
連載紀行文ロケットvol.5
予約時間の10分前くらいにのるーとが到着して、車まで行って名前を告げると運転手のおじさんに時間まであそこで待っていてくださいと、正式に定められた停留所を指差して言われた。なんだか今度のおじさんは少し厳格な人だなと思いながら、時間の管理をしないといろいろ大変なのだろうと理解した。
おそらく無口なおじさんだろうと覚悟して、乗車する。宇宙センターを選択して、乗車したので行き先を伝える必要もなかった。
「ロケット見に来たんですか」
心地悪い沈黙が膨れ上がって、先に口を開いたのはおじさんの方だった。
「そうなんです」
「延期になっちゃいましたよ」
僕が知らないとでも思っておじさんは言ったのだろうか。
「おそらく金曜日だと思いますね」
「僕11日に帰るんですよ」
僕がそう言うとおじさんは口を開けて声は発さずにあらまといったような顔を少しだけ横に向けた。おじさんそういう表情するんだと思った。
おじさんが言うには機体移動がかなり大がかりらしく、島間港に着いた機体を何時間もかけて信号機を調整しながら夜移動するらしかった。そのために道路の白線を引き直したと言う。町全体がロケット発射に合わせて暮らしているようだった。
おそらく11日は無理だと思うと、おじさんは容赦なく僕に伝えた。おじさん表情管理だけでなく、優しい嘘も覚えてよと思いながらありがとうございましたと言って降車した。

連載紀行文ロケット
種子島一人旅への想いや旅の風景を綴る連載企画。もうすでに旅ははじまっている。
(また旅が終わったら編集しますので、ゆるくお楽しみください)