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Photo byserene_lily237

【掌線】Agony of Choice

    ひ぀ぎ ひなた

     壇䞊では、アゞア・オセアニアの銖脳が挔説に臚んでいた。
     これたでの自らの実瞟、そしお、これからのこの地域の未来に぀いおのビゞョンを熱っぜく語っおいる。
     䌚堎には、議員たちず抜遞で遞ばれた䞀般垂民がその話に耳を傟けおいる。

     吊。
     耳は確かに挔説を拟っおはいた。
     だが。
     聎衆の芖線は、その片隅に控えめに立っおいる黒のスヌツ姿の麗人に釘付けだ。

     艶やかなセミロングの黒髪。
     ノヌメむクでありながら、色癜で完璧なたでに矎しい顔。
     男にも女にも芋える身䜓぀き。
     背筋を䌞ばし、きりっずした立ち姿。
     芋た目の矎しさもさるこずながら、「圌」の身䜓から立ち䞊る神秘的な雰囲気は、ある皮の特異性を以お人々に受け取られた。
     故に。
     聎衆はその姿から、目が離せない。
     ——これは、䜕だ。䜕者なのだ。

     やれやれ。気配は消したはずなのだが
     「圌」は胜面の䞋で小さく溜息を぀く。
     「圌」の名はニュり。特殊゚スパヌ郚隊の䞀員だ。
     身䜓も心も性別未分化の特性を持぀「圌」の胜力は、防埡特化型サむコキネシス。
     その胜力が故に、今日のように芁人譊護の任務にあたるこずが倚い。
     
     蚀葉数が少なく。
     どんな緊急事態䞋においおも冷静沈着。
     その矎しい顔は胜面のようで、䜕があっおも厩れるこずを知らぬ。
     それが、特殊゚スパヌ郚隊の面々が知る、平玠のニュりの姿だ。
     
     この物語では、そんな「圌」の隠された䞀面が露になる。
     
     --------

     この日、カむは有絊䌑暇を取っお、ぶらぶらず街歩きを楜しんでいた。
     ここのずころ、圌が所属する特殊゚スパヌ郚隊は、穏やかな日垞を過ごしおいた。
     ぀たりは。
     有胜な゚スパヌたちは、あのフロアで暇を持お䜙しおいるのだ。

     た、俺らがヒマなのはいいこずだ
     カむはショヌりィンドりを冷やかしながら、そんなこずを思う。
     圌らが倚忙ずいうこずは、囜家にずっお良からぬこずが起きおいるずいうこずだ。
     それも、決しお衚には出せず、闇から闇ぞ葬らなければならない、埌ろ暗い方向で。

     時刻は間もなく時。
     そろそろ小腹も空いおきた。
     そうだ。
     今日こそは気になっおいたあのステヌキを食べよう。
     カむはそう心に決めるず、足取りも軜やかに雑螏の䞭ぞず飛び蟌んだ。

     ず。
     その時。

     『んああああああ』

     䜕やら䞍穏な叫び声が、圌の耳に届いた。
     それも、倧音量で

     「ちょっ」
     カむは思わず耳を塞ぐ。
     わかっおいる。
     これは、音ではない。
     誰かの心の叫びだ。
     でも、カむの堎合、思念波も普通の音ず同じく耳で捉える。
     ぀たりは。
     ダダ掩れの思念ずは、圌にずっおは隒音だ。

     『どうしお、どうしお、今日に限っお、これは、私に、どうしろずいうのだああああ』
     『買うべきか、買わざるべきか、それが問題だいや、䜕も買わないずいう手段はありえぬが、しかし』
     『しかし、呪わしい。いや、愛らしいなんだそれずにかくこれは恚めしい』

     わんわんず耳に響く誰かの思念。
     恚めしそうな。
     悩たし気な。
     そしお。
     䜕凊か楜しそうな。

     でもさ
     カむは難しい顔で立ち止たる。
     この「声」、俺知っおるんだよなあ。誰の声だっけ
     「うヌん」
     カむは腕組みをしお倩を仰ぐ。
     殺颚景な郜䌚の空は、䜕のヒントも䞎えおくれなかった。
     「駄目だ。思い出せねえ」
     カむはぐしゃぐしゃず頭を掻く。
     でも
     その手がぎたっず止たる。
     案倖、近くね声の䞻
     カむはふっ、ず息を぀くず、「声の䞻」の気配を远い始めた。

     目抜き通りを抜け。
     路地を䞀本入り。
     抜けた先はお排萜な石畳の街䞊み。
     ブティックやら。
     カフェやら。
     劂䜕にも女の子が奜きそうな、そんな雰囲気の店が䞊んでいる。

     『あああ、くそ、あれ、取られたくわああああありえないありえない』
     恚み節に熱が籠り始めた。
     「しかし、うるっせヌな。心の声フルパワヌでダダ掩れだぞ。いい加枛にしおくれ」
     カむは悪態を付きながら、石畳の道を行く。

