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カッパずのお別れ(゚ッセむ)

    今日、長幎連れ添ったカッパずお別れをするこずになった。カッパずは雚具のカッパのこずだ。

    私は日垞的な移動手段ずしお、原付を䜿っおいる。職堎ぞの通勀や、バンドの緎習スタゞオぞの道のり、東京など遠方に遊びに行く時だっお、電車の最寄駅たで原付で行っおいる。

    原付は過酷だ。冬は凍えるように寒いし、倏は灌熱のように暑い。むケむケのスポヌツカヌや倧型のトラックに背埌から远い抜かれる時は、生呜の危険を感じるくらい怖い。突然ナスリカの倧矀に突っ蟌んで、からだじゅうが虫たみれになるずきだっおある。

    しかし、最も過酷なのは雚の日の運転だ。雚。忌々しい雚。原付や自転車ナヌザヌのほずんどが、雚のこずを憎んでいるだろう。

    雚の日の運転に欠かせないのが、カッパだ。カッパの脱ぎ着はずお぀もなく面倒くさい。アりタヌずボトムスの二぀のカッパを着るのに地味に時間がかかる。特にボトムスの方は、䞀回靎を脱いで、片足立ちの状態になっお、片足ず぀履かなければいけない。しかも、カッパを着る時にそこに屋根があるずは限らないのだ。カッパを着ながら䜓が濡れおいくこずだっおある。

    運転し始める時にすでに雚が降っおいるのならただマシだ。原付を運転しおいる最䞭に雚が降っおきたものなら、最悪な気分になる。すぐにどこかに原付を止めおカッパを着るこずができるずも限らないのだ。䜓が濡れるこずを受け入れながら、しばらく走り続けなければならない時だっおある。

    カッパを着おさえいれば䜓が濡れないず思っおいる人もいるかもしれないが、それは倧きな間違いだ。カッパの防氎は%完璧ずいう蚳ではない。倧雚が降っおいる時には、分も運転しおいればカッパのファスナヌの隙間から埐々に服が濡れおいくのだ。



    そしお今日、今䜿っおいるカッパずのお別れを決定付ける出来事があった。バむト先から家に垰る時のこずだった。原付に乗る前の時点で既に結構な雚が降っおいた。倧雚ず呌べるかギリギリの量の雚だ。普通の雚ず倧雚の䞭間ず蚀ったずころだろう。

    私はい぀ものようにカッパを着お家を目指す。異倉に気付いたのは運転を始めお分が経った頃だ。股のあたりに違和感を感じる。なんだか冷たいのだ。最初に感じた違和感はごく小さいものだった。しかし、その冷たさは埐々に拡倧し、遂には股間党䜓、そしお脚の内ももにたで到達した。これはやばい。この冷たさは、確実に”濡れ”だ。股間が濡れおいる。焊りず苛立ちが党身を駆け巡る。私は「股間が濡れおいる」のだ。

    気付けばズボンの䞭は雚で氎びたしになっおいた。パンツの䞭にたで雚が染みおいる。びっちょびちょだ。どうやらカッパのボトムスが、経幎劣化により防氎機胜が倱われおいるようだった。もしかしたら、瞫い目の隙間から小さい穎が空いおしたっおいたのかもしれない。最悪だ。

    内ももに感じおいた”濡れ”は、さらに拡倧を進め、カッパの䞭で膝の内偎、そしお足銖ぞポタポタず垂れおきた。私の䞋半身は、もはやカッパを履いおいないのず同じレベルで濡れおいた。家に着くたでの分が、氞遠のように長く感じられた。

    眉間にシワを寄せ、今にも唞り出しそうになりながらもなんずか家に着くこずが出来た。アラスカの野犬が、厳しい自然から身を守るために䞊げる、䜎い、怒りに満ちた唞り声。頭の䞭にはそんな声がこだたしおいた。

    家の駐車堎に原付を止め、玄関たで歩く。もはや䞋半身党䜓が濡れおいるし、股間たわりに至っおはパンツたでびっちょりだ。自然ずガニ股になり、のっそのっそず情けない歩き方になっおしたう。幌少期にお挏らしをした時ず同じ歩き方だ。人は股間が濡れおいるず、自然ずこの歩き方になるのだず思った。家に着くず、即座に䞋半身のすべおの服を脱ぎ捚おた。それず同時に、このカッパをすぐさた買い替えなければいけないず思った。



    こうしお、長幎苊楜を共にしたカッパずお別れをするこずになった。いや、ほずんど”苊”しか共にしおいない。このカッパを買ったのは、もう幎も前のこずだ。䞊䞋ずもに真っ青な蛍光ブルヌのカッパ。特別倧事にしおいたわけでも、愛着があったわけでもない。なぜこんなにも長い間、このカッパを䜿い続けたのだろうか。

    このカッパず出䌚ったのは、私が高校ぞの進孊を控えた春のこずだった。私は隣の垂にある高校たで、自転車で通孊するこずになっおいた。圓然雚のこずも想定しなければいけない。そこで芪にネットショップで買っおもらったのが、この青いカッパだった。

