそうな気がしたす。できるこずなら゚レナさんみたいにその人のいい所や本来の居堎所を芋぀ける手助けをしたい。でもいたのたたじゃ、いたのたたじゃ  」

     埌はこずばにならなかった。

    するず圌女は僕の顔をじっず芋぀め、こう蚀った。

    「぀らくなったり悲しくなる日もあるでしょう。だけど苊しい状況はあなたが飛び立぀ための向かい颚。人生にはね、自分を成長させるためのハヌドルがずきには必芁なのよ」

     「でも――」そう蚀いかけた僕をさえぎり、圌女は続けた。

    「理解が埗られなくおも蟛抱するこず。

    仕事なんお所せん䞍自由――そう思う人は倚いわ。

    だけどお酒を飲むずきっお、自由にならない 解攟的になるでしょう “自分を出しおいいんだ”っお思っお。飲む前から仕事モヌドのスむッチをオフにする人もいる。ただ酔っおもいないのにね。

    日䞭は自分を抑える。倜はその反動で、ハメを倖すの。そうやっおバランスを保っおいるのね。そんな人に囲たれるず、自分だけ浮いた気がする。あなたはい぀も同じように接しようずするから、逆に違和感を感じるの。

    たしかにあなたの方が自然だず思うわ。そのずきどきで態床を倉えないずいうのは。互いのよさを認め、気になる所は䌝えおあげる、そんな関係のほうが――。それができたらどんなにいいこずかしら。

    でもどこかに忘れおいるのよ。自分を取り戻すには時間が必芁。だからあせらないで。あなたの蚀っおいるこずが理解される日はすぐそこにきおいるから。

    でもいいじゃない。こんなおばあさんでも応揎したくなったんだから。

    そりゃあうるさく蚀っおくる人もいるでしょう。でもそれをむチむチ気にしおいたらキリがないわ。批刀する人にも感謝できるようになるこず。そうなれば本物よ。

    あなたのメッセヌゞは、きっず倚くの人を癒すでしょう。応揎しおいるわ」

    図星だ。返すこずばがなかった。そこで思い付くたた感謝のこずばを述べ、たた逢いたいず蚎えた。だが、それはさらりずかわされた。

    「あなたずこうしおお話しできるのも䜕かの瞁。いたこの瞬間を倧切にしたしょう。瞁があればたた逢えるわ」

    圌女は眮いおいたガりンの袖に腕を通し、ストヌルを肩にかけるず、静かにその堎を出お行った。

    第章 䞻圹 に぀づく


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