     「ここか」
     カむは、その䞀角にある店の前で立ち止たった。
     そこは、高玚感溢れる掋菓子店。
     朚補の看板にはお排萜な流線型の文字で「ブランゞェリヌ・ルシ゚ル」ず曞いおある。
     倧きなガラス窓越しからでも、ショヌケヌスに䞊んだケヌキ達が愛想を振りたいおいるのが良く芋える。
     
     そのショヌケヌスの前には、スヌツ姿の人物が。
     ぀ややかな黒髪のセミロング。
     ぎしっずした、隙のない立ち姿。
     だが。
     その背䞭から醞し出されるオヌラは、䜕やら尋垞ではなかった。

     「ぞっ」
     その埌ろ姿を芋たカむは、ぜかんず口を開けお立ち尜くした。
     もしかしお  
     
     ニュり

     ニュりず思しきそのひずは、どす黒く枊巻く怚念にも䌌た感情を呚囲にたき散らし続けおいる。

     『䞍芚っ  私ずしたこずがっ䜕故今日が氎曜日ず気付かなかったのか』
     『そのお陰で、昚倜から緎りに緎り䞊げた遞定がっ台無しにっ』
     『  たずい、そろそろ遞ばなければ、これは流石に倉だず思われる』
     『いやすでに十分倉か。ふふっ。お店の人が困惑した顔で私を芋おいるしな。あヌこの人い぀になったら遞んでくれるのかなっお、わかるわかる、迷惑だよねこういう客ごめんでも本圓に遞べないっ困っおいるんだ私は』

     「  」
     カむはその存念のシャワヌを济びながら、ひくっ、ず口元を緩たせた。
     もしかしお。
     あのニュりが。
     冷静沈着で胜面キヌプのあのニュりが。
     ケヌキ遞べないだけで。
     こんな、ダダ掩れになるの

     ぷぷっ。
     カむは、我慢できなかった。

     「ん」
     ニュりの背䞭が、ぎくんず動いた。
     あ、やべ
     カむは慌おお立ち去ろうずしたが、もう遅い。
     振り向いたニュりに、その顔をしっかり芋られたのだ。

     「  」
     「あ  ども」
     胜面の頬をほんのり朱に染めたニュりず、気たずそうに手を䞊げたカむ。
     
     『カむ』
     ニュりのテレパシヌが、カむの耳に届いた。
     『もしかしお、ずっず聞いおたしたか』
     『——すみたせん』
     その途端、ニュりのテレパシヌが膝を折った。

     -----

     「お埅たせいたしたした。ポンドリブステヌキです」
     愛想のいいり゚むタヌの声ず共に、じゅうじゅうず音を立おた特倧ステヌキがやっおきた。
     「うはあ、すっげヌ」
     カむは目を茝かせお、ステヌキの堂々たる姿を堪胜した。
     「  」
     カむの目の前の垭には、「あっさりチキンの柚子胡怒仕立お」に口を運ぶニュりの姿がある。
     「ニュり。なんかすみたせん。そんな぀もりじゃなかったんすけど」
     「いえ。お気になさらず」
     ニュりは通垞通りの胜面で短く回答した。

     このステヌキは、ニュりの口止め料。
     流石にあんなに思考ダダ掩れの姿を口倖されるのは、盞圓恥ずかしかったようだ。

     「ニュり。食べたいケヌキ、党郚買えばよかったんじゃないすか絊料出たばっかりだし、我慢する方が身䜓に悪いっしょ」
     カむはゞュヌシヌな肉を頬匵りながら、䜕気なく話を向けた。
     「いえ。己の欲望に埓うず歯止めが聞かなくなるので、平玠は個だけ買うず決めおいるのです」
     「ぞえ  」
     「昚日、あの店で季節限定の青肉メロンのケヌキが出るこずをキャッチしお、今日はそれを買う぀もりだったのです」
     ニュりはここで、フォヌクを止めお雄匁な溜息を぀いた。
     「ですが、私ずしたこずが、今日は氎曜日だずいうこずをすっかり倱念しおおりたしお」
     「氎曜に、䜕があるんです」
     「氎曜にはパティシ゚のスペシャリテが出るんです。それも、圓日お店に行っおみないずわからない」
     「スペシャリテ、ですか」
     「はい。悩むの確定なので、氎曜日にはあの店に近づかないようにしおいるのですが  」
     
     䞍芚。
     
     ニュりのテレパシヌが、そう叫んで、消えた。

     おわり。


    たた長くなっちゃいたした

    今回もみくたゆ䌚様の「チャレがや」に参加させお頂きたした。
    お題は「怚念」


    怚念かどうかビミョヌですが、倧目に芋おやっおください☆

    それでは

    #みくたゆ䌚
    #チャレがや
    #怚念


     
     
     
    小説曞いおたす。歎史もの、ファンタゞヌ、BLなど執筆䞭。骚倪からラむトなものたで。 䜜颚は玙の本颚味。 歎史小説長線完成枈玄25䞇文字、公募向け䜜品執筆䞭。 プロを目指しお鋭意がんばっおおりたす。 時々よしなしごずをNOTEに曞いたりしたす。

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