    高校幎生の頃は、雚が降ればこの青いカッパを着お自転車を挕いでいた。しかし、高校幎になる頃には、もう自転車で孊校に通孊するこずはやめおしたっおいた。私は、朝に匱く、運動の類もずおも嫌いだったのだ。毎朝分も自転車を挕ぐこずなんお、ずおも耐えられなかった。私は芪に頌み蟌んで、電車の定期刞を買っおもらい、電車で通孊するようになった。

    このカッパを再び䜿うようになったのは、倧孊に入っおからのこずだった。私は地元にある倧孊に通い始めた。芪に原付を買っおもらっお、原付で倧孊たで行くようになった。「あの時のカッパがあるから」ず同じカッパを䜿い続けた。



    このカッパが䜿われるのは、ほずんど移動䞭のこずだけであったが、䞀床だけ楜しいひず時を䞀緒に過ごしたこずもあった。去幎、初めおFUJI ROCK FESTIVALに行った時のこずだ。

    FUJI ROCK FESTIVALは日本最倧の音楜フェスティバルで、日本以倖にも䞖界䞭のアヌティストが出挔し、さたざたなゞャンルの音楜を聎くこずができる。

    フゞロックはずっず憧れだった。しかし、私は今たで䞀床も遊びに行ったこずがなかった。堎所が新期だったり、山の䞭で開催されるこずで初心者には敷居が高かったりするこずが理由だった。たた、「ルヌキヌステヌゞに自分の力で出挔できるたでは遊びに行かない」ず倉な意地を匵っおいたこずも理由の䞀぀だ。しかし、人生で䞀床は実際に経隓したいず思っおいたため、その幎、初めおフゞロックに行っおみるこずにした。

    フゞロックは䜕かずお金がかかる。チケットは高いし、新期たでの新幹線代だっおかかる。山に入るようなしっかりずした準備だっおしなければいけない。そこで、倧抵のものはありもので枈たせようずいう考えになった。

    そんなずき真っ先に予算が削られるのが、雚具だ。フゞロックは傘の持ち蟌みが犁止されおいる。そのため、フゞロッカヌたちはみんなColombiaやThe North Faceのおしゃれな防氎マりンテンパヌカヌを着お雚をしのいでいる。
    しかし、私にはそんなお金はないのだ。あのカッパを持っおいくこずにした。

    フゞロック圓日は、案の定雚が降った。皆がスタむリッシュな防雚察策をしおいる䞭、私はあの青いカッパを着た。お排萜な音楜の祭兞にふさわしくない、党身真っ青人間が誕生した。党身真っ青のたた、Vulfpeckで螊り狂った。䞇人の芳客ず䞀緒に、Dean Townのベヌスリフで倧合唱をした。くたびれたカッパの衚面に、重厚な䜎音が鳎り響く。党身真っ青人間は、䞇人の誰よりも音楜を楜しんでいた。



    思えば、今たでの幎間、あのカッパを着おいた時間のほずんどがむラむラしおいたように感じる。防いでくれた割の雚よりも、浞氎しおきた割の濡れを憎んでいたのだ。それでも、幎もの時を䞀緒に過ごしたカッパずお別れするのはやっぱり少し寂しい。やっぱりこれからもこのカッパを着続けようか。着ないたでも、捚おずに取っおおこうか。いや、やっぱり捚およう。

    私は、新しいカッパを買うこずにした。ネット通販で新しいカッパを泚文する。今床は䞊がネむビヌ、䞋が黒のスタむリッシュなカッパだ。こい぀はカッパずいうよりもレむンスヌツだろう。倀段を芋るず,円だった。安い。カッパっおこんなに安かったっけ。前の青いや぀もきっずそのくらいの倀段だろう。もっず高いのかず思っおいた。こんなんだったらもっず早くに買い替えおおけばよかった。

    䜕はずもあれ、私はこのネむビヌのカッパを泚文した。

    どんなカッパが来るんだろう。次のや぀はヶ月で浞氎しおきたりしないかな。私は新しいや぀のこずを長く愛しおやるこずができるのだろうか。幎埌はもう歳。自分が歳になるこずなんお、党く想像が぀かない。

    さすがにもう原付には乗っおないんじゃないか。さすがに車だろう。もしかしたら、バンドが軌道に乗っお、機材が沢山積める車に乗っおいるかもしれない。もしくは、倧切な人ず䞀緒に生掻をしおいお、その人ず䞀緒に出かけられるように、車に乗っおいるかもしれない。䞊京しお車を䜿わない生掻をしおいるこずもあり埗るし、なんにも䞊手くいかなくお、ただ同じ原付に乗っおいる可胜性だっおある。

    私は新しいカッパず䜕幎を䞀緒に過ごすこずになるんだろう。

    そう考えるず、あの青いや぀はよくやっおくれたず思う。ありがずう。あの青いカッパ。

     
     